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メッセージアプリから、着信を知らせる通知が光り、那月はベッドで寝転がったまま、スマホに手を伸ばした。
「あれ。雛子からだ」
那月の幼馴染である彼女からの着信だった。
スマホのディスプレイをタップし、那月は電話に応じる。
「もしもし。どうしたの、雛子」
ベッドに寝そべったまま尋ねれば、聞きなれた雛子の声が聴こえる。
「那月、あけおめ~! 今って、実家? 下宿?」
新年を迎えて、そこそこの日付が経つが、かまうことなく雛子が新年の挨拶を交わす。
年明けの瞬間に、メッセージを送りあったことを、ふと思い出し、那月は一人、笑って、口を開く。
「もう、大学の方の家に戻って来てるよ」
「そっか、良かった~。あのね、私も今、下宿なんだけど……、今から、私の家に来れない?」
「えっ」
突然の提案に、那月は、戸惑いの声をあげる。
残り少ない冬休み。お互いの家に遊びに行くことなど、これまでは珍しい話ではなかったのだが、今となっては、どきりとしてしまう。だって、私たち、これまでとは、立場が違うわけだし。
そんな那月の様子もかまわず、雛子は言葉を続ける。
「実は、ちょっと、私、今こまってて……。那月に助けてもらえたらなあって」
雛子の、参るような声に、那月は、悶々としていた頭をすぐに切り替える。
「いったいどうしたの? 大丈夫?」
「那月、こっち来れそう?」
「うん、もちろん行くよ。体調でも悪いの?」
「そうじゃないの、ちょっと手を貸して欲しいの。急がなくてもいいわよ。あ、今日中に来ては欲しいけど」
「何それ」
こっちは、今にも駆け出そうとせんばかりだったのに。
150と数センチしかない小柄な雛子が、160と数センチもある那月の頼み事というと、
高い棚に置いてあるものを取るとか、収納箱を組み立てるのを手伝え、とかそんなのかな、と那月が想像していると、雛子が、くすくす笑いながら、声を出す。
「デートのつもりで来てね、ってこと」
雛子の、透き通った甘い声に、那月は、ぐ、っと息をのむ。
幼い頃から知ってる、小柄のくせして、おっぱいの大きい彼女は、れっきとした那月の恋人なのである。
*
小さなエントランスで、オートロックをインターホン越しに解錠してもらい、那月は、コンクリートで出来た階段を上る。
何度も来たことがある、雛子の一人暮らしの家なのに、こんなに緊張するなんて、初めてだった。
階段の踊り場に出ると、白い無機質な壁に、階数が描かれていた。思わず、確認してしまうほど、動揺している。
なに、私、ここまで緊張してるのよ。
雛子が困ってるって言ってたし、それ助けるだけよ、それだけよ。
言い聞かせた後、那月は、雛子の部屋の扉へと足を進める。
扉の前に辿り着く前に、ドアが開かれ、中から、ひょこりと雛子が現れた
栗色のねこっ毛が両サイドにまとめられ、ふわりと風に舞う。
「ふふ。待ってたわよ。那月」
もこもこ生地のフード付きパーカーとホットパンツをはく雛子を見て、那月は、むう、と少し口を尖らせる。
「寝間着姿で? ホントは寝てたんじゃないの」
「部屋着よ~。あ、那月はデートだから、おしゃれしてくれたのね。ありがと。そのコートかわいいわね」
玄関でパンプスを脱ぎ、ノーカラーコートを脱ぐと、那月は、ぷい、と雛子から顔を反らして、ずかずかと雛子の家に入り込む。
ニットワンピースを、タイツを履いた足で蹴とばすようにして、短い廊下を突っ切る。
「それで? 何を手伝えって言うの? 棚でも組み立てるわけ?」
廊下の先、雛子のワンルームの私室に足を踏み入れ、そして、ぎょっと身体をフリーズさせる。
雛子の寝床も兼ねた、ロータイプのソファーベッドの上に、ピンク色のごつごつしたペンライトのようなものが置かれている。
髪を巻くヘアアイロンにしては小さいし、ライトにしては、光る場所が見当たらないし……。
これって……。
「あ、見つけちゃった? 那月って、ちゃんと、そういうの知ってるんだね」
くすくす笑いながら、雛子が追いつき、背後から、ぽすん、と身体をひっつける。もこもこしたパーカーと、柔らかな胸が、那月の背中をあたためる。
「実はねえ、その大人のおもちゃでねー、さっき色々、試してたんだけど~」
雛子が、甘えて頼み事をする時の声を出しながら、那月の背後から、両手をまわし、那月の胸元へと、到達する。
那月は、ぴくんっ、と身体を小さく震わせた後、背後にしがみつく雛子へと、視線をなんとか向けながら、声をあげる。
「たッ、試すって何をよ?! ていうか、何やってるのよ!」
「いいじゃない。大人が大人のおもちゃ使うんだから」
「そっちじゃなくて、どこ触って……、ひゃんッ!」
むにむに、とニットワンピース越しに、胸を軽くもまれ、那月は思わず声をあげる。雛子は、満足気に笑みを浮かべながら、更に、手を、那月の下乳に添える。
「んー。なんか、夏ごろよりは、おっぱい少しおっきくなってない? 服が分厚いだけかなあ」
「もー! ばかばか、なにしてんのよっ! 雛子のばかっ!」
那月は、雛子の両手首をつかみ、いやらしく値踏みするように動く雛子の手を、引きはがす。くるりと、身体を雛子に向け、キッと雛子を睨みつける。
頬が真っ赤に染まっているのが自分でも分かったが、雛子は那月の様子に、にやにやと笑みを返すばかりだ。
「何よもう! せっかく心配して来てあげたのにっ! そんなえっちなおもちゃで、私に何かするために呼びつけたわけ!?」
つい先ほどまで、服越しに触られた胸が、ひくひくと疼き、呼応して、下腹部もきゅんと、潤いを増してしまっている。
そんな自身を隠すように、那月が問い質すも、雛子は、しれっとした顔で、口を開く。
「ちがうちがう。ほんとに助けてほしいの。あのね、今朝、そのオモチャで、ちょっと遊んでたら、取れなくなっちゃったのよね」
「……? 何が? どういうこと」
内容が読み取れず、那月が怪訝な顔をして聞き返すと、雛子が、もこもこパーカーのポケットから、スッと平らな四角形の袋を指に挟んで取り出す。
二辺がギザギザになっていて、中身が丸い線を描いてくぼんでいる。
こ、これは……。
「ゴム。中に入ったまま、取れなくなっちゃったの」
てへ、と、バトミントンの羽を飛ばしすぎた、とでも言うような顔で、言われ、那月は、より一層、顔を真っ赤にして、雛子に突っかかる。
「って、なにそれ、どういうこと?! ぜんぜん、わかんない。なんで、そんなの持ってるのよ!」
知識こそあれ、学校の授業くらいでしか触れたことのないコンドームの登場に、那月は動揺に拍車をかけるが、雛子は依然として、顔色を変えない。
「エチケットでしょ~。衛生面としての」
「いや、そりゃ、そうかもだけど、そうじゃなくてっ」
焦る那月に、雛子が、くい、と背伸びして、目と鼻の先ほどにまで、顔を寄せる。
「私が男の子に使うとでも思ったの? 那月がいるのに?」
「……ッ、だ、だって、私、そんなの、ほとんど使ったことないんだもん」
「はいはい。お子ちゃまの那月に説明してあげると、オモチャにゴムつけて使ってたら、外れて私の中に入っちゃったの」
本当に何してんのよ。那月の理解の許容値を超える内容を、しれっと語った後に、雛子が続ける。
「それでね、那月に取って来てほしいんだ~」
「……、どこに、何を」
「私の中に、取れなくなっちゃったゴムを」
今日、何度目になるか分からない叫びをあげるも、雛子は変わらず笑みを浮かべたままだった。
*
「はー!? 何言ってんのよ! 出来るわけないじゃない、そんなの」
「大丈夫よ。ちゃんと、ばあばの家から、那月がちっちゃくなっちゃうお薬、拝借してきたから。これで那月が小さくなって、私の中から、ゴム、取って来てくれればいいでしょ」
「いいでしょ、じゃないわよ。人にマニアックプレイ強要してないで、さっさと病院行きなさいよ!」
「だって、さすがにこんなの病院で依頼するの恥ずかしいじゃない。ていうか、今の時期、病院、閉まってるでしょ」
「そんな、だって……っ、私……っ」
「大丈夫、大丈夫。那月、何度か小さくなったから分かると思うけど、小さくなると、身体が結構、頑丈になるみたいなのよね。だから、危なくないと思うわよ。それにホラ、胎内回帰なんて、こんな機会がないと絶対できないことだし、人生の経験を豊かにすると思って、お願い~」
「そんな軽々しく胎内回帰とか提案しないでよ」
上目遣いで、甘えた声を出しながら、とんでもないことを言い放つ。那月は、ぐるぐると、追いつかない思考を、必死に働かせながら、雛子の『お願い』を考える。
私が、雛子の中に、入っちゃう……?!
雛子に、身体を小さくされたことは、何度か経験済みではあるし、雛子の大きな胸に閉じ込められて、とんでもないことを散々されたことだってある。柔らかな胸に全身を包まれた時は、心と身体が壊れてしまうかと思う程の快楽だった。
雛子の中に入ると、今度はどうなってしまうのだろう。
既に、頭が、未知なる経験を、一種の快楽として認識し始めてしまっていて、那月は、慌てて首を横に振った。
いけない、いけない。
もっと、冷静に考えなくちゃ。
「ゴムを取るって、そんな簡単に見つかるものなの? 中は真っ暗なんだから、私、探して持って帰って来れる自信がないわよ」
「あ、それは大丈夫。ちゃんと見えるように出来るから」
ちょっと準備が良すぎないか。
那月が怪しむ顔をするも、雛子はニコリと笑う。
「ほら、もともとの用途に合わせて、色んなお薬があるわけよね」
いろいろと恐ろしい話をされ、那月は、雛子の祖母宅に思いを馳せる。
「もちろん、これ、那月の貸しでいいわよ」
「ほんと? 何してくれるの」
「そうだなあ。那月がゴム取れなくなっちゃった時は、私が取ってあげる」
「もっと違うことに使いたい」
那月がため息をついていると、雛子が、どこからともなく、小さな小瓶を取り出し、キリキリと音を立ててフタを外す。
「さあ、それじゃ、小さくなってみよっか。那月」
中身に、不思議な光をゆらりと反射させる、わずかな液が見え、那月を縮めてしまう薬が入っていることを悟る。
「……ッ、もう、ほんと、貸しだからね。あと、取れなかったら、有無言わさず、病院行かせるからね」
「はいはい。はーい、あーん」
適当な返事をしながら、小瓶を那月の口元へと、雛子が手を上げる。
「あ、……あーん」
那月が、ほんの少しだけ、膝を曲げて、雛子の小瓶へと口を寄せる。
ちり、と、強い炭酸を、ほんの一滴、受けたかのような感触が、舌に触れる。
その刺激が、スイッチとなり、舌から、全身へ、急激に激しい熱が広がっていく。
「ひゃぅッ!」
那月は、驚いて、小瓶から口を離す。ぐらり、と空間が歪むような感覚を受け、雛子と、雛子の部屋に目を向ける。ドクンドクンと、身体が熱のうねりを上げると同時に、目の前の雛子と、雛子の部屋が、どんどん大きくなっていく。
「ぁ、あぁあ……ッ、私……、ちいさく、なってる……ッ!」
ニットワンピースの重みが増し、タイツは脱げかけのように緩み、スカートの裾が床につく。雛子の目線が、同じ高さになったかと思うと、すぐに、那月は、雛子を見上げる形になり、そして、あっという間に、顔を上げるだけでは、彼女の目を見ることが叶わなくなってしまった。雛子のもこもこ素材のソックスに包まれた足元で、那月は、ニットワンピースとブラジャーやショーツ、タイツの山の中に、小さな身体を沈めた。
「ふふふ。すっかり小さくなっちゃったね。今回も、五センチくらいかな~。あんなに大きかった那月を、指先でつまめちゃうなんて、変な感じね」
雛子が笑いながら、服の下でもがいていた那月を、指先でつまみ上げる。
雛子の指の腹が、那月の胸元から腹部にかけて、すっぽりと添えられている。柔らかな感触と、暖かな熱を、地肌に直接感じながら、那月は、もじもじと、身体を左右にねじる。
「ひ、雛子……。恥ずかしいから、早く、下におろして」
縮んだとはいえ、服を脱いだのは、自分だけなのだ。
雛子の家で、自分だけが裸という状況が、那月の羞恥を上げるが、雛子は、くすくすと笑うばかりだった。
「どうして。私にならいいでしょう? 手の中にいた方が暖かいんじゃない?」
面白がって、雛子は、小さな那月を、二本の指の合間で、コロコロと転がす。那月は、くるくると指の間で回されながら、されるがままになっていた。
「ゃだっ、もう、私の身体で遊ばないでよおっ。ぁんッ」
指の腹で、胸を押し潰すように回され、那月は甘い声をあげる。
「ふふ。いきなり小さくしちゃったけど、折角だから、大きな時に、脱がしてから小さくしても良かったかなあ~? 那月、こんなに可愛い下着、つけてきてくれてたんだねえ」
片手に那月をつまんだまま、雛子は、床に落ちた那月の下着に手を伸ばす。
ニットワンピースの間から、桃色のショーツが、ずるりと引きずり出される。
雛子のつまんだサイドストリングの紐が、花の刺繍を浮き立たせた小さな布地に繋がっており、ひらひらと、宙に揺れる。雛子の左手で揺れるショーツよりも、更に小さく縮んでしまった那月が、同じく、雛子の右手で、必死に、じたばたともがいている。
「やだやだっ、そんなの、引っ張り出さないで!」
「えー、どうして。那月が、この下着、着てるの、もっとしっかり見たかったなあ」
笑いながら、雛子が、那月を、那月の履いていた下着の上に、ぽとりと落とす。
「きゃあああ!」
那月は、少ない布地面積の下に、うつ伏せに倒れ込む形で、不時着する。縮んでしまう前に、ひそかに湿らせていた、自身の愛液が、那月の顔を濡らし、那月自身のメスの匂いが、那月を包む。羞恥で、頬を染めていると、ぐい、と那月がうつ伏せで寝そべるショーツが持ち上がる。雛子が、サイドストリングの紐を両手に持ち、ショーツを持ち上げたようだ。
「もう、大きすぎて、着れなくなっちゃったわね」
花柄レースの隙間越しに、大きな雛子を見上げれば、雛子が、目を細めて、ゆっくりと口角を上げる。かよわい獲物を捕らえたときの瞳だった。
小柄で可憐な幼馴染は、もはや、大きな敵わぬ存在と化していた。
「──好きよ、那月」
甘く、強い声で言われ、那月は、ビクリと身体を強張らせる。その様子すら、雛子は、満足気にほほ笑み、小さな那月を低いベッドへと、下着ごと運ぶ。
ぽすん、とベッドの柔らかさを、下着越しで全身に受ける。雛子が、那月をつまみあげ、ころんと、仰向けに向かせる。
今や、自分の数十倍の大きさとなった巨大な雛子が、那月をじっと見つめながら、もこもこのパーカーのポケットから、小さなピルケースのような、丸い入れ物を取り出す。
小さな、といっても、今の那月は、中に収納されてしまえる程のサイズで、那月は思わず身構えてしまう。
雛子は、苦笑するように笑い、金色の縁取りがされた、丸いピルケースを、くるくると回し、開ける。
「これが、私の中に入っても、ちゃんと中が見えるようにしてくれる薬剤よ」
カポン、とフタを取ると、中に、透明のジェルが入っていた。
雛子の大きく細い人差し指が、そのジェルに、とぷんと入り、ひとすくいして、指の腹にジェルを乗せる。
「少し、べとべとしちゃうけど、許してね」
大きな指先につけられたジェルが、那月へとつけられる。崩れやすいゼリーのような柔らかさだった。雛子の指が、那月の全身を撫で上げる。
「ん、んんぅ……っ」
小さな頬や、胸が、大きな指で、ぐにぐにと形を変えてしまいそうな程に、押し付けられる。
小さな背を、首筋から、臀部へとなぞられ、べとり、とジェルを塗られる。ぐい、と枝のように小さくなってしまった那月の脚を、雛子が指先で持ち上げ、同様にジェルを塗り上げる。
濃厚な愛撫に、すっかり、熱が上がった那月は、ぼんやりと、雛子を、下着に寝そべったまま、見上げる。
雛子が、クスリと笑って、大きな手のひらを広げ、那月へとのばす。
捕まえられてしまうのかと、思いながら、見つめていると、手のひらは丸みを帯びて、指先を隙間なくぴたりとくっつける。そして、那月を、覆い隠してしまった。
「光っているのが、分かる?」
雛子の言葉の通り、簡易的な闇の中で、那月は、自身の身体が、ぼんやりと、蛍のような淡い光を放っているのが分かった。
「ね。これで、見えるようになるでしょう?」
再び、手のひらのカバーを解除し、雛子が、にこりと大きく微笑む。そして、自身の胸元に手を伸ばしたかと思うと、ゆっくりと、もこもこパーカーのファスナーを下ろした。大きな雛子のFカップの胸が、たぷん、と揺れて、露わになる。
「それじゃあ……、那月のこと、私の中に、挿れちゃうね」
甘ったるい声に、情欲にまみれた瞳。那月は、小さな身体、全身で、それを受け止めながら、こくん、とうなずいた。
雛子は、頬を染めながら、ホットパンツに、指先をかけ、するすると、脱ぎ下ろす。
サイドに白いリボンをあしらったレースのショーツが、あらわになる。
雛子が、膝を、ロータイプのソファーベッドに乗せ、那月のショーツの上に寝る那月を見下ろす。
巨大な雛子の裸体を真下から見上げることとなり、那月は、雛子のくびれたウエスト、美しい曲線を描く巨乳に、圧倒される。
雛子は、へそに手のひらを添えて、ひと撫でした後、ゆっくりと、サイドのリボンを解き、ショーツをずらしていく。
とろりと、潤いに満ちた大きな割れ目を、上空で見上げ、那月の思考は、熱で鈍さを増していく。
あそこに……、いまから、私、はいっちゃうんだ……。トクン、トクン、と不思議な鼓動が上がっていく。
ぎしり、と、裸の雛子が、ソファーベッドへ、大きく足を広げて座り込む。
大きな雛子が座ることでベッドが揺れ、那月の小さな身体が、小さく跳ねる。
雛子の大きな指先が、ジェルでべとべとになった那月をつまむ。
「那月。お願いね」
情欲に満ちた笑みと共に、雛子がそう呟くと、小さな那月を、自身の割れ目へと押し当てた。
ぐちゅん、と雛子の溢れる愛液に、全身が大きく濡れる。那月が驚いて、目を閉じ、じたばたと手足を動かす。
「ぁんッ! やだ、那月。暴れないでよ」
雛子が、ヒクヒクと、割れ目を疼かせ、とろとろと愛液を零す。しかし、那月は、溺れてしまいそうな恐怖が勝り、動きを止めない。もはや、小さな水滴の中に落とされた虫のような気にさえなっていた。やみくもに動かした手が、柔らかで、ざらりとしたものに触れる。雛子の割れ目を覆うヒダか、申し訳程度に残されたアンダーヘアにでも触れたのだろうか。ふいに、水滴の感触が消え、那月が、うっすら瞳を開けると、目の前に、大きな雛子の割れ目と、雛子の指先が見えた。
「もー。那月ったら。くすぐったいじゃない」
雛子の声が、上空から聴こえる。
「だって、息できなかったんだもん」
「大丈夫よ。今の那月の身体は、頑丈になってるんだから」
「ほんと?」
むしろ、力の加減を間違えたら、簡単に壊れてしまう、華奢な存在になり下がった気しかしないのだが。
しかし、那月が尋ねる前に、雛子は、自身のヴァギナを、ぐい、と大きく拡げ、ふたたび、那月を近づけてしまう。
「那月……っ、いくよ」
「ま、待って、雛子っ、私、──ふぁあぁあ!?」
どぷん、と鈍い水音を共に、那月は、雛子の中へと、挿入される。
「んっ、んんっ!! ぁああぁ!」
「あぁあぁんっ! 那月!」
那月は腹部と背中を、雛子の指先に支えられながら、上半身を、雛子の中へと入れられる。
ぽぅ、とぼんやりとした柔らかな光が、内部を照らす。
まだ、最奥ではないそこは、目の前が、小さな闇の穴が続いている。
私……、本当に、雛子の中に、入っちゃった……。
那月が、呆然と、雛子の指先に掴まれたまま、その場に動けずにいると、ふいに、全身を包む柔らかな壁が、ぎゅぅうう、と那月を締めつけてきた。
「ひぅ……ッ?!」
那月が驚いていると、すぐに、とろとろと、雛子の愛液が、那月を包みこむ。
濃厚な雛子のメスの匂いに覆われながら、那月が身動きを取れずにいると、大きな雛子の声が届いてくる。
「はぁんッ! あぁあぁ……ッ、すごい……ッ、私っ、那月のこと、中に挿れちゃってる……ッ! あぁあぁんっ!」
雛子の嬌声と共に、内部の肉壁が、ぐにぐにと揺れ動く。那月を締め付ける肉壁が、左右で圧を変えながら、那月を揺らしていく。ヴァギナに突っ込まれた上半身の動きに従い、まだ、外に出たままの、那月の尻と両足が、ぶんぶんと揺さぶられていく。
雛子が、腰を揺らしているに違いなかった。
「んっ! あぁあんっ! ゃあぁあ、雛子っ!」
くらくらと、眩暈を感じながら、那月が必死で叫ぶも、雛子は動きを止めない。
それどころか、那月を支える指先を、するすると、那月の腹部と背から、両脚へと動かしていく。
「ゃ、やだ! 離しちゃだめぇ! 離さないでぇえ! 私、でられなくなっちゃう!!」
那月が恐怖で叫ぶも、雛子の指先は、雛子のヴァギナから、自身の指先を引き抜き、那月の小さな足首をつかむ。
「ごめん、那月……っ、私、もうがまんできないっ!」
ぎゅ、と強く足首を掴まれたかと思うと、那月は、一気に、全身を、雛子の中へと入れ込まれた。
──どちゅぅううんっ!
「あぁああぁああッ!!」
「はぁあぁあんっ!! きもちいい!! 那月っ、那月っ! あたし、那月でオナニーしちゃってるよぉおおお」
雛子が嬌声を上げながら、激しく、小さな那月を、ピストンのように動かしていく。
きゅん、きゅんっと、全身を、雛子の膣が締めあげていく。どぷん、とひっきりなしに、愛液が溢れかえってくる。
「ひぁっ、はぁあぁ、あぁぁああ……っ!」
那月は、薄明りに照らされた、雛子の膣の中で、上下に激しく揺さぶられ、膣に締め付けられながら、小さく声を漏らしていた。
まだ、最奥は見えず、探し物のゴムも見当たらない。
全身を、愛液とジェルで、べとべとに濡らしながら、那月は、自分が、なぜ、無事で済んでいるのかが分からなかった。
私の身体、いったい、どうしちゃったの……? 私、どうなっちゃうの?
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ、と、激しい水音に包まれながら、那月は、上下の揺さぶり速度を上げていく。
雛子の限界が近いのかもしれない。
「ぁあぁッ、あぁぅッ、ふひゃぁああ」
「ぁん! あぁんっ! あぁあんッ! 那月、那月っ! 私、那月で、イっちゃうぅうう!!」
雛子が、自身の腿を、ぐい、と寄せ上げ、小さな那月を限界まで飲み込む。
「ぉあぁあひぃうぅうううぅ!?」
「イクぅうううううううう!!!」
雛子の絶頂と共に、那月は全身を、限界まで締め付けられる。大きな蛇に、丸のみでもされたかのような状態で、身体中を、雛子の愛液にまみれながら、那月は、雛子の絶頂に、小さな身体を包まれた。
雛子の膣の中で、那月が、力なく動けずにいると、ふいに、ずるり、と足を引っ張られ、外へと引きずり出される。
愛液とジェルにまみれた身体が、空気に触れ、かすむ視界の向こうに、大きな雛子が見える。小さな身体を、両手で支えられているらしい。大きな雛子の顔が、どんどん、近づいているのが、ぼやける視界ながらも、わかった。雛子が大きな口を開け、中から、舌をのばす。べろり、と、生暖かい雛子の舌が、那月を舐め上げる。
「ふふふ。那月」
「ひな、こ……」
那月が、弱々しい声を出すと、雛子が微笑む。
「ありがと。気持ち良かったわ」
「私……、まだ、ゴム、取れてないわよ……」
「あー、そうよね。まあ、ゴムなんてないんだし」
「へ?」
どろどろに濡れたまま、那月が、目の前の大きな雛子を見れば、くすりと笑われる。
*
「何よそれ! もともと、私の胸、大きくするって話だったのに、何に目覚めちゃってるのよ、あんたは!」
那月が、小さい身体で必死に訴えるも、雛子は、全く、反省する様子が見られない。
「ふふふ。そんなちっちゃい身体で、文句言われても、全然怖くないわね」
「元の大きさで言っても、反省するタイプじゃないでしょ、あんたは」
「反省くらい、私だってするよ~。おわびに、今度は、ちゃんと、那月も気持ちよくさせてあげる」
ぎらりと、雛子の目が光り、那月は、ビクンと身体が震える。
長年培った、幼馴染の勘が働き、那月は、慌てて声を上げる。
「ま、待って、まず、私のこと、もう元の大きさに戻して」
「そう言わないで、その大きさでないと味わえないこと、いっぱいしてあげるから」
雛子が言いながら、ベッドの傍に落ちていたもこもこパーカーのポケットから、コンドームの袋を取り出す。
桃色の艶やかな唇が、その四角い袋の端を、ぱくりと咥え、空いた手で、ぴりぴりと、袋を破る。
中からゴムを取りだす雛子を、那月は、雛子の指先で捕まえられながら、見つめる。
「な、何する気……?」
「ふふふ」
那月をつまんだ手の、空いた指先に、雛子がゴムを引っかける。空いた左手で、雛子は、ベッドに転がる、オモチャを掴んだ。
那月の全身よりも、大きな、それは、ピンク色のペンライトのような形をしていて、ごつごつしたイボと、柔らかなトゲが、びしりと周りを覆っている。
えげつないオブジェを目の前にして、那月が声を失っていると、雛子が、そのオブジェに、那月をぺしりと押し付ける。
「ん、んぅううっ! ゃ、何するの、雛子!」
「暴れないで。ほーら、きもちいいでしょ~?」
雛子が、ぐりぐりと、オモチャの側面に、小さな那月をおしつける。ペンライトを覆うイボとトゲが、いたずらに、那月の小さな割れ目と胸を擦り上げる。
「んはぁあぁッ!」
「今日は、これ使って、私と一緒にイこっか」
可愛い声でそう言った後、雛子が、ぎゅっと那月をオモチャへと押し付ける。そして、素早く、オモチャと那月を、コンドームで覆ってしまった。
「ん、んぎゅぅ、ふぅううっ! ゃ、やだっ!! なにするの!」
那月は、オモチャとゴムの狭間で、小さく暴れるが、コンドームは、那月を逃げ出すことを許さず、ぴたりと全身をバイブに寄せ付けさせていた。オモチャの表面にびしりと並ぶ、イボとトゲが、那月の小さな身体を、ぐに、と押し潰す。ささやかな抵抗のごとく、那月が、狭い隙間で暴れると、咎めるかのように、イボとトゲが、那月の肌を撫でつけていく。
「ん、んんっ……! ぁあ、ゃあんッ!」
柔らかなイボとトゲによる刺激に、那月が身悶えしていると、雛子の大きな指先が、那月の身体をゴム越しに掴む。
「ほら、那月。足、もっと広げて、オモチャに絡ませて。その方が気持ちいいわよ」
「ぁんっ! ぃやあぁ、らめぇ、イボもトゲも、中にはいっちゃうぅ!」
くちゅん、と小さな水音と共に、那月の中に、オモチャのイボとトゲが入り込む。刺激を待ち望んで愛液を零していた那月の小さな割れ目が、途端に、ぷくりと、小さく膨れ上がる。
「ぅあぁ……っ、な、か、苦し……っ、キツイ、よぉ!」
「ふふふ。那月の中にも、はいっちゃったね。……じゃあ、ちょっと試しに動かしてみよっか」
「ひぃ……ッ! や、やだ、こんなの動いたら、私、しんじゃう!」
「大丈夫よ。那月は、今、ちっちゃいんだから、こんなので死んだりなんかしないよ」
雛子の甘く、しかし容赦のない声に、那月は、バクバクと、鼓動が上がっていく。手足がカタカタと震える。ジェルと愛液にまみれた自分の手が汗ばむ。柔らかなイボから、手が滑り落ちてしまいそうだ。
那月は、自身が縮んでしまったことにより、今や、雛子の手助けなしでは逃げられない、ひ弱な存在であることを、今更ながらに思い知っていた。
「た、たすけて……、雛子……っ」
那月は、掠れた声で、弱々しく、雛子に助けを求める。けれど、雛子は、うっとりとした瞳をして、妖しく笑う。
「どうしたの、那月。怖いの? だいじょうぶよ。私が、いっぱい、気持ちよくしてあげる」
雛子の声に反応して、身体の下腹部が、きゅるりと、疼き、那月は、ぴくんっと小さな身体を、コンドームの中で震わせた。
身体は、確実に、目の前の大きなオモチャと雛子の行いに、快楽を感じてしまっている。
こんな異常な状態で、快楽を感じてしまっている。自身の身体が、もはや、取り返しのつかない変化を遂げてしまったかのように思えて、怖くて仕方がなかった。
「一緒に、いっぱい、イこうね」
「ゃ……ッ、だ、めぇ! だめぇ、やだぁあ! ぃやぁああああ、あぁあ、あぁあああああああ!!!」
カチリ、と。雛子がオモチャの底についたボタンを押す。途端、那月が半強制的にしがみついていたオモチャが、小刻みに容赦なく、那月を揺さぶり、震えあがる。
「ひぎぃあぁぁああああああああああああッッッ!!!!」
那月は、小さな身体を、バイブとコンドームの狭間で、めちゃくちゃに跳ねあがらせながら、あっという間に、快楽の階段を駆け上がった。何度も何度も、達して、絶頂していく。それでも、オモチャは動きを止めなかった。
「ヒグゥウウウ!!!!! イグゥウうう!!! あぁぁあああああ、はぎぃあぁああああああああっ!!! イグぅううう、イってるのぉおおおお!! いま、イってるのに、ひぎぃぃいいい!!! とめてぇえええええええ、ひなこぉおおおおおおおおおお!!!」
那月は、白む視界の中、あらん限りの声を上げる。目の前に、大きなピンク色の物体が、残像を残しながら、激しく振動しているのが見える。その視界が、己の涙と朦朧とする意識で、揺らいでいく。
もう、だめ、と思ったところで、カチリと、バイブは動きを止める。那月は、かくん、と脱力するが、ぴたりと那月を包むコンドームが、那月の体勢を変えることを許さず、那月は、バイブに抱き着いたままとなった。
「ぁあぁ……ぅあ……」
「わーお。那月って、こんな風になっちゃうんだ。かわいい」
ゴム越しに、雛子が、オモチャにはりついた那月を、つんつん、と突く。
「私のなかでも、いっぱい、乱れてくれたら、うれしいな」
雛子が、ぎゅ、とオモチャのスティックを両手で握る。そして、ゆっくりと、バイブを、自身の中へと、挿入していった。トゥプン、と深い水音と共に、雛子のヴァギナが、コンドームに包まれたバイブと小さな那月を飲み込んでいく。
「ぁ……ッ、はぁう……っ! すごい……っ、いつもより、おっきい……ッ、那月が、私に、はいっちゃう……!」
雛子がうっとりとして、声を上げる。
ぐにゅぐにゅと、那月は、雛子の膣壁に圧され、停止したバイブに、隙間なく押し付けられる。
「んひぅううぅっ、ぁあぁ……っ、たす、けてぇ……っ!」
しかし、雛子は、手を止めることなく、奥へ、奥へと、バイブと那月の挿入をすすめる。
「はぁんっ……! どんどん、はいっちゃう……! 私、那月を、ぜんぶ、ぜんぶ、私の中に、いれちゃってるよぉおっ!! 那月のぜんぶが、私の中に、はいっちゃうっ……!!」
つぷん、とバイブを限界まで挿入させ、それと同時に、那月は、完全に、雛子の膣の中に、入れられてしまう。
雛子は、荒い息を上げ、うつ伏せで、腰だけを、くいっと持ち上げる。
ソファーベッドに、大きなFカップの胸を押し付け、両手で、ベッドのシーツにしがみつく。
「はぁ……ッ! はぁッ、あたし、あたし、那月をぜんぶ、挿れちゃった……っ! すごい、すごいよぉお! いま、あたし、那月のこと、ぜんぶぜんぶ、あたしのなかに、あたしの、中にぃいいい!!」
きゅんきゅんと、大きく、雛子の膣が、バイブと小さな那月を締め付ける。
ゴムの中に閉じ込められた那月は、全方位から押し寄せる雛子の膣壁に、ゴム越しで、激しく愛撫される。
「あぁあんッ! んひゅぅううう! 雛子ぉおお! 私、つぶれちゃうぅう! あぁあんんっ!! バイブがどんどん、挿ってきちゃうよぉお! 雛子!! 外に出してぇええ!!」
那月は、小さな下腹部を、ヒクヒクと疼かせながら、ピクピクと震える。
しかし、もぞもぞと動く様は、雛子の中を、余計、刺激させ、雛子の膣壁の動きに激しさを増すばかりだった。
「やぁああぁんっ! 那月が動いてきもちいよぉお! ぴくぴく、小さく動いて、感じちゃうぅう!! あたしの那月が、あたしの中で、暴れてきもちいいのぉおお!!」
雛子が、うつ伏せのまま、ベッドに顔を押し付けて、あられもない声をあげる。大きな口から、たらりと唾液が零れ、瞳は完全に、快楽しか映していなかった。雛子は、自身の大きな太ももを、ぎゅっと隙間なく寄せ、膣の中に挿入したバイブと那月を、更に追い詰める。バイブにはりついた那月が、ビクビクと、より一層、激しく暴れるのを、膣で感じ、雛子は己を昂らせていく。
「はぁッ、はぁっ、那月が、あたしの中で、いっぱい、動いてる……っ!! すごく感じちゃうっ! もう、もう、こんなのガマンできない!!」
雛子は、艶めかしい両脚を、大きく拡げ、うつ伏せのまま、ベッドに抱き着くようにして、己の下腹部をベッドへと打ち付けた。うつ伏せで寝そべったまま、大きなロデオでも乗るかのように、ぐい、と下腹部を、ベッドにこすり付けるように、激しく、自慰を続ける。
「あんっ! あんっ!! あぁんっ!! 那月っ、那月!! あたしといっしょに、いっぱい、あぁあぁああんっ!!」
こすん、こすんと、那月をはりつけたバイブは、雛子の膣の最奥を突いていく。那月は、コンドームの内側、バイブの側面に、抱き着かせられたまま、雛子の腰の動きに合わせて、バイブのイボに犯されていく。
「ひぁっ、ひ、なこ……ッ! わらひ、こんなのっ、あぁあぁあんッ、こわれ、る……ッ! ひぎぃッ、ふぁあぁッ」
柔らかな光を放つ、己の身体。雛子の膣の中、大きなイボとトゲだらけのオモチャに抱き着いたまま、コンドームの中に閉じ込められて。那月は、ジェルと愛液まみれの身体を、揺さぶらせながら、快楽にのみこまれていく。
「あぁんッ! なつき、なつきっ! もっと、もっと、いっぱい、あたしの中でこわれてぇええ!!」
雛子が、激しく腰を揺らしながら、バイブのスイッチを入れた。ヴヴヴヴヴヴヴヴヴィーン、と容赦ない機械音と共に、バイブが振動を始める。
「ひぎぃああぁぁあああああああああ!!!!!!!」
「あぁあぁああああんッ!!!!!! すごいっ! 那月のバイブ、きもちいい!! もうとまらないよぉお!!! 雛子ッ、那月でイっちゃううぅううう!!!」
膣が那月とバイブを締め上げ、那月は、身体を弓なりにして、泣き叫ぶ。
「ひきぃいいいいいっ!! あぁああぎゃあぁはひぃいいいいいいいっ!! 出して、出してぇええええええ!!! わらひ、おかしくなっちゃううぅうう!! イグウウう、イグから、もうイグからゆるしてぇええええええ、あぁああああ」
雛子の大きな嬌声と、那月の小さな叫びが重なり、ふたりで、絶頂に達した。
*
ずるり、と愛液でドロドロに濡れたバイブを、雛子が膣から引き抜く。雛子は、ペンライトのような形をしたバイブの持ち手を、片手で縦に握ったまま、ゆっくりと、己の目の前まで持ち上げる。
コンドームに覆われたバイブは、バイブのイボと、バイブにはりついた那月で、歪な形をしている。
雛子は、くすりと笑った後、くるくると、バイブを手でまわす。お菓子でデコレーションされたアイスキャンディーでも見つめるかのような瞳だ。
「なーつき。寝ちゃったの?」
甘える声で尋ねた後、白魚のような肌をした指先が、バイブの持ち手の底にあるスイッチを、かちりと押す。ヴヴッ、と一瞬、バイブが揺れる。しかし、すぐに、その動きは止まってしまう。
「あれ。動かなくなっちゃった。壊れちゃったかな」
雛子が、なんでもないような口ぶりでそう呟く。かちかち、と何度かスイッチを押しても、結果は同じだった。
「あーあ。乱暴にしすぎちゃったかな。それか、電池切れ?」
雛子が呼吸のような小さなため息をついていると、バイブを覆っているゴムが、ぴくり、と動くのが見えた。那月と思わしき、小さな人型の塊が、ヒク、ヒク……、と弱々しく、ほんのすこし動いていることに気付く。雛子は、途端に、つまらなさそうな顔から、愛しくてたまらないという顔へと、表情を変える。
「ふふふ。おはよ、那月。ちょっと、激しすぎちゃったかなあ」
細長い、雛子の指先が、バイブを覆うコンドームの先端をつまみ、ゆっくりとゴムのカバーを引き上げる。
愛液とジェルに身体を濡らし、小さくバイブに抱き着いたまま、焦点の合わない瞳をした那月があらわになる。
「さいしょだから、びっくりしたかもだけど、これから、ゆっくり慣れていこうね、那月」
クスクスと、雛子が妖麗な笑みを浮かべる。
「まだ、いっぱい、小さくなれるおくすりはあるから、安心してね」
そして、雛子は、大きな手のひらをめいいっぱい広げ、ちいさなちいさな、那月へとのばした。