sizefetish-jp2cn-translated-text / Text Prepared /[七重山吹] 巨大女子高校生の蹂躙散歩 [aassddff] JP.txt
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巨大女子高校生の蹂躙散歩
下校時間となった校舎の廊下には夕日の日差しが入りこみ、辺りがオレンジ色に染まった時刻。そこに、一人の少女が足早に人気のなくなった廊下を駆けている。彼女の名前は高山璃子。この学校に通うごく普通の生徒の一人で、模範的な学校生活を過ごしている。
リズミカルに跳ねている腰まで伸びた黒い髪に、黒い澄んだ瞳の二重まぶたと細く筋の通った鼻は、清楚で女子高生らしい可愛らしさを醸している。
紺色のブレザーに身を包んだしなやかな身体は成長期を迎えた少女らしいラインを映し出し、程々の長さに抑えた制服のスカートからは、40デニールほどの黒ニーソックスで包まれた太ももが見え隠れしている。
クラスの中では目立つタイプではない璃子だが、控えめに言っても美少女の部類に入ると言っても過言ではない。
そんな彼女が足早に向かう先は、普段使われることのない旧校舎。一部は部室として使われている旧校舎でも、校庭では部活動をしていた生徒たちが片付けをし始めているこんな時間には、ほとんど人気がない。
それでも、いやそれだからこそ、敢えて璃子は旧校舎に向かっている。人気のないこの建物は何かと好都合だからだ。
途中、新校舎と旧校舎との廊下で、璃子は人影を見つけた。夕日が差し込む廊下では、夕日の逆光で影が色濃く、近寄らなければ人物を判別することができない。できればこのタイミングで誰かに会うのは控えたかった璃子は、一瞬うろたえるもその人影が誰なのか理解して安堵した。
廊下に立っていたのは桜木志保、この学校で教師として赴任している若い女性教師だ。志保は璃子の姿を見つけると優しくほほえみながら、少女に問いかけた。
"あら、高山さん。こんな時間に旧校舎になにかようでも?"
"あ、先生……。その、ちょっと"練習"にと思いまして…。"
"ふふっ、練習熱心なのは感心ね。でも、最終下校まで一時間もないから注意してね"
"はい、先生"
二人の間で意味深な会話をしているが、実際この二人はこの世界の理の外側の力、"魔術"を使える数少ない術師の才能を秘めているのだ。
璃子は入学当初この力に目覚めてはいなかったが、担任が志保になった際に魔術の素質を見いだされ、少しずつ練習を重ねていった。それからというもの、彼女は旧校舎の資料室の片づけを名目に影でひっそりと一人で練習を行い、今では簡単な魔術ならこなせるまでに成長した。
師でもある志保にならば、魔術の練習の事を隠すこともなく、安心して話す事ができる。だが、彼女は練習内容については、志保には言うことができずにいた。
それは彼女自身が口にすることも憚れるような行いなだけあって、自身のみの秘密にしておくつもりだった。
"それじゃ"と言っていつもの練習場所である旧校舎の準備室に向かおうとして、璃子が過ぎ去ろうとした去り際に志保が一言、まるで諭すように呟いた。
"高山さん、楽しいのはわかるけど、程々にしないと大変なことになるわよ"
"…?、はい気をつけます"
志保が言った意味をよく理解できなかったが、"程々にするように"という忠告だけは受け取った璃子は先程と同じように軽い足取りで、旧校舎の中に消えていった。一人夕日に照らされた廊下に残った志保は去っていく愛弟子の背中を見届け、つい昔の自分と重ね合わせてしまう。
"あの様子なら、もう転移魔法と拡大縮小魔法は身につけているわね。きっとあの子もお遊びし始めるころ合いかしら……。イケナイ遊びが過ぎるようなら教師として倫理観を教えた方がいいわね……。"
志保は自らの経験上、あの教え子が圧倒的な力を手にしたとき、どんなことをするのか、うすす感じ取っていた。教師として、弱い生き物を扱う生徒の倫理観が歪まぬよう正す必要があると考え、どうやって教育したほうが良いか思案していると、ふと自分も学生の頃に圧倒的な優越感を得るために巨人となって、街や小人を毎晩のように襲っていた頃を思い出してしまい、少しだけ笑みをこぼした。
"ま、私も人のこと言える立場じゃないのよねぇ……"
含み笑いを浮かべている唇を隠すように曲げた指先を軽く当てたまま、志保は職員室へと過ぎ去っていった。
***
下校時間ともなれば校舎に人は残っておらず、聞こえてくるのはグラウンドから部活動をしている生徒の掛け声くらいであった。
璃子は資料室に入ると静かに扉を閉め、鍵をかけた。部屋には埃をかぶった機材や学校の各年度ごとの記念誌等が煩雑に置かれており、奥にはいくつもの本棚が立ち並び埃をかぶったままの本がいくつも並べられている。少女はその中から迷うことなく一冊の本を取り出した。
表紙、背表紙ともに何も書かれていないこの本は、この学校の女性教師でもあり、魔道の師である桜木志保が璃子に渡した魔導書。これを使って放課後の人気が少なくなった頃に、一人でこっそりと練習していたものだ。
練習を重ねていたある日、ふと魔道書のなかに目に留まった一つの魔術があった。それが例の"転移魔法"である。璃子は興味本位でそれを唱えたところ、目の前に広がったのは地平線一杯に広がるミニチュアの街。それが璃子の性癖を歪ませた始まりだった。
以来、ただの女子高校生であるはずの璃子が、怪獣を遥かにしのぐ大きさで、小人の街に君臨して街を見下ろして、何気ない動作でも天変地異のごとく小人の街を翻弄してしまえば、彼らの身も心も完膚なきまでに屈服させることが出来るその全能感に病み付きになってしまった。
それ以降、"練習"と称しては、小人の世界に降り立ち気のすむまで蹂躙する日々が続いたが、彼女の歪んだ欲望はそれだけではとどまらなかった。
そう、昨日もその欲望を満たすために、つい"練習"で得たご褒美で楽しんでしまったことを思い出した。
———カーテンが閉められた自室の中で璃子は一人、ベットにゴロンと倒れ込み部屋着のスエットズボンと下着を下ろし、自慰に浸る璃子。
露わになった白いお尻をベットに深く沈ませ、両の手で胸と股間を触れるように触って刺激している。
"あっ……んっ……"
次第に指先が敏感な部分に触れ始めると、声が漏れ始める。上気した頬は色づき、漏れる吐息も熱く、淫靡な音色に変わってゆく。指先で乳首をつまんで力を入れるたびに、鋭い快感が背筋を貫いた。
"あんっ!はぁっ……あぅっ……"
彼女の手の動きは次第に激しくなり、それに合わせてベットもギシギシときしむ音が鳴る。
そんな自慰も今日は一人だけではない。彼女の広げた太腿の間には、白いシーツの上に正方形の小さな箱が一つ置いてある。さほど大きくはないその箱の中には、つい先週、小人の異世界に遊びに行った際に、避難所に集まっていた小人を根こそぎ持ち帰った1ミリほどの小人たちが入っていた。
彼らを自宅に持ち帰った時点では数千匹ほどいたが、毎晩こうして小人遊びに興じていると、あっという間に数を減らしていった。
だが、それも仕方ない事、ちっぽけな人間を使ったオナニーの快楽を覚えてしまった璃子は、いまさら普通のエッチで満足できるはずがない。
もう箱の中には、数千人いた同胞たちも巨大少女の入浴や自慰行為によってみるみる数を減らして今では、百人足らずとなってしまった箱の小人たち。
彼らは、毎日、彼女の食べかすを与えられ、逃げることもできずに、毎晩繰り返される地獄のような巨人の遊びを見せつけられる。
太腿の間で、少女のオナニーに無理やり付き合わされても、抗議もできず、ただ畏怖し続け見上げることしかできない小人たち。
"あっ!んっ!あ……っ"
耳をふさいでも聞こえてくる大音量の巨大少女の喘ぎ声、くちゅくちゅと秘部からいやらしい水音が聞こえてくれば、むせ返るほどの少女臭が、鼻孔にこびりつく。ビクンと、刺激によって璃子の身体が大きく跳ね上がると、箱も激しく揺さぶられ、中にいる小人も跳ね飛ばされる。
もう何度も飛ばされてしまって、体中についた痣はいつ付いたのかも定かではなかった。
"はぁっ……あっ……ああッ!"
一際大きな声と共に、璃子が絶頂を迎えれば、またもや箱の中は揺れ動き、小さな悲鳴が聞こえてくる。
しばらくすると、汗だくになって呼吸を整えた彼女はベットから起き上がり、小人入りの箱を乱暴につかむと、後ろから何かを取り出した。
ピンク色の楕円形の物体。彼女がよく使うピンクローターだ。璃子は、濡れ始めた割れ目にローターをあてがうと、電源を入れた。
ブイイイィィィーン!!!!ローターから機械的な振動音が部屋に響き渡る。彼女にとって何の変哲もないピンク玩具の音も、太腿の間の小人にとってはビルほどの巨大物体から発する轟音と振動によって体の芯まで揺さぶられてしまうことだろう。
そのギャップ感こそが彼女が燃え上がる極上のスパイスとなって、股間の前でうずくまっている小人たちに、嫌というほど堪能させてやる。
"んっ!ああっ!!"
再び、璃子の体が跳ねると、ベットはさらに激しさを増して波のように揺れる。
璃子にとってこれは、ただの自慰ではない。何百という小人たちを弄ぶ破廉恥なショーだ。そんなことを考えるたび、より一層激しい快感が生まれていく。
璃子は、ローターのスイッチを一旦切ると、箱の上に愛液で濡れぼそったローターを掲げて中の小人たちに見せつける。
"せっかくだし、あんたたちもこれと一緒に使ってあげるね"
璃子は、空いている手で箱を持ち上げて傾け、中にいた小人をパラパラとローターの上に振り落とす。
ローターの上は樹脂でつるつるしているが、たっぷりと璃子の愛液でコーティングされたおかげで、ピンク色の表面に小人がべったりと張り付いて離れない。
まるでトッピング用チョコレートでコーティングされた、イチゴアイスのようなローターに、思わず璃子は笑みを浮かべる。
"ほら、見て。私のアソコこんなにいっぱい濡れているのよ"
そう言って、指で割れ目をこじ開ける。ピンク色の内壁が外気に晒されるが、その内部では無数のヒダたちがひしめき合うように、疼きを鎮めてほしそうに脈動している。
そして、ローターを再び秘部にあてがう様にもってくると、"ふふ、行ってらっしゃい"
と、呟いて、勢いよく割れ目の中にローターをねじ込んでしまった。
ズブブッ!!! 膣内に挿入されたローターは一瞬にして奥まで挿入して、膣壁でローターの感触を楽しむ。
"ああん!!!"
それで終わりではない、璃子はローターの電源を再び入れた。
ブイィィィィン!!!再び振動が始まったローター。1ミリがへばり付いた状態のままで。高速で振動するローターに小人は、なす術もなく意識がなくなるほどに翻弄される。
"あぁ!すごい!あそこの中で、激しく動いてる!!!こんなことしちゃ、だめなのにっ!!"
そう言いながらも、璃子はローターの振動の強さを上げる。それに比例して小人の震えも激しくなり、璃子の膣壁に激しく打ち付けられてゆく。
自分と同じ生き物である小人をオナニーに使うことへの背徳感で、アソコからゾクゾクと快感の刺激が全身を駆け巡る。心の奥ではしてはいけないと思いつつも、秘部に押し付けられた玩具を掴む手は、一切緩める気はない。
ローターと膣の間で粉砕される小人たち、人知を超えるほどの巨人の一人遊びに使われてしまった以上、もう彼らに未来はないのだ。
"あっ!あっ!あっ!あっ!イクっ!イッっちゃうぅぅぅ!!!"
絶頂を迎えはじめた璃子が、秘部に入れたローターを締め上げるように股間に力を込める。それと同時に、璃子の腰が跳ね上がった。
"んっっっっっっ!!!"
息を詰まらせながら体をのけぞり、全身から湧き出る電撃のような快感に身を捩らせ、ビクンと激しく全身を痙攣させた。
"はぁ……、はぁ……、あー、気持ちよかった……"
荒い吐息を漏らしながら、璃子は満足したように脱力してベッドに倒れ込む。
濡れぼそった股間の割れ目から、ズルんとローターが零れ落ちる。もう、そこにいた1ミリサイズの小人の姿はどこにもない。
ただのローターオナニーでは、こうも頭の先まで突き抜けるほどの快感は得られないだろう。これも、自分と同じ人間であった小人を使ったおかげであった。
"もう、小人無くなっちゃったし、また明日捕まえに行こうかな……"
そう言うと、璃子は小人の街に君臨する自分の姿と、どうすることもできず逃げ惑う小人の姿を想像してしまうと、ムラムラと悶え始めてしまい、燃え上がった心を鎮めるため、またもや快楽を求めて自慰行為を始めた。
それからしばらくして、彼女の部屋の明かりが消えたのは深夜遅くになってからだった。
*
"エッチなことは、持ち帰ってからだし、先生にはバレてないよね……"
璃子は、小人の命を残酷に消費することよりも、夜中の小人オナニーがバレることの方が心配であった。
それに、もう前回の小人は使い切ったので、新しい玩具を見つけないと我慢できない。そんなことを思い返しながら、今日も璃子は魔術を行使するために魔導書の転移魔法と巨大化のページを開き、目を閉じると素早く2つの魔法を詠唱した。すると締め切った資料室に穏やかな風のような流れが生じ、そのまま彼女は音もなくその場から消えてしまう。
璃子の欲望を満たすため、無作為に選ばれたどこかの世界は地獄と化してしまうのだった。
***
"どうやら移動完了したようね"
転送が完了したのを感じて璃子が目を開くと、地表には航空写真をそのまま写したかのにしたように細かく小さな風景が広がっている。だが、それは写真などはない。緑の多い郊外の先、灰色の絨毯には微細な小さな色がいくつも右から左へと北から南へと動いている。それは紛れもなく生きているこの世界の住人たちが乗り回す車やバスに他ならない。
"さぁて、どこに行こうかしら……"
そう呟きながらも璃子は、自分の足元を見下ろして街並みを眺めた。その視線の先には高層ビルの屋上から見下ろす景色よりも遥かに高く、まるで雲を見下ろすようにどこよりも高い。視界に映るのはコンクリートのビルに住宅、それに公園などの自然。この大きさの縮尺から現地人の1000倍の大きさで、転移できたようだ。
璃子はこのサイズ差が特にお気に入りだった。原住民のどの建物よりも大きく、街すら跨ぎ越せるような大巨人になれる。元の世界では140㎝の小柄な女子高生も、ここでは歩くだけで都市を壊滅できるような巨大な存在なのだ。そして、その事が少女の征服欲と破壊欲求を満たしてゆく。
"まずは、足元のチビ虫に気付かないフリで、遊んでみよ♪"
都市郊外に出現した巨大女子高生と思われる来訪者に狼狽しているのか、目の前の街の砂のような点が忙しなく動き始めたのが見える。だが、こんなことで驚いてもらっては困る。これから、この世界に永遠に刻まれるであろう、超巨大異世界人との交流を身をもって体験してもらうからだ。
璃子は逸る気持ちを抑えながら、足元に点在している農村など気づかないふりをして、巨大ローファーを持ち上げその大きな一歩を踏み出した。
***
突然の事だった。平穏な暮らしを送っていた穀倉地帯に1400mを超す巨大な少女が現れたのだ。紺色のブレザーとスカートの出で立ちは、高校生のようにも見える。彼女はなぜあれほどまでに巨大なのか、ここに来た目的は?混乱を極めた市民たちの慌てぶりをよそに巨大少女のローファーが動き出しだす。
手入れをされた畑を数十mも陥没させていた220mのローファーが、ゆっくりと持ち上がり、巨大な靴の裏にこびりついた土砂は雨のようにボトボトと地上に降り注ぐ。
上空数百mまで上がった足は、400m前方に一気に進んで、放心状態で巨大少女を見上げていた市民の上に振りかざされた。あの巨大ローファーがもし地上に落ちてしまえば、道路も家屋も人間も分け隔てなく厚さ30mを超すゴム製の靴底の下で潰されて、残骸も亡骸も判別できないほどに地下深くに追いやってしまう。そんなことを考えている暇もなく、巨大少女の靴は地上の生き物を容赦なく踏みつぶそうと落下し始めていた。
ずどおぉんっ!!
隕石のように巨大なローファーが大地に落ちた。下ろされたローファーは、巨大な溜め池ほどの面積を踏み固め、人間が生活していた痕跡を消し去った。振り下ろされた靴の回りは、直撃を免れてもその衝撃で無数の建屋が崩壊し、少女が巻き起こした突風が瓦礫と人間を吹き飛ばしてしまう。
地上はまさに地獄絵図といった状態だが、巨大少女は地上の惨状など気にも留めず、何事もなかったかのように反対の脚も持ち上げ、先ほどと同じように脚を運ぶ。あの巨大少女は、1400mの巨体に見合う歩幅で4000万トンの重量を振り撒きながら、ただ歩いているだけなのだ。たったそれだけで、人間の住む街が蹂躙され、何の罪もない人々が次々と死に絶えてゆく。
ズシン……! ドズンッ!!! 巨大な質量の移動によって発生する衝撃波で、地上の建物は倒壊し、吹き飛ばされた人々は、その小さな体を地面に叩きつけられて絶命してしまう。彼女が通った後は、もはや原形をとどめていない村と、人間の残骸しか残らない。
このままだと、ほんの数分で中心街に巨大少女が到着してしまう。その時、街が被る被害は想像に難くない。遠目から観察するとどうやら少女はこちらに敵意はない様子だ。きっとあの大きさなのだから、自分たちに気づいていないだけなのだろう。
こちらの存在に気づけばきっと歩みを止めてもらえる。そう考えた市民と警察は巨大少女とコンタクトをとるため、ヘリコプターや車で彼女の通りそうな街道に出ると、気づいてもらえるよう光と音で。その存在をアピールし始めたのだった。
*
"もう町に着いちゃう、こんなに小さいんだから当然よね"
璃子はたった数歩で、田畑に囲まれた地方都市と思われる模様のような場所に着いた。足元に広がるごみごみとした模様のなかには、色んな色のゴマ粒より小さな物体がうごめいている。彼女は経験上これが、小人の乗る車やバスであることを理解している。
"ふふ、私を見てみんな慌ててるのかな?そうだよね、私こんな大きいんだもん"
そう思うだけで優越感に浸れる。いつもクラスメイトだけでなく、後輩からも見下ろされるほど背の低い璃子。それが、今では映画に出る怪獣よりも大きく、歩くだけで町中がパニックになるような巨大少女になっている。璃子は、この世界で自分が何をしても許される存在になった。
そうこうしているうちに、璃子の足元に何やらチカチカと小さな光が点滅しているのに気付く。小さすぎてよく見えないが、おそらく小人の警察が出てきたのだろう。そしてその上には、またまた小さい蚊のようにふらふらとヘリコプターが飛び回っている。
"そんなところにいたら、踏みつぶしたくなるじゃない♪"
だが、璃子はせっかくなので、足元の小人たちが何をしようとしているのか感知魔法で、様子を探る。彼女の意識を高めれば、そこには数百を超える人間たちがうじゃうじゃといるのを感じ取れる。そこにいる集団は、口々に彼女への声掛けと歩みを止めようと拡声器を使って叫んでいるのだ。
"気付いてほしいの?私に?そんな小さいのに?"
璃子は、足元にうろつく1ミリ以下の小人達の奮闘劇が、滑稽に見えてしょうがない。何百という大人達が集まって自分たちの生命と街を守るべく声高らかに叫んでも、ただの少女でを止めるどころか、気付きもされないという現実。小人たちに残酷なほど存在の違いを見せつけるような現実に、璃子は思わずブルッと身震いする。
"もうっ!虐めたくなるじゃない!でも、まだ早いわね……今は知らないふりしての蹂躙なんだから……"
そう思いながらも、ついつい足元の虫けらを踏み潰したくてウズウズしてしまう。その振動で足元の小人はおろか、この先の町も、まるで大震災に被災したように震えてしまう。
璃子がローファーを少し動かせば、足元に群がっているパトカーは簡単に吹き飛んでしまう。それを見た群衆は、さらに混乱したのか、慌てて逃げ出すものやより大きく手を振り気付いてもらおうとするもの、中には少女に向かって石を投げたり、罵声を浴びせるものもいた。
"んっ……もう……ダメ、我慢の限界。さっさと潰しちゃおっと♪"
璃子が目を付けたのは、太腿をうろつく小虫程度のヘリ数機。彼女から見ても1センチ足らずの大きさのそれは、あまりにも遅すぎる速度で逃げる事もできずに、巨大少女の太腿の辺りをうろついている。
巨大少女とのコンタクトを目的としたヘリ部隊も巨大すぎる少女の顔まで上昇できないので、どうすることもできずに飛んでいたが、突如、彼らの視界の外側から肌色の壁が高速で迫ってきた。彼らはその存在が何なのか理解する間もなく、消え去ってしまった。
ぺちん。
"もー、虫?邪魔だから、どっか行ってよ!"
璃子は、太腿にいるヘリを片手で払いのけ除けて、太腿を叩いただけだった。ただそれだけで、彼女の手と太腿には5機のヘリコプターが乗員ごと平らな残骸になり、少女の若い張りのある肌に張り付いてしまう。
璃子が発した言葉は小人に知覚できるよう、音量と言葉を聞こえるよう魔力で調整している。それは、地上に蔓延る小人たちなど、自分にとっては虫同然の存在であることを思い知ってほしかったからだ。
*
"もー、虫?邪魔だから、どっか行ってよ!"
上空で、巨大少女がそう言うと、蚊を潰す時と同じように掌でヘリ部隊をまとめて叩いた。
そのたった一撃で、何機ものヘリは跡形もなく破壊し、その残骸は巨大少女の身体に無様に張り付いている。懸命に気づいてもらおうと動き回った挙句、"虫"程度にしか彼女に認知されなかったのだ。
彼女の発した言葉は奇しくも自分たちにも理解できる言語を使っている。だがそれは、自分たちと彼女との存在の違いをより一層思い知らされてしまう。
上空を飛んでいたヘリコプターが虫としか思われていないのなら、地上にいる自分たちは?彼女の前にいた市民と警察たちは改めて自分たちと、目の前の巨大ローファーを見比べる。長さ220メートル、幅75メートル、高さ30メートルを誇るそれは、構造こそ自分たちがよく知るローファーだが、大きさが違う。ビルよりも大きなその靴を前にしてみれば人間などアリ程度、いやそれ以下かもしれない。
普段、地面にいるアリの事など考えたことはあっただろうか?もし、アリを踏んだ時、自分たちは気付いていただろうか?そんなことはなかった……。では、アリのような自分たちを巨大少女が気づいてもらえるはずもないのでは……。
ようやく靴の前に立ちふさがっていた数百人の人間たちが愚かな行為に気づくと、蜘蛛の子散らすように一斉に逃げ出していく。
***
璃子は足元の小人たちがわらわらと動き始めたのを感じ取ると、さらに気分が高揚していく。
"あぁ……、今頃逃げ出すの?もっとあそんでいたかったなぁ"
しかし、璃子はまだ満足していない。足元の小人たちを徹底的に踏みつぶしたい衝動に駆られる。彼女はその欲望を満たすため、小人たちのいる所を一歩、また一歩と歩みを進めていく。
ずどおぉぉん!ずどおぉぉん!
"ほらほら、早く逃げないと踏みつぶされちゃうよぉ?"
彼女の脚の回りでは、踏みつぶされなかった小人がいくつか点在しているが、璃子が動く度大地が波打つように揺れてしまうので、身動きが取れない。
しかし、少女はそれら全てを意に介さず、ローファーをゆっくり持ち上げると、瓦礫で溝がいっぱいになった巨大靴裏を小人に見せつけ、一気に踏み潰した。
ずどおおぉぉんっ!! その衝撃で、先ほどまで地上にあったものは、全て地中深くへと沈み込んでしまう。小人の悲鳴すら聞こえないほどの圧倒的な質量による暴力。巨大少女が歩くだけで、小さな人間たちは簡単に潰されてしまう。
先ほどまでそこにいた数百を超す小人をわずか数歩足らずで踏みつぶしてしまうと、璃子はいよいよ街の中に足を踏み入れる。
ずしん……。
街の中に入ると、地面が大きく振動し、建物が揺れる。街の外では残った警察部隊がバリケードを張って、巨大少女の進行を止めようとしていた。だが、璃子にとって目を凝らさないとわからない小さなもので、何ができるのか。
"ほら、止めてほしければやって見せなさいよ"
璃子は足元で必死にアピールする小人を蹴散らしながら見下して、町のなかに脚を踏み入れる。
ズダー-ン!!!230mものローファ-が、数百の家屋を一瞬でゴム底のしたに押しやった。ズズ…。彼女の体重を支えきれない大地は、ズブズブとローファ-が大地にめり込んで行く。
"霜柱を潰したみたいね"
市民の住宅を何百と踏みつけた感想はあまりにも素っ気ないものだ。実際に彼女の体重よりも遥かに軽い存在の住宅など、少女にとっては紙くず程度にしか感じない。
彼女が歩いた場所には、何も残らない。
ビルも、道路も、車も、人も、街そのものも……
まるで、隕石でも落下してきたかのように、そこには巨大なクレーターができてしまった。
そして、少女の足跡が刻まれた場所には、彼女の通った道を示すかのように、大きな穴だけが残される。
それは、彼女の歩いた場所の後には何も残らなかったという事を示していた。
ずどおぉぉん!ずどおぉぉん!ずどおぉぉん!
"あはっ♪、小人の町に足跡を残すのは、やっぱり気持ちがいいわね"
璃子はただ歩いただけで致命的なほどに壊滅する小人の町を見下ろし、何万人もの小人たちを翻弄できる全能感と、命ある小人ごと街を踏み荒らす行為に後ろめたい暗い感情によってさらに盛り上がってくる。
元の世界では40kgの璃子はここでは4,000万トンの大巨人になってしまう。その巨大すぎる身体を支えるために、足を動かすだけで何十トンという負荷がかかる。そのため、彼女の動きに合わせて大地が揺れてしまうのだが、その度に小人の街はガラガラと音を立て崩してしまう。その様子は、まさに彼女の玩具として遊ばれているようであった。
璃子がたった十数歩歩いただけで、足跡だらけになった街。彼女が蹂躙した街を見回すと先ほどまでの賑わいの面影はなく、人口も10分の1までに減らされてしまった。
"私、ただ歩いただけなんだけどなぁ~"
ものの数十歩で崩壊した街を見下ろし、物足りなさそうな表情を浮かべる璃子は、彼女が刻みつけた痕跡を後にして次の獲物を欲してしまう。
"でもやっぱり、もっと大きな小人の巣で遊びたいなぁ…"
璃子の歪んだ欲望は更なる犠牲者をもとめ、今よりも大きな街に向かうべく、海岸線を目指して進む。そんな行く先に海沿いの比較的大きな市街地が彼女の目に入ってしまった。
人口20万人の中核都市であるこの街も、次の璃子の犠牲となる生け贄となってしまった。ただ巨大少女の進行方向に合ったというだけで……。
***
次の巨大少女の遊び場に選ばれてしまったこの港湾都市は、古くから海上輸送の拠点として栄えてきただけでなく、近くには空港も備わってこの地域一帯の玄関口としての機能も併せ持つ。平時であれば多くの買い物客やサラリーマンたちで賑わうこの街も今では、巨大少女の襲来を恐れて、街全体がパニックに陥っている。鉄道はひっきりなしに揺れる振動で身動きが取れなくなっており、道路では機能しなくなった道路に乗り捨てた車で渋滞を引き起こしていた。街の中心の高層ビルの中では、少女が引き起こす地震でエレベータは停止してしまい、中に取り残された多くのビジネスマンたちは激しく揺れ動くスチールデスクやラックにしがみついて、耐え忍ぶほかなかった。
悲鳴がこだまする街を揺さぶる振動が段々と大きくなる。あの怪物のような超巨大少女が近づいてきているのだ。悲鳴やクラクションと言った喧騒よりも、ずうぅん……と重々しい地響きのほうが大きくなる。人々がこれまで経験したことのない様な大質量の地響きに市民の恐怖が増大してゆく。揺れも激しくなってくる。最初は道路にいた人々が立っていられず地面に倒れこみ、電柱や信号機がしなる。やがて、車すらもおもちゃのように跳ね始めると、ビルの窓ガラスが粉砕され道路に飛び散り、下にいた市民たちに降り注ぐ。ビル内部の人間たちは、未曾有の揺れの中、床に伏せて身体を縮こませているしかできない。フロア内は固定していたデスクやラックさえもが激しく動き回っていた。
道路に伏せた市民たちが空を見上げると、山のように巨大な巨大少女がそびえたっている。彼らと少女の間には無数の高層建築物が存在しているはずだが、それにもかかわらず少女の茶色のローファーが見て取れる。
高さ30mを持つ巨大建造物並みの少女の靴は、人間が作り上げた高層ビルを矮小な存在に思わせてしまうほどのスケールを持っていた。ただ、自分たちが首が痛くなるほど見上げるそれは靴であって、それを履いている少女のごく一部なのだ。仮に少女がこの街を踏み潰して歩いたとしても、彼女からすれば、道端のアリの巣を踏んだ程度ですらない…………。
この街にいた市民のすべてが、自分たちがアリ以下の存在に落とし込まれてしまったことを痛感していた。
***
ズドオォォン・・・・・・。
途中、いくつもの集落を目ざとく見つけては敢えて踏み潰して、無機質な足跡にしてきた璃子が港湾都市に到達してしまった。
"ここは、まあまあ発展してるのね"
両手を膝の上に身を屈める様にして、地上の蔓延る街の様子を覗き込む。璃子が眼を凝らして見れば、数センチほどのビルが立ち並び、真ん中には10cmを超える大きなビルもいくつかある、まあまあ発展した街のようだ。だが、璃子が屈んでみてもビルとビルの細い道に溢れかえっている小人の様子をうかがい知る事はできない。
"地上はどうなってるのかしら?"
璃子は自分に比べて1000分の1程しかない小人の様子に興味を抱いた。大きさこそ違えど自分と同じ人間であるこの世界の住人達。自分がこの世界を訪れなければ、いつも通りの生活を送っていたであろう彼らが今どうしているのか、彼女は少し気になった。うろたえている市民の様子を観察することで、街にいる市民のすべての生殺与奪権を握っていることを、実感したい。
璃子は黒いタイツに包まれた膝を折りたたむと、下に広がるビルや道路、そこにいる小人など無視して、ズドンッ!ズドンッ!と轟音を立てて膝を付き、両手で小人がたくさんいる雑居ビル郡に突き立てた。彼女にとって1cmそこらの雑居ビルなど、気にもとめない存在でしかない。
四つん這いになったことで、地上の様子がよく分かるようになった。それでも彼女の顔の高さは100mを越えている。彼女の予想通り大きな通りだけでなく、路地にも、街の通りの全てに小人たちが溢れかえってた。皆、璃子が引き起こした地震で動けず恐る恐るこちらを見上げているようだ。1ミリにも満たない小人の表情など璃子にはわからないが、恐怖で引きつっていることぐらい、簡単に理解できる。
地上の小人の数と混乱と恐怖に満ちた様子に満足した璃子は、"ここで遊ぼう。"そう判断した。まずは、挨拶からだ。小人が襲われる存在が怪獣や天災などではなく、自分たちと同じ意思を持つ人間であることを教えてあげよう。そうすれば、璃子のただの遊びに付き合わされる、理不尽な絶望感がひしひしと感じ取れて、少女の歪んだ征服欲を満たしてくれる。
"あら?これは街かしら?小さすぎてわからなかったわ"
璃子は、魔術で自分の言葉を翻訳してゆっくりと地上に放つ。自分の言葉を理解できるようにすることで、小人を面白いように動かすことができるのだ。
街のあちこちで巨人の言葉を理解できた小人がワラワラと動き始めた。1ミリ以下の小人たちが、自分たちと同じ言葉を発した璃子にコンタクトをとろうとしているのだ。
"ふふ、ダメよまだ、笑っちゃ……。もっと弄って上げないと......。"
璃子は吹き出してしまいそうな口をギュッと紡ぐと、顔を下げて地表の様子を覗き込むようにして顔を地面に近づける。このサイズだと、吹き出し笑いですら大災害となり、地上に嵐が巻き起こってしまう。我慢して小人たちに顔を近づけてよく見れば、小人たちの睫毛よりも細く短い腕を必死に振り回してなにかを喚いている。
ーーーそんな声、聞こえるわけもないのに、だってあなた達はアリよりも小さいミジンコみたいなものなんだから……。璃子がそう思っていると、通りに消防車のような車が複数現れ、パトランプを光らせサイレンをけたたましく鳴らし始めた。
ーーーそうだ……。この小人たちの滑稽な踊りも大袈裟にサイレンを鳴らしている車両も、私に存在に気づいてもらうため、これ以上の破壊を止めるために命懸けで行っている踊りなんだね……。
璃子は小人たちとのギャップの違いを思い知ると、笑いをこらえるのに我慢の限界だった。プッと吹き出してしまうと、唇から吹き出した息が猛烈なダウンストリームとなり、車も家屋も、当然小人も空高く舞い上げ、細長い道路に蠢いていたもの達をことごとく吹き飛してしまった。
"あっ、ごめんね。あなた達の動きが面白くて、吹き出しちゃった♪"
気持ちのこもらない謝罪を小人に浴びせた璃子。吹き飛ばされた小人は100m近く舞上がった後、無常にも地面に叩きつけられことごとく絶命していた。
"そうね、あなた達がどんな風に暮らしているか、もっと見せてちょうだい"
バアアァァァァン!!!巨大な掌が、まだ被害の出ていない地区を叩き潰す。山のようなお尻を高く上げた璃子の巨体が移動しようとしていた。彼女が進む先には4路線が集まるターミナル駅。各地の郊外地域からいくつものベットタウンを経由して集まるこの駅は、交通だけでなく商業の中心地として、多くの繁華街を有しており普段から多くの人で賑わう場所だ。その駅の真上を璃子が覆いかぶさるようにして四つん這いのままで見下ろしている。
"あーあ、やっぱり電車で逃げようとしたのね……"
この都市でも有数の規模を誇る巨大ターミナル駅でも、押し寄せる避難民を収容することはできず、駅舎はもちろんバスロータリーや地下街にまでも小人があふれて、犇めきあっていた。動かない電車で逃げようとする小人たち、そんな人々を嘲笑うかのように、璃子は手始めに駅の目の前にある高層ビル街を指先で摘み上げた。強大な力を持つ璃子の指でビルの外壁には無数の亀裂が走り、地面から切り離された低層部分からパラパラと中の家具や小人が零れ落ちたが、大部分は無事の様だ。
ビルを目の手前まで持ってくると、璃子の瞳がビルのフロア内部をギョロギョロと覗き込む。窓が小さすぎて中にいる小人は見つけられなかったが、もし、いたとしたら15mにもなる彼女の瞳に見つめられてしまっては生きた心地はしなかったであろう。
せっかく摘まみ取ったビルも中身が見えないのならつまらない。興味をなくしたビルをプチっと押しつぶし、そのままビル群に放り投げてしまった璃子。放り投げられたビルは辺りに瓦礫をまき散らし、健在していたビルに降り注ぎ、まるで砂の城のように直撃を受けたビルは倒壊していった。
やはり様子が見える道路にいた小人と遊ぶのが楽しいと思った璃子は、ロータリーで犇めき合う小人に顔を近づける。彼女に目をつけられた小人たちは、左右を80mもの掌で遮られ、辺りは巨大少女が支配しており、逃げることは出来ない。
"ねぇ、どうしたの?私が怖いの?"
地上の様子から無数の恐怖を感じ取った璃子は、優しく諭すように話しかける。
"可愛い……怖がってる姿も本当に可愛くて大好きよ……"
そう言いながら、駅ビルや複数の商業ビルをなぎ倒しながら降りてくる璃子の顔。それは地上25mでようやく停止した。璃子の口から熱い吐息が漏れる。それは地上にいる小人達にとって、熱風であり呼吸困難に陥るほどのもの。璃子の吐息で駅前には彼女の甘い吐息と代謝の活発な肌の甘酸っぱい香りと、濃厚な少女のフェロモンで充満していく。避難していた男たちは恐怖に駆られているにも関わらず、その甘い色香で下半身が熱くなってしまう。だがそれは、最後の甘美な刺激となった。
"ん、ちゅっ♡"
ずうぅぅん!!!空中で止まっていたはずの璃子の唇が、小人で犇めき合うロータリーに落ちてきたのだ。あたり一面に轟音と振動が起きた後、璃子の唇の回りには砂塵が舞い上がり、あたりを砂埃まみれにした。
突然の出来事に、小人たちのパニックは頂点に達し、我先に逃げ出すものもいれば、腰を抜かしその場で動けなくなってしまうものもいた。
璃子は、自分の唇にキスされた小人の反応を見て楽しむ。
"あぁ、なんて脆いんだろう……。ただ、キスしただけなのにもう滅茶苦茶になってる……♡"
璃子は、自分が刻み付けた唇の跡の周りを逃げ惑い、必死に生き延びようと抵抗している小人を面白くも愛おしそうに眺めてしまう。
小人は、巨人である璃子に危害を加えることはできない。そう、どんなに足掻いてもどんなに攻撃しても、小人である自分たちでは彼女に傷一つつけることは叶わない。そして、璃子の口づけ一つで何百人とその命を散らすことになる。このギャップがたまらない。
璃子がその長い舌をだし、唇についたビルの残骸と小人の死骸をペロッと舌なめずりする。まるで、獲物をまじかにした捕食者のようだった。
先ほどまで恐怖に満ちて蒼くこわばった顔をしていた小人は、その瞬間涙を流しながら懇願するような目つきをした。その哀れな小人たちの姿を見て、さらに嗜虐的な欲望がふつふつと沸いた璃子は、唇を舐めた舌を徐々に下へと降ろしていく。唾液をたっぷり含んだ真っ赤な舌先が、ロータリーを這っている小人たちの目の前に現れる。
彼らは巨大な蛇の前の蛙と同じだ。目の前に広がる圧倒的な存在感を放つ璃子の赤い舌。長さ40mもありそこら辺のビルよりも大きい。その大きさに圧倒された小人は、動くことも声を出すことも出来ない。
ペロォッ……、ピチャッ! 璃子の舌から滴り落ちる大量の唾液が、小人に容赦なく降り注ぐ。粘度の高い生暖かい液体を全身に浴びた小人たちは、体中をベタベタにして、大量の唾液に押し倒され悲鳴を上げる。だがその叫びも、そのあとやってくる赤い肉壁によって飲み込まれてしまう。
ズズズズズズ!! 璃子の舌は、ロータリーにいた小人だけでなく、駅舎にも襲い掛かり中にいた小人ごと駅舎をなめとって口の中に飲み込んでしまう。
地下街では、舌の直撃を受けなかったものの、地上につながる階段から、どばぁっと大量の粘液が流れ込んでくる。璃子の唾液だった。
女子高生の口臭をたっぷりと含んだ高粘液の液体は、ぬるぬるとその形を変えながら、地下街の隅々まで入り込み、地下にいた小人に逃げる余地はなく、すべからく璃子の体液によって溺死させられてしまう。
舌で大量の小人と建物をとらえた璃子は、舌を戻して大きな口を閉じた。口の中では獲物を待ち構えていた口内で、舌が暴れビルや小人に襲いかかる。口の底は滲み出た唾液が、たっぷりたまっている。
"ん、れろぉ……、ンちゅ、くちゅ……、んぁ、ゴクンッ、あむ……"
璃子は時折小さな吐息交じりの咀嚼音を立てる。もぐもぐと巨大な口を動かし、唇が歪み、頬が膨れる。あの巨大な口の中では、捕らえた小人を味わう様に舌を動かす。
舌は口蓋や頬肉、歯茎といった敏感な知覚を持つ部位に小人や瓦礫を押し当て、そのちっぽけな存在がはじけるのを感じ取った。やがて口の動きが、もにゅもにゅと動きを変え、口の中の唾液を集める動きに近づく。
ゴクんッ。喉元が大きく動いた。
どうやら、璃子は小人たちを飲み込んだようだ。彼女の食道を通るたびに、建物の崩れる音、小人の悲鳴や絶叫が聞こえてくるような気がしたが、気のせいだろう……。
ふぅ……。璃子は再び、唇を開く。今度は、何もなかったかのようにきれいになっている。そこには、璃子自身のかわいらしいピンク色の唇が艶めかしく輝いていた。
"あんまりにも可愛すぎたから、食べちゃった……"
そう言って璃子は微笑んだ。璃子の食事は終わった。しかし、まだ地表には小人がたくさん残っている。今までの敵意不明な行動ではなく、明らかに小人を捕食した大巨人。彼女はこちらの人間に対して友好的な巨人ではないことが明白になった瞬間でもあった。
彼らは、パニックになり押し合いへし合いの様子で逃げ惑いながら街の公園に集まっていくのが見えた。そこがこの近くの避難場所であるからだ。あらゆる移動手段を失った彼らがすがる思いで、避難場所に逃げていくのを璃子も見つけてしまった。
"こうして君たちの慌てぶりようを見るのは、いつ見ても面白いわね"
1ミリ以下の小人達を嘲笑う璃子。その表情は今や、元の世界でお淑やかな模範生徒と言われた少女とは似ても似つかない、残虐で、残忍で、非情なものとなっていた。
***
市民たちは逃げるあてもなく誘われるように中央公園に集まっていた。その多くがここに期待からではなく、逃げ場を失い巨大少女の侵攻による絶望的なショックから思考回路がショートして、無意識のうちに人の流れに沿ってたどり着いたものが大半だった。
そんな地表の小人たちに大きな陰りが覆う。破壊をもたらしてきた巨大少女の身体が、公園の真上に覆いかぶさったのだ。太陽の光すらたやすく遮る紺色のブレザーは、空一面を覆い尽くす天蓋のように広くあたりを支配していた。
この中央公園は街の中でも比較的大きいのだが、1400mの璃子の上半身と同じ面積よりも少し大きいほどしかなく、四つん這いの彼女の体の下にすっぽりと収まってしまった。
"なかなか広い公園ね、ずっと動き回ってたら疲れちゃった……。ここ、座ってもいいよね?"
彼女の言う"ここ"とは、公園のことで間違いない。市民は巨人が下ろすはずの少女のスカートを見上げてみた。制服らしいブレザーと同色のプリーツスカートは、若い張りのあるヒップを覆っている。年頃の少女が着ても可愛らしいものだが、大きすぎる………。1000倍少女が持つヒップは700mを軽く超える大きさにもなるのだ。巨人のブレザーが天蓋なら、スカートは巨人が織りなすオーロラだろうか。
あまりの光景に人々が見とれて呆気にとられてしまう。しかし、そんなことを考えている暇はない。あの規格外のヒップが落ちてくれば、公園にいる市民の大半があのバカでかい尻のシミとなってしまう。市民たちは蜘蛛の巣をつついたように慌ててその場を離れようとし始める。
***
死物狂いでその場から逃げようとする小人など眼中にもない璃子は、四つん這いの姿勢から両手を身体の後ろにおいて、膝を曲げたまま足を投げ出す姿勢となった。思春期を迎えた肉付きの良い丸いお尻を、公園の真上になるよう位置を合わせる。
璃子にとって腰を下ろす場所などどこでも良かった。璃子は、自分が座りたい場所に座れる。そこがたとえ、ビル群の上でも駅の上でも、その下で建造物が潰れようとも小人がわんさかいようとも構わない。
誰も止められないこの世界は、すべて圧倒的な巨人である璃子の思い通りになってしまう。
ついに、璃子はその巨体に見合った巨尻を地面に下ろした。
ズウゥゥゥン!!!それは、少女のスカートがまくれて、白いショーツが少しだけ覗けるほどの勢いしかなかった。にもかかわらず、尻に轢かれた小人は一瞬で蒸発して、ショーツの周りに粉塵が巻き起こる。
ゴゴゴゴ………。半分以上の公園を押しつぶした700m級のヒップが地面にめり込んでゆく。彼女の圧倒的な質量に地面が耐えられないからだ。
ズダンッ!ズダンッ!!璃子は、はしたなく両足を投げ出して楽な姿勢を取る。彼女の世界では決して取らないだろうスカートの中をさらけ出すように広げられた足は、ショーツ越しにプチプチと潰れる小人の建物や車の感触を愉しませてくれる。
太ももとショーツの谷間には直撃を免れた小人がうじゃうじゃ残っている。彼らは想像を絶する衝撃で満身創痍となり、満足に身体を動かすこともできない。仮に、動けたとしても、太さ200mを超える太ももの壁と聳える巨体に3方を挟まれては、どうすることもできない。
"結構生き残ったのね。ご褒美に柔らかい太ももで潰してあげる"
体を痛めモゾモゾとしか動かせない小人に用はないと言わんばかりの口調で、太ももの間に残った僅かな小人に処刑宣告を言い渡す璃子。その言葉通りにニーソに包まれた膨ら脛と肌色の太ももが閉じられてゆく。
"ほら、潰されたくないなら、頑張って逃げなきゃ♪"
迫りくる太ももに巻き込まれて、消えていく小人たちを囃し立てるように言葉を放つ。無論小人たちが逃げられるはずもなく、太ももが閉じられたとき、あれだけいた公園の小人は一人残らず、璃子の身体の下に消えていった。
"歩いてばっかりだから、足も汗かいちゃった………。脱いじゃおっと"
璃子は、履いていたローファーを脱ぐと両足揃えて、公園の跡地に並べた。靴から開放されたニーソ越しに冷たい風を受けて気持ちがいい。どうせなら全部脱いじゃえ。開放感を欲した足の欲求に従い、座ったままでニーソも脱いで靴の中にしまう。
"あぁ〜、やっぱり気持ちがいいわねぇ〜"
ズン!!素足を投げ出して足全体を地面につける。璃子の2本の足は直撃を免れ、崩れかけたビルを押しつぶして地面についた。地面から伝わるヒンヤリとした感触と共に小人に素足を押し付ける感触が気持ちいい。しばらく砂場で遊ぶかのように両足を投げ出したまま、広げたり閉じたりと言った動作を繰り返して、小人の街を岩盤から目繰り上げ、無惨にも黒土がむき出しになった地面をみて愉しむ。
ものの数分で、彼女の周囲1キロ四方はすべて掘り起こされた土砂で溢れかえっており、小人の残骸はおろか、ビルなどの建屋でさえ抉られた大地に辛うじてその残骸を残すのみの、生けるものが存在しない世界に変わっていた。
"ここはあらかた潰したみたいね"
死に絶えた街に要はない璃子は立ち上がりローファーを拾い上げ、巨大な足跡を新たに残しながら他のエリアに移動を開始する。
***
移動手段を奪われたことで、遠巻きに巨大な彼女の様子を見上げることしかできなかった市民たちは、立ち上がった少女が移動を開始したことに再び恐怖に駆られた。全長230mの汚れた素足。そんな常軌を逸した人間の足が、何度も街や人々の上を翻して爆音とともに降ってきては、自分たちと同じように逃げ惑っていた市民たちが砂塵に混じって糸くずみたいに吹き飛んでゆく。
再び巨人の足が上がってゆくと、その足裏には自分たちが暮らしていた街の残骸と幾多の同胞たちの慣れ果てが汚れとなってこびりついているのが見えた。
あとに残されたのは200mを超える足跡と無惨にも消え去った市街地の跡地を呆然と眺める僅かな生存者のみだった。
***
璃子が思い思いのやり方で都市部を蹂躙している間に、彼女の蹂躙遊戯に巻き込まれなかった小人は早くあの忌々しき巨大少女から逃げるために近隣の空港へと向かっていた。
その集団は町の郊外へと伸びて、街と空港を結ぶ鉄道と道路に一筋の避難民の列となって続いてゆく。
その様子は、1000倍サイズの少女からもよく見えていた。道路に蠢く色とりどりの車列たち、それは蟻の行列のようにある一点に続いていく。小人の町の郊外に広がる開けた土地。中心に道路よりも太く真っ直ぐな舗装路。1400mの上空から見下ろしたそれは、航空写真で見た飛行場なのだとよく分かる。
"なに?みんな飛行機で逃げようとしてるんだ。いいわね、私もそっちに行こっと"
璃子は、小人たちが空港に逃げていることを見つけると自分も同じ方向に向かうことにした。
ズウゥン……。璃子は、ゆっくりとした歩調で一歩を踏み出す。その度に、足元では小人たちが右往左往して逃げ惑っている。ズズズ……。璃子の足が地面を擦って進むたびに、道路にいた無数の小人が巻き込まれ、足の下に巻き込んでゆく。足の先では無数の小さな悲鳴が上がる。
ズシン! 璃子は、片足を上げて、地面を蹴り上げて土煙を巻き上げた。その衝撃で、足元からは小人たちが吹き飛ばされてゆく。
しかし、彼女にとっては、小人を蹴散らすことなど、なんとも思っていなかった。それよりも、自分が向かう先にいる空港に集まった小人を使って遊びたい。それだけを考えていた。少女の身体は、徐々に速度を上げてゆく。足を上げる動作も大きくなる。そして、彼女の足元で翻弄される小人も逃げることなく踏みつぶされる。
ドンッ……!! 璃子の身体が着地するたび、周囲の建物は粉々になって崩れ落ちてしまう。足で踏んで潰す感触は気持ちいいけれど、空港に集まった小人でもっと遊びたい。道に溢れている小人を嫐ようにして、より悲鳴を上げるように足を動かす。きっとこの悲鳴も飛行機に乗ろうとしている小人にも聞こえているはず……。
"さぁ、待っていてね。すぐに行くから"
璃子の歩みはさらに加速して、小人の町を駆け抜けていった。
巨人の襲撃があった街から少し離れた場所に空港はある。
そこに向かって、市民たちは必死で歩いていた。巨人が歩く度に地震が起きて鉄道は動かないし、道路も渋滞で動く気配がない。彼らは大分長い距離を歩いてきた。かなりの疲労なのは顔からもうかがえる。だがそれもあと少しで、やっと助かるのだ。
人々はそんな希望を胸に抱きながら、重い足を運んでゆく。
"おい、あれなんだ?"
先頭を歩く男が空を見上げ指をさす。そこには、こちらに近づいてくる黒い影があった。
"まさか、巨人!?"
"嘘だろ……"
絶望の声が漏れる。目の前に現れたのは、1400m級の超巨大少女だったのだ。街を破壊してきた巨大少女が遂にこちらにやってきた。文字通り市民たちはパニックに陥る。
"逃げろー!!"
誰かが叫ぶと、我先にと走り出した。
もはや、自分たちが逃げ切れるのかさえ分からない。それでも、僅かな可能性を信じて市民たちは走った。
"あははっ、遅い!遅い!"
ズシィィィン!!! 直後、逃げる市民の頭上に巨大な足が振り下ろされた。巨大な素足が、道路を塞ぐように足を振り下ろす。巨大少女がわざと市民の行く先に足を置いたのだ。市民たちの顔が恐怖に染まる。
"逃げても無駄だよ。だって、そんなにちんたら動いてるんだもん。潰してくださいって言ってるみたい♪"
巨人がそういうと、足を上げて市民の上に足の裏を見せつけるように振りかざした後に、その足を降ろした。
グシャッ!! 巨人の足が地面に下ろされると、その重さで大地が数百メートルも陥し、足の回りは押しのけられた土砂で盛り上がる。巨大少女の素足に押し潰された幾多の市民たちは、血飛沫と肉片となって地面に染み込んでしまう。一瞬にして、数百人の小人たちの命は消え去った。
***
"ふーんここが空港ねぇ……。まぁ、少しは遊べそうかしら?"
山のような上空から見下ろして空港の全貌を見渡す璃子。大型の国際線旅客機も離発着できる大きな滑走路も彼女からしたら、脹脛の幅ほどの細長い線にしか見えない。そんな滑走路を小さな物体がのろのろ走っている。市民を満載したジェット機が、管制塔の指示を無視して滑走路に入り、加速して離陸しようとしているのだ。玩具みたいな動きのジェット機を見つめて、璃子のいたずら心に火がついてしまう……。
"逃がさないわよ?私のこと無視するとか生意気だし"
璃子はニヤリと笑って、滑走路の先端の両側を跨ぐように両足を大きく広げ仁王立ちをした。
ズシイィーン……。璃子の脚のアーチは、飛び立とうとする飛行機の針路上に被さる。飛行機のパイロットは目の前に巨人がいることに気づくも、動き出した飛行機を停めることはできない。そうして、突然現れた巨大娘の股ぐらに飛行機が突っ込む形になった。
幸いにも璃子の股下は800mはある。離陸したばかりの飛行機は、そのまま少女の股下をすり抜けることができた。200人を超える乗客を乗せた飛行機は、スカートの天幕に入り込み、頭上を覆いつくほどの白いショーツの真下をふらふらと飛行している。
もし、地上の小人が飛び立った飛行機を見上げれば、全長30m足らずの飛行機など、巨大少女のショーツの前ではゴミのようにしか見えない対比になっていただろう。しかし、そんな大きさの違いを見せつけても、璃子の悪戯心はまだ収まらない。
"えいっ♪"
璃子は、飛行機がスカートの下を飛び去るのを確認するとお尻を勢いよく下げた。
ボンっ!山のようなショーツにぶつかった飛行機は、璃子のショーツの上で小さく爆ぜてしまう。だが、それだけで終わらない。そのまま、少女は腰を下ろすのをやめなかったのだ。
ズウゥゥゥン……!!!! 璃子のお尻は地上で駐機している飛行機をいくつも巻き込みながら、その巨体が空港に着陸してきた。彼女の体重は4000万tある。それが、飛行機と同じ高度から落下してきたのだからその衝撃はすさまじいものだ。その揺れで、押しつぶされなかった飛行機は激しく揺さぶられて、トーイングカーなどの車両はひっくり返ってしまった。
"キャハッ、女の子の着陸ですよ~"
璃子は、自分の身体が起こした破壊的な光景を見て満足げな表情を浮かべる。地面に降り立った璃子は、足を駐機場に投げ出して踵を地面に叩きつけてやる。ズドン!踵が落ちた地面はアスファルトがえぐられひび割れる。
"あら、意外と小さいのね"
璃子の230mの素足のまわりには、40m以下しかない中型機旅客機たちがこじんまりと並んでいる。
"ふぅん、これなら……"
璃子がつま先で軽く蹴ると、彼女の足の親指ほどの飛行機は簡単にバラバラになってしまった。
"ほら、もっと逃げないと踏み潰しちゃうぞー!"
楽しそうな声を上げながら、璃子が足を振りあげて並んでいた飛行機の上に足を振り下ろして遊んでしまう。体育座りとなった彼女はスカートを捲れ上げ、股間のショーツを飛行機たちからは丸見えとなるも、虫に見られたからといって、恥ずかしがる璃子ではない。
ズシィィン!!ズシィィン!! 足が振り下ろされるたび、地面には数十メートルに及ぶクレーターができ、何十機もの機体が破壊されてゆく。
"あははっ、楽しいなぁ。このまま全部壊してあげよっか!"
そう言うと、璃子は何度も何度も飛行機を踏みつけて遊ぶ。
"もう終わりかな?、ん?あそこに少しは大きそうなのがいるじゃない"
璃子がそういった先には、国際線ターミナルに横付けされた駐機場があった。そこには、避難民を満載してこれから離陸する予定だったはずの2階建ての大型ジェット機が2機、駐機している。
"よっと、私が使うんだもん、上等な物がいいのよ"
そういうと、璃子は立ち上がって再び歩き始めた。その先では、巨大な彼女がゆっくりと歩いている。恐怖におびえるパイロットたちは、必死になってエンジンをかけるも、もはや間に合わない。
"はい捕まえた~。小人の乗り物にしては中々の大きさね"
璃子は飛行機をつぶさないよう慎重に摘まむと掌に載せた。全長73m翼幅 80mの巨大飛行機も1000倍少女の掌に収まってしまう。拾い上げることに成功したので、巨大少女は獲物を顔にまで近づけ、その機体をじっくり見定める。
長い切れ目の大きな目が、ギョロギョロと飛行機を覗き込むように見つめる。なかにいる乗客からは湖のような巨大な目に見つめられ、怯える乗客とパイロットたち。たが、璃子の目はそんな小人など捉えない。そもそも小さすぎる飛行機の窓からは何も見えない。彼女は拾ったおもちゃの構造にしか興味がないのだ。
それでも、乗員500人を超える恐怖の渦は、アルミニウムの隔壁越しでもひしひしと感じ取ることが出来る。
"さて、それじゃこの飛行機をどうしようかしら?"
璃子は、飛行機を目の前まで持ち上げて考え込む。何かを思いついたのか、ニヤリと笑みを浮かべた璃子はそのまま飛行機を持ったまま、反対の手で制服のブレザーのボタンをはずし、ワイシャツも2つほど上のボタンを開けて、小降りな成長途中の胸の谷間をさらけ出す。
"ふふっ、あなたは私のおっぱいに乗ってもらうわね♪"
巨大少女は両手で飛行機をつかむと、そのまま自らの谷間の奥に押し付けた。彼女のバストは掌で覆えるほどつつましいものだったが、それは元居た世界での話。1000倍巨人となった今では、飛行機ですら容易に飲み込める双丘と化しており、璃子の可愛らしブラが織りなす渓谷の中にすっぽりと飛行機は入ってしまった。
"ねぇ、聞こえるかしら?あんたたちをいたぶってたら、私の鼓動も早くなってきたの"
璃子の胸からゴォオオオオと、彼女の血流が流れる音が金属の壁を貫通して、機内に響き渡る。さらに、音だけでなく体温さえも飛行機の中を包み込み、まるでサウナのように熱くなっていく。
"それじゃ、遊んであげるね。嫌なら抵抗してもいいから"
璃子は、飛行機を左右の乳房で挟み込むようにして揉んでいく。
"んっ、あっ、んんっ…"
璃子の柔らかい肉に包まれているとはいえ、巨人の胸は小人が想像できないような質量を誇っている。
"はぁ……はぁ……、ん……、ちょっとだけ汗かいてきちゃった"
璃子は顔を真っ赤にし息を切らせながら、飛行機をこねくり回す。
バキバキバキ……。一揉みで両翼はポッキリと折れてしまい、残った胴体部分もミシミシとその機体がひしゃげてしまう。次第に彼女の胸の中で飛行機は小さくなり、ほのかに色づいた頬と気持ちよさげな、吐息が溢れてくる。
何度も自らの胸の感触を堪能するかのように揉んでいるが、1000倍少女の谷間に入れられた飛行機などものの数回で、粉々にされていた。
"もうなくなっちゃった"
璃子が残念そうな声を上げると、彼女は自分の谷間を見下ろす。
"それじゃ、君はお持ち帰りだね"
そう宣言されたのは、もう一つの大型飛行機。こちらも先ほどの飛行機同様、避難民を満載していた。
"それじゃおうちに帰るまで、待っててね"
璃子が指先に力を入れると、地上に待機していた飛行機は忽然と姿を消し、彼女の魔法によって自宅の引き出しの中に転送されてしまった。
哀れなパイロットと500人の乗客は、女子高校生の玩具となって、文字通り死ぬまで付き合わされることとなってしまったのだった。
"次はどれにしようかな~"
璃子は、次にどの玩具を壊そうかと楽しげな表情を浮かべていた。ーそういえば、まだあのビルで遊んでないわね。そう、思い出す先にあったのは、空港の旅客ターミナルビルであった。飛行機に乗ろうとした市民でごった返している空の玄関口に1000倍少女が歩み寄ってきた。
璃子が旅客ターミナルによると正門付近に大量の小人が犇めきあっている。巨人が空港に現れたので、ここも危険と感じた小人がわらわらとビルから飛び出したのだろう。そんな小人の様子を腰に手を当てながら尊大に空港を見下ろし、何の迷いもなく素足で気持ちよさそうに市民を踏みにじり始めた。
"ハハッ、頑張って逃げないと踏み潰されるからね~"
璃子が脚を下ろすと、大地が激しく波打つかのように揺れる。一歩進むごとに、足の下のアスファルトが砕け散って、足元にいた小人の悲鳴が一瞬だけ上がってすぐに素足の下に消えてゆく。素足で数百もの小人を踏むが感触はほとんどない。だが、璃子は何気ない足踏みで翻弄される小人を見下ろして弄ぶのが快感に変わる。
さらにビルのロータリーだけでなく、ターミナルビルにも巨大少女の脚が伸び始める。ターミナルビルに突き刺さる爪先。空の玄関口は、少女の脚によって蹂躙されてしまう。
"背の低い建物の癖に、広さだけは一丁前なのね"
足をビルに踏み入れた璃子は、その大きさに面倒くささを感じてしまう。数万人を収容できるターミナルビルは、1000倍サイズの璃子からしても彼女の背丈ほどのマットのようなものだ。
足踏みでも破壊できなくはないが、面倒だしどうせならもっと効率的な破壊方法をとることに決めた。
璃子はその場で体を小さく丸めるようにしゃがむと、勢いよくビルに飛び込んだ。次の瞬間、巨大な少女が宙に浮かび上がった。
"どーん♪"
突然の巨人の飛び込み、璃子の体は一瞬だけ宙に浮かびそのまま胸からビルに突っ込んでゆく。
ぐわしゃあああん!!!!!!
有り余る巨体の胸はビルに触れた瞬間、むにゅんと形をかえて小人の建物にのし掛かる。
だが、小人のビルは4,000万トンの重量を支えることはできず、璃子の身体は天井を突き破って建物にめりこんでしまった。
ビル内部で逃げ場を失った市民が肩を寄せ合い、事の成り行きを待っていた人々が最後に見たのは、3階まで吹き抜けの大天井をぶち抜いて現れた巨人の制服に包まれた胸部。
700メートルをはるかに超えるバストは、あらゆる災害をも耐え抜く想定の建屋も呆気なく崩れ去り、数千万トンの巨大女子高生の質量をもってして、なかにいた2千人以上の市民を叩き潰し、山のような体の下で消し去ってしまった。
"ふぅ~、ほら、せっかく女子高生の体に触れられるんだから、もっと堪能してもいいのよ"
璃子は、潰し残しがないよう押し付けている胸とお腹をグリン、グリンと左右に動かして、胸先にあった指よりも短い展望テラスは、少しだけ体を前に押しだせば、盛り上がったバストによって、グシャっと軽い音を立てて瓦礫に変えてしまった。
"んっ♥️"
展望テラスを制服に包まれた胸で潰したさいに、璃子は声を押さえるように小さく吐息を漏らしてしまう。
"チビの癖に、なかなかいいじゃない"
調子が上がった璃子は、残った建屋も同じように胸で残りの建屋に擦り付けるように、上体を前後に揺らしてグシャグシャに押し固めてしまう。
"んっ、んっ、んっ♥️"
ズンッ、ズンッ、ズンッ…。リズムよく身体を揺らす度、璃子の甘い吐息も溢れ、高揚した顔は赤く上気して、女子高生らしい可愛げのある顔に女の色気が見え隠れしてしまう。
"はぁ……、はぁ……、なんか……、体が熱くなってきちゃった……"
璃子は、自分のはだけたシャツの間に手を忍ばせ胸に手を添え、スベスベとした肌の上を指を滑らせる。うっすらと汗ばんだ少女の肌に、ザラザラと砂のような感触を覚える。ビルと空港の利用客の残骸だろう。
ゆっくりと、指先で残骸をつぶす様に胸を揉みしだいて、快楽に耽る。自分の肌にこびりつく存在となった人間の最後を胸先で感じ取り、璃子の乳首は芯が通ったように固くなってしまう。
ーーーもう、ここで盛り上がってもいいだろうかーーー、そんな気分にもなってしまう。
"だめよ、こんなシャワーもないところでエッチしたくないもん、おうちまで我慢しなきゃ"
璃子は、高ぶった精神を鎮めるように、ふぅーっと深く息を吐いた。そうだ、楽しみは自宅まで取っておかないと……。そうなれば、急いで玩具を見つけてムラムラした気持ちを発散させたくなる。
璃子がそう考えたとき、視界の端に大きな貨物船が見えた。それは、この街の臨海部にある旅客・貨物の複合港であった。コンテナ船だけではなく、コンテナヤードの奥に大型フェリーも停泊しているのが見える。
"そっか、おっきい船なら玩具と小人両方捕まえられるじゃん!"
璃子の中で、最高のアイディアが浮かんだ。
"そうと決まれば善は急げね"
璃子は、残骸だけとなった空港を後にして、港湾部に歩み始めた。軽い足取りで無数の足跡を刻みつけながら……。
フェリーターミナルでは、大量に押し寄せてきた市民たちを捌ききれず、港と街をつなぐ道路にも人と車で溢れかえっていた。すでに街の中枢は、あの巨大女子高生によって破壊し尽くされ、街から脱出できる交通機関はこの港を残すのみとなっていた。この港には全長 200mを超える大型フェリーの定期便が毎日定刻通りに入ってくる。大量の避難民を乗せるべく、2艘のフェリー船が港に停泊して乗船作業を急ピッチで勧めている。旅客定員1000名、乗用車とトラックを200台積載できるこの船も、港から溢れんばかりに押し寄せてくる避難民によって、パンク寸前になっていた。
ちょうど乗船定員を大きく上回った1艘目のフェリーが出向した頃、大地を揺るがす振動がこちらに向かってきたのを感じ取った人々が、震源地の方向を見上げてその巨体を見上げた。
あの都市部を破壊した巨人が、ついにこの港に狙いを定め、一歩一歩、こちらに近づいてきたのだ。あの巨人を止めるすべを持たない人々は、その場から逃げようにも他のルートは既に絶たれてしまっている。彼らの多くは、絶望しつつも、ただ見守る他なかった。
"あんたたち、まだ逃げていなかったの?"
璃子は、足元に散らばる小人の多さに呆れつつも、その歩みを止めることなく、逃げ惑う小人の頭上に汚れきった素足を振りかざして、道路を埋め尽くす車とともに多くの小人を踏みつけた。
"ほらほら、早く逃げないと踏んじゃうよ〜"
そういうと、地面に犇めいている小人たちは必死で逃げようとするが、一足で進行方向の大方覆えてしまうため、わざとゆっくり足を下ろしても、逃げ切れなかった小人の多くが素足の下敷きになり、踵から徐々に足を下ろしていけば、指先や踵、土踏まずにプチプチと車や小人たちが弾けていくのが感じ取れて、こそばゆい刺激が気持ちがいい。
璃子が一歩踏みしめるたび、数千単位の小人が消滅してしまうが、それはどうしようもないこと。足元を必死で走る小人も、彼女の足が作り出す巨大な影を抜けるのに、30秒以上もかかる上、それに加えて道路の混雑さが更に速度を遅くしてしまう。
阿鼻叫喚の道路を何事も無いかのように、通り過ぎてしまう巨人の璃子の足はあっという間に港の中に入り込んでしまった。彼女の目には出港したばかりなのか、ゆっくりと湾の外に脱出しようとするフェリーと未だ港に接岸して乗船作業を行っている2つの船を見つけてしまった。
"ん〜、流石に2つも玩具はいらないかなぁ………。どっちか持ち帰って、残りはここで使ってあげる"
200mを超える大型フェリーなど、璃子からすれば、片手で持ち上げることなど容易い。少女はしゃがんで、接岸中だったフェリーを鷲掴みにするとヒョイッと軽々しく持ち上げてしまった。船体後方にある乗り込み部分の開口部からは、ボロボロと乗船した車や小人がおちてしまう。少女は、それが小人であることに気付かないまま、手にしたフェリーの開口部を覗き込み、中身を確認する。
璃子が目にしたのは、船内の半分ほどに入っている車やバス。乗り込み開始してから間もないためか、乗船率は50%ほどしかなかったのだ。
"はぁ〜、そんなに中身は詰まってないのね。いいわ、せっかく持ち帰っても、中身が少ないんじゃ面白くもないしね。この子はここで処分するわね"
手にした獲物が期待外れだったことを知っても璃子は落胆しない。なぜなら動き出しているフェリーの方には小人で満ちているだろうし、あの遅さなら急いで捕まえなくても、容易に追いつけてしまう。まずは、せっかく捕まえたこのフェリーで遊んでから、もう一つの逃げ出したフェリーを捕まえることにしよう。
璃子は、手にしたフェリーをもう一度よく見る。20cmほどの船は玩具のような大きさだが、やはり本物の船だけあって、細かいところまで精巧に作られている。更に目を凝らせば、細かい部屋や通路に動くものが見える。おそらく小人なのだろうが、判別もつかないほどに小さい。
1ミリほどの小人たちは女子高生に捕まってしまってどんなふうにしているのだろうか。逃げることができなくなった船の中で、どんな思いで閉じ込められているのだろう。少女の手の平の中で、命運がき果てた小人の絶望感を想像するのは難しくない。
"あーん"
ふと思いついたのか、璃子は手にしたフェリーを食べるかのように口を大きく開きゆっくりと船を運ぶ。
"あむ"
少女は、オキアミを捕えるクジラのように大きな口を広げ、乗客ごと船を咥えてしまう。彼女の柔らかい唇に挟まれた船体は、メキメキと金属音をたてて、歪んでしまう。口の中では、きれいに並んだ家屋ほどもある巨大な白い歯が口内に入った獲物を噛み締めたいとウズウズしているようだ。
璃子は、口に咥えたフェリーを噛み砕かずに、10m近い長い舌を使って、船の中を掘り進むようにねじ込み始めた。
少女の舌は、真っ赤な大蛇のようにうねりながら船の隔壁をぶち破り、中で息を潜めていた小人を唾液で絡め取りながら突き進んでゆく。
船内に隠れていた小人を舐め取る行為を楽しんでしまう璃子。舌先に大量にまとわりついた小人を確かめると、舌を口奥に戻して、唾液の海に捉えた小人を落とし、ゆっくりと喉奥の筋肉を収縮させる。
"んっ、くんっ"
少女の喉が動いて、唾液ごと数千人の乗客もろとも嚥下してしまった。体調1ミリの小人など、璃子にとってなんの栄養の足しにもならない。だが、喉を通る唾液に混じって小人が食堂を通り過ぎる感覚を味わえる気がするし、なんとなく悲鳴も聞こえる気がした。
小人を弄ぶには丁度いい楽しみだった。璃子は、咥えていたフェリーを噛み締めて、長い船体を分断すると、口に残った船体は数度ほど咀嚼して粉々にして飲み込んでしまう。
外に出ていた半分の船の残骸は、持ち上げて軽く振って残っていた中身を、大きく開けた口の中に放り込んで、嚥下してしまえば、口の中にはなにも残ってはいなかった。
"さーてと、そろそろあの子を捕まえに行こうかしら"
璃子の足が、海の中に入る。素足のままで、海に入るとひんやりして気持ちがいい。ついでに、足裏にこびりついた泥や小人の汚れも洗い流してしまおう。水深数十メートルもある海も1000倍少女にとっては、水溜りのようなものだった。
逃げ出したフェリーは、港から大して離れていない。最大速力で巨人から離れようとしたフェリーに追いつくのに、璃子は、10歩も歩く必要はなかったのだ。
ちゃぷちゃぷ水深の浅い海を数歩歩いて、璃子はお目当てのフェリーのそばに寄った。体を屈めて、フェリーを拾い上げると、心なしかさっきのフェリーよりも重い気がする。きっと船の中身は小人でいっぱいなのだ。そう考えると、早く持ち帰って具合を確かめたくなる。
璃子は、前回の大型旅客機と同様に素早く魔法で、手にしたフェリーを転送するとようのなくなった小人の世界から去るべく、帰り支度を始めることにした。
ザバァアアアア!!!大量の海水とともに巨大な素足を陸に下ろした少女。素足のままで学生服を着た璃子は、すでに彼女が歩いたことで起こした波で水浸しになっていた荒れ果てた港の施設を踏みつけて、海水混じりの泥濘に変えてしまう。
歩いて数歩の位置においたローファーとソックスを取りに、ズンッ、ズンッと足音を踏み鳴らして、荒廃した街の跡地を踏み進む。
瓦礫となった街の残骸を押しつぶして、鎮座していたローファーを拾い上げ、自分が破壊したエリアを見渡す璃子。目に付く人の営みの場所はあらかた潰したようで、そこら中地面が掘り返され、真っ黒な地盤がむき出しになった足跡が点在している。
"なかなか楽しかったわよ、アンタたちみたいなチビでも、私のことを楽しませるくらいのことは出来たみたいね!"
尊大な態度で、動いているものを探すほうが難しくなった街の残骸を見下ろしながら璃子が言い放った。今日は、たくさん遊べて、ストレスも発散できた上、自宅で愉しむ用の玩具もしっかり手に入った。満足げな表情を浮かべた璃子は、元いる世界に戻るよう転送魔法を唱えた。
"次来るときもおもちゃを沢山用意しておいてね!"
彼女が光に包まれていく中で、璃子は最後にそう言い残して、すぅっと消え去ってしまった。まるで先程までの大殺戮が嘘のようであった。
だが、その惨禍は消えることなく、つい1時間前まで華やかだった町並みは、その面影すら残さないほどに破壊し尽くされた痕跡が、永遠に残り続けるのだった。