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*
1
共に18歳である坂本貴明と佐藤穂波は付き合っている。
ある日、2人は昼食をとるべく近くで新規に開店したラーメン屋に足を運んだ。
その店は、1か月ほど前に開店したラーメン店でダシがうまいと評判であった。
2人は店に入ると、座敷に通された。
程なくして、20代くらいの女性ウェイトレスが座敷にお冷を運びにやってきた。
ショートヘアーの大柄な女性で、貴明はきれいな生足に釘付けになってしまった。
貴明(うわぁ、綺麗なヒトだなぁ・・・)
そのウェイトレスは、両膝をつけ2つのお冷をテーブルへと運ぶ。
ウェイトレス「注文が決まったら呼んでください。」
そのウェイトレスの声にハッと我に返り、急いで穂波の方を向く。
貴明がウェイトレスに注目していた最中、穂波はメニューに釘付けだった。
そして、お冷を置いて、早々にそのウェイトレスはいなくなってしまった。
穂波「ねえ、貴明は何を注文する?」
貴明「よーし、この特製味噌ラーメンを食べるよ。」
穂波「じゃあ、私は塩ラーメンにするから注文しておいて。」
貴明「うん、わかった。」
穂波「私はお手洗いに行ってくるね。」
注文が決まり、穂波はお手洗いへ赴き、貴明はテーブルに置いてあったブザーに手を伸ばす。
穂波が立ち上がり、座敷の入り口付近に歩を進めると、何やら小さい物体が蠢いていた。それは1匹の体長2~3㎜程度のアリらしき生き物であり、ウロチョロと移動していた。
ベタッ!
そんなアリの近くに黒いソックスに包まれた穂波の足が振り下ろされる。
穂波の足のサイズはたった23cm程度だろうが、アリから見ればとてつもない大きさのはずだ。
しかし、それでもアリは何もなかったように移動をしている。
ザッザッザッ・・・
そんなとき、貴明がいる座敷に向かって足音が近づいてきた。
ウェイトレス「お呼びですか?」
ベタッ!
注文を取りに訪れたウェイトレスが座敷に入った瞬間、アリの姿は消えてしまった。
貴明が急いでウェイトレスの足元を見回しても、アリの姿を確認することはできなかった。
ひとまず、落ち着いて注文しようと貴明はメニューに目を通す。
貴明「え、ええーっと、味噌ラーメンと塩ラーメンを1つずつお願いします・・・。」
ウェイトレス「はい、わかりました。味噌ラーメンと塩ラーメンですね。」
そのウェイトレスが立ち去った時、貴明は衝撃を受けた。
座敷の入り口には、惨めにもペチャンコにされた小さな黒い物体があったからだ。もはや原形をとどめてなく、アリだったのかどうかもわからない。
注文を取りにきたウェイトレスに気付かれることなく踏み潰されてしまったのだ。
貴明は、綺麗な容姿の女性の全く正反対な野蛮な行動に興奮を覚えていた。
そんな貴明は興奮を抑えることができずに、その潰されたアリを間近で見たい衝動に駆られた。
そして、貴明は自分のポケットから「物体サイズ変換器」を取り出す。
変換器を座布団の上に置き、サイズを1cmに設定して、貴明は一気に自らのサイズを縮小させた。
ズゥン、ズゥン、ズゥン・・・
そんな小さな貴明がいる座敷に、大きな足音が近づいてくる。
穂波だ。
穂波は、貴明が小さくなっていることも知らず、座敷の入り口付近に無造作に足を下ろす。
ズシンッ!
貴明「うわわっ!!」
穂波の黒いソックスが近距離に落とされたものの、貴明はその衝撃に何とか耐えることができた。
そのまま穂波は気づくことなく、自分の座席に戻ってしまった。
貴明「ふう、危なかったな・・・。踏んづけられたら洒落にならないからな・・・。」
小走りで先程の踏んづけられたアリのもとを目指すと、貴明は再び大きな足音を耳にした。
ズゥン、ズゥン、ズゥン・・・
おそらくは、先程のウェイトレスが注文の品物を持ってきたのであろう。
身の危険を察知した貴明は、踵を返してサイズ変換器のもとを目指した。
しかし、程なくして巨大なウェイトレスが座敷に登場する。
ズシンッ!
貴明の後方にウェイトレスの巨大な右の素足が着地する。
息を切らせながらも、貴明は大急ぎで自分が座っていた座布団を目指す。
ズシンッ!
再び強い衝撃が後方から響く。
これは、ウェイトレスのもう一つの巨大な素足が着地したのだろう。
やがて、上空から声が響く。
ウェイトレス「注文の品物をお持ちしました。」
穂波「あ、こちらにお願いします。」
ウェイトレス「はい。」
ズズゥゥン!!
貴明「うわわっ!!!」
ウェイトレスの両膝が床に着地する。
ゴトッ・・・、ズザザッ・・・
貴明の上空では、正体不明の轟音が響いている。
これは、ラーメンをテーブルに置いている音ではなかろうか。
様々な不安に駆られていた貴明の周囲は程なくして明るさを増した。
貴明が安堵の表情を浮かべ後方を振り返ると、ウェイトレスは立ち上がっており座敷を出る寸前であった。
九死に一生を得たと安心した貴明はホッと胸を撫で下ろし、その場に座り込んだ。
ウェイトレス「あ、伝票を置いていきますね。」
ズシンッ!
ズシンッ!
まさに一瞬であった。
踵を返したウェイトレスは、一気に小さくなっている貴明へ接近する。
油断していた貴明の周囲は一気に暗くなり、貴明の上空はウェイトレスの足の裏で覆われてしまった。
貴明「う、うわあああ!!」
物凄いスピードで貴明の周囲は闇が濃くなっていた。
必死に助けを乞う貴明の声は、ウェイトレスの足の裏に吸収され聞こえるはずもない。
さらには、猛烈にくさいにおいが辺りを支配し、貴明は強制的にウェイトレスの想像を絶する足のにおいを嗅がされた。
貴明「た、助けてー!!ウェイトレスさ・・・」
ズンッ!
ウェイトレス「!!」
何かを踏み潰した感触を得たウェイトレスは、一瞬顔をしかめたものの、そのまま軽く足を払い業務に戻った。
穂波「もうっ!貴明くんはどこに行ったのかしら・・・。」
もう二度と戻ることのない貴明を穂波はしばらく待ち続けたのであった。
*
2
俺の名は佐々木聡志という。
念願のサイズ変換器を手に入れ、約1.7cm程度に縮んでいる。
何が念願かというと、小さくなることで付き合っている彼女との圧倒的な差のもと、いろいろな遊びをしてみたかったのだ。
ちょうど俺には村田優輝という顔のかわいい彼女がいる。
ぜひとも彼女の足の裏で俺は弄ばれてみたいのだ。
ピンポーン
興奮に包まれている俺をさらに高ぶらせるチャイムの音が響いた。
テーブルに隠れて様子を窺っていると、無造作に開かれたドアの辺りにヒトの素足が出現した。
ついに遊びに来た優輝が部屋の中へと入ってきたのだ。
優輝「あれ・・・? 鍵は開いてるのに誰もいない・・・。」
上空から愛おしい優輝の声が響いている。
それに合わせてベタッ、ベタッと優輝の素足が床を踏み鳴らす音も周囲に響いている。
おそらくは俺のがどこにいるか部屋の周辺を探しているのだろう。
そんな優輝を見ているうちに、とうとう興奮を抑えることができず、俺はテーブルから飛び出した。
すると、そこには俺の100倍はあろうかという巨大な優輝の姿があったのだ。
案の定、はるか上空にある優輝の眼は、本来いるであろう俺を探していた。
聡志「ゆーうーきー!」
俺は、足元から優輝に向かって呼びかけてみた。
優輝「えぇっ・・・!? 何・・・、コイツは?」
上空にある優輝の顔が一瞬にして曇る。
聡志「おーい!」
優輝「キャッ!近づいてきたわ!!」
そのまま優輝は別の部屋へと逃げようとしていた。
俺は、小走りで優輝に追いつこうと試みるも、みるみるうちに優輝との差が広がっていく。
聡志「お、おおーい!待ってよー!!」
とんだ誤算である。
あっという間に優輝は別の部屋へと移動してしまった。
聡志は、逃げ出すなどとは微塵にも思ってなく、トボトボと優輝の後を歩き続けた。
そのときであった。
あまり周囲を気にしていなかったので、聡志は周囲が薄暗くなっていることに気付いていなかった。
ハッと気付いて前を見上げると、俺の数m前に巨大なヒトの素足が踏み下ろされようとしていたのだ。
俺は、素足の着地の衝撃に後ろ方向に2~3回ほど転がってしまった。
巨大な素足の持ち主は優輝。
優輝の24mはあろうかという素足が眼前に鎮座している。
小さな俺に気が付いて戻ってきてくれたのであろうか。
余りにも早い帰還であった。
優輝「さっきの奴はどこにいったのかしら・・・?」
なんと、優輝の手には俺が縮小するときに使ったサイズ変換器があった。
しかも、優輝はカチャカチャと音を立てながらサイズ変換器を操作していたのだ。
聡志「あっ、勝手にいじっちゃあダメだよー!」
ここで、俺は異変に気がついた。
身体が軽くなる感覚に襲われたのだ。
今までと異なり、自分がその場に立っていないような感覚なのだ。
いったいどうしたことかと周囲を見回すと衝撃の事実が判明した。
なんと、先ほどの優輝の素足がさらに巨大感を増して俺の視界を遮っていたのだ。
目の前の土踏まずなどは、闇が深く奥まで見ることができなかった。
慌てて巨大な優輝が手にしている変換機を目にする。
おそらく優輝がサイズ変換器をいじったがためにサイズがさらに小さくなったのだろう。
俺は改めて十数mもの前方にある優輝の超巨大な素足に目を移す。
このままでは、優輝の素足に踏み潰されて俺は殺されるかもしれない。
俺は、急いでテーブルの下を目指して、全力疾走した。
全速力で走ることはいつ以来だろうか。
とにかくテーブル目指して走り続けた。
優輝「あぁ、いたいた。」
そんな哀れなる俺に、優輝は慈悲を与えてはくれない。
俺が充分に走ったところで優輝の巨大な素足が持ち上がる。
優輝「この大きさなら踏んづけられるわね。」
その言葉と共に俺の後方に優輝の巨大な素足が落下する。
ズシィィン!
聡志「うわあっ!!」
俺が全力疾走した距離の大半を優輝はたった1歩で追いついてしまった。
このままでは、優輝の2歩目によって俺は踏み潰されてしまう。
優輝「じゃあ、いくわよー。」
そう思って上空を仰いだところ、優輝のあまりにも大きな足の裏が上空を占拠している光景を目の当たりにした。
聡志「ゆ、優輝ーーー!」
まさに後悔先に立たず。
優輝は、足元に小さく縮んだ聡志がいることなど知る由もない。
容赦なく、愛する聡志に素足を踏み出そうとしていた。
聡志の周囲は、完全に優輝の足の裏に覆われ光が遮られつつあった。
ズッシイイイン!!!
優輝「よーしっ・・・!やっつけてやったわ!!」
優輝が24cmの素足を持ち上げると、床にはペチャンコになった聡志が跡形もなく潰されていた。
ちょうど、優輝の足の裏のど真ん中に位置していた。
優輝「それにしてもこいつは何の虫だったのかしら?」
優輝は、そのままペチャンコになった聡志を雑巾でふき取って処分した。
*
3
僕の名前は貴志、高校1年生だ。
今日も友人の翔と共にサイズ変換器で遊ぶ約束をしている。
最近はこの変換器を使っての遊びがめっきり多くなってきた。
いつも10分の1サイズに縮み、15~16cm程の身長に縮んでいる。
今日も、僕の家で翔とともに玄関付近を探索して遊ぶことにした。
翔「玄関が一番冒険って感じするよなあ。」
貴志「うん、埃っぽいところが冒険の雰囲気を高めてるんじゃない?」
そんな会話をしているときだった。
ズン、ズン、ズーン
玄関に向かって大きな地響きが聞こえてきたのだ。
眼前に現れたのは、貴志の姉で大学3年生の萌だ。
翔「おおっ、貴志の姉ちゃんじゃないか。」
貴志「本当だ・・・、何しに来たんだろう・・・。」
翔「なあ、貴志の姉ちゃんのパンプスの中を見てみたいなあ。」
貴志「えーっ?お姉ちゃんのパンプスの中?ダメだよ、絶対臭うだろうし。」
翔「いや、大丈夫だろ・・・」
ズーン!
徐々に足音を響かせながら萌は2人に接近する。
貴志「と、とりあえず隠れようぜ。」
翔「あ、ああ。」
僕たちの10倍近いサイズの巨大な女性の登場に2人とも慌てて物陰に隠れることにした。
やがて、翔の間近に、萌の大きな素足が着地する。
ズシーン!
翔は息を殺しながら状況を見守る。
貴志「お、おーい!翔、大丈夫だったか?」
翔「あ、ああ。物凄い迫力だったけどな・・・。」
2人の間近に萌は立ち尽くし、辺りをきょろきょろと見回す。
萌「あれー。誰かいると思ったんだけどな。」
そう言い終えた萌は、パンプスを履き、玄関で何やら動作をしはじめる。
しばらくすると、玄関付近に白煙が立ち込めてきた。
萌「よしっ、これで設置完了ね。」
どうやら萌は蚊取り線香を玄関に置きにきたようだ。
翔「うっ、ゴホッ、ゴホッ。煙たい・・・。」
貴志「何で、こんなときに蚊取り線香なんかを・・・。」
そのときであった。
咳き込む2人の体がさらなる縮小を始めたのだ。
2人の体はどんどん小さくなる。
翔「え、ええっ?どういうこと!?」
貴志「体が縮んでいく!!」
その答えは簡単であった。
カチャカチャと上空で音がしている。
萌「この器械は何なのかしら・・・。」
翔は縮みゆく体に危機感を持って、物陰から飛び出す。
翔「ちょ、ちょっと、それは操作しちゃダメだー!!」
そのとき、翔は大きく動揺した。
目の前にいるのは、今まで見たこともないほどの巨大な萌の姿だったのだ。
眼前の萌の体から放たれる重量感、威圧感に翔はゆっくりと息を呑みこんだ。
萌「さて、部屋に戻ろうっと。」
ズゥゥゥン!!
翔の前方に巨大なパンプスが着地する。
翔「うわっ!!」
そして、ギュウギュウと音を立てながら、大きなパンプスの中から萌の素足が登場する。
その大きな素足は、何の慈悲もなく翔目がけて振り下ろされる。
翔「え、うわ、ちょ、待ってええ!!」
ズシイイン!!
小さな翔はその全身に巨大な萌の素足を受け止める格好となってしまった。
貴志「翔・・・、ウソだろ・・・。」
巨大な素足に飲み込まれた翔の姿を目の当たりにして、貴志はパニックに陥った。
そして、慌てて物陰から飛び出て萌にアピールする。
貴志「おおーい!お姉ちゃーん!」
しかし、はるか上空にいる萌は全くの無反応で、パンプスを脱ぎながらもう一つの素足を着地させていた。
ズシイイン!!
萌「ん?」
貴志「うわ・・・、姉ちゃんの目がこっちを向いてる・・・。」
貴志は手を振るのを止め、萌の反応を待った。
萌「ん?」
萌は、自分の足元に何か小さい物体があるのを見つけていた。
萌(あれっ、何だろう。)
萌の左足のすぐ脇に1cmあるかないかの黒い点があるのだ。
萌「ゴミクズ・・・? いや、虫みたいなもの・・・があるわね。」
その小さな黒い点は少しずつではあるが動いていた。
そして、その小さな物体が人間とも思わない萌は、何のためらいもなく自分の素足を持ち上げた。
萌「早速、蚊取り線香が効いたのかしら。」
蚊取り線香の効果に満足した萌は、自分の素足を小さな物体の真上へとセッティングする。
萌「たぶん蚊ね。」
小さな弟がいるとも思わない萌は、持ち上げた足を床に降ろそうとする。
ズッシイイン!
懸命に逃げ出したものの、貴志は間髪入れず天空から降ってきた萌の巨大な素足に踏みつけられてしまった。
あまりにも貴志は巨大な萌に近づきすぎてしまっていたのだ。
萌「あれっ・・・、全然手ごたえがないわね。」
萌が自身の素足をひっくり返すと、足の裏には小さな赤いシミがついていた。
萌「ああ、いたいた。随分、血を吸ったのね。」
萌は再び自身の素足を勢いよく着地させ、その赤いシミを床にこすりつけていた。
萌「さーて、テレビでも見ようっと。」
弟もろとも2人の生命を奪ったことなど萌は知る由もない。
*
4
宏「これがサイズ変換機かあ。」
24歳のフリーターである高木宏は、念願のサイズ変換機を手に入れて喜びに満ち溢れていた。
この機械を手に入れるために、この2~3年はずっと貯金をしていたのだ。
宏「ようし、さっそく試してみるか。」
アパートの前に出た宏は、愛車である原チャリに向かって変換機を照射した。
宏の原チャリはみるみるうちに縮小を始め、あっという間に100分の1サイズほどになった。
宏「うおー、すげえな、この機械は。本物だ・・・。」
興奮に包まれた宏は小さくなった原チャリをポケットに収め、バイト先のコンビニへと赴いた。
由香理「いらっしゃいませー。・・・って、宏じゃない。」
コンビニのレジにいたのは、20歳のバイト仲間である笹木由香理であった。
由香理は、休みの日にもかかわらずバイト先に来た宏に疑問の目を向けていた。
宏「あ、ああ・・・。ただ寄っただけだよ。」
由香理「何しにきたの? 相変わらず暇なのね。」
幾分か不機嫌そうな表情で由香理は宏に言葉を返した。
その間に宏はコンビニ内をざっと見渡す。
店内には、飲み物のコーナーに若い女性が1人、雑誌のコーナーに女子高生が2人いるようだ。
宏「コーヒー買ってから帰るよ。」
由香理「はい、120円になります。」
即座に営業スマイルを見せる由佳理に、宏はやれやれといった表情を浮かべる。
宏「じゃあ、また。」
由香理「はーい。また明日ね。」
コンビニの様子を充分に窺った宏は、そそくさとコンビニの裏手から控室に入る。
そして、縮小した原チャリを地面に置くと、自らに変換機を照射した。
宏「おー、縮まるー。」
こうして、100分の1サイズに縮まった宏は、愛車である原チャリに跨り店内へと向かった。
由香理「ありがとうございましたー。」
若い女性「どうもー。」
ふいに上空から大きな声が響く。
どうやら先程飲み物のコーナーにいた若い女性が会計を済ませたようだ。
宏は再び原チャリに跨り、若い女性のもとへと向かう。
若い女性のヒールの高いサンダルが目前に見える。
宏は絶妙な運転さばきで、素早く若い女性の前へと出る。
買い物を済ませた若い女性は、小さな宏に気付くことなく出口へと向かう。
その様子を床から見ていた宏は、若い女性のスカートの内部に見える白色の下着に高揚していた。
ズゥゥン!
宏「うおっ!!」
そんな宏を諌めるかのように若い女性はその大きな素足を包んだサンダルを振り下ろす。
そして、そのまま若い女性はコンビニを後にした。
宏「いやー、眼福、眼福。」
しっかりと目の保養ができた宏は、再び原チャリに跨り女子高生の元へと向かうことにした。
しかし、しばらく原チャリを走らせていたとき、宏の眼前に突如として、巨大なサンダルが振り下ろされた。
ズシイイン!
宏「うわわっ!!」
急ブレーキをかけることで何とか衝突を回避した宏は、急いで周囲を確認した。
若い女性の後を追っていた宏は、コンビニの出入り口付近に到達していた。
その出入り口から5~6人の若い女性の集団が来客していたのだ。
由香理「いらっしゃいませー。」
由香理のその言葉を合図に、小さな宏に向かって強烈な攻撃が開始された。
ズシイイン!!
ズシイイン!!
ズシイイン!!
宏「うわあああ!!」
宏目がけて巨大なサンダルやら運動靴やらパンプスやらが一斉に落下してくる。
小さな宏は、巨大な若い女性たちの足元で右往左往していた。
何とか12個の巨大な足から逃げ出せた宏は、後方を振り返り安全を確認しようとした。
そんな宏の周囲はひときわ暗くなる。
ズシイイン!!
宏「ええぇっ!?」
なんと目の前に巨大なローファーが振り下ろされたのだ。
完全に不意を突かれた宏は、そのローファーに激しく衝突する。
スガーン!!
宏「うわあああ!!」
ポチョ!
ただ、投げ出された宏が女子高生の黒いソックスに着地できたことは幸運であった。
女子高生A「あれー。何かぶつかったわ。」
女子高生B「ん?ミニカーみたいよ。」
女子高生A「何だ、そうなの?」
その瞬間、宏の目の前にはもう一つの巨大なローファーが出現し、愛車である原チャリに覆いかぶさろうとしていた。
宏「え?ええ?ちょ、ちょっと!!」
ガキャ!メキャ!
実に無機質な音を立てながら、巨大な女子高生のローファーは原チャリを破壊してしまった。
宏「くっ!!」
思わず、痛恨の声を上げる宏。
その原チャリとて、何か月もバイトして購入した代物だったからだ。
女子高生A「さあ、帰りましょう。」
女子高生B「ええ。」
宏「うわあ!」
巨大な女子高生は宏が張り付いていない方の足から一歩を踏み出した。
その瞬間、宏は前方へと転がっていき、ローファーの中へと侵入する形となった。
小さな宏を受け止めたのは、巨大な女子高生の黒いソックスに包まれた爪先であった。
その爪先からは、猛烈な異臭と湿気が放たれていた。
宏「うおええっ! こんなヒドイにおいがするなんて・・・」
さらに爪先部分は女子高生の素足から放たれる汗で湿っていた。
劣悪な環境を憂いている宏に女子高生からの強烈な一歩が放たれる。
ズシイイン!!
宏「うわっ!!」
宏が転がり込んだ方のローファーが大地を踏みしめる。
その衝撃で、宏は爪先からローファーの中敷きへと転落する。
やがて、再びローファーが上昇する。女子高生は、歩行のために小さな宏がいるローファーを持ち上げる。
当然、巨大な爪先が持ち上がるため、小さな宏は強制的に足の指の付け根へと転がされる。
巨大なソックスに張り付く形となった宏は、懸命に巨大な女子高生の足の裏を叩く。
このままでは、確実に女子高生に踏み潰されてしまう。
宏「ま、待って!!!僕はここにいるんだって!!」
小さな宏は、懸命にソックスを叩くも、ソックスの布地に阻まれ女子高生は気が付かない。
ズシイイン!!
小さな叫びも空しく、女子高生の全体重をまともに受け止めた宏は踏み潰されてしまった。
女子高生A「・・・?」
その女子高生は何かを潰した感触を得たもののさして気にも留めずコンビニを後にした。
由香理「ありがとうございましたー。」
店内には、さわやかな由佳理の声が響き渡っていた。
*
5
里穂「あっ、松田先輩ー!!」
克晶「おっ、里穂ちゃん。今日も元気そうだね。」
里穂「先輩にお会いできて嬉しいです。」
某私立大学に通っている20歳の野中里穂は、1つ年上の先輩である松田克晶をとても慕っていた。
克晶は、スポーツ万能で勉強も得意であり、まさに非の打ちどころがない頼れる先輩だったのだ。
一方、その里穂も163cmでセミロングヘアーがよく似合っており、才色兼備の持ち主であった。
互いに惹かれつつも、それを意識してか二人とも言葉には出すことはなかった。
そんな克晶は、実は里穂に隠れてよからぬ行動を起こしていた。
1か月ほど前にサイズ変換器を購入した克晶は、自らを50分の1サイズに縮小させ里穂の自宅に無断で侵入していたのだ。
そして、里穂の着替えや普段の私生活などを大っぴらに覗いていた。
里穂の体は程よい肉付きで、潤い豊かな肌にはハリもあって、まさに美しさを感じることができた。
ほとばしる欲情を抑えることなどできず、今宵も克晶はサイズ変換器のお世話になろうとしていた。
いつも通り、克晶は里穂の自宅の前に立ち、ドアにある郵便受けに手を挟めながら100分の1サイズに縮小する。
やがて、その郵便受け内で大きさを調整して、玄関に降り立つ。
玄関には、里穂の大小様々な履物が鎮座している。
克晶は、その大きな履物を横目に、小走りで素早くリビングの方向へと移動する。
里穂「ふんふ~ん♪」
しばらく移動していると、里穂の鼻歌が聞こえ始める。
程なくしてキッチンで作業をしている里穂を発見する。
Tシャツに短パンで生足を披露している里穂に、克晶はすっかり釘付けになっていた。
短パンは豊満な太ももによってピッチリと膨れており、その下にはすらっとした長い脚が伸びている。
その最下層には、近くのスーパーの駐車場くらいはありそうな素足が2つ存在している。
何から何まで興奮を抑えることのできないシチュエーションに克晶は、思わず手を叩いて喜んだ。
里穂「!?」
その瞬間、里穂の大きな素足が上空に舞い、克晶の前方に振り下ろされる。
ドシーン!
克晶は、すぐさま近くにあるラックケースに身を潜める。
克晶「やばい、やばい。思わず手を叩いちゃったよ。」
克晶は、冷静に大きな里穂の行動に目を光らせた。
里穂「気のせいかしら・・・。」
用心深い克晶は、身の危険を感じ、退散する決意を固めた。
言いようのない疑念に駆られている里穂に構うことなく、迅速に克晶は部屋を出て行った。
次の日の夜、懲りもせず克晶は再び里穂の部屋を訪れる。
克晶「昨日は、全然満喫できなかったからなー。」
ブツブツと独り言を言いつつも、いつも通りにリビングへと克晶は向かった。
しかし、その日は、リビングの入り口にシートが敷かれていた。
さして気にも留めずに、克晶が一歩を踏み出す。
ピーピーピー
その瞬間、けたたましい音がリビング内に響き渡る。
里穂「やっぱり、何かいるのね?」
リビングで待機していた里穂が、待っていたかとばかりにズシンズシンと足音を響かせながら接近してくる。
克晶「や、やばい!!」
全速力で冷蔵庫の裏側に隠れようとする小さな克晶を里穂は発見する。
里穂「あぁー、小人が覗きに来てるのね。」
小人とはっきり認識されてしまったことに克晶は、驚きを隠せないでいた。
しかし、どうにか克晶は冷蔵庫の裏側に隠れることができた。
後は、頃合いを見ながら里穂の自宅を脱出すればいい。
かなりのピンチに見舞われたものの、まだ克晶の頭は冷静さを保っていた。
里穂「そんなところに隠れても無駄だからねー。」
そんな克晶に里穂の不敵な言葉が浴びせかけられる。
里穂の言っている意味がよく伝わらない。
この状態で、里穂はどういう行動を起こそうとしているのか。
克晶は、上方向、横方向に目を光らせつつ、近くの綿ゴミに隠れながら考えを巡らせていた。
里穂「よし、これでいいわね。」
その瞬間、克晶を庇護していた冷蔵庫は忽然と姿を消してしまった。
里穂「こいつかー。」
慌てて上空を見上げると、里穂もサイズ変換器を持っており、小さくした冷蔵庫をその巨大な指先に摘まんでいた。
小さな冷蔵庫を摘み上げた里穂は、両方の素足で小さな克晶を取り込むように立ち尽くした。
里穂は、ついに足元にいる克晶の逃げ場を封じこめることに成功したのだ。
里穂「あんたが覗いてたのね?」
克晶「あ、あわわ・・・。」
そこには克晶に見せていた普段の優しさなど微塵にも感じられない冷徹な表情の里穂がいた。
怖さに震える克晶は、自らの体を10分の1サイズに戻すと、里穂の両方の素足の間を駆け出す。
里穂「あっ、うそ!? 大きくなるなんて!」
すかさず、里穂は自分のサイズ変換器で、床を駆け出す克晶を縮小させようとする。
克晶「うわあああ!!」
里穂「待ちなさいっ!」
それでも間一髪、克晶はリビングの外へと脱出することに成功する。
やがて、克晶は完全に元のサイズに戻ってしまう。
そこにリビングを出てきた里穂がドアを開ける。
里穂「あっ!! えいっ!!」
そして、里穂は、逃げ出す謎の小人へ自らのサイズ変換器を照射する。
克晶「うわあああ!!」
元の大きさに戻った克晶は再びグングンと小さくなっていく。
相対的に後方に立っている里穂がドンドンと大きくなっていく。
小さくなっていく克晶を嘲笑うように里穂が一歩一歩近づいてくる。
克晶「り、里穂ちゃん!!」
里穂「あらっ・・・、サイズが1000分の1になってたわ。」
克晶「うそっ!! 待ってよ!!」
里穂「踏んづけてあげるわね。」
克晶「はあぁっ!?」
克晶はいつの間にか土下座をしていた。
必死に許しを請うしか方法が思いつかなかったのだ。
克晶「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
しかし、縮小が終わった克晶を待っていたのは、里穂の巨大な素足であった。
小さな克晶の上空を全長240mはあろうかという里穂の素足が覆う。
やがて、その大きな素足はゆっくりと下降を始める。
恐ろしくも実に雄大に里穂の素足は降りてくる。
徐々に克晶の周囲は里穂の素足に覆われていく。
それでも、克晶は全速力で巨大な肌色の平面から逃げ出していた。
ズシイイン!!
里穂が素足を床に着地させたものの、ゆっくりと足を下ろしていった為、克晶は逃げ出すことに成功していた。
克晶「はぁ、はぁ、はぁ・・・。里穂ちゃん・・・。」
克晶は、里穂の巨大な素足の真横で大きく呼吸を整えていた。
しかし、次の瞬間、真横にあった巨大な素足は上空へと姿を消す。
ズッシイイイン!!
ベッタアアアン!!
ドシイイン!!
ズダアアン!!
克晶のいる周辺は猛烈な勢いで里穂の素足が振り下ろされた。
しかも、里穂は素足を床にこすりつけ、確実に小人の命を奪い去ろうと躍起になっていた。
当然、その巨大な素足を避けきれるはずもなく、克晶はその短い一生を里穂の足下で終えてしまった。
里穂「はあ、さっぱりした。」
謎の小人をやっつけた感のある里穂は、悩ましい疑念からついに解放されることになったのだ。
しかし、克晶が行方不明になったことを里穂は、翌日に知ることになる。
必死に克晶の無事を祈る里穂ではあったが、行方不明の真相を知っているものは、実は誰一人としていなかったのだ。
*
6
英康「ふう、はあ、苦しいけど気持ちいい・・・」
穂波「ねえ、もういいでしょ?」
英康「もう少しだけ・・・」
穂波(何、コイツ・・・。)
中規模の商社で経理を担当している24歳の坂下穂波は、憂鬱を感じていた。
里穂の恋人である藤堂英康は1つ上のサラリーマンである。
実は、英康はサイズ変換器を使って、10分の1サイズに縮んでいるのだ。
そして、穂波の25cmはあろう素足に今まさに踏みつけられているのだ。
穂波は163cmで、セミロングヘアーが似合う童顔の持ち主だ。
しかも、穂波の素足は指が長く、全体の形も整っていて、なおかつ足の裏が黄色っぽいのだ。
その穂波の魅力あふれる素足で体全体を撫でられたり、踏みつけたり、臭いを感じたりすることは、英康にとって至高のひと時なのだ
英康は、1週間前にサイズ変換器を購入してから毎日、縮小して穂波の足の裏を楽しんでいた。
しかし、穂波にしてみれば、小さな恋人に奉仕しているだけで、自身にはフラストレーションがたまりにたまっていた。
英康「はぁ、はぁ、はぁ・・・。もうOKだよ。」
英康は、穂波の足の裏から這い出てくると、肩で息をしながらそうつぶやいた。
穂波「ねえ、英康ー。早く元に戻ってよー。」
英康「少し休ませてくれ。」
そのまま、英康は横になったまま眠りについてしまった。
穂波「もう!また、眠っちゃうんだから!知らないっ!!!」
こうして、ドスドスと足音を響かせながら、穂波は帰っていった。
そんな毎日が続いていたある日、穂波はとうとう英康に怒りをぶつける。
穂波「いっつもいっつも、私ばかり奉仕してるじゃないの!!」
英康「い、いやいや。そう言うなよ・・・。」
穂波「あなたを踏み潰さないように気を配るの結構疲れるのよ!」
英康「まあ、確かに重いのは事実だよなぁ・・・。」
穂波「はあぁっ!? 何言ってんのよ!!!」
英康「ごめん、ごめん。じゃあ、明日からはこの器械使わないよ。」
穂波「・・・・・」
英康「その代わり、今日までは宜しく頼むよ~。」
そう言うと、英康はサイズ変換器を操作して、毎度の通り10分の1サイズに縮小した。
英康の行動にはさすがに穂波も呆れ返ってしまった。
穂波「・・・・・・で、何をすればいいの?」
英康「今日は穂波の素足を持ち上げてみたい。」
穂波「そんなの無理に決まってる。私、重いもん。」
英康「いや、まあ、その物凄い重さを体感したいし・・・。」
その瞬間、穂波の素足が勢いよく床に着地する。
ベッターン!!
不意の攻撃に英康は思わず転倒する。
穂波「即効で踏みつぶしてあげようか。」
英康「冗談だって!冗談に決まってるじゃないか。」
穂波「本当に殺意が芽生えそうだったんだけど。」
明らかに不機嫌そうな穂波に気にすることなく、英康はリビングに置かれている1辺が40cmの正方形の枠へと穂波を誘う。
高さが10cm程のその物体は、外枠が木枠で囲まれており、枠の中身には粘土が敷き詰められていた。
おそらく英康がショッピングセンターなどで調達して、自分で作った代物であろう。
穂波「これは?」
英康「この粘土に穂波の足型をつけてほしいんだけど、めいっぱい力強く。」
穂波「それだけでいいの?あなたは何をしてるの?」
英康「僕は、その足が降りてくる様子を間近で見学する。」
相も変わらず、馬鹿な発想を思いつくもんだと穂波は呆れていた。
英康「うーんと、僕がメールで合図を出すから、そうしたらまず右足を下ろして。」
穂波「メール?」
英康「うん。その後で左足を下ろしてほしいんだ。」
穂波「わかったわ。じゃあ、いくわよ。」
英康「ああ、ちょっと待ってよ! メールで合図するからさ!」
穂波「はいはい・・・。」
穂波は、英康の準備が整うまで別室へ移動した。
その時を待ち望んでいたように、英康は再びサイズ変換器を操作する。
さらに10分の1サイズに縮小したのだ。
これで、英康は、トータルして100分の1サイズまでに縮んだことになる。
そして、そそくさと木枠に作ってあった小さな梯子を上り、枠の上へと降り立ったのだ。
穂波「ねえー、まだー?」
ここまでで約10分弱は経過しただろうか。
待ちくたびれた穂波から、催促の返事が聞こえてきた。
英康は、枠に腰かけて急いで穂波へメールを打つ。
『準備OKです。早速、足型をつけてください。
ゆっくりと、確実にね^^』
ズゥゥン!
ズゥゥン!
程なくして、下から突き上げるような地響きが聞こえてくる。
その地響きは着実に大きく激しくなっていった。
ズシィィン!
ズシィィン!
穂波の歩行によって繰り出される衝撃は、英康を興奮のるつぼに巻き込んでいた。
ズシイイン!
英康「うおおっ・・・、穂波、でっけーなあ。」
そして、とうとう英康のもとに100倍サイズの巨大な穂波が出現する。
穂波「あれ? 英康がいないけど・・・」
♪~
英康からメールが届く。
『僕のことは気にせず、そのままその大きな足で踏んづけて~』
穂波「はぁ・・・、めんどくさいな・・・。」
そのまま穂波は、リビングに置かれた木枠を目指した。
ドンッ!
しかし、あまり乗り気ではない穂波は、無造作に歩いた結果、木枠にぶつかってしまった。
穂波「あれっ、ぶつかっちゃったけど、まぁ、いっか。」
こうして穂波は、左の素足を持ち上げた。
その刹那、英康はパニックに陥っていた。
英康にとって誤算が2つあった。
1つは、穂波が木枠にぶつかるということ。
そのせいで、枠に腰かけていた英康は、敷き詰められている粘土の上に投げ出されてしまったのだ。
もう1つは、穂波が右足ではなく左足を持ち上げたということ。
英康は、右の素足の着地を間近で見たいがために、穂波の右足が着地する側とは反対の方向の木枠に座っていたのだ。
この2つの誤算の結果、英康に何が起こったのか。
そう、英康の上空は穂波の25cmはある巨大な素足で覆われてしまったのだ。
穂波の黄色い足の裏は薄暗さの中、確実にゆっくりと英康に近づいてきていた。
英康「ほ、穂波ー!! 待って!! 踏み潰される!!」
たかだか100分の1サイズの人間の叫びなど、穂波の耳に届くはずもない。
穂波は、愛する英康目がけて、自身の大きくて均整のとれた素足を差し出す。
英康にとって、なおも不幸なのは、地面が粘土だということだ。
足下がグニャッとして逃げ出しにくい環境になっている。
そんな中、必死に英康は穂波にメールを送る。
♪~
『待って!覆わないで!!』
穂波「え、これって、どういうこと?」
なおも、穂波の巨大な素足の落下は止まらない。
小さな英康の上空10mには穂波の足の裏が接近している。
さらに、英康は穂波に電話を試みるも、電波がない状態でつながらない。
もう一度、英康はメールを送信する。
♪~
『やって!!このままだと、つばされちゃう。』
穂波「??? つばされるってどういうこと?」
ここにきて、慌てふためく英康は、メールを打ち間違えてしまう。
英康「あああああ、もうだめだ!!」
穂波の足の裏の固い皮膚が英康の頭を押さえつける。
英康は、這いつくばりながらも必死で逃げる。
しかし、這いつくばる英康の背中も足の裏に押さえつけられる。
とうとう、英康は穂波の足の裏に押さえつけられてしまう。
しかも、足の裏からは汗の湿り気と腐敗臭漂う臭いが放たれており、英康の命は風前のともしびであった。
英康「くっ!! 仕方ない!!」
穂波「ん? 足の裏に何かあるわ・・・。」
違和感を覚えた穂波より先に、英康は圧迫から解放されるべくサイズ変換器でさらに10分の1サイズに縮小した。
そして、次の瞬間、英康を覆い尽くしていた足の裏が上空へと運ばれる。
英康「ああ、助かっ・・・」
しかし、そのとき、穂波の足の裏から出た一滴の汗が1000分の1という小さな英康を濡らす。
すると、その汗に吸い込まれるように英康は穂波の巨大な足の裏にはりついたまま上空へと運ばれてしまう。
やがて、その巨大な素足は何の躊躇もなく固いフローリングの床へ降ろされようとしていた。
英康「うわああああっ!!」
ズッシイイイン!!!
ピチッ!
穂波は1000分の1サイズしかない英康に自身の重量をまともにくらわしてしまった。
当然、何の抵抗もできずに英康は潰されてしまったのだが、さらに悲しいことに穂波は、英康を潰したことにすら気が付かなかった。
こうして、主のいなくなった部屋で穂波は、足型をきっちりとつけ、その後の指示をしばらく待っていたのだった。
*
7
瀬川「うーん、成功したかしら・・・。」
眼鏡をかけた女研究員は必死にサイズ変換器の記録をたどりながら、スーパーコンピューターの操作に明け暮れていた。
7つのガラス管には、何かしらの物体が蠢くものの変化は見られなかった。
受付「瀬川さん、例の6人の女性が集まりましたよ。」
瀬川「あ、わかりました。今行きます。」
そして、瀬川は研究室を後にして、6人の女性が集まる部屋へと赴いた。
しかし、その刹那、ガラス管にある物体は少しずつ形を整え、7個の生命体を生んでいた。
研究所のロビーには6人の女性が集っていた。
瀬川「あ、皆さん、お待たせいたしました。」
そのロビーに白衣を着た女性研究員、瀬川ゆかりが現れる。
瀬川「私は、サイズコントロール研究所の瀬川ゆかりと申します。」
瀬川「えーと、皆さんは左から順番に・・・、」
瀬川「ウェイトレスの安藤郁子さん、27歳。」
安藤「はい。」
瀬川「フリーターの村田優輝さん、20歳。」
村田「そうですけど・・・」
瀬川「大学生の中村萌さん、21歳。」
中村「・・・・・・」
瀬川「高校生の池田理絵さん、17歳。」
池田「はーい。」
瀬川「大学生の野中里穂さん、20歳。」
野中「はぁ・・・。」
瀬川「OLの坂下穂波さん、24歳。」
坂下「あの・・・、何のために私たちは呼ばれたんでしょうか・・・。」
最後に呼ばれた坂下がおそるおそる質問をする。
瀬川は6人全員を見渡した後、くるりと後ろを向く。
瀬川「今回はお集まりいただき、ありがとうございます。」
瀬川「実は、皆さんは縮小された小人を圧死させた疑いが持たれています。」
中村「ええっ!?」
野中「あっ・・・。」
瀬川「まずは、皆さんからお話を伺いたかったので、私の研究室へおいでいただけますか?」
6人の女性は一様に驚きを隠せないでいた。
そして、とまどいながらも6人の女性は、瀬川の研究室へと向かうのであった。
その頃、研究室では、7人の小さな人間が奇跡的に復元されていた。
その7人とは、ウェイトレスの安藤に踏み潰された貴明、恋人の村田に踏み潰された聡志、姉の中村に踏み潰された貴志とその友達の翔、女子高生の池田に踏み潰された宏、女子大生の野中に踏み潰された克晶、そして、OLの坂下に踏み潰された英康であった。
7人の小人はめいめいガラス管から抜け出し、研究室の床を彷徨っていた。
克晶「こ、ここはどこの部屋なんだ・・・」
貴志「翔ー、怖いよ・・・」
英康「ん? みんな、ちょっと静かにしてくれー!」
ズゥン、ズゥン、ズゥン・・・。
貴明「だ、誰かが近づいてきているのか・・・?」
聡志「とにかく、この場は危ないから壁側に寄ろう!」
7人の小人は一斉に部屋の端を目指して走り出す。
ガチャッ。
瀬川「私は、資料を持ってきますので、皆さんは靴を脱いでおあがりください。」
安藤「はい。わかりました。」
坂下「失礼します。」
聞きなれた声に、数人の小人が振り返る。
そこには、恋人だったり、実の姉だったり、後輩だったりと小人たちには見覚えのある姿があったのだ。
聡志、貴志、翔、克晶、英康の5人は一斉にその巨大な彼女たちに向かって大きく手を振る。
貴志や翔は、萌の声を聞くやいなや、大急ぎで駆け出した。
貴志「ねえちゃあああん!!」
そんな必死になっている貴志と翔がいるもとへ最初に入室した第1話のウェイトレス安藤の巨大な素足が牙をむく。
安藤「さ、入りましょう、皆さん。」
貴志と翔の真上は、瞬時に安藤の素足に覆われ、周囲に足のにおいを振りまく。
貴志「く、くっせー!!」
翔「うわあああ!!」
ズシイイン!!
貴志と翔は萌の姿を見ることもなく見ず知らずの女性の臭くて巨大な素足にせっかく復元された生命を
奪われてしまう。
そして、その安藤の入室を皮切りに、6人の巨大な女性が一斉に部屋へと入る。
ズシイイン!!
ドスウウン!!
ズダアアン!!
研究室の床にいた残りの5人の小人は逃げ回るのに精一杯であった。
ズシイイン!!
貴明のすぐ近くに第6話のOL穂波の素足が着地する。
その拍子に貴明は、前のめりに転がる。
貴明「うわあっ!」
転んだ貴明に、第4話に登場した女子高生池田の黒ソックスに包まれた足の裏が容赦なく迫る。
貴明「た、助けてく・・・」
ズシイイン!!
里穂「あー、めんどくさいなー。」
克晶のもとには、第5話で登場した後輩野中の巨大な素足が迫る。
克晶「うわ、うわあ、里穂ー!!!」
ズシイイン!!
克晶は、後輩の里穂に気づかれることもなく再び踏み潰される。
優輝「あれ・・・? 足元にいるのは?」
第2話で登場した優輝は、足元で蠢く小さな物体に気付く。
聡志「あ、気づいてくれた? おーい、ゆーうーきー!!」
聡志は、この幸運をモノにすべくと懸命にアピールをする。
優輝「もう、こんなところにもアリがいるのね。」
聡志「へっ・・・。うわあああ!!」
ズシイイン!!
聡志もまた、恋人の優輝に踏み潰されてしまう。
宏「ふう、何とか逃げれたぞ・・・」
萌「キャッ!!」
しかし、そんな宏目がけて、靴を脱いだ際につまずいた第3話の萌の巨体が迫る。
宏の周囲は萌の上半身に覆われる。
宏「うわあああ!!」
ドッスウウウウン!!!
萌のふくよかな乳房は、床下の宏を圧死させるのに十分すぎた。
床はまさに阿鼻叫喚の図であった。
そんな最中、何とか英康だけは逃げ隠れることができていた。
英康「よし、6人ともテーブル方向に行ったな・・・。これで大丈夫・・・。」
ガチャッ!
瀬川「お待たせしました。」
英康「うわ、誰だ、この女性は?」
坂下「あれっ、瀬川さんの足下に虫が・・・。」
瀬川「え、本当ですか?」
英康「うわあああ!!」
英康目がけて、パンストを履いた巨大な女性の足の裏が迫る。
ズッシイイン!!
瀬川「さて、では聞き取りを始めます。」
かくして、7人の小さな命は、巨大な女性たちに再び奪われてしまったのだった。
当然、瀬川も7人の小さな生命が復元されたことなど知る由もなかった。
*
8-1
僕は村本賢哉、高校2年生だ。
公園のごみ箱に捨てられていたサイズ変換器なるものを拾ってから日常が一変した。
このサイズ変換器を使って、隣に住んでいる女子大生の木下佳澄さんと週に1回は遊んでいる。
身長も150cm台半ばの佳澄さんは、切れ長の目にショートヘアーで、いわゆる美人タイプの女性だ。
佳澄さんもこの縮小プレイに理解を示してくれて、小さくなった僕と戯れることに何の抵抗もないようだ。
ただし、サイズ変換器を使う場合は、必ず10分の1サイズで遊ぶこと、必ず僕の家で遊ぶことと決めていた。
そうしないと、いくら華奢な佳澄さんとはいえ、僕はたちまち圧死させられる危険性があるからだ。
今日も、佳澄さんは僕の部屋に来て、その大きな裸足を見せてくれている。
佳澄「じゃあ、よく見ててね。えいっ。」
佳澄の合図と共に、佳澄の大きな足の指がパカッと開き、指の間が露わになる。
指の間には、皮膚のカスと言えばよいのか、若干水分を含んだようなぬるっとしたものが見える。
賢哉「こ、これは・・・。」
佳澄「あ、汚くないかしら?」
賢哉が手に取ってみると、その物体からはものすごい腐敗臭が漂う。
確実に、佳澄の足指から剥がれたアカに違いなかった。
それが指の間で醸成され、汗やらにおいやらが纏わりついたのであろう。
賢哉「うぅっ…、臭い!」
佳澄「えぇーっ、ヒドーい!」
その瞬間、佳澄の大きな足の裏が賢哉に倒れかかる。
すかさず、賢哉が両腕で支えるも、その重量に敵うはずもなく、賢哉は後方に倒れこむ。
そこに佳澄の大きな素足が現れ、賢哉を押さえつける。
佳澄も上手に力加減を調整し、賢哉が苦しくならないように適度な圧迫感を提供する。
佳澄「賢哉君、大丈夫? 苦しくない?」
賢哉「だ、大丈夫! だけど…。」
佳澄「だけど、どうしたの?」
佳澄は、足の指の間から小さな賢哉を覗きこむ。
賢哉「いや、佳澄さんの足、臭いです。」
佳澄「ま、失礼しちゃう!」
佳澄は再び賢哉を大きな足で踏みつける。
賢哉「あー、面白かった。佳澄さん、ありがとう。」
佳澄「いえいえ、この程度でよければいつでも声をかけてね。」
賢哉「うん、またお願いします。」
佳澄「じゃあ、元に戻すわね。」
そう言うと、佳澄はサイズ変換器を操作して、賢哉のサイズを元に戻した。
元に戻った賢哉の姿を確認すると、佳澄は自分の部屋に戻るべく玄関へと向かった。
賢哉(うーん、でも物足りないんだよなぁ・・・)
佳澄の素足を堪能したかに思えた賢哉ではあったが、だんだんと欲望を抑えられずにいた。
何とか佳澄との縮小プレイを継続したい賢哉は、目の前にあったサイズ変換器に手を伸ばす。
サイズ変換器を抱えた賢哉は、急いで玄関を出る。
そこには、今まさに自分の部屋へ戻ろうとする佳澄の後ろ姿があった。
その姿を確認すると、賢哉は急いでサイズ変換器を使って100分の1サイズまでに縮小する。
賢哉「っと・・・、変換機も一緒に小さくなるのか。」
サイズ変換器も一緒に小さくなったことに安堵しつつ、賢哉は猛ダッシュで巨大な佳澄の後を追った。
ズゥゥゥン
ズゥゥゥン
佳澄の巨大な1歩は、賢哉のサイズにして40~50mはある。
小さな賢哉にとって、佳澄に追いつくという作業だけでも大変であった。
やがて、佳澄は自分の部屋のドアを開けるために立ち止まる。
賢哉「いまだ!」
その瞬間を狙い澄ましたかのように賢哉は佳澄の運動靴の後ろに飛びつく。
しかし、佳澄は何も気づかないまま部屋へと入室する。
やがて、佳澄は巨大な足音を響かせながら自宅に戻り、どこかの部屋の中へと入っていった。
賢哉「ふうう。まずは侵入に成功できたぞ! 早速、佳澄さんを追いかけるか。」
こうして賢哉は、巨大な佳澄を探すべく、興奮する気持ちを抑えながら慎重に歩を進めた。
謎の女性「あら? 足元に何かいるわ。」
突如として、賢哉の頭上から若い女性の声が響く。
慎重に歩いていたつもりが上空からは丸見えだったらしく、賢哉のすぐ近くには電話で話をしている若い女性の姿があった。
賢哉「うおっ!! だ、誰だ、この人は・・・」
謎の女性「動いてる・・・?」
賢哉「おぉーい!! 佳澄さんのところに連れていって・・・」
謎の女性「虫ね。」
ズシイイン!!
謎の女性が言葉を発した瞬間、賢哉のすぐ近くに巨大な素足が振り下ろされ、一気に賢哉の方向へと向かってきた。
賢哉「へ? うわあああ!!」
ブウウウン!!
バチーン!
謎の女性の一撃により、小さな賢哉は再び玄関へと強制的に戻されてしまう。
賢哉の落下場所は佳澄の運動靴の中。
衝撃は少なかったもの、モワッとした熱気が賢哉を包み込む。
賢哉「あいたたた・・・。しかも、くさっ。」
謎の女性「佳澄ー。また、虫がいたわ。」
佳澄「明澄お姉ちゃん、本当? 梅雨時だから仕方ないかもね。」
謎の女性は、佳澄の姉の木下明澄というらしい。
賢哉は、佳澄の家に入ってそうそう強烈な洗礼を受けてしまったと多少の後悔をしたものの、佳澄に会えるまでの時間に期待が膨らんでいた。
しばらくすると、周囲が静寂に包まれたため、賢哉は佳澄の運動靴からひょっこりと顔を出す。
今度は前後左右だけではなく上空も見上げる。
確かに、周囲には誰もいないようだ。
自身の安全を確認できた賢哉は、再び佳澄の部屋を目指すべく、大きくて長い廊下を直走った。
*
8-2
賢哉は周囲に気を配りながら、注意深く進んでいく。
しばらく進むと、賢哉はキッチンで椅子に腰かけようとしている佳澄を発見する。
賢哉「あっ、佳澄さんだ!」
満面の笑みの賢哉は巨大な佳澄のもとへと走り、食卓の下へと潜り込む。
そこには、スラリと上へと延びた左脚の上に大きな右脚が組まれ、その先端の右の素足がぶらりぶらりと揺れている圧巻の構図があった。
賢哉「うおお・・・、す、すごい迫力だ・・・。」
充分に鑑賞に浸った賢哉は、早速、スリッパに包まれている佳澄の左足へと向かおうとする。
しかし、そのとき、佳澄の組まれていた右脚は解かれ、一気に床へと降り立ったのであった。
床一面に巨大な素足が作り出す影が出現する。
そして、その床に作られた黒い領域に、勢いよく佳澄の素足が着地する。
ズシイイン!!
賢哉「うおおおっ!!」
壮絶な地響きに賢哉は、慌てて後方へと走り出す。
着地した佳澄の右の素足は、程なくして持ち上がりスリッパ上空へと移動する。
ズン!
佳澄の足がスリッパに乗っかると、スリッパの先端付近が反り返って裏面を賢哉に見せつける。
やがて、グイグイと佳澄の素足はスリッパの中へと入っていき、自身の10本の足の指に力を加え、その巨体を立ち上げた。
こうして、ズシズシと足音を響かせながら、キッチンを後にしたのであった。
賢哉「大迫力だ・・・。このサイズはすごいな。」
佳澄の何気ない動作を100分の1サイズで見ることによって壮大なスケールを体感でき、賢哉は興奮のるつぼに飲まれていた。
賢哉「いやあ、すごかったなあ・・・、佳澄さんの巨大な足・・・。」
自宅に戻った賢哉は、ベッドに横たわったまま先程の光景を思い出していた。
佳澄の巨大な素足が繰り出すミクロの世界にすっかり虜になってしまった賢哉は、サイズ変換器に手が伸びる。
佳澄の足で妄想していた賢哉は布団に顔をうずめて感情を抑えながら変換器を操作する。
サイズは、先程が100分の1であったので、今回は200分の1の設定で考えてみる。
グングンと小さくなる賢哉は、先程の巨大な佳澄の姿を想像して薄ら笑いを浮かべていた。
ピンポーン♪
賢哉「!?」
賢哉が大急ぎで廊下に出ると、なんと、玄関には巨大な佳澄の姿があったのだ。
賢哉からすればはるか遠方に佳澄がいるため、佳澄の全身は霞んで見えていた。
そんな最中、佳澄は微笑みを浮かべながら、サンダルを脱ぎ廊下に歩を進めようとする。
自らが妄想していたときによもや巨大な佳澄が現れるなど思いもしなかった賢哉は興奮で冷めやらない状態になっていた。
佳澄「ごめーん。時計忘れちゃって・・・。」
佳澄がそう言い放った次の瞬間、佳澄の巨大な右の素足が廊下に着地する。
ズシイイイン!!
賢哉「おわわわっ!」
遠方からダイレクトに重低音が響き、その振動が小さな賢哉に伝わる。
そんな賢哉に構うことなく、続いて佳澄の巨大な左の素足が廊下に降り立とうとする。
ズシイイイン!!
佳澄「取りに来たんだけど・・・。」
賢哉「うおおっ!」
たまらず賢哉は体勢を崩し、その場に転倒してしまう。
やがて、小さな賢哉の方向にある部屋を目指し、佳澄の蹂躙が始まったのだった。
ズシイイイン!!
佳澄「誰もいないのかしら・・・」
賢哉「ま、待って、佳澄さ・・・」
ズシイイイン!!
佳澄「ま、いっか。部屋に取りに行こっと♪」
賢哉「僕が床下にいる・・・」
ズシイイイン!!
巨大な佳澄は猛烈な勢いで接近してくる。
先程、佳澄の家のキッチンで見ていた佳澄の素足には、まだおとなしさがあった。
しかし、目の前のそれは、慈悲の欠片も見当たらない野蛮さを有していた。
爪先に力を込めて歩くため、指先が一時的に白く圧迫される。
歩行に伴って床から離れる巨大な足の裏は、その皮膚の部分が実によく床に吸い付いている。
さらに体温が高いのか、爪先は赤々と怪しく色づいているため、土踏まずの白さがやけに目立つ。
ズッシイイイン!!!
賢哉「ぐわっ!!」
まじまじと観察している賢哉を諌めるように佳澄の巨大な素足はいよいよ眼前に迫る。
賢哉は、巨大な佳澄とコンタクトを取ることをあきらめ、大急ぎで逃げ出したのであった。
佳澄「勝手に部屋に入ってもいいかな・・・。」
佳澄はおそるおそる賢哉の部屋を覗きこむも、人の気配は感じられない。
そのまま部屋のフローリングに遠慮なく自身の汗まみれの素足で踏みつけていく。
ベタッ、ベタッ、ベタッ・・・
佳澄の歩いたあとには、素足から放たれる湿気で形成される足型が浮かび上がる。
その足型には、もわっとした強烈な足のにおいも残されていた。
小さな賢哉にとって部屋は、温度や湿気と共にいつ佳澄に踏み潰されるかもしれぬという危険も合せ、まさに地獄のような環境と化していた。
賢哉「うぅ・・・、くさい、あつい、こわい・・・。」
先程まで佳澄に抱いていた淡い妄想など消え去り、賢哉は恐怖に苛まれながら泣いていた。
佳澄「あれー、ないなあ・・・。」
ズッシイイイン!!
賢哉「うわっ!!」
ふいに佳澄の右の素足から激しい一歩が繰り出され、賢哉は上空へと舞い上げられてしまう。
賢哉の眼前に、しゃがみ込む巨大な佳澄の全景が現れる。
右膝を立て、左脚は膝を床につき、黄色のキャミソールからは小ぶりの乳房を覗かせた佳澄の姿に賢哉は思わず興奮する。
その最中、賢哉は体勢を整えようと必死に宙をかく。
佳澄「床に落ちてるのかな・・・」
そう佳澄が言葉を発すると、佳澄の巨大な顔が小さな賢哉目がけて接近してきた。
賢哉の前方は巨大な佳澄の顔で覆い尽くされ始める。
佳澄「ん?」
佳澄の巨大な2つの瞳が小さな賢哉をギョロリと覗き込む。
佳澄「フゥッ!!」
賢哉「うわあ!!」
佳澄は小さな賢哉に息を吹きかけて吹き飛ばす。
賢哉はなす術もなく吹き飛ばされ、佳澄の太ももへと落下する。
ポチョッ!
賢哉「ううっ・・・。」
落下の衝撃が残る賢哉の周囲が突如として暗くなる。
賢哉が上方向に視線を向けると、そこには広大な佳澄の手のひらが存在していた。
そして、何の躊躇もなく小さな賢哉目がけてその手のひらは落下を始める。
賢哉「へっ・・・? うわあああっ!!」
5本の長い指を携えたその広大な手のひらは、グングンと賢哉に迫ってくる。
バチイイイン!!
賢哉の周囲を巨大な肌色の物体が覆ったかと思うと、賢哉は再び上空へと舞い上げられてしまう。
運よく、賢哉は佳澄の指と指の間に位置していたため、叩きつけられた勢いで上へと浮かび上がったのだ。
再び、賢哉の前方を巨大な佳澄の顔が覆う。
ピトッ。
賢哉「はぁ、はぁ・・・。あれっ、ここは?」