それは落日 §  粗方荷物を運び終えた時、綾は麦茶を持って戸口に現れた。 「休憩にしようよ。引っ越し、終わったでしょ?」  ね、と促しながら、綾はちょこんと机の前に座り込んだ。子供のような体は、座るとますますちんまりしている。 「コウのために、一室取っておいて正解だったね。ここ借りる時、もしかしたら、って思ってたの。同棲したいなーって、さ」  トレードマークのサイドテールを揺らしながら、恥かしげにそんな一言。お互いの念願だった二人暮らしは、綾の家が舞台だ。  あぐらをかいて座る綾。いつもの通りにクピクピと細い喉を鳴らして、グラスを傾ける。 「しかしこんな図体の男がいると、この家も狭く感じるよ」  からかうように言って、あぐらのままユラユラ揺れる。その体は女性としても華奢で、俺たちはかなりの体格差カップルと言えた。俺が大柄なのもあるが、何より綾が小さいのだ。その姿は女子中学生にも見える小躯。そこに現れる女性的な起伏が、なんとも胸をざわつかせる。 「悪うござんした。んで、手狭な家に俺を迎えたのは誰だっけ?」 「あたしー。でもほら、ミアも怖がってる」  クスクス笑いながら、綾はドア口を指差す。  見遣れば、ヒッと怯える小さな影。40センチ程度の何かが、さっとドアの影に隠れてしまう。それからおずおずと覗いたのは、猫の小さな耳。続いて少女の顔が除けば、そのネコビトは不安げな顔でこちらを伺っていた。 「ご主人、その人、怖い人?」 「んー、まあ怖くないよ。デカイだけ。一緒に暮らすから、仲良くね?」 「……うん」  コクリと頷いてから、そろりと一歩部屋に入って来る。  それは、恐ろしく可愛らしいネコビトのメスだった。ダブダブのTシャツをワンピースがわりに着込んで、ギュッとその裾をつかんでいる。その髪は腰までゆったり長く、透明感ある白に輝いていた。その上には、怯えてしおれた耳が、三角の輪郭をこちらに向けている。  低い位置にサイドテールを結った、黒髪の飼い主、そして長い白髪の飼い猫。対照的な姿が目に映える。ミアと並ぶと小柄な綾も、ずいぶん大きく見えた。 「これからはコウもミアの飼い主だね」  綾が、そのぬいぐるみのような体を持ち上げた。猫目はやや不安そうにこちらを伺う。どうも簡単には懐きそうになさそうだ。人見知りなのか、男の大きな体格が怖いのか。しまいには恐怖心から震える威嚇の声を出す始末。  そんな敵意も、小さな体に宿れば可愛いものだ。懐いてくれればどんな一面を見せるのか、楽しみでもあった。  驚かせないように、ゆっくり手を伸ばして撫でてやる。途端に止む威嚇。そして、ふわりと手のひらに収まる柔らかい髪と、小さな猫耳が手に伝わった。緊張に震えさえする小動物は、ギュッと目を瞑って耐えるばかりだ。 「これは、慣れてくれるのに時間がかかりそうだな」 「ま、ミアは私にしか懐かないからねー。気ままな子だから、優しくしてやってよ」  俺は頷き、この人形のような猫から手を離す。大きめのフィギュアと変わらないその繊細な造形美は、美少女を縮めたようだ。長い髪の分幼く見えるが、ネコビトとしては成猫だろう。その髪を結ったら、或いは綾とそう変わらない歳の頃に見えるかもしれない。  それにしても、と思う。 「というかこの猫、下は穿いてないの? シャツ一枚?」 「ううん、ちゃんと穿いてるよ? ほら」  ペロリとシャツをめくり、中のスパッツをこちらに見せる。なんでもないような顔をする二人。股間にぴっちり張り付いた黒い光沢に、俺は思わずどきりとしてしまう。けれどそれは、人形の裸が目に飛び込んできたような驚きに過ぎない。所詮は猫の下着で、おまけにミアは小人だ。  僕は得心いったと頷いてから、顎でも撫でてやろうかと手を伸ばす。  けれどびくりと飛び跳ねたミアは、そそくさと扉へ逃げ去って、一度影からこちらを見ると、そのままどこかへ行ってしまった。 「アハハ、ずいぶん嫌われちゃったね」 「……まあ、すぐふてぶてしくなるのがネコビトだろ? 舐め腐った態度を取るまでそう待たんよ」 「そうね」  他愛ない会話。  その端々で、同棲という甘い期待を俺たちは分かち合う。  そうなれば、やることなんて一つだった。 §  小さな体だと思った。後ろから抱けば、その頭は俺の胸板に収まる。肩幅は俺の肩の間に包まれ、30センチはある身長差に、思わず壊してしまわないかと怖くなるほどだ。  それは、綾も同じようだった。 「おい、震えるなって」 「わかってるわよ。……本能かしらね、体がどうしても反応しちゃうの」  背後からその抱きとめた瞬間から、綾の体は小刻みに揺れ始めていた。小動物的な反応は、何度体を重ねても変わらない。体格差は、女性の恐怖心を掻き立てるのに十分だった。 「やめようか?」 「わかってるでしょ? ……乱暴にしてもいいくらいよ」  綾自身はケロリと言ってのける。その細い肩が揺れるのを、内心綾ももどかしく思っているらしい。  ならば。  俺は構わず、服の上から綾の体をなぞった。右手は下半身に、他方は胸を目指して。  そして、綾の確かな存在感を探っていく。  抱きしめれば折れてしまうほどの体、不安になる腰のくびれから、柔らかな弧を描いてずっしりとした臀部が広がり始める。登っていく左手はその乳房に阻まれ、母性の重い膨らみを知った。  この瞬間、俺はホッとする。  そのまま体を弄れば、俺は綾のあまりに華奢な体に、強い肉付きを見出す。スカートを押し拡げるデカイ尻に、頼もしい重みを感じさせる巨乳。その膨らみは共に俺の手のひらにさえ収まらず、鷲掴みにしても指からあまるほど。その太ももの手応えに俺は安堵し、それを糧に劣情は燃え上がる。  もはや綾の体は不安を誘うどころか、俺の激しい衝動をぶつけるにふさわしい器となった。豊満なバストを揉みしだき、焦らすようにその下腹部を撫でていく。  後はもう、流れが俺たちを連れ去るばかりだ。  綾をベッドに押し倒し、その服を解いていく。  シャツから露わになる白い肌。スカートの中には黒いショーツが覗き、すでに湿り始めているらしい。バサリと綾が髪紐をほどけば、枕に広がる黒髪、染まる頰に潤む瞳、肉厚の唇から吐息が漏れる。  そんな姿、雄に見せるものではない。  発情した顔に、俺は唇を重ね貪った。手はしっかりとショーツを包み、手の中の膨らみをほぐすように揉みしだき始める。  ブラを解けば溢れる乳房は、重力に潰れて輪郭を円くし、吸い付くと巨大なマシュマロでも頬張ったような、柔らかさに甘やかさ、それが顔全体に沁み通る。  雄の貪る音に、雌の善がる音。湿り気を帯びる室内には綾のフェロモンが発散され、それに呑まれるように俺は女体にのめり込む。 「挿れるぞ」 「……うん」  子供のような体が、薄暗い中でコクリと頷く。俺はそんな真っ白の裸体に跨り、太ももの間、その付け根へと、屹立したモノを押し込んでいった。 「んぐッ……ん゛!」  隘路に、ミチミチと巨大なものがねじ込まれていく。そうすれば小人の体は跳ね、それから苦しそうにシーツを掴む。俺の腰が綾の腰と逢着すれば、もう綾の胎はパンパンだ。 「き、きついって……ッ!」 「我慢しろ、よっ!」   乱暴に腰を振れば、絞り出される綾の声。それが嬌声か悲鳴かは綾にもわからない。それでも、立て続けに俺は腰を振った。小さなものを思うがままに汚し尽くす、その征服感が快感だった。その声を聞けば、なにか背徳的な行為に及んでいる錯覚に襲われる。小さな体がくねるのを見ると、嗜虐心は嫌が応にも燃え上がった。そしてそのバウンドする乳房を見て、劣情に更なる火が灯る。  壁に移る人間の交尾の影。甘やかな声に激しい水音。嗜虐心と被虐心がないまぜになり、人間二人が享楽に落ちていく。  部屋の片隅に震える、仔猫を忘れて。 §  同棲生活は順調だった。  あれから一月は経ち、家事の分担も、二人暮らしの生活も馴染みあるものに変わる。共に起きては食事をし、語らい、体を重ねた。そんな日々が続いている。  どうも一つ、引っかかりはあったが。  案の定、ミアはふてぶてしくなっていった。  いや、憎まれているのかもしれない。  一度思い切って俺を拒絶して以来、ミアは俺に刃向かうことを覚えた。とはいえ、それは猫にありがちな反抗というもので、物陰から俺を睨め付けたり威嚇の唸りをあげたりする程度だ。俺にとっては何の意味もない。引っかかれたりしたらたまったものではないが、一度戒めて以来はすっかり大人しくなった。  しかし、懐かないことに変わりはない。  これが、小動物の本能なのか勘なのか、或いは俺に非があるのかもしれないが、とにかく俺が苦手らしい。  ……猫と思って、扱いがつい乱雑になるきらいは否めない。  部屋に勝手に入って物色されたり触られたりして、きつめに叱りつけたことはあった。ネコビトに占有スペースの概念はないから、無理からぬことではある。とはいえ躾は躾だ。そこに特別非があるようには思えなかった。  その訳が分かるまでに、いっときを費やすことになる。  果たして。その訳を明かしたのはミアの方だった。  ある時、机に向かう俺の前に躍り出て、ミアは渾身の力を込めこう叫んだ。 「ご主人に偉そうにするな!」  震える体を必死に立たせ、机の上でミアは涙目にそう訴えた。俺に馴れてからも、ミアには勇気のいる行動なのだろう、ずいぶん怯えている。そんな小動物を、まじまじと俺は眺めた。 「偉ぶってなんかない。それより、机に立つなよ」 「ボク、お前が嫌いだ」 「わかったからそこをどきなさい」 「いやだ!」  そんな人形大の小人を、俺はひょいと摘み上げる。恨めしげな猫の視線も無視して、ぞんざいにベッドへ放り投げた。背後でキャッと悲鳴が上がる。 「い、痛いじゃないか!」 「お前が邪魔するからだ」 「お前が悪いんだ!」  ハァ、とため息をついてミアの方を振り向く。ミアはベッドの上で毅然と俺を睨め付け、飼い主を守らんと必死だ。こうなると猫より忠犬に近いかもしれないが、その猫耳と愛くるしい姿は猫そのもの。これを前にすればどうにも気勢を削がれる。 「ご主人ご主人って、俺も飼い主なんだからちったぁ弁えて欲しいんだがな」 「飼い主でもお前はご主人じゃない。ご主人はボクのだぞ! お前みたいな乱暴者なんか、ご主人には似合わないんだ!」  結局、これが本音のようだった。愛する主人を奪われたようで寂しいのだ。小動物特有の喪失感は、俺には俄かには理解しがたい。  だから俺はさとすように言ってやった。 「俺はお前から綾を取り上げるつもりはない。ほんとだぞ? だからそんなに拗ねるなって」 「拗ねてない!」 「……お前、可愛いやつだな」  急に情が湧いてきて、撫でてやろうかなんて思った。優しくしてやれば、少しは懐くかもしれない。  しかし、突如伸びてきた巨人の手に、仔猫はびくりと飛び上がる。 「さ、触るな!」  金切り声。  その瞬間、ピリッと痛みが走った。 「お、おい!」  小さな口で、ミアがカプリと俺に噛み付いていた。逃がすまいとするように俺の腕にしがみついて、なるほど、獣らしい動きだ。俺の腕より細いくせに、食らいついたら離さないぞと言わんばかりに牙を突き立て、喉元を食らっているようなそぶりをする。  俺は腕を振って無理やりミアを振り落とす。ぎゃっと可愛らしい悲鳴が上がって、僅かに良心が痛んだ。 「おいおい、腫れたりしないだろうな、ったく。あんまり舐めた態度取ると怒るぞ?」  消毒液を探しうろつきながら、ペットにに忠告してやる。とはいえ奴は涼しい顔であぐらをかき、ペロペロと乱れた毛並みを整えていた。猫のふてぶてしさには呆れるばかりだ。 「ちったぁ謝ったらどうだ?」 「ふん。謝るのはそっちの方だ」 「……綾のやつ、躾くらいちゃんとしろっての」 「ご主人は悪くないよ。ボクをこんなに怒らせたお前が悪いんだっ!」  いい加減怒鳴りつけてやろうかとも思ったが、小鳥のような姿を見ればそんな気も失せるというもの。トラウマになったら不憫なこと極まりない。 「ご自慢の牙なんて人間様には通用せんよ。綾みたいな華奢な女ならいざ知らず」 「言うがいいさ」 「……物分かりの悪い奴め」  そう言い遣ればミアはニッと笑って、軽々ソファの上に飛び乗った。 「それはお前の方だよ。ヒトは、ボクらがどんな生き物かまだ知らないんだ。ふふっ、ボクを怒らせたら怖いって教えてあげるよ。後で泣きついたって、絶対、ぜーったい許すもんか!」  捨て台詞を吐いて部屋を後にする。尻尾を巻いて出て行くとはこういうことか。口だけは達者なネコビトに、俺は苦笑するばかりだ。    そんな、哀れなやり取りだった。  やるときはやらねばならない。  実行するなら、先手を打って。  そんなことも知らなかった。  それが、あの時の俺だ。  哀れなほどの無知蒙昧。  悔やんでも悔やみきれない1日が、これだった。    今ならわかる。  ミアの方が、遥かに賢かった。 §  一言で言おう。  波乱が始まった。 「……まあ、死ぬわけじゃないし。元気出してよ」 「……これが平気でいられるか」  背を向けたまま、綾に悪態をつく。 「死んじゃいないがおしまいだ。終わっちゃいないが詰んじまった。わかるだろ? お前を養うどころか、……ックソ!」  拳を握りしめる。そんな俺を綾は背から抱きとめた。  俺はその腕を乱暴に振りほどく。  我慢ならなかった。  綾の同情が?  違う。綾がほかにどんな態度が取れるって言うんだ。哀れなのは間違いない。  しかし、惨めさを焚きつけるその無神経が、我慢ならなかった。  惨めだろう?  だって、俺は今、綾の背と変わらないのだから。  俺の体は縮小の病に侵されていた。LSSなる、例の奇病だ。  そんな病の理不尽さから、俺は理不尽な怒りを綾に向けた。 「綾は気楽でいいもんだ。女だからな。怖くないだろ?」  すっかり成長期のガキみたいになった体で、綾に叫んだ。けれど、綾の顔は見れない。自分よりやや背の高くなった綾を、見たくなかったのだ。 「進行は送らせられるわ」 「でも、治らない! そんなの誰でも知ってる。誰も逃げられない! 一人もだ!」  もう子供のような背丈になれば、去勢されたようなものだった。  俺ももう病人だ。ピンピンしてるくせに難病の身だ。奇病であっても希少でなく、だのに自分は大丈夫と思っていた。  その報いが、縮小病なのか。  ふざけた名前が笑い草だ。  積み重ねた奢りの分、俺の体は小さくなっていく。 「どうしていいかわからないけど、現実的なことは考えてあげるから。暮らしは私が支える。心配しなくていい」  膝をついて俺と向かい合うと、しっかり俺の腕を掴んだ。いざとなったらウェットな俺に、サバサバとした綾の行動力。自嘲に満ちた心では、それさえ情けなく感じる。  その時、ハッと気づいた。 「ミア……」  突如現れたネコビト。LSSのパンデミック。ミアの呪い。全てが頭の中で結ばれ、一気に一つの像を作る。  俺は猛然とミアを探し求めた。 「ミア! ミア! 出てこい!」  果たしてソファに丸まるミアを見つけた時、俺は怒りに任せて飛びかかった。 「ぎゃあっ!?」  眠りこけてたネコビトは、突然のことに金切り声を上げた。  いくら小さくなったとはいえ、俺は小柄になっただけだ。ネコビトの数倍はある。そんな巨人に襲われ、小動物はなすがままだった。  小人のメスを締め上げる。足はバタバタと俺の腹を蹴り、それでもその非力さに俺は確かな手応えを感じていた。 「離して! 離してよ!!」 「ふざけやがってこの畜生! ぶっ殺してやる!」  ひっとミアは息を飲む。 「ただで済むと思うなよ」 「やめて! ボクを離して! じゃなきゃ、か、噛むよ?!」  咄嗟に放たれた言葉に、一気に巣に戻される。かてて加えて、俺は青ざめてさえいた。ペットの一言に、俺は脅されたのだ。  まだミアは俺の四分の一程度の体。しかしその重さは以前の2倍ほどもあり、その牙に刺される恐怖はさらなる絶望を催すことは必至だった。  ミアの言葉は、あまりに重く俺の腹に落ちていく。  そこに、綾が駆けつけた。  「何してるの!?」  慌てて俺をミアからもぎ離す綾。そしてミアを腕に抱くと、思いっきり俺を睨め付けた。 「バッカじゃないの? 腹いせにミアに当たり散らすわけ? 恥ずかしくないの? ミアを虐めるならとっとと出て行きなさいよ!」  まくしたてる綾。前よりずっと近くから放たれる言葉に、俺はしばらく押し黙ってから、 「いや、わ、悪かった。少し取り乱したんだ。……すまん」  少しも納得してはいない。未だに殺意は消えてない。けれど変化は着実に俺の心を蝕んでいた。  目前にある鋭い視線。下から輝く猫の殺気。少なくともこの二人が一緒なら、ミアに報復など叶わない。 「次何かしたら許さないから。……ね、ミア、大丈夫?」 「……うん。ボクは平気」  ほっと綾は息を吐き、ミアを床に下ろした。 「ミア、おいで?」  そして、キッと俺に目をくれてから、部屋を出ていく。  女の後を追うメス。  その足が部屋を出る、直前。ミアはきびすを返して俺のそばの机に飛び乗った。 「……ぼ、ボクをいじめたら、もっと酷い目に遭うからね? ご主人に毒のこと話したら、ガブってしちゃうんだから。そしたら、もう虫みたいになっちゃうの、わかるよね?」  震える声で、けれどしっかり俺を脅していく。その言葉に勇気付けられるように、猫娘は元の表情に戻っていった。  それから、牙を見せつけるように小さな口を開けて、俺に耳打ちする。 「今日のこと、許してあげないんだから。まだコウはおっきいだけど、ネコビトはケモノなんだ。そのこと、よく覚えておくがいいさ」  そして踵を返す。  残された俺は呆然としながらも、もはやミアに報復など出来ないこと、それだけを愕然と悟らざるを得なかった。 § 「まあまあ、ちっちゃくなっちゃったこと」  腰を折って、綾は俺に言葉を落とした。 「もう70センチくらいかしら。まるで赤ん坊ね」 「そのくらいにしといてくれ……」  俺は俯きがちに綾を見やった。  そうすれば、左右に広がる綾の肌色。  真っ裸の、綾の太ももがあった。  ……それは、体を重ねようとした矢先のことだった。  突如発作を起こした俺は、綾の上でみるみると縮み、どうしようもなく泣き叫んでいた。体を必死に引きとどめようと綾の肩を抱き、しかし足先はどんどん綾の太ももを通り抜けていく。俺の下で乳房は膨らんでいった。鎖骨がどんどん遠くなり、腕の中で首は膨らんで、綾の顔が遠くなる。そして、ささやかな陰毛に足の甲が触れて、ようやく止まる気配を見せた。  そんな時には、俺は元の半分以下、綾の半分にも劣る体となり、静かに上下する彼女の呼吸に揺られるばかりだったのだ。  ……立ち上がった綾が、ベッドから俺を下ろした時。目に映ったのは頭上から隠毛に見下ろされる光景だった。その景色を俺はきっと忘れない。子供から赤子以下へ。4歳児でも100センチはあるというのに、俺は70センチ有るか無いかの体で、小柄な女に跨ぎこされていたのだ。 「あら、何を今更恥ずかしがるのかしら? もしかしておっきい私の体、見惚れちゃった?」 「う、うるさい」  クスクス笑う綾。小娘のようなその言葉は、しかし間違いなく図星だった。  真下から見上げる綾の体は、まさに女神のようだった。これまで小ささで隠れていた体の起伏が大きく現れ、そのプロポーションの良さを教えられたのだ。  目の前にある太ももは、抱えきれないほど太い、ムチムチの塔だった。抱きつけば頭を撫でる隠部は、造形も美しく、陰毛さえ細やかな絹糸のごとく、風に揺れている。  そして、正面からでも存在感を溢れさせる巨尻。背伸びしなければ届かないその膨らみが、巨大さからか、引力さえ醸し出している。  天使に見惚れる俺。そんな俺に頭上から落ちる影は、もっちりと柔らかい乳房の輪郭だった。  上空には綾の乳房がデンと控え、その下半分が俺を見ている。その上側はもう、隠れて俺からは見えはしない。綾が僅かに体を傾けて、ようやくその瞳が影から顔を出す始末だった。  透明感あるピンクに染まった乳首が二つ、俺を見下ろしているのに気付くと、ようやく俺は恥ずかしさに目を伏せる。 「うふふ、こんなにちいさいと母性本能がくすぐられるわね〜。 はい、なでなで♪」  身をかがめた綾が、長い腕を下ろして俺の頭を撫でてくる。若葉のように小さかった手が、俺の頭を優しく包み込んだ。そして優しい姉のように、慈母のように俺を撫でるのだ。その度、重い乳房がぶんっと揺れて空を切り、ぶつかり合う湿った音と風で俺を包んだ。  ……俺は己の屈強さを誇っていた。男の中の男だとどこかで自認していた。それ故、この仕打ちには思わず怒気を孕まずにいられない。 「おい、やめろったら!」 「あらいいじゃない。恋人なんかより、もう私の子供になっちゃいなよ」  怒鳴り声は飄々と交わされる。他意なくゆったり笑う綾を見れば、怒りも失せ、俺はムッとするだけで言葉もない。すでに綾は、俺を幼児とでも思っている節があった。しかしそれを、否定するだけの力は俺にはない。 「まあさ、楽しみなよ。私なんかよりちっちゃくなる男なんて他にいないよ?」  そうして俺を持ち上げると、やっと目線を合わせることができる。が、その柔和で大きな瞳に真正面から見つめられると、どうも気恥ずかしくっていけない。 「こ、子供扱いしないでくれよ」 「あっ、それ一度言われて見たかったんだよね〜」  抗議しても暖簾に腕押しで、やすやすと俺を抱き上げる綾のなすがままだ。 「ほーら、高い高ーい!」 「ヒっ!? や、やめてくれ! 怖い!!」  傍目には、幼児を持ち上げる子供のような綾。しかし俺にとっては3メートル以上もある2倍巨人だ。その腕の先に掲げられれば三階の高さぶら下がっているに等しく、そのまま振り回されると綾の手だけが命綱だった。  けれど見下ろすと、包容力ある体に目が留まる。ここに飛び込めば怪我さえなく包み込まれるだろうという安心感が、そこにはあった。  綾は、頭の先だって俺の肩にも届かない小娘だ。いくら体つきは女でも、スケールが小さければ豊満さだって見えはしなかった。  その母性が今、ようやく俺の前に現れたのだ。 「……お前、胸デカかったんだな」 「お、嬉しいこと言ってくれるのね。じゃあ、ご褒美あげちゃおっかな?」 「ご褒美?」 「そう、ご褒美、ほーら、ママのおっぱいでちゅよ〜」 「!? やめ……ぅぐぅっ」  嫌がる俺に、綾は巨大な乳房を押し付ける。長身の俺の手からさえ溢れた胸だ。豊満な綾のバストは、もはや俺の顔などよりずっと大きく重く、そんな巨乳を押し付けられれば小人の頭などまるごとその乳の中に包まれてしまう。  まるでマシュマロのような柔い肉の海。ケラケラ笑う綾の声が乳房から注がれ、俺をいっぱいにした。そして、唇を綺麗な乳輪が覆い尽くす。そのままぷるんっと乳頭が口を犯せば、もう抗議の声も出せはしない。おしゃぶりか猿ぐつわのように、乳首は口いっぱいに膨らんで、少しも俺を離さないのだ。 「アハッ! ほーら、おいちいでちゅか〜。コウちゃん、ママのおっぱいもらえて幸せでちゅね〜」  赤ん坊を抱くように腕に寝かせられると、いよいよ俺は乳房に潰され動けない。片乳に顔を包まれ、もう片乳はずっしり腹にのしかかり、綾の乳房の下敷きなのだ。完敗だった。  ゆらゆら揺られるその都度、荒々しくバストは俺の上で踊った。ハリはぶるんと飛び跳ね、柔らかさで押し広がると俺の体を包み込む。  口に甘い乳首を、思わず俺は吸ってしまった。その瞬間、「きゃー!」と綾は喜びの声を上げて俺を嗤うのだ。 「やっぱりコウちゃん、ママのおっぱい欲しかったのね〜。たーんとお上がれ。もうコウちゃんはママの赤ちゃん。そうでしょ? なんにも恥ずかしいことなんてないのよ?」  そして、散々乳房で俺をいたぶったのだ。  押しのけようとしても乳房は重くて歯が立たない、おまけに腕は肌に呑まれて、指先から痺れるような感触が俺を襲った。母性の塊は媚薬と同義だ。どんどん俺は綾の母性に犯されていく。  どうしようもなく俺は綾のおっぱいを吸ってしまった。巨大な球を抱きしめ、チュッチュと音を鳴らして吸ったのだ。だんだん乳首は口の中で膨らみ弾力を増して、ますます口の中から出せなくなる。舌を押しつぶし、口内いっぱいに広がる母性の暴力。原初的な体験に頭がおかしくなっていく。 「よしよ〜し。コウちゃん、おっぱい大好きでちゅね〜。吸われてママも気持ち良いよ♪ このまま潰してあげたいくらい♪」  全身でおっぱいに抱きつく俺を、綾は嘲るように慈しむ。そしてギュッと、ギューっとおっぱいで我が子を埋め尽くすと、子供はピクンと跳ねて快感に震える。  そしてそのまま、だらしなく白いものを垂らしてしまった。 「あーあ、コウちゃんもう出しちゃったの? せっかち。じゃあいいわ、私も一人で遊ぶから」  ストンとベッドに座る綾。白い汁を拭いてしまうと、不満げに唇を尖らせる。 「なんというか、ね、張り合いのない赤ちゃんだわ。だったらいいよ、私、自分でするから」  そういうや否や、突如俺を押し倒す。 「な、何を?」  俺に跨る巨体に、俺は戦々恐々と尋ねる。綾の尻だけで体半分を埋められるほどの体格差だ。正座になった綾の脚のクッションがなければ潰されてしまう。巨人の脚の間に置かれただけで、俺はまるで無防備なのだ。 「だから、一人で遊ぶんだって。コウくんの体は借りるけどね」 「何を言ってるんだ?」 「まあすぐわかるって」  そして、綾はゆっくり唇を舐めていく。目はすでに捕食者の目だ。 「いただきます」  クスリと艶笑すると、綾はズンっと勢いよく俺にのしかかった。  小人の叫び。  しかし巨人は構うことなく股を振り始める。  しばらくヌチヌチと腰を振る巨人。  しかし物足りなさそうに呟くと、 「コウの、膣の途中までしかはいんないじゃん。これだったら、クリに当てた方が早いかな?」  そう言って腰を浮かす。  俺は押しつぶされた肺で必死に息を吸い込むと、呻くように恨み言を吐こうとした。  しかし、それも叶わない。 「よしっ♪」  俺のものを膣口からヌプリと抜き出し、大陰唇の上部へあてがう。そうすれば、ペニスは肉厚の唇に挟まれ、その付け根で綾の陰核にぶつかった。 「じゃ、いくね」  それからは地獄だった。  巨体が俺の上で揺れるたび、「ズドンっ!」と陰核にペニスをぶち当てられる。それは確実に綾を喜ばせたようだが、俺は亀頭を責められ続ける生殺しだ。下の柔らかな口に舐めまわされむしゃぶりつかれるのは、極上の快感を伴った。しかし、イけないのだ。それは本当に、綾の一人遊びだった。  愉快そうに綾の巨乳が空で跳ねる。バウンドしては嘲笑うように、俺へ汗を叩きつける。解かれたサイドテールは宙で広がっては閉じ、ニヤニヤ笑う綾の顔の周りで踊った。  巨女に組み敷かれる情けなさが胸に渦巻く。下半身は綾の股に飲み込まれ、怒張したペニスが、綾のクリをいじるためだけに動員されていた。ヌッチヌッチといやらしい音はする。綾の揺れる乳房や体は性的で、汗はフェロモンを蒸発させて俺を酔わせた。確かな快感はある。絶頂さえ近い。しかしそこを通る鍵は綾の手の中で、意地悪く見せびらかしては独り占めされるのだ。  「〜〜っ!」  愉快そうな綾の嬌声。  それから声にならない声が響き、どちゃっ、と、綾は俺の上に墜落した。 「ぐ、ゥ!!」  抜け出そうにも抜け出せない巨大な裸体に、俺は泣き叫びたくなるほどの恐怖を覚える。ちっちゃな体の下敷きになり、押しのけも出来ないのだ。  しばらく余韻に浸る綾。  そして最後に、満足の吐息を一つ吐く。 「じゃ、今日はこのくらいにしよっか」  むくりと起き上がると、パッと笑ってそんなことをのたまった。 「お、おい、置いてかないでくれよ」  突然のことに、俺はまごついてその顔を見上げる。座ったまま綾は大きく伸びをしていた。  そのまま片目で、立っている俺を見下ろす。 「だってさっき出しちゃったじゃん」 「……あんなことされたら、したりねぇよ」  そうするうちにも、綾はすでにショーツを履き始めている。  紫のレースで下半身を隠す綾。それからこちらを見やると、俺の切羽詰まった顔にプッと吹き出した。 「あははっ、そんなに良かったの? コウくんのマゾっ♪ ……じゃあ、ねぇ」  うーん、と少し唇に指を当てて考える。それから綾はにっこり笑って、 「じゃあ、お尻貸したげるからさ、コウも一人でやっててよ。私ちょっと眠くなって来ちゃって」  ふわぁと大きくあくびをして、綾は何でもないように言い放った。 「そ、そんな! あんだけ付き合ってやったのに放置かよ! っておい! 聞いてるのか?!」  聞いてる聞いてると言いながらも、綾はゴロンと巨体を横たえる。嫋やかな背中がベッドにくねり、俺にその巨尻を向ける。 「おい、寝るなって……」  俺は力なく言う。かつて必死に俺のものを咥えていた女が、今では一通りおままごとをして、満足したらこの仕打ち。あまりの落差に動揺を隠せない。 「おいっ、て……寝ちまった」  しかし返事はない。  俺は仕方なく、綾の裸体に近づいていった。  もう寝息さえ立てている。  熟睡だった。 「こんな巨体、絶対おこせねぇな……」  片手で抱えられた華奢な体が、今では3メートルを超える巨人に見える。  うつ伏せのその体を揺するも、微動だにしない。諦めたように俺はその臀部に視線をやった。  巨女のヒップはバランスボールを二つ並べたほどの大きさだ。触れれば、特大の風船に水をパンパンに詰めたようなハリが手に伝わってくる。どっぷりと大きな尻は弾力を持って俺の手に応え、柔らかな香りと熱を溢れさせた。  ショーツに包まれた尻の手触りが、戸惑うほどに煽情的だった。汗でしっとりとした肌に薄布は張り付いて、割れ目に食い込んでいる。そのラインが巨大な丸みを強調し、男を嫌でも惹きつける肉感を滾らせた。  こんな美尻を、好きにしていいのだ。  そう思うと、俺は堪えきれずその巨尻に飛び込み、全身で抱きついた。太ももの間で膝をつき、腹から腿までをぴったりそこに潜り込ませる。胸は割れ目に挟まれ、顔はショーツに押し付けた。それから、双子の山に沈み込む。これだけで極上の女体を感じられた。  綾の汗でショーツが濡れていた。尻肌もまた湿り気を帯び、俺の体に絡みついて飲みこまんばかりだ。一度貼り付けば離れられないのではないかと思うほどの密着感。尻肉の一部になった気分だった。  俺を尻に乗せた綾は、眠り、子供のような吐息を吐き、華奢な体を横たえている。本棚にさえ手が届かず、人混みに容易に押し流されるような女が、しかし今俺を尻に貼り付け眠っているのだ。綾はもはや尻の重さでさえ俺に勝る巨女となり、俺は小娘にさえ跨ぎこされる存在だった。そんな巨女と小人が、ベッドの上で重なり合う。  腕を広げれば、その丸みが腕を押し上げた。球面を撫でれば手にはキラキラと汗が浮いて、フェロモンを肌に染み込ませてくる。そして巨尻にかぶりつくと、確かな弾力が口や舌いっぱいに広がった。まるで歯が立たないものにかぶりつく無力感が、俺を貫く。それを追うように、甘やかな香りが俺の中を駆け巡った。尻は俺の頭を受け止めてはどっぷりと揺れ、長い揺れで俺を翻弄する。  もう止められはしない。  俺は綾を犯そうと、無理やりショーツを引っ張り下げた。爪を立てれば破れてしまいそうな紫のレースを、全力で引っ張ったのだ。しかし巨尻でパツパツに張り詰めた布は、狼藉者から主人を守り一歩もひかない。そのあまりの張力で、俺を無力感に陥れた。  俺は仕方なく、綾の上を這い登る。ショーツさえ脱がせないなら、潜り込むほかない。情けなさを燻らせながら、嫋やかな背中に乗る俺。まるで寝る主人の上に立つ猫だ。そんな姿勢から足を伸ばし、女物の下着の中へと体を滑り込ませていく。  足を包み込む、すべすべの布ともっちりした肌。張力と弾力に阻まれながら、なんとか小さな片足をねじ込んでいく。次いでもう片足。両足を拘束されると一気に束縛感が増し、直接なだれ込む巨女の体温が仮借なく俺を炙った。しかし引き下がれない。そのまま体を滑り込ませていった。 「き、きつい……」  綾の背に、全力で腕を突っ張らせた。  ヌルリと体が滑り出す。 「もうちょっとか……、ぅあっ?!」  その瞬間、思わず声が出てしまうほどの感触が俺を襲った。  はちきれるような尻に貼り付けられ、汗をローションにしてその表面を滑ったのだ。そうすれば一気に柔肌で体は撫で上げられ、強烈な質感で俺を抱きしめる。すでに怒張したペニスはケツの割れ目に入り込み、ギチギチに詰まった強圧でむしゃぶりつくされた。ショーツからはみ出た脚は綾のぶっとい太ももの上にちょこんと乗っかり、下着でねじ伏せられる俺は、真っ白な背中の海へと溺れていくばかり。  そこにあったのは、女の尻とパンツの間に挟まる、目を覆うほど惨めな男の姿だった。  しかしそんなことに気も回らないほど、俺は綾の巨尻に夢中だった。  真っ白な尻は小人を乗せたままぶるりと震えた。色っぽいレースは俺の体を包み込み、染み込んだ綾の液で俺を濡らす。俺の体は尻という圧搾機の中にめり込み無限の尻圧に締め上げられつつ、その感触を余すところなく味合わされていた。  動くこともできず、俺は彫刻のような綾の背中へと顔を埋めた。背筋に走る谷間は汗を煌めかせたまま俺の顔をはまり込ませる。俺の伸ばした腕と脇の間からは、こんもりと肉の山が二つ聳えて小人を嘲笑い、綾のむちむちの太ももも、鉛筆のような俺の足を侍らせ悠然と横たわる。  まるでショーツの一部になって綾に履かれているみたいだった。もう女の尻の上で、俺は何をすることも出来ないのだ。  しかし、綾の尻は俺のペニスを咥えて離さない。融けるほどの体熱がたぎる尻の中で、ペニスは挟み潰されそうになりながら離してもらえず、生殺しの快感に亀頭を責め続けられていたのだ。  俺は女のように喘ぎ始めた。でっかい尻は俺をめり込ませ、蕩けるような柔らかさで俺を包み込む。それは、ねっとりとフェラされたまま動かしてももらえないのと変わらない。綾の巨尻はニヤつく顔で俺を嗤った。寝ている綾の尻に、俺はあまりに惨めな一人遊びを強要される。  抱きついた綾の背中に突っ伏したまま、俺はなんとか腰を動かし始めた。紫のショーツがわずかに揺れる。そして、鳴くような男の喘ぎ声が漏れ出した。  ミチミチの尻の中でペニスを動かす、その一瞬一瞬が電撃となって俺を貫く。汗のローションでペニスを舐められ、尻の膣圧は陰茎に吸い付き離れない。そして、ショーツの中、女に穿かれるという無力感が俺を啼かせた。不自由を強いられながらの惨めなオナニーが、俺をくすぐってやまないのだ。  命令すればついてきた女。抱くだけで震え上がったか弱い女。そんな女に下着同然にされて、無意識に辱められるのが今の俺だ。女を手玉にとることさえ容易い大男が、もはや女に相手にもされず眠る尻に犯されている。それが、どうしてこんなに気持ちいいのか。快感でペニスが破裂しそうだった。巨根とさえ言えたペニスは、もう綾の尻肉の奥をかするかかすらないかの長さしかない。その惨めさに喘がされている。それがどうしようもなく快感なのだ。  俺はもぞもぞと綾のショーツの中でもがいた。真っ白な背中にだらしなくよだれを垂らし、あるいは顔を埋め、あるいは愛おしさから舐めてはキスをし、忠誠を誓った。そして快感に感謝しながら、なかなか許されない身動きのたびに犬のごとく喘いだのだ。  惑星のようにさえ見える巨尻の上で、俺は芋虫も同然だった。綾が少しでも尻に力を入れたら、俺のものなど破裂してしまうかもしれない。それがどうしようもなく恍惚を誘った。そしてドロドロに溶かされるような坩堝を、必死にペニスでかき回しては啼くのだ。  俺はヘコヘコと腰を動かし続けた。尻の上をわずかに滑ることしかできないセックスだった。丸みに張り付き、白玉のような肌にからまるたびに感じさせられた。  どんどんペニスに溜まっていく疼きと性感。汗のローションでしゃぶられ尽くされ、尻圧に握りつぶされ、ありがとうございますとよだれを垂らす。  そして、お疲れ様と尻の揺れに潰された時。  俺は失神ものの射精に狂わされた。  尻の中で爆発する陰茎。それを尻肉が難なく押し戻すと、快感は俺の中に逆流した。そして脳髄までをかき混ぜられると、ビクビクと痙攣したまま俺は、水音を立てて綾の汗まみれの尻に倒れこむ。  しかし、それだけでは許されなかった。 「ん、ぅぅ……」  かすかな寝声とともに、ぐらりと大地が傾き始める。  華奢な女の、軽い寝返り。寝室の片隅で、小娘が愛らしく仰向けになる。  尻にひっつく虫をあっという間に押しつぶして。  傾く体の影の中で、俺はやっと尻から解放された。そして次の瞬間には、「ズダンッ!」と音を立ててその巨体にねじ込まれたのだ。  ペニスどころか、今度は体全体が尻の中。背中と尻に押し潰されて、俺は本物の圧迫に襲われる。  悲鳴さえ広い背中に潰されている。  そして深い深い挿入。声もならない射精が、断続的に俺を破裂させた。 「綾! 出し、うぐッ、出してくれ! 壊れちまう! あ、ッ〜〜!!」  情けない悲鳴は細い背中にくぐもり届かない。ただ、綾の少しばかりの身じろぎを惹起しただけで、綾を起こすことなど到底無理だった。  そんな身じろぎひとつで、イッたばかりのペニスは暴れてしまう。  もう全てを出し尽くしたって、極上の女体は許してはくれなかった。  存在するだけで2倍の巨女はエロチックだ。その裸体に組み敷かれた時、もはやその圧倒的重量だけでも射精を誘うには十分だった。  かつて片手で抱き上げていた娘、その尻踏み潰される屈辱が、俺を虫にする。あまつさえそのショーツと生尻の中に閉じ込められる無力感。狂わないわけがなかった。  綾の無意識に、俺はいつまでも絞り取られ続ける。巨大な女性はちたすらエロかった。それを骨身まで教え込まれた。俺は無力なのだと、その身にひれ伏すことだけが喜びなのだと躾けられた。  生尻に飲み込まれたまま、俺は拷問のように射精を強いられる。  そして、長い長い責め苦ののち、綾の背中に窒息し、巨尻に粉砕され、事切れるように気絶するまで、俺は綾の下敷きのまま動けもしなかったのである。 §  もう俺は、恋人ではないようだった。  自分の半分以下にまで縮んだ人間など、正面から相手するには値しない。  とすれば残るのは、子供としての扱いだけ。 「あははっ! コウもミアも、まるで赤ちゃんね!」  ゆったり湯船に浸かる綾が、愉快さに声を上げた。  ……俺とミアに、乳房を吸わせて。 「もう二人っとも、甘えん坊なんだから♪」  胸元にぶら下がる小人たちに、綾はご満悦だった。とはいえ、無論そうさせたのは綾の方だ。風呂の中、脚の間に漂う俺たちをクスリと笑うと、意味深に胸を一撫で。そうすれば、俺たちは綾の意を汲まずにはいられない。  俺たちは、折り曲げられた綾の体の中に泳いでいく。そこにはたぷたぷと浮かぶ乳房があった。無論それは俺の顔より大きく、腕いっぱいに抱きしめてもかかえきれないと直観するほどだ。  気押されるようなバストに、俺たちはすがりつく。足は柔らかなお腹に触れ、並ぶ綾の膝小僧に囲まれる俺たち。  綾に見下ろされ羞恥する俺に対し、先鞭をつけたのは銀髪のネコビトだった。ご主人への奉仕はお手の物、さらに俺という敵がいれば、熱が入るのも当然だった。  そんなミアの背を、綾は手で優しく包む。その手つきに促されるように、俺も綾の乳房の中に取り込まれていく。  そんな大小二匹のペットを胸に抱くと、飼い主はその奉仕に心を悦ばせた。裸の男と猫娘を胸に侍らせ吸わせる。そんなこと、普通の人間ができることではない。その君臨する感覚が、綾を満足させるのだ。  そしていつまでもいつまでも、乳首がふやけそうになるまで、俺たちを乳首のバイブ代わりにする綾。  そうなれば後は、俺にオナニーを手伝わせるだけ。  それが毎日続くのだ。  そんなもの、恋人同士の行為ではない。  ……綾にとって俺は幼児で、ミアは俺にとって子供のような背格好にまで大きく見えた。本来、まだ俺はネコビトよりも大きいはずだ。それでも綾にとって、俺はもうミアと同じ程度の存在らしい。ペットと子供の間。それが俺に与えられた立場だ。  だから綾は、まるでオナペットの飼い主のように、俺に性の相手をさせる。そしてそれ以外の時間、愛猫の世話役を俺に押し付けた。餌をやらせ、体を洗わせ、尻尾の手入れまでさせたのだ。目には目を、ペットにはペットを。そして小さいもの同士をまとめて扱うことに、はやくも綾は慣れてしまっていた。ミアも俺も共に不服だらけだったが、気にするものか。微笑ましく俺たちを眺めて、小さき者どもに遣る配慮などありはしなかった。  中でも大変だったのは、ミアを風呂に入れる時だった。  猫は風呂が嫌いだ。綾がいれば喜んで湯を共にしても、俺に体を洗われるなどもってのほか。それを無理やりたらいの中に押し込め、蹴られ引っ掻かれ傷だらけになりながら俺はミアを泡まみれにしていく。  仲良くじゃれているとばかり思っている、元恋人の視線に包まれて。  けれどなによりも屈辱的だったのは、ミアの体を知った時だ。  ミアを泡だらけにした時、指先は確かにふっくらとした太ももを見つけた。胸は綾ほどは無いにせよしっかりと成長し、背筋に、尻に、獣の筋肉と柔らかな肉質を感じたのだ。  その時の当惑たるやない。  俺にとってミアは猫なのだ。動物なのだ。それが、綾と同じ肉付きを見つけた時、一気に悲哀がこみ上げた。俺はミアに女を感じた。美しくしなやかな肢体を持つ二人に対して、自分の体をぎこちなく、醜いものと思ってしまったのだ。そして、動物に女を感じる自分を、獣と断じた。  それは、ペットの猫に乳首を見出した時の妙な気分に似ていた。或いは幼児の秘部にドキリと胸をひっくり返した時を思い出させた。性の対象に入らない、入れてはいけない存在に、確かな性を感じ取ってしまった瞬間。それが、これだ。  ミアはなお、ふてぶてしく俺を睨みつけるばかり。風呂嫌いの猫となんら変わらず、猫目と牙で俺を威嚇する様は、やはりネコビトに相違ない。  けれど、ミアは成猫だった。それを感じ取れてしまうほどに、俺は小さくなっていたのだ。  とはいえ、慣れるしかない。  身長は今、底値を打ちつつあった。となれば俺は、このサイズの体で生きるほかない。ミアに対する当惑を、綾に対する困惑を宥めて生きていかねばならないのだ。そう、俺は決意した。  まぁ、無駄な努力だったが。 § 「ミア、エサを食べたら皿を持って来いって言っただろ」  ソファで耳の毛並みを整えている奴に、悪態をくれてやる。とは言え愛玩動物は煩そうにこちらを見ると、プイと顔を背けてしまった。 「ボクの世話をするのがお前の役目だ」  苛立たしげに尻尾で足元を叩きながら、こちらを睨む。  その顔は、俺の真正面にあった。ソファで4、50センチ底上げされたミアの座高が、俺達を対等な立場にしてしまう。それが俺を惨めにした。  そんな、生意気な顔と顔を合わせるうち、ふつふつと怒りが湧いて拳を握りしめる。太々しい態度に、もう前のような余裕を保てないのだ。 「少しは言うこと聞けよ」 「ち、力ずくで言うこと聞かせるのかい? でももうその手には乗らないぞ。ボクをイジメたら、ご主人はいよいよお前を嫌いになっちゃうからねっ。……それにお前、ボクを叱ってくれってご主人に言いつけただろ」 「……聞いてたのか」 「猫のボクが聞きもらすと思ったかい?」  ふんっ、とミアは鼻を鳴らす。 「それでお前、ご主人に全然相手にしてもらえてなかった。頭撫でられて、そっかーってあしらわれたんだ。その後はもう、ご主人のぬいぐるみさ。ミアが怖いならここにおいでって、膝の上でずーっと可愛がられてたろ」  今度は俺が目をそらす番だった。  その伏した目に浮かぶのは、なんとも情けの無い光景だ。膝を折ってポンポンと頭を撫でられ、綾のやつは笑いやがった。そして微笑ましそうな笑みを降らせながら、「ミアが言うこと聞かないなんて、ふふっ、可愛いこと言うのね。なんだか子供同士の喧嘩みたい」と宣ったのだ。  違うと言っても聞かなかった。……実際のところ、ミアより綾の方が難敵だった。小さいというのは、それだけで立場を決定してしまうらしい。子供の言葉を真に受けないように、綾は俺を子供扱いだ。それは縮むにつれて拍車がかかり、どうももう俺は綾の幼児としてしか扱ってもらえないらしい。まだ、少しくらいは怯えてくれるミアの方が話が通じた。 「それでさ、ご主人、お前を膝に乗っけたまま椅子について、お前をあやし始めたんだ。抱かれたらお前は動けない。ご主人のおっぱいに緊張しちゃったんだろう? にっひひ! 後はもうご主人のおもちゃだ!」 「やめろっ!」  止まらない減らず口に、思わず怒鳴りつける。 「そんなにご主人のお相手が嫌だったのかい? ご主人の胸はどうだった? 窒息させられて、無理やり搾り取られて、心底気持ち良さそうだったじゃないか!」 「ミア!」 「……ふん、わかったよ」  満足したのか怒気を感じたのか、ミアはやっと生意気な口を閉じる。俺をからかう万能の武器を手に入れて、余裕の表情だ。  無論その刃は深く俺に突き刺さる。こんなはずじゃなかった。俺は綾を養い、支うはずだった。夫唱婦随の夢を抱いてさえいたのが俺だ。プライドに応じた地位はあったはずで、学も、金も、俺にはあった。  でも、小人にそんなものは必要ない。扱いようのない金は綾に託さざるを得なかった。だって、買い物にだっていけないのだ! 綾はもう俺の後見人だ。そして俺は、ペットに悪戯する、小さな悪ガキに見えているらしい……。 「……いいから、これから皿はちゃんと台所に持って来い。俺に手間をかけさせるな」  一言、ミアに投げつける。  そしてエサ皿を取りあげた時。  ミアは唐突に、ぽそりと呟いた。 「でもさ、コウが来てからご主人、ボクとあまり遊んでくれなくなった」 「え?」  ぞんざいな返答に、ミアは言葉を繋いだ。 「新しいおもちゃに夢中なんだ」 「何が不満なんだ。毎日遊んでもらってるだろう?」  そうじゃない、とミアは長い髪をひらめかせて首を振る。 「ボクをおもちゃにしてくれなくなった……」 「は?」  聞き返そうとした矢先、彩がやってきて、そちらへとミアは駆けてしまった。  俺はその場に残される。所在無くエサ皿を抱え、まったく、とため息をついてみせる。  けれど、いつまでたってもざわめく心を抑えきれずにいた。 §  その夜。  一足早く眠りについていた俺は、なにかが忍び寄る気配で目が覚めた。 「綾、か……?」  億劫な声で言いやる。  またぞろ付き合わされるのか。  そんな、迷惑なようで満更でもない思いで、寝ぼけ眼を声の方へやる。  しかしそこにあったのは、闇を裂く猫目の煌めきだった。  ミアが、俺にまたがっていたのだ。 「……なにしてるんだ?」 「……んだ」 「えっ?」 「ご主人はボクんだ……!」  俺の上に跨る、耳の付いた黒い人影。そこに、キラリと牙が輝った。  ぞくっと悪寒が走る。 「やめっ……!」 「ちっちゃくなっちゃえ!」  突如俺の首筋に食らいつく少女。ツプリと皮膚がさかれ、中に鋭い牙が滑り込む。少女の歯は俺の首に食い込み、暖かく、そして妖しいなにかを注ぎ込んでくる。その感触に、ゾクゾクと背中が冷たくなった。  俺は悲鳴を上げながら身を振り回した。が、もがけどミアの軽い体は容易には離れない。 「はな、せっ!」  ブンブンと首を振る獣。その長い銀糸は俺の頰を打ち、ベールのように覆いかぶさる。  俺は喚くほかない。  そして、絶望が始まった。 「やめっ、いやだ、縮みたくない、いやだっ、ああっ……」  ずしり、と、俄かに重くなる飼い猫の体。その重みはどんどん生々しくなっていき、ミアがまるで人間であるかのような錯覚に陥る。 「ボクの毒、受け取ってくれたみたいだね」  そしてミアが口を離せば、そこにはもう猫と同じ背格好になりつつある俺がいた。  小人に猫の笑い声が浴びせかかる。 「ふふん、もうボクと変わらないよ。気分はどうだい?」  獲物を捕らえた獣の声。俺の首から伸びた透明な糸を拭い、ミアは満足げに言い放つ。  けれどミアの股の下で、俺はそんな声も聞こえずにいた。頭は混乱にぐるぐる回って、痛いくらいにさんざめいていたのだ。  ゆっくり止まるはずだった症状。それが無理やり毒をねじ込まれて、もう戻れない。俺はずっと縮み続ける。そして、俺は、どうなる?  追い討ちをかけるように、ミアは俺をせせら笑った。 「にひひっ! コウがボクの下で縮み続けるのがわかるよ。すごく、すごーく愉快な気分♪ ねね、ボクの脚はもう君の頭より太いよ? あはっ、もがいてもムダだって。同じ体格じゃ、ネコビトにヒトが勝てるわけないもの」  はじめ、ミアを振り落とそうともたげた体はすぐ押しつぶされた。したたかに打ち付けた背に、どんどん少女の重みが加わっていく。肩を押さえつけていた手をミアが離しても、もう俺は起き上がれない。ただ、なんとかその太ももを押し広げようと顔を真っ赤にするばかりだ。  けれどそんな太ももが、手の中で膨らんでいくのは止められない。  触れる肌が、どんどん逞しく柔らかくなっていく。枝のように細かった脚が、もう幹のように膨張していったのだ。  それにつれて、俺の左右ではミアの足が伸びていった。またがっていた猫耳娘の脚は、膝立ちからあひる座りへと膝を畳んでいく。  どんどん遠のいていく猫耳。俺の泣き叫ぶ声は小さくなり、若い笑い声だけが響いている。  そして、一通り縮小がやんだ時。  そこには、子供のようにうずくまる俺の姿があった。 「うんうん、いっぱい縮んだね。わかるかい? コウはもう、ボクの仔みたいになっちゃったんだ! ほら、立ってごらん?」  少女の体重に押しつぶされ、幼児然とした体はもう息苦しく呻くことしかできない。そんな、綿の抜けたぬいぐるみのような飼い主を脚の間から立たせると、ミアはひこひこと嬉しそうに猫耳を揺らす。  そんな三角形が踊るのは、俺の目と鼻の先だ。 「にゃはっ♪ ボクの座高ともう変わらないね。コウはもう40センチくらいになっちゃったんだ。元の4分の1もなくて、ご主人は6メートルの巨人さん。ご主人はコウのこと、どんな風に思ってくれるかな? 子供? 違うよね、ペットだ。そうでしょ、おちびちゃん?」  クスクスと年上の娘のように笑うのは、たしかにミアのはずだった。  けれど小さな体から見れば、成猫の肢体は大きく、柔らかく、暖かそうで、とてもさっきまでの仔猫とは思えない。当たり前だ。上から見下ろしてわからなかった起伏が、表情が、一気に目に飛び込んできたのだ。自分が、その女性の纏うその香りに支配されているとよくわかる。  泣きそうだった。 「まるで知らない人を見るような顔だね。迷い猫みたい。おちびちゃんはボクがわからないのかな? ふふふっ、こわーいネコさんさ!」  そして無理やり俺を抱きしめる。  ふわりと巻き起こるミアの香り。  抗議の声が、すぐに消えていく。  体全体に広がる女体は、まさしく綾を思い出させた。しかしそのサイズはかつての綾よりずっと大きく、母親に抱かれた過去を引きずり出す。俺の頭は娘の肩にもたれかかり、美しい銀髪に包まれた。そして、強烈な腕力にグエッと肺を潰されて、ミアの潜め笑いに耳を犯されるのだ。 「ちっちゃなちっちゃなコウ。もう、ボクが何しても抵抗出来ないんだ。この腕だって振りほどけない。ボクのおっぱいに胸を潰されて、息もできないだろう? コウはもうボクに抗えない。コウはボクの思うがまま。違うかい? だのにコウは、ボクの柔らかな体に包まれてちょっぴり嬉しいんだ。ボクが女の子に見える。女の子に抱きしめられて幸せ。そんな気持ちを隠せない」  言い含めるようなミアの声に、徐々に、徐々に俺の体は脱力していく。ネコビトに抱かれる萎れた風船は、もう一切の力を無くしてしまった。  そんな小人を前に立たせると、むふーと満足そうな顔でミアは俺を眺める。  そして、 「えい!」  トン、と俺の体を押せば、あっけなく男の体は崩れ落ちた。  疲弊した体に響く、目眩のような感覚。頭を打つ痛みにもがく虫のようなものが、今の俺だ。なんとか起き上がろうとするさまが、自分でもあまりに滑稽に思える。  そして、なんとか痛みが覚めた時、身をもたげかけた俺の目に映ったのは。  それはそれは巨大な球体だった。 「ボクのお尻、プレゼントしてあげるよ!」  そんな楽しげな声とともに、豊臀が小人を押し倒す。  それはデカい地球儀と同じデカさだ。俺の顔など造作無く貼り付け、一気に床へ叩きつけた。  そして、むっちりとした臀部をクッションに、ミアは勢いよく尻餅をついたのだ。 「姉猫のお尻はどうかな? きっと重たいよね。でも柔らかい、そうだろう? ふふ、クルミみたいに割れちゃったら……謝るから、さっ!」  愉快そうに臀部は笑い、それから俺に深いキスを押し付ける。それは上下関係を叩き込む最初の躾だった。これは躾だ。俺は今、飼い猫に躾けられている。  ズシッと、ムニュッと、ミアの尻が俺の顔を覆い尽くす。それはまるでビーチボール。丸々した臀部はむちりとスパッツの中に押し込められ、今にもスパッツははちきれそうだった。重量感ある猫娘の尻は、俺の顔を覆い尽くすに十分だ。子供と大人以上の体格差がある今、ムチムチとしたお姉さんに座られるショタと変わらない。  塗りつけるように尻をすり付けるミア。ペットのものとは思えないほどにその尻は肉感的で、ネコビトの体だということを忘れさせる。いや、ネコビトとはいえその体は豊満で、極上の女体には変わりないのだ。ペットと女体、そのギャップが俺を幻惑させる。 「きゃはー! くすぐったい! ふがふがしないでよ、ボクのお尻で潰しちゃうよ?」  少しお尻をあげて、脚の間からひょっこりミアが顔を覗かせる。銀髪を垂らし逆しまのミアの顔は、ニヤニヤと俺を見下ろしている。喚く俺を、猫目で嘲笑うのだ。 「こ、こら! 俺は飼い主だぞ! なのに顔を尻に敷くなんて……!」  俄かに張った虚勢を、しかしミアは気にも留めない。 「飼い主……? あはっ! じゃあ押しのけてごらんよ。まだボクよりちょっと小さいだけなんだ。コウはオスなんだろう? ボクなんかあっという間に押しのけられる。そうだよね?」 「そうじゃない、乗るなと言ってるんだ! 目上の人間に座る道理があるか!」 「じゃあボクを止めてごらんよ。飼い主なんだろう? 躾けるのも飼い主の役目さ。ボクのご主人になるチャンスをあげる。それが出来なきゃ……、コウはもうボクのペットだ!」  クスクスと笑いながら、ミアは勢いよく臀部を落下させる。  衝突音。  それから、ぶるんとした尻肉の揺れ。  楽しげなミアの歓声が上がる。飼い主を踏み潰す愉快さに喜んだのだ。  尻という肉の鈍器の墜落。俺の視界はでっかい尻で埋め尽くされる。そして、俺を馬鹿にするようにふりふりと尻が振られれば、立ち込めるミアのかぐわしい香り、みっちりした肉感、スパッツのムチムチした質感。スパッツはゴムのように限界まで下半身に張り付けられている。そこにはパンティのラインが浮き出て、尻に食い込み、股間の膨らみからスジまでもはっきり表面に現れている。  そんな性的な球体が、一気に落ちてきたのだ。  巻き起こる風とともに落下する、デカい尻。それが鼻に触れたと思えばすぐさま顔は谷間へめり込み、頰へ額へ肌が押し広がった。続いて柔らかさが顔を覆い尽くす。肉肉しい重みがそれを追いかけ俺を打ち付け、ついでプルンとした尻肉の揺れ。それが俺の頭を揺さぶれば、完全にミアの尻で俺の頭は拘束されていた。  ふわりとミアのTシャツが舞い降りる。ぺたんとアヒル座りのネコビトは、細長い枕にでも座っているような格好だ。前屈みになって腕をつき、ゆらゆら体を揺らしては、愛らしい顔ににまにまと笑みを結んでいる。  顔面騎乗位で、飼い主を辱めながら。  俺は呻きもできなかった。  まん丸の尻は潰れて飼い主の顔を飲み込み、ボールのように弾んでいる。スパッツはケモノの旺盛な代謝で蒸れに蒸れ、華やかな体臭を焚きこんだ蒸気で小人を溺れさせた。その肉付きは容赦なく顔を包み込み、その質感と重量感だけで俺を圧死させる。  俺はミアの太ももをペチペチと叩いた。スパッツの食い込みが手に広がり、湿った弾力は俺の手をはじきかえす。小人の抵抗に高く鳴る太もも。しかしミアは笑い転げるだけで尻をどかさなかった。 「チビチビチービっ! お尻に踏まれてぺっちゃんこ♪ ボクのお尻は気持ちいいかい? そうだよね、だってボクのは重くてもっちり。気持ちいいだろう? 気持ちいいよね? あはは! 股間も膨らんできたみたいじゃないか! コウはボクに踏まれて嬉しいんだ! ペットのお尻で気持ちよくなっちゃった! こんなことされて喜ぶ飼い主なんているわけないよね。じゃあ、どんどんイジメてあげる♪」  塗りつけるように尻で円を描くミア。その動きで俺の顔は捻じ曲げられて、今にもミアの尻の金型になってしまいそうだった。もうすでにパンティラインは顔に跡をつけ、頰にはミアの汗が垂れる始末だ。  ……ピチピチのスパッツは気持ち良かった。気持ち良いと思ってしまった。ペットの尻に女性的な臀部を見出し、剰え俺はそれで発情させられてしまったのだ。猛烈な敗北感。それを裏切るように顔面に広がるのは、ねっとりと気持ち良いスパッツと尻肉の感触。唇には生地越しに感じるミアの股間があった。それがまた甘美で、俺は気持ちを処理できず涙目だ。 「あはは、お尻がすっごく熱いよ。これでもっと汗かいちゃうね。チビネコなんか溺れさせちゃうかも♪ 恥ずかしがってるの? でも気持ちいーんでしょ。コウのヘンタイ! ウソつき! ペットに踏まれてオッキして、泣きながらボクのお尻で発情期♪ もうコウは、ボクの楽しいペットだ。可愛がってあげるよ!」  そして、何度も何度も俺の顔の上で尻をバウンドさせた。  そんな猛攻に、俺は小さなペニスを膨らませる。ミアの臀部は極上だった。形は目に美しく、弾力は肌に優しく、香りは鼻腔を華やかに彩る。俺は蒸れに歓喜し、汗に涙し、重みに感謝した。触れるのが褒美だった。それは躾の鞭であり、同時になによりのエサだったのだ。  畏怖に俺は震える。頭の割れるような痛みに体はもがき苦しみ、小さな手でぶっとい太ももに抵抗する。そして手はスパッツに弾き返され、泣き叫ぶ声は女の股をくすぐるだけ。その無力感が、どんどん俺を惨めな快に引きずり込んだ。 「コウったら、ボクが怖いの? 涙でスパッツどんどん濡れちゃって、お股が熱いや。でもコウのおちんちんはおっきくなって、あはっ、これ触っちゃったらどうなっちゃうのかな?」  わざとらしい声で、訝しむフリをするミア。そしてゆっくり俺の腹をさすり、虫の這い寄るようなスピードで、ズボンの中に手を突っ込む。  もしかして、手でシてくれるのか。  そう思った矢先。 「つぶれちゃえ♪」  突如俺のペニスに食らいつくと、一気につぶさんと手を握り締めた。  小人の物凄い悲鳴に股間を撫でられ、ゾクゾクとした感触を楽しむネコビト。仰け反る体を無慈悲に踏み潰しながら、ギュギュッと手を握りこむ。 「にひひっ! ちょっと気持ちいいかも♪ コウの恐怖、とっても美味しいよ♪ ボク、コウのこと気に入っちゃった。ほら、もっと怯えてボクを楽しませてよ! ……って、あれ?」  突如動かなくなったおもちゃに、ミアは訝しむ。  そして震える尻を持ち上げると。  果たしてそこには、猫耳娘の尻で気絶した俺がいた。その股間を、だらしなく垂れ流しにしながら。 §  ネコビトのおもちゃとしての日々。  それは地獄だった。 「ミアっ! は、ッ、離せ!」 「や〜だよ!」  ニヤニヤと笑うペット。かいたあぐらの中に閉じ込め、ぬいぐるみのようにしっかり抱きしめている。どんなにあがいても無駄だ。弾力あるふくらはぎは俺の蹴りをはじき返し、踏ん張っても体はミアの胸に沈んでいくだけ。浮いた腰はミアのお腹に押し付けられて少しも動かず、ミアの思うがままだった。  ミアは必死の抵抗を難なく受け止め、片手で俺の顎をくすぐったりしている。汗だくになっても元飼い主を決して離さず、俺の頭に顎を乗せてコロコロと喉を鳴らすだけ。首輪に付けられた鈴の音が耳に涼しく、けれど獣の発散する体熱はまるでサウナ。大型犬に擦り寄られたって熱いのに、自分より大きなミアに抱かれたらどうなるか、考えるだけで汗が出る。   「あら、ミアとすっかり仲良しになったのね」  するりと影が滑り込み、俺たちを飲み込む。エンタシスを思い出させる足が現れ、その膝はミアの頭より高い。綾だ。ネコビトを凌駕する、かつての俺の女が笑っていた。 「た、助けてくれ!」  声が届いているのか不安にかられる。綾の顔は遥かに上、木のてっぺんほどの距離でまるで見えない。ミアの中から見える、せいぜいその腹あたりに俺は懇願した。 「コウったら、恥ずかしいのね。でもミアの言うこと聞かなきゃダメよー? いつもお世話してくれてるの、ミアお姉ちゃんだもん。ね?」  膝を折って俺に話しかける。それでもその口元しか見えなかったが、とはいえ声が届いただけで俺には嬉しい。そんな存在に言い含められて、一瞬納得しかけたほどだ。  でも、それは俺の恋人のはずだった。 「ち、違う! 暑いんだ、倒れちまうよ!」 「だーって。ミア、どうする?」 「ヤダね、コウはボクんだ。こんな可愛いもの、離したいと思う?」 「ふふっ、そうねー。じゃあ、お水でもあげましょうかしら」  そう言うと、綾は軽々とミアを抱き上げる。俺はパニックだ。これまで俺を包んでいたベッドのような体が浮き上がり、落下の恐怖に掴まれてしまう。  けれどその体はフワリと綾の上に着地した。どこか俄かにはわからないが、投げ出されたミアの脚は大きな丸太の上にある。そしてブランケットのような手が俺たちを包み込んでようやく、綾の膝の上にいることがわかった。  ソファの上座り、綾は俺ごとミアを膝に座らせたのだ。  4倍の体格差とはこう言うものだ。俺の頭はミアの胸に、ミアの頭は綾の胸に預けられ、俺は綾にとってはきっとスリッパと変わらない大きさだろう。その太ももでさえ、その中に俺がすっぽり潜り込めてしまうほどの空間を占め、もはやかつての小さな綾はどこにもいない。 「はい、お水だよー。飲めるかな?」  小鍋のような徳利をよこされる。ずっしり重く、危うくとり落としかけたのをミアに助けてもらう始末だ。その、苦湯の盃を飲み干す。  ……ミアは予想に反し、俺の世話をしてのけた。それはなるほど「ミアお姉ちゃん」で、その介助なしには水飲みさえ覚束ない。常に俺を側に置く姿は、綾の歓心を買っていた。手さえ握り、俺をおぶって、抱いて、幼児の弟を世話するように振る舞ったのだ。  表面上は。 「ふふっ、ご主人に捕まっちゃったね。ペットでおっきしてるの、バレちゃうかもよ?」  密やかな笑いが、耳をくすぐる。そしてねっとりと、俺の耳や首を舐め始めた。  ヒッと飲み込む息を、ミアは愉快そうに飲み干す。そしてわざとらしく、その胸に俺を抱き込み、挟み付けたのだ。 「ズボン浮いちゃってるね。にひひっ、手で隠そうたってダメさ。キミの両手は、ボクのおっきな手の中。ご主人は知ってるかな? コウは、ネコの胸に欲情しちゃうお猿さんなんだ。シャツを着ただけのボクだもん、この感触はほとんど生のおっぱいだって、わかるよね? あはは! もっと膨らんできちゃった! そろそろシミができちゃうんじゃないかな? ボクのおっぱいは気持ちいいね〜。コウにはご褒美だ。ボクでさえキミの顔よりおっきいのに、ご主人のおっぱいになんか触っちゃったら、コウは完全に挟まれちゃうよ。想像できるかい? 両手いっぱいのご主人のおっぱいは、どんなに綺麗で、柔らかくて、暖かいか……」  耳を撫で、中に這入り込む囁き声は甘美だった。綺麗なネコビトの声は、今や甘く、糸を引いて俺の脳に染み透る。そして、俺の両頬を包むのは確かな乳房の感触だ。それが今、想像の中で何倍にも膨らんで綾の巨乳に変わっていく。  俺は涙さえ滲ませて、余裕たっぷりの悪戯を耐え続ける。けれど、ミアの乳房は俺を誘惑し、女性的な柔らかさで皮膚をふやかし、その香りの中に包んでいった。  しかも、俺たちは今綾の体に包まれている。  ジーパンをパツパツに膨らませる、極上の太ももが俺たちを乗せていた。その大きさだけで、いかに彼女がデカいかがうかがい知れる。しかも、その芳香がケモノの色香に混ざってまとわり付くのだ。そうすれば、記憶の中の綾の乳房が蘇る。思いっきり吸い付いた乳房、撫で回した乳房。ついた餅のように手からこぼれ、指を飲み込むほどの柔らかさだ。それが今、このミアの巨乳よりも大きくなって、すぐ頭上を占拠している。  暴発しそうだった。  飼い猫に抱かれた俺が突如射精すれば、綾はどう思うだろう。もう完全に、人間とは思ってもらえまい。そうすれば、俺はどんなに泣き叫んだってミアの手から助けてはもらえないだろう。いや、綾さえ俺を虐げるかもしれない。大巨人の責め苦など、考えるだけで絶望を誘う言葉だ。  歯をくいしばる。頭を無にする。しかし大小の女体は俺を取り囲んで思考を侵食してくる。  二人の香りが混ざり合った。綾の太ももがたぷたぷと揺れた。ミアの太ももが足や尻を優しく撫でた。ミアの乳房が俺を揺らした……。  もう、無理だ。 「あ、そういえば仕事があるんだった。ちょっと待っててね、すぐ片付けてくるから。仲良くしてるのよ? って、心配いらないか」  ポンっと手を打ったミアの飼い主は、唐突にそういうと俺たちを床におろした。  ミアの手からこぼれ落ちた俺は、4本の脚の間に囲まれながらホッと息をつく。視界の端で、そんな小人を尻尾が笑っていた。 「大丈夫だよご主人。ボクたちご主人のためならいつまでも待てるもん。安心してよ。ね、コウ?」 「うんうん、いい子たちね。そんな子たちのそばに居たいから、お仕事はこっちでしようかしら。人間はお仕事があって大変なの。だから二人で遊んで、私を和ませてよ」  そして、僅かに地を震わせながら巨人は去っていった。 「さ、躾の時間だね」  くるりと振り返ったミアが、にんまりと笑う。そして脱兎のように逃げ出した俺へ、余裕たっぷりに詰め寄った。 「逃げちゃダメじゃないか。飼い主に向かって失礼だろう? にひひっ、やっぱり躾がいるみたいだね。それとも、期待してるのかな?」  ズシリと背後に足が落下してくる。こけそうになりながらソファの背面に回り込み、なんとか巻こうとしたところで何かが俺に絡みついた。  ミアの尻尾だ。 「ネコビトのボクに勝てると思ってるのかい? 元の大きさだってキミに追いつくなんて簡単だったんだ。ボクはケモノさ、甘く見ちゃダメだよ」  クスクスと笑いながら、投げ出した足の間に無理やり俺を座らせる。背後から抱きしめ、さっきと同じように顎を撫で始めた。 「は、離してくれっ!」 「ふふん、分からず屋だね。じゃあ……お仕置きだよ!」  その瞬間、思いっきり床にねじ伏せられる。そしてすぐに長い脚が俺に絡みついた。そしてすぐに拘束すると、一気に俺を締め上げる。  俺の顔より太い大蛇、そんな太ももが俺の顔を挟み締め付けたのだ。 「アハッ♪ もっと縮めちゃおっかな? 縮められたくなかったらボクの太ももに耐えてごらん♪ ネコビトのちっちゃな後ろ足さ、ニンゲンなら耐えられるだろう? でもやめて欲しかったら……、ボクに泣いて舐めて媚びるんだね!」  肉厚な太ももは、あっという間に俺の頭を呑み込んでしまう。慌ててその太ももに手を回せば、手のひらはその側面にまでしか届かない。ペチペチと叩けば、スパッツはそのゴムのような生地で俺の手をはねのけ、重量感ある手ごたえが俺を絶望に突き落とす。  こんな太ももの巨体、動かせっこない。無防備な俺の顔はスパッツの中に沈んでいく。なんとも言えずねっちりとした感触が、俺の心を挟み潰すのだ。  ズシッとミアのふくらはぎが俺の上にのしかかった。そして、美脚の牢獄が完成する。 「ボクだって可愛い女の子なんだ。コウみたいなオスにはたまらないだろう? ネコビトの肉質は極上だから、締まってるのに柔らかい、そうじゃないかい? スパッツに引き絞られたボクの太もも、こんなに堪能できるのはキミだけさ。メスネコの気持ち良さ、たっぷり教えてあげるよ♪」  ややもすれば男性的な言葉が、一層女性的な脚のラインを引き立てる。ボクっ娘が喋れば喋るほど、その女体は甘く柔くなっていく。性的な蟻地獄。もう、逃げられない。  股の間にある俺の頭を、よしよしと優しく撫でるミア。それとは裏腹に太ももの締め付けは容赦なく、左右にそびえる肉の壁が頭を押しつぶす。たっぷりとした脂肪がなければ、俺の頭などくるみのように潰されていただろう。顔は押しつぶされ、肉の中に埋まっている。丸々とした太ももはりんごでも挟んでいるように容易く俺をその間に隠しきり、細い細い隙間から僅かにその光が差す。  思わず反応する股間。慌てて俺は鎮めようとする。  しかし、猫は俺を放って置かなかった。  その素足を俺の股に当てると、ゆっくり動かし始めたのだ。 「やめっ!?」  下半身で必死にそれを払おうとする。けれど獣の足は力強くてビクともしない。そうする間にも、こすこすとその素足は股を撫で擦った。器用な足は服越しからでも十分な刺激を与える。すぐに俺の股ぐらは熱くなり始めた。 「やめろって! 見つかったらどうするんだ?!」 「見つかっちゃえばいいじゃない。でも、ペットの猫なんかに襲われて気持ち良くなっちゃってるコウを見て、ご主人はなんて思うだろうね?」  クスクスと笑うミア。そして、もう片足で俺の両足をこじ開けると、無防備な股間を思いっきり踏みつけた。  ジュッと熱くなるペニス。体を強張らせて起き上がった逸物はデカい足裏に襲われ、顔を踏みつけられながらも恍惚としてしまう。赤面の中でヨダレとも涙ともつかないものを流し、その刺激に喘ぎ出したのだ。  亀頭が敏感になる。服の中に押し込められて、上からのしかかる巨人にめちゃくちゃに踏みつけられる。そうすれば、上ってきた血にクラクラと目眩を覚えて、酔ったような気持ち良さに痺れ始めた。  俺は思わず声が出そうになる。そして慌てて口を押さえた。見つかるわけにはいかない。綾はすぐ隣の部屋なのだ。  それでも、スリスリとミアの足は俺を苛んだ。柔らかな起伏の下でペニスが弾む。間接的な刺激に耐えかねて、その足裏を求めズボンを叩くのだ。そんな愚息を俺は必死に抑えようとする。しかし上半身は太ももの中。下半身はミアの脛の下敷きだ。身動きも取れないままに丸腰で、股間はミアの虜だ。 「じゃ、開けちゃうよ〜」  なおミアは俺を撫でたまま、ゆっくりズボンを脱がして行った。  ミアの太ももから覗く俺の目には、その無残な姿がよく見える。あっという間にズボンがずり降ろされて、ぴょんとそれが飛び出してしまうのだ。そうすれば嫌でもペニスの歓喜が目に飛び込んだ。大きく膨らみ、すでにミアの足に臣従を誓った、不肖の息子が。  ミアは面白がるように、竿を足指でなぞりあげた。つつつと陰茎を這う感触に、ペニスは身をくねらせて善がる。少女のふっくらとした親指と、指紋の感触。ペットの足で触られているのに、ゾクゾクとたまらない感触が俺を襲う。  なんてザマだ。ペットの太ももに締め上げられ、その裸足にこの上なく欲情している。もっとくれと正直なペニスはよだれを垂らし、ミアはそれを嘲った。足指が俺を愛撫する。甘噛みし、抱擁し、下僕になっちゃえとそそのかす。そして俺の性感帯は、その様を想像してますます昂ぶるのだ。 「なに気持ちよくなってるのかな〜? コウは飼い主なんでしょ? ニンゲンなんでしょ? ケモノなんかよりずっと偉くて、その中でもコウはすごく強いオスなんでしょ? なのにこーんなちっぽけなボクの太ももに興奮して、ばっちい裸足で大事なとこ擦られて、もうヨダレだらだら。にひっ♪ ボクの足がそんなに気持ちいいのかい? ネコビトだよ? ペットだよ? なのにボクはコウよりでっかくて、まるで赤ちゃんだ。むちむちな太ももにうもれて嬉しそう。素足でイジめられて嬉しそう。知ってる? ネコビトの裸足でイッちゃったら、コウはもうニンゲンには戻れないんだ。ボクのおもちゃにされて、偉ぶってたご主人には見向きもされない。もしかしたら踏み潰されちゃうかも! そしたらずっとずっと、ボクのご主人のアソビのお供さ。アハッ! ボクの言葉で興奮しちゃってる!」  嘲笑うネコ。そして悪戯っぽく顎をくすぐると、更なる躾を始めるのだ。  ピンと伸ばした親指を、ミアはそっとペニスの先端に押し付ける。そしてクリクリと、器用な猫の足指は亀頭を挟んでこねくり回した。獣の足だ、その責めは的確で、包皮をくすぐりカリをさすり回す。そして、親指の腹で愚息の頭をねちっこく撫で続けるのが、ミアの躾。その効果は絶大だ。どんどん切なさがたまっていく。血流は流れ込み続けて破裂しそうで、ついに快感が沸騰した。それでもペットは俺を辱め続ける。  発狂するまでしごかれるんじゃないか。そんな絶望感さえ覚え始めた。 「うんうん、よく耐えてるね。じゃあ……、こんなのはどう?」  するりと、もう片足が現れる。  まるで見せびらかすように指をくねらせ、その美しい輪郭を俺に見せつける。  そしてペニスへと近づけると……。 「ふふっ、ボクからのご褒美だ!」  一気にミアは、両足で俺のペニスを挟み込んだ。そうすれば、綺麗な足裏でサンドされた愚息は、痙攣するように肉の布団の中をもがき始める。けれど、少しの隙間もない密閉空間に、逃げ場などない。それどころか娘の足に挟まれている、その背徳感に興奮するばかりだ。 「どう? 気持ちいいかい? って、聞くまでもないね。コウのおちんちんはね、ボクの素足の虜になっちゃったんだ♪」  こよりでも作るように、足裏同士をすり合わせる。そうすれば、ミアの素足の間で左右にねじり回される陰茎。足裏のシワや指紋が容赦なく亀頭を襲う。しかし、上下の動きがない足コキは亀頭責めと変わりなく、特大の刺戟を与えられながらもイけはしない。 「ほらすーりすり♪ ボクの素足はどうだい? ペットの足であそこを弄られて、ニンゲンにとってはさぞかし屈辱だろうね? しかも、ボクの太ももに挟まれて逃げられない。ボクにヨシヨシされながら、おちんちんを汚い足で触られてるんだ。悔しいかな? 恥ずかしいかな? 近くにご主人はいるのに、コウは泣いても喚いても助けてもらえないんだ。恋人の近くで動物に襲われるなんて、コウはなんてちっぽけなんだろう。しかもおちんちんは離してもらえないんだ♪」  なんて優しい手で俺を撫でるんだろう。そんなことをされれば、容赦ない足コキがますます無慈悲に見えて仕方ない。  でっかい裸足は柔らかくて、にちにちと極上の刺激だった。しかも今俺は、ミアの股間を枕にしていて、女の子特有の甘やかな匂いに包まれている。ふかふかとした柔らかさが頭を包み、ミアの興奮した吐息が顔面を撫でる。じんわりと発情した少女の体臭は、俺をおかしくさせるには十分だ。どこにも逃げ場なんてなかった。   「きゃははっ! ボクの下僕になっちゃえ! ボクの匂いで興奮して、ボクの声で支配されて、ボクに触れるだけで狂っちゃうんだ! 少しずつ、すこーしずつ躾けてあげる。飼い主だったコウは、ペットの奴隷にされるんだよ。楽しみだろう?  ……ふふっ、言葉だけでもうトロトロじゃないか。じゃあ……、イッちゃえ!」  そして猛攻が始まる。足指は猛烈に陰茎をしごき倒し、足裏全体が亀頭の上を滑り始める。太ももはその肉付きを染み付かせるように俺を挟み、ぴっちりとその中にねじ込まれてしまう。スパッツの肌触りに、ミアのフェロモン。それが俺を舐め回し、百合のように香るフェロモンの海に、俺を引きずりこむのだ。ミアは「よしよし♪」と犬っころにするように俺の腹を優しく撫で、一方美脚は俺に上下関係を叩き込む。 「イッちゃえ! イッちゃえ! ボクの下僕になっちゃえ!」  声も出せない拷問に、快感はどんどんペニスを膨らませる。そしてはち切れんばかりに気持ちいい精液で満たされた時。 「イけ! イけ! 出しちゃえ!!」  ミアの足の中で、小さな爆発が巻き起こる。それは小さな小さな破裂で、けれど俺にとってはとてつもない爆発だ。爆縮のようにその快感は集中し、それから俺の体全体を貫いた。そんな体内に生まれた花火に、俺は安堵と敗北感、それを上回る恍惚を感じた。そして、なお股間を包む少女の素足に興奮しているのだ。中毒、依存、躾。ペットに屈服した瞬間だった。 「にっひひひ♪ ボクの脚は気持ちよかったかい? ヨダレも涙も垂れ流しで、でももっともーっと欲しいって顔してる。いいよ。もうコウはボクの下僕。だから、毎日、毎日、毎日毎日まーい日ボクがコウを躾けてあげる。そして、ニンゲンだってことも忘れて、ボクのことしか考えられなくなるんだ。楽しみだろう? さ、今はボクの中でおやすみ。そして、最後の安らぎを味わうんだね」  ミアは言う。  そして俺の上に丸々とした太ももを乗っけると、窒息させ、火を消すように俺を眠らせた。 §  俺は、ありとあらゆるところでメスネコに犯された。  トイレで、机の上で、ベッドの下で。  節操なく、否応無く、発情したペットは飼い主を襲った。スリルと俺の恐怖を煽るために、どこまでも危険な行為を強要したのだ。  綾に気づかれたくない俺を、ミアは弄ぶ。  この間など、俺は寝てる綾の足元で襲われたのだ。必死に口を押さえて涙に咽びながら、どうかどうか起きないでくれと祈り続けた。  綾の足は、既に俺よりも大きかった。ベッドにしてもあまりある巨大な肉塊が、俺にとっての女の素足だ。寝ている綾は足裏を上に向け、すうすうと健やかな寝息をたてている。しかし、その顔は遥か彼方で見えやしない。巨大な尻の山に隠され、見えるはずがなかった。 「ご主人の足と背比べはどうだい? 自分が今どれくらいの大きさか、よくわかるはずさ!」  暗闇で猫の瞳は不穏に輝く。纏う銀髪は夜闇にぼんやりと光り、ただ興奮したケモノと綾の香りだけが、はっきり俺を捕らえていた。  胴を掴まれ、宙に引っ張られる体。真っ暗な中、突然の浮遊感は強烈で、叫びそうになるのをぐっと堪える。その上、降ろされる場所を考えた時自然と抗議の声が湧き上がるも、起こしてしまう惧れに声も出せずにいた。  ネコビトの目に哀れな小人ははっきり映っているらしく、一方的なお遊びを楽しむ笑みが聞こえるばかり。低反発クッションのような少女の手に掴まれ、俺はなすすべもなく恋人の足へと降ろされていく。 「にっひひ♪ 頭が足指のアーチにすっぽりはまっちゃったじゃないか。なのにコウの足は、ご主人の踵にも届かない。おっと、動いちゃダメだよ? ご主人が起きちゃうからね♪」  不意に訪れたのは、巨大なウォーターベッドに沈んでいくような似た感覚。風呂上がりの素足は、ほんのり石鹸が香り、僅かな汗の香り。そして圧倒的な熱量をもって漂ってくる、綾のかぐわしい香りがそこに入り混じる。  頭が柔らかなものに包まれる感覚は、ミアによるとどうも綾の足指らしい。しかし、その一つ一つの膨らみは枕のように大きくフカフカで、とても女性の足指の関節とは思えない。隣に控える巨大な気配は、じゃあ親指だって言うのか。自分の頭は、綾の足指より小さいというのか。  俺のふくらはぎを撫でる輪郭は土踏まずのようだった。そうすれば嫌でも自分の大きさがわかってしまう。綾の足裏の上、どうすることも出来ず身を固くする俺は、きっとソフビに劣るおおきさだ。そしてピクピクっと綾が足指を震わせれば、がっちり頭を鷲掴みにされてもう動けない。 「ご主人の綺麗な足に掴まれて幸せだろう? じゃあ、もっとボクが幸せにしてあげる……」  そして俺に覆いかぶさると、ミアはペニスをしゃぶり出すのだ。  後は無抵抗の中舐めまわされるだけ。俺のを咥えるミアの頭は、胸をその猫耳で叩き、わざとらしく水音を立てたり、唸ったりして俺を惑わす。女の足に押し付けられてフェラをされるのだ。ビクビクと震えてしまうが、その度に不快がる綾の足指は俺の頭を砕こうとするように握りしめる。  涙さえ滲み、必死にその猛攻を耐え続ける時間。拷問のような生殺しに耐えかね、ついによがり始めると、ミアはピタリと動きを止めた。 「まずいな、これ以上したら起こしちゃいそうだ。……そうだね、ちょっと隠れようかな」  そしてベッドを飛び降りると、わざとだろうか、獲物を隠すように俺を綾のスリッパへ押し込んだ。  そのままベッドの下に引きずり込むと、俺の背をスリッパに押し付け固定してしまう。 「ここなら、コウの叫び声なんてすこっしもご主人には届かないね♪ ふふっ、ご主人の履いてる靴にすっぽりはまって、ずいぶん楽しそうじゃないか。ご主人にとってコウは、足よりちっちゃい存在なんだ。前はコウの足よりずっとちっちゃかったご主人の足に、今は全身が収まっちゃう……。汚れてるかな? どんな香りがするかな? どんな気持ちかな? おっきいボクにはわかんないや。……さ、もっとシアワセにしてあげるね」  そして、ミアがごそごそと俺の脚にのしかかると、 「ひぎぃっ!?」  生娘が襲われたような声が上がった。  無理もない。極太のものが俺の中に入ってきたのだ。そして遠慮なく中をかき回す。  ミアの舌に犯されていた。 「やめてっ、な、中いじくらないでっ!」 「にっひひ! やーだよっ♪ それにそんなに叫ぶと、いくら小さくたってご主人に気づかれちゃうよ?」 「ッ!」  すぐさま口を覆う俺。そうすればミアはますます俺の中に這入ってくる。くぐもった叫びが上がり、しかし俺はなんとかそれを押し込める。滂沱の涙を流しながら、俺は惨めにもその舌技に感じていたのだ。  すぐ前には、ベッドからだらんと垂れた綾の手があった。そこにすがりつけば、もしかしたら綾は助けてくれるかもしれない。しかし、守ると決めたはずのプライドがそれを許さなかった。我慢すれば、我慢しさえばいいじゃないか。しかし、こんな快感に晒され続けば発狂してしまう。  だったら、もう、潮なんじゃないか。  俺は、震える手で女の手に腕を伸ばした。真っ白なそれに今すぐにでも飛びついて、キスして、慈悲を乞いたかった。光の中のそれはなんと神々しくて美しいのだろう。それは救済の鍵なのだ。  しかし。 「にひひっ♪ 届くわけないじゃない」  ミアはしっかり俺の脚を掴んで離さず、遠くの手には届かない。  俺はもう恥を捨てて綾を呼んだ。叫んだ。金切り声をあげ、女のように泣き叫んだ。 「あ、綾、あやぁっ!!」  が、その声はとうに掠れて、小人の喉はあまりに細くて、到底届きはしない。そうする間にも俺はレイプされ続け、ついにはもう声を失った。  そして身を穿つ、舌という巨大な肉棒。 「い゛ぎっ!?」  それは身を裂くような鮮烈な稲妻だった。押し出されるようにペニスがのたうち回り破裂する。そして、ピクピク跳ねるたびに、中身を吐き出し続けた。  なのに、ミアはやめてくれない。  猫耳を愉快そうに動かすと、愉悦に笑う尻尾はおれのペニスに絡みつく。そしてその柔らかな毛で亀頭を撫でこするのだ。  もう声もない。  出るものもない。  俺はただ電撃を打たれた屍のようにビクビクと跳ね、無限の快楽に殺された。射精の果て、拷問の果て、強姦の果てにある快感は悟りのように白く輝いて、暖かい。ペットにねじ込まれることも忘れて俺は喘いだ。  そしてミアが満足する頃には、俺は絶命するかのように気絶していたのだ。  けれど、そんな日々の方がよほど、幸せだったかもしれない。 § 「……コウがドキドキしてるのわかるよ。すっごくそわそわして、泣き出しそうで、悲しくって。でも興奮してる、そうだろう? こんなことされて嬉しいのかい? ご主人がすぐそこにいるのに……!」  ネコビトのか細い声。ネチネチと水音が響く。そして、むせび泣きながら喘ぐ、小人の声も……。  俺はミアに羽交い締めにされていた。いや、正確に言えばミアのあぐらの上に座っているだけ。けれど両手は尻尾に縛られていて、脚は片ふくらはぎを乗せられ動かせやしない。ミアの両手は自由だ。けれど俺は文字通り手も足も出ず、頭を豊かな乳房にもたれかけ震えるばかり。  それには訳がある。 「ご主人の足は綺麗だね。コウならもっと大きく見えるはず。だってこの足に踏まれたら、コウは全身が隠れてしまうもの。綺麗な足に踏まれたいかい? 今言えばきっとしてくれる。だってご主人は、すぐそこにいるんだからね!」  クスクスと笑う王女。  それもそのはずだった。  俺たちの目の前には、綺麗に揃えられた綾の足があったのだ。  ここはソファの下。綾が座る真下で俺は、ミアに拘束され、手淫を施されていた。  喘げばバレる。けれど、必死に歯を食いしばって耐えれば耐えるほど、ミアはねちっこくペニスを責めた。その手は、握れば俺の愚息など完全に隠してしまえる。せいぜい人差し指と中指があれば十分。だから、人差し指を亀頭に当て、中指と親指はガッチリと陰茎を封じていた。人差し指の亀頭責め。そして余った小指が、内股や睾丸を愛撫し続ける。 「ボクだってソファの下に入れちゃうくらいちっちゃいんだ。座れば30センチもない。でも、そんなボクがコウにはどう見える? お姉さんなんてもんじゃない。母親よりもずっとおっきい。5メートルは優にこす巨人がボク、そうだろう? でっかい指先は気持ちいいかい? 何本もの指紋がキミの気持ちいいところをくすぐってる。しかもボクの匂いをたっぷり嗅がされて、口はもう半開きじゃないか。それとも、ご主人の足裏に見惚れてるのかい?」  小柄な綾は、床に足の届かないせいで少し足裏をこちらに向けていた。それに観察されてるみたいで、俺は気が気でない。バレたくない。バレたくないのだ。こんなところを見られたら、俺はどうなってしまうだろう。もう疾うに失ったはずのものを、さらに失ってしまう気がした。そして息を殺せば、すぐさまピリピリと亀頭に気持ち良さが走るのだ。  ミアのあぐらの中にはめ込まれ、問答無用の亀頭責め。しかも恋人の足元から逃がしてももらえずにいる。 「うんうん、もうダラダラになって、すっかりボクで興奮しちゃったみたいだね。それともご主人の足が良かったのかな? ……なら、次は……」  おもむろに俺を持ち上げたミアは、綾の足へとますます俺を運んでいく。 「やめッ……!」 「声出すと気付かれちゃうよ? まあこんなにちっちゃいのの声、簡単には聞こえないけど、ね!」  俺を後ろから抱きながら、美しい少女は銀髪を垂らし囁いた。肩越しに降り注いだのは、ミアの銀糸の香り。胸のあたりでベールのように揺れ、完全に俺を捕らえたことを知らしめる。 「な、何をするつもりだ……?」  震えて睨みつけるも、思わず震える声。小人の怯えに、ミアはにっと微笑んだ。キラリと光るのはネコの目だ。  長いまつ毛も、整った顔立ちも、とびきり可憐な人間の娘と変わらない。しかし、その瞳孔は縦に切り裂いたようなネコの目で、不穏にきらめいては獲物を前に舌なめずりしている。ゆったりと揺れるその尻尾は、まるで蛇のように俺の体を這いずり嘲った。銀髪からぴょこんと立った猫耳だって、俺の悲鳴を逃すまいとこちらを向きつつ、もう片方では綾の動きを探って揺れている。  一見人間のような、それもとびきりの美少女のようなミアだって、ネコビトだ、動物なのだ。その体は一つの芸術品のように完成されていて、尻尾も耳も、ミアの思うがまま。それがどんな感覚か、人間の俺のにはわからない。 「キミはまだニンゲンのつもりなんだろう? ご主人に見捨てられたくなくて、ご主人にイジメられたくなくて、必死に耐えてるんだ。ボクが怖い。でも助けを呼べない。そうだろう? じゃあ、どこまでキミが耐えられるか勝負しようよ。見つかっちゃうかな? 見つかんないかな? でも見つかって困るのはコウの方さ! にひひっ、どんどん顔が青ざめてきたね? ボクが一声鳴くだけでキミは終わりだ。ならせいぜい、ボクに媚びることだね!」 「やめてくれ!! 見つかりたくない、いやだ、嫌なんだ!」 「ふーん? なら、一つ良い方法があるよ?」 「何だ?!」 「もっとちっちゃくなるのさ」  クスクスと笑いながら、口の端を引っ張り自身の牙を見せつける。  そして俺の上に覆いかぶさってくれば、もう俺の怯えはいよいよ頂点に達した。 「やめろ!! 何でもする、から、やめてくれ!」  ようやく俺の上から退いたミアは、どう料理するか吟味するように唇を舐めていく。  当座のおやつを欲していたのだ。 「ふふっ、噛まれたくなかったらボクのあそこにキスしなよ。舐めるんだ。虫みたいにね。……ふふっ、上手じゃないか♪」  ばね仕掛けのように俺が這いつくばるのを見て、ミアは褒美の言葉をかける。よく躾けられたペットの背を、満足げに撫でたのだ。  それから小人が、自身のスパッツに顔を埋めるのを見て愉悦の声を上げる。声には、人形のような人間を股間に奉仕させる優越感がたっぷり溢れていた。そして、あぁ、まただ! このネコビトは、俺を幼児のようによしよしと撫で始めた。  それは精神的な凌辱の時だった。  この行為がではない。行為だけなら、なんとか俺は自我を保てたろう。  けれど俺の心は激しくかき乱された。  視界いっぱいに広がるその股ぐらが、あまりに淫靡だったからだ。  無機質なスパッツは、水を弾くような質感で少女の肉体を閉じ込めている。張り付き具合を見るだけでわかる、その張力。サイズの合っていない水着のように張り詰めて、太ももに食い込み、内股を覆い尽くしている。  しかし、ミアの肉感はそれさえ凌駕していた。強靭な生地を破裂させかねないほど、柔い肉が内からスパッツを押し拡げている。限界まで引き締められたそれは、マンゴーのように丸々とした輪郭を目に伝えた。たぷんと床に広がる太ももは、たわんだ三角形になって顔の左右に広がり、俺の頭を挟み込む。生地には鼠蹊部も浮き出ていた。そして、ねっとりとした光沢に照っているのだ。  その内股に触れれば、頼もしい弾力とスパッツの滑らかさ。そして尚手に伝わってくる女の子の体熱。匂い立つそのフェロモンはしっかりスパッツに染み込んで、触れた手さえ強く痺れさせる。  顔を近づければ近づけるほど濃くなるメスの香りは、特上酒のように甘く熱く俺を包んだ。ギュッと目を瞑る。でなければ、目はその香りに盲いてしまいそうだった。  そして、一思いにその中へと飛び込んだ。  思わず、顔を貫く感触に声が漏れる。  それはまるでゼリーのようだった。ぶるんと震えて俺を包み込み、そして低反発の弾力でもって迎え入れるのだ。フェロモンの原酒に侵される体。巨大な美少女の淫香がジュッと顔を湿らせ、染み込み、酩酊させる。媚薬のように、その性的な毒は俺を絡めとり、もう動けなくしてしまうのだ。  スジの中に沈み込む。香り豊かな酒壺を、直接嗅いでしまった。  後はもう、狂うだけ。  俺はケモノの恥部を夢中で舐めた。舌に広がる美酒を、衝動に突き動かされ舐めとったのだ。顔を挟み潰す太ももの肉感に溺れた。ミアの陰部は俺の顔に深い接吻を施し、その唾液で俺をびしょ濡れにした。猫耳娘の濃い香りに輪郭さえほどけ、スパッツに染み入る熱気となってミアの股に張り付いた。  ひたすらにエロチックな香りは百合のごとく、ひたすらに甘い感触は女体そのもの。むちむちの太ももに飲み込まれて、あたりは真っ暗なまま、ミアの嘲笑と俺の舐める水音ばかりが暗く響く。 「アハハハハッ! 舐めてる舐めてる! 自分がどこにいるかわかってるの? ネコビトのあそこだよ? ペットのお股だよ? しかもムレッムレのスパッツで挟まれちゃってる! ボクの太ももで密閉されて、キミはもう虜さ。少しも動けない。動かせるのは舌だけ。なのに、ボクのおまんこが欲しくてたまらないって言いながら、犬みたいにペロペロしてるんだ! 惨めじゃないの? 恥ずかしくないの? コウはおっきなニンゲンで、尊敬されたりなんかしちゃって、それが今じゃ縮められてさ、身も心もペットの奴隷だ! そんなにボクのあそこが好きなのかい? ふふっ、可愛いなぁ。よしよし♪ ……じゃあ、もっと舐めるがいいよ!」  がっしりと俺の頭を掴むと、ネコビトは全力で小人を股にねじ込んだ。途端に上がる鈍い声。それもすぐに股間に沈むと、後は響き渡るミアの嘲笑だけが残る。  俺を、バイブにしながら。  まるでミアのナカに入ってしまうような圧力に、俺は恐怖と歓喜を覚えた。光栄で、屈辱で、煽情的。触れるだけで射精しそうな性器の輪郭に、この上ないほど触れている。体が震えた。それをミアの優しく無慈悲な美脚は押さえつけて、少しも赦してくれない。  そして、その内股。太ももは第二の乳房となって俺を挟み込み、そして俺をぺったんこにする。そうすれば俺は、ミアのまとう汗と一緒にその素肌へと密着するのだ。なんて嬉しいんだろう。なんて気持ちいいんだろう。でも俺は、みっともなく女の股に擦り付けられているのだ。まるでディルドのように。  そんな惨めさを、でっかい性器が囁いている。俺の顔を舐めつくし、罵声を囀りながら。 「やめ、やめてくれっ! 窒息する、ミアのあそこで死んじまう!!」 「やーだよっ♪ だってこれ気持ちいいんだもん。ペットのことは飼い主が決める、当たり前だろう? それに、コウだって発情してるじゃない。コウはね、もうボクにイジメられるのが嬉しいんだ。嬉しくて嬉しくてしかたない。そうだろう? だから、もっとボクのあそこを舐めなよ。もっと泣いて媚びてボクを楽しませるんだ。泣き顔を見せながら、上目遣いにボクの汚いところを舐めてごらん? ……そうそう。良い子だ。もっとイジメてあげるね! せっかくほぐしてくれたんだ。特別にボクの本当の味、コウに叩き込んであげるよ!」  そしてミアが突然膝立ちに立ち上がると、股間に殴り倒され俺はしたたかに背を打った。思わずクラクラと目眩に揺れていると、ドスッと遠慮のないスピードでミアが俺にのしかかる。  さっきまで手淫されていた俺のペニスは、メス猫の陰部に猛りよだれまみれで震えている。そんな短くなった鉛筆のようないちもつの前に、色づいた蕾に似た巨大な女性器が立ちはだかっていた。  惨めになる程小さなペニスが、タテスジのあまりの美しさと色香に震えてしまう。  醜態を晒すペニスを嘲笑した果実は、ゆっくり立ち上がるとその上に覆いかぶさり、ヌプ……と俺のペニスにキスを施した。  ツプププと音を立てて、ガニ股になったミアは挿入を始める。やめ、やめてくれと騒ぎ出すけれど、肩を押さえられているのだ、なんの抵抗もできるはずない。 「ほら、見えるかい? キミは今、ペットに犯されようとしてるんだ。ボクのあそこはおっきくて、キミのはちっちゃいんだって、よくわかるだろう? こんなちびっこいのなんて、ボクのキレイででっかいお股にあっという間に食べられちゃうんだ。ほら、ボクのおまんこでキスされちゃった。ニンゲンにとっては穢らわしいネコビトの性器に、キミは今舐められて、愛液をかけられて、なすすべも無く食べられちゃうんだよ? なのになんだいその顔は。気持ちよくて嬉しくて、早く入れてくださいって顔に書いてあるじゃないか。ケモノのナカに挿れられてるってのに、ふふっ、もうトロトロじゃないか! ボクの愛液でコウはビショビショで、汚されて、穢されて、なのにキミは嬉しくってたまらない! にっひひー、簡単には挿れてやんないんだから!」  ミアはペニスを半ばまで挿入したところで腰を止めてしまう。そうすれば陰茎をトロトロと蜜が伝って、俺の腹を水浸しにするのだ。香り立つメスの香り。ケモノの体液は媚薬同然で、思わず手で全身に塗りたくってしまう。なんて香りだろう、東洋的で魔術的、花のように馥郁として、ネロリと肌に浸透してくる。  そして、その膣の締め付け。ネコビトの陰部は、食虫花にも、白蓮のようにも見える美しい輪郭をしていた。熟れたざくろのようにその性器はふっくらとして、そこから無限の媚薬が流れ出すのだ。  俺は今、自分がまさに獣姦されるところを見せつけられていた。かてて加えて、焦らされてさえいる。そんな誘惑に抗えず、俺は必死で腰を浮かそうとした。先っぽだけが感じる、溶けるような蜜壺が欲しかった。先端に感じるこの温もりが、ねっとりとした柔らかさが、人と通じる悦びが、どうしても欲しかった。粘り気ある膣の手は亀頭をしっかり握りしめ、グニグニと弄び、しかしすこしもシゴいてはくれないのだ。  俺はケモノに犯されたいと願った。ペットに犯されたかった。無理やりペニスを丸呑みにされ、貪るような逆レイプを望んだのだ。  獣姦的逆レイプを求めて、俺はどこまでも疼いてしまう。そのように、猫に誘い込まれて。 「ボクのおまんこがそんなに欲しいのかい? キミはニンゲンなんだろう? ネコビトのおまんこなんて汚くて、見るのだって嫌なんじゃないかい? にひひっ♪ でもコウはそれがいいんだ。ペットのおまんこに食べられて、舐められて、呑み込まれて、ぐちゃぐちゃにされながら犯されたい、そうなんだろう? ボクにとって、コウは赤ん坊にも見えないちっちゃなオモチャさ。このまま無限に焦らしたっていいんだ。……そんな顔をするんだね。なら、言ってごらん? ボクに犯されたいって。ボクに犯されるなら何でもしますって。言えるよね? 言ってごらん?」  俺の上にガニ股になりながら、ミアはわざとらしく内股をさすり、唇を潤す。そして、ゆっくりゆっくり俺の体を動かすのだ。前へ、後ろへ。床の上を滑らせられれば、ミアの膣の中でペニスはねじれ、膣壁へとグイグイ練りつけられる。思わず上がる喘ぎ声。しかしミアは射精を許さない。  発情した少女の顔は、なんて淫靡なんだろう。そんな命令をされて、断り切れっこない。 「み、ミア……」 「ふふふ、違うだろう?」  ズイっと俺の方に顔を出す。あぁ、美しい顔がこんなに近くに寄ってきた。煌めく銀糸、紅潮した頬。キラキラとルビーのような猫目は爛々と輝いて獲物を射止め、俺は美しさの持つ気迫に思わず後ずさってしまう。 「み、ミアさまぁ」  にっこりと笑うミア。光の差したその笑みに、俺は勇気付けられ言葉を繋ぐ。 「ミアさま、ミアさま! 俺を、を、犯してください……! ずっと我慢してたんです、待ってたんです! その膣に挿れてください! めちゃくちゃにして、レイプ して、あなたのオモチャに……」  俺たちを光が包んだ、  その瞬間。 「……コウ?」  ミアが体を起こした時、俺の上には見下ろす綾の姿があった。いつのまにか俺たちはソファの下から這い出していて、綾の足の合間に寝転がっていたのだ。 「……コウ、今なんて……」  ミアをも手のひらに座らせる、大巨人の瞳。その10メートルを越す座高の果てから、困惑の瞳が降り注ぐ。 「い、いや、違うんだ……!」  その瞬間、ネコビトが俺の声をかき消した。 「コウ、ズルイよご主人の前で! ボクはイヤだって言っただろ? キミはご主人のものなんだから、いくら言ったってダメなんだって….。ご主人も言ってやってよ! コウはとんだヘンタイさ! コウったら、ずっとボクにエッチなイタズラをしてたんだよ!? ボクに乱暴したのさ! なのに、ちっちゃくなると今度はボクにヤらせるつもりなんだ。……でもボク、コウに散々いじくられて、もうどうかなっちゃいそうだよ。ご主人、ねぇ、ボクからもお願い。二人で遊んでいい? こんなことされて、ボクも発情しちゃったんだ……」 「え、ぁ、う、うん……?」  ミアの突然の言葉に、綾は促されるまま頷いてしまう。全ての咎を俺になすりつけているとも知らず、被害者たる哀れなペットの懇願を、思わず受け入れてしまったのだ。 「にひひっ♪ じゃ、いただきまーす♪」  そしてズドンっと腰を下ろすと、膣で深く深く俺のペニスにむしゃぶりつくミア。ヌチチチチッと締まった膣肉を搔きわける感触に、思わず歓喜の声が上がる。しかしそんな俺の目に映るのは、口を覆って恋人の姿を見下ろす、綾の蒼白な顔だ。それを見た瞬間、血の気が引く。  だのに。 「コウ、コウが悪いんだからねっ!? 自分よりおっきなボクを誘おうって、無理やりヘンなことするからいけないんだ! どうしよう、やめられないよぉっ!!」  無理やり俺を犯し倒すミアの膣に、俺は問答無用で感じさせられてしまう。あんまりな逆転騎乗位は、可憐な美少女の下で転がる俺の、滑稽に醜い姿を余すところなく綾に見せてしまう。そして、何を言い繕おうとせども、快感の暴力は俺を殴りつけて仕方がない。どんなに抗ったって俺の顔は性愛に歪み蕩けてしまい、密かにペットに手を出したケダモノを演じてしまうのだ。 「綾っ、これは……ぅぐっ!」  喋ろうとする俺に、一気に倒れこむミアの体。そうすれば乳房は俺の顔を叩き潰し、水風船のような弾力で俺を挟み込む。途端に流れ込むのは、例の媚薬だ。Tシャツからは汗をかいた猫の生々しい香りが吹き出し、乳房の甘みと相まってもはや思考もできない。  その動作が、俺に更なる躾を施す。  そうだ。何を言いつけたって、後でさらにひどい目に遭わされる。どんなに言い繕ったって、失墜した俺への信用は暴落するばかりだ。  完全に詰んでいた。  俺は、自分を犯す女の胸に縋り付いて泣いていた。  全て、全てミアに握りつぶされた。もう戻せない。もう戻らない。かつてのミアはどんなだったろう? ドアの影で怯えていた、ぬいぐるみのような飼い猫だ。意地を張って、俺に恐怖する、ハムスターのような存在だ。  それが今、俺を下敷きにしている。  なんだろう、この乳は。まるでビーチボールのようで、とてもじゃないが持ち上げられない。  なんだろう、この巨体は。顔は乳房に踏み潰され、足は虚しくその太ももを叩くことしかできない。  40センチの小動物から、3倍巨人の暴君に。そして俺は、もう10分の1ほどの体で、飼い猫に犯され続けている。  でも、気持ちよかった。  俺を抱きしめ胸に沈めたこの少女は、暖かい胎内へと俺を迎え入れてくれる。スパッツのムチムチした感触は、俺を脚でホールドすることでその密着度を跳ね上がらせる。ねちっこい膣内は俺を優しく舐めまし、陰茎をしごき、カリの隅々まで絡みついては、亀頭を撫で回した。ミアは身を丸めて、離すまいと全身で俺を抱きしめたのだ。これほど女性に密着されたことなど、これまで一度もなかった。  これは調教だ。乳房の隅々まで、膣壁のいたるところまで俺にインプットさせ、その体に病みつきにさせる、サキュバスの儀式だった。 「キミはボクに黙って犯されるがいいよ。もうご主人は助けてくれない。毎日毎日ボクに犯されて、おかしくなっちゃうんだ。ボクからは逃げられない。ボクの手の中から一歩も出られずに、無限に犯されるんだ。今だって、ご主人はすこっしもコウのことを助けようとなんてしない。思いもしないさ。そしてボクに同情するんだ。どんなにボクが発情したってキミのせいさ。だってこんなトロトロの顔、獣姦されてるオスの顔じゃないだろう? ご主人に見せてあげなよ。そして言うんだ、もっとシて、ってさ」  クスクス笑いながら囁くミアに、俺はもう泥酔していた。  ミアの性器は極上の名器だ。ふわっと蕩けたところを、ギチッと締め付ける魔性の洞窟だ。絡みつく愛液は粘膜から俺の中に這入り込み、脳をおかしくしていく。  俺は芳しい女性性の中に沈み込んだ。巨乳の間に潜り込み、肌に張り付くシャツに包まれた。  綾の目の前で。  すべすべの生脚が俺を締め付け、もっと俺たちは一体になる。そして互いによがるのだ。  綾の目の前で。  俺たちの左右では、丸まったミアと同じくらい巨大な足が二つ鎮座していた。その華奢な輪郭は、あいも変わらず踵を浮かせている。  しかし、その震えは俺たちを確実に揺らしていた。巨人の足元で狂う俺たちは、今、綾が足を踏み降ろすだけでもろとも潰れてしまう大きさだ。    俺はそんな小動物に犯されて、ヨダレを垂らしなが泣きわめく。  宙に浮かぶ綾の顔は、ミアの胸元に隠されて消えた。けれど綾の目には、飼い猫にレイプされて喜ぶ俺が、はっきりと見えたはずだ。ぬいぐるみのようなペットに組み敷かれて、泣き叫びながらも喘ぎ続ける、非力な非力な小動物。それがかつての恋人だなど、考えたくもあるまい。  俺はペットに犯され続けた。無理やりペニスを搾り取られ、ケモノの激しい交尾に巻き込まれたのだ。5メートルにも見えるミアの乳房は柔らかく、長い脚はむっちりと俺を締め付けて汗まみれにする。そして、快感の坩堝は俺の性器に吸い付き何度も何度も勃たせては破裂させた。  そんな様を、15メートルもの巨人に侮蔑の目で見下ろされ、助けてももらえなかった。  これ以上ない陵辱に、しかし興奮していたのも確かである。  望み通り、俺は二人のおもちゃになれるのだから。 § 「で、どうしたいわけ?」  綾がゾッとする声で言い捨てた。  愛猫を肩に乗せ、ストッキングの脚を組んで一言。  しかし、その前には誰もいない。  足指を苛立たしげに上げては落とし、その中に俺を包んでいたのだ。 「ずっとミアにひどいことしてたクズが、今更何の用? 出てく? 踏み潰される? 便所に流したげよっか?」  かつて俺が買ったソファにどっかと腰を下ろして、綾は険しく眉を寄せる。  その茶色の足先に、元人間を下敷きにしたまま。 「しかも? 私に乱暴したくて? それができなかったから? ミアにひどいしたって? はっ、最っ低。そのくせすっかりマゾに開発されちゃって、今じゃミアにイジメてもらう始末」  グリグリと俺を踏みにじりながら、綾は吐き捨てる。重量はミアの比ではない。親指に腹全体を潰され、ギシギシと骨が軋み始める。加減がわからない綾はこれでも載せる程度に留めているはずだ。それがこの圧迫感。指の付け根を蹴飛ばして体を解き放とうとするも、指の股に足を挟まれる始末だった。 「ご、ごめっ、たすけて……死ぬ、死んじまう!!」 「死ねば?」  張り付く茶のベールの先で、足指が冷酷に言う。親指と人差し指の間、俺の顔はストッキングに顔を潰されていた。タイツ生地から吸うも吐くも綾の香り。顔も見えない巨人様の足の中で、俺はペッタリと引き延ばされていた。 「マゾ虫の言葉なんて聞きたくない。話しかけないで。汚らわしい虫ごときが」  足指で俺を摘み上げると、そのまま握りしめるかつての俺の女。濡れ布団できつく簀巻きにされたような重圧は俺を絶叫させるに十分だ。  綾はひとしきり憎々しげに俺を足で握りつぶした。ピンっと足指で俺を弾き飛ばす。  飛ばされたのは綾のルームシューズの中。フカフカと柔らかなブーツの中に受け止められ、轢かれた蛙のような声を一つ吐き出した。  足指で凹んだくぼみに、ズルリと引きずりこまれる。 「そうね、アンタの巣はこれからそこよ。これからも使うから、履き潰されたくなかったらせいぜい気をつけることね」  それから肩のミアを手のひらに乗せると、打って変わって綿菓子のような声を出す。 「ミア、怖かったよね。これからうんと可愛がってあげるから。ソレ、好きにしていいよ。あげるから世話してね。捨ててもいいけど」  そして、立ち去って行った。 §  綾が去ったあと、ミアはニヤニヤと靴の中の俺を覗き込んだ。 「にひひッ♪ ご主人の靴の中はどうだい? コウの力じゃ出られない巨大な牢屋、そうだろう? ボクがいなきゃご主人の足でぺったんこ♪ それがいやなら……ボクに忠誠を誓うことだね!」  ウキウキとして手を伸ばすと、指先に俺をぶら下げる。グッと言いたいことを堪えて、俺は眼前の美少女をねめつけた。それすら猫耳少女は楽しんでいる。そしてぽいっと俺を放り投げると、尻尾で床に跳ね飛ばした。 「い、痛いだろ!」 「あはっ♪ ご主人のでっかい足に踏み潰されるよりかはマシだろう?」 「そうだ、綾……」  ハッして俺は巨人の尻に抗議した。  もうまともには顔を見上げられない俺は、遣る瀬無くもしなやかな尻尾に怒鳴りつけたのだ。 「なんで綾にあんなこと言ったんだ!」 「ふっふーん、おもしろくなってきたでしょ? 褒めてくれていいよ?」 「お前……!」 「なーに? 歯向かうの? もっと酷いこと言って欲しいのかな? もうご主人はコウのことなんか一ミリも信用してない。ボクの言うことは全部信じるのさ。あーんな恥ずかしいところ見ちゃったんだから同然だよね? これからね、もっともっと色々言ってやるつもりなんだ。コウは夜な夜なボクを襲ってたヘンタイさん。ご主人の下着を盗んでヘンなことして、ずっとボクに黙らせてた。そう言ったらご主人はどう思うかな? にっひひー! ずいぶん可愛い顔をするじゃないか。真っ青でビクビク、イジメたくなる♪」 「やめてくれ!」  俺はミアの足首に縋って懇願した。あぐらをかいたミアの足は、寝かせているのに俺の胸元にまで届き、座ったその顔は数十メートルも上にある。俺の頭上でパーカーの紐が揺れていて、どうもこの猫は笑っているらしい。 「それがものを頼む態度かな?」 「ッ! お願いだ! このとおりだから! もう嘘はつかないでくれ!」 「どーしよっかなー♪」  巨大娘にひれ伏し土下座する小人を、飼い猫はニマニマと見下ろしていた。戯れにその素足で頭を踏みにじり、楽しげにゆらゆらと尻尾を揺すっている。ミアの足はもう俺の背中を覆い尽くしていた。ペットの足裏に収まる、小さな人間の土下座だ。  巨大な素足の下で俺は震えた。ミアが聞き入れてくれなければいよいよ俺はどうなるかわからない。本当に捨てられるかもしれない。保健所にでもぶち込まれたら一巻の終わりだ。ひたすら首を垂れて慈悲を乞うしかない。猫娘の足裏に、俺は哀願するしかなかった。  プニプニと弾力ある裸足が重く俺にのしかかる。ペットボトル程度の体重しかなかったのに、そのほんのつま先だけでまるでソファに押しつぶされたも同じだ。ぬいぐるみのようだったミアに今は脛と背比べしたって負けるのだから、今の俺は綾の手にさえ住めてしまうかもしれなかった。 「土下座なんかボクに意味があると思うかい? コウなんて簡単に踏み潰せちゃうんだ。それともこっそりご主人のヒールの中に入れて踏んでもらおっかな? 下着の中に隠しておくのもいいね。キミにとってボクは6メートル3トン、ご主人は30メートル400トンの巨人なんだ、ゴキブリより簡単に潰れるはずさ。そんな虫以下の存在がいくら土下座したって、ねえ?」  ニヤニヤと笑いながら、ミアが足指をくねらせて俺の背中を叩く。トントン、と土嚢ののしかかるような重みに思わず呻き声が上がった。滑らかな足裏は仔猫の代謝でじんわり湿って熱い。はやくどけて欲しいが、従順に土下座を続けるほか俺にはなかった。 「ふふん、しおらしくて可愛いじゃないか。なんだか楽しくなってきたよ。じゃあ……」  足指で俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でこする。しっとりと髪が指紋や汗で汚されていき、香りが乱暴に練りつけられていく。その親指だけで俺の頭ほどもあるのだ。その動きに合わせて頭はぐらぐらと揺り動かされ、頰や首元を爪先で触られたならキラリと光る綺麗な爪が肌をこすった。  ひとしきり俺を弄ぶミア。  やっとその素足を退けると、「ダンっ!」と足を俺の前に投げ出した。 「舐めるんだよ」 「舐めるんだよ」  呆然と頭をあげる俺に、せせら笑うような少女の笑みが突き刺さる。もう矜持も立場も忘れた生き物に対する、本物の軽蔑の眼差しが正確に俺の目を射抜いたのだ。頭上にそびえる素足はまっすぐ正面を向き、俺を見下すことさえしない。目の前の母指球が柔らかく白い膨らみを誇って俺の気持ちを踏み潰し、向けられたペットの足裏は僅かに埃に汚されていた。 「何をしてるんだい? 舐めろって言ってるんだ。舐めろよ。家畜みたいに舌を出して必死にボクの足にしがみついて、宝物を磨くように舐めとるんだ。踏み潰されたいのかい? ゴミクズにとってはご褒美かな? ほら、さっさと舐めるんだよ」  もう一度踵が振り下ろされた時、衝撃に浮いた俺は弾かれたようにミアの足に抱きついた。爪先立ちになって、陶器のように白く滑らかな足へ飛び込んだのだ。その彫刻に似た外観と裏腹に、俺の胸にはペットの熱がしっかり染み込んでくる。不快ではない香りが一瞬で俺を抱き返す。そして、俺はもう涙目になってペットの足裏にむしゃぶりついた。 「にひひっ♪ いきなり飛びついたらくすぐったいじゃないか。なんだいそのザマは。まるでボクのスリッパだね? ネコビトの足にひっついて恥ずかしくないのかい? おまけにペロペロ足指を舐めてるんだ。裸足で走り回るペットの足は汚れてるだろう? なのにコウ、実は興奮してるんだ。ボクにはバレバレさ。ほら、指紋の溝まで、爪の垢まで綺麗に舐めとるんだよ? その虫みたいな体なら簡単だろう?」  ニマニマと笑ったネコビトは愉快げに囀った。愛らしいその猫娘は部屋の隅で小柄な体を揺らし、足にひっつく生き物に優越感をたぎらせる。しかも、それは元飼い主なのだ。  なにもかも巨大な世界で、俺はペットにさえ辱められていた。激しく胸は掻き毟られて恥辱に顔が熱く、それを冷やす少女の足先の体温が生々しい。自立し、収入もあり、社会的地位だってあったのが俺だ。周囲の巨大な家具いちいちが俺の所有物だった。この巨大娘さえかつては所有していた。なのに今はどれ一つ扱えず綾のものとなり、対して俺はペットの性玩具と成り下がった。そう思えば部屋の中で俺はどこまでもどこまでも縮んで行き、今じゃまるで寄生虫のように美少女の足に絡みついている。  だのに。  だのにどうしてこの素足はこんなにも綺麗なんだろう。  時折愉しげに揺れるその裸足に、俺は振り落とされまいと強く抱きしめていた。  その女体のような輪郭はしっかりとした厚みと柔らかさを持ち、獣の引き締まった肉質に思わず股座が昂ぶる。しっとりと大型獣のように暖かく強靭で、それなのにあふれんばかりの女性性が俺を陶酔させた。  投げ出された足は艶めかしく床を這い、ぴっちりとしたスパッツの中へと膨らんでいく。ゴム質のそれは僅かに上腿を包むと、あとは剥き出しの美脚が輝いているのだ。  太ももは自重に押し潰されてむっちりとたわみ、しかしその横には俺たちを丸ごと乗せてしまえるようなロボット掃除機が無機質に鎮座していた。巨大な機械の隣にいれば、ミアとて小さな小人だ。その頭はコンセントを僅かに超える程度。それでも、そのちっちゃな裸足は俺にとって特大の抱き枕となっていた。  壁に背を持たせかけて美少女は俺を見くだす。その大きく張り出す胸は己の腹に影を落とすのが、俺の見上げられる精一杯のものだ。乳房の上半分はおろかその首、口元さえ俺には乳房に隠れて見えやしなかった。    上目遣いにその美貌をうかがえば、パチンと彼女と目があった。慌てて俺は風船のような親指に顔を伏せる。  俺の視界いっぱいに広がるもの。その可愛らしい指先は、その指紋の奥底はおろか血管さえ透けて見えるほどどアップで目前に広がった。おずおずとそこに口をつける。  その瞬間の、唇の感触に心が折れた。  足指の指紋唇が押し広がり舌先に塩味が広がる。そうすれば埃が口の中に入り込み、駆け回った猫の裸足だと再認識させるのだ。くすぐったそうにミアが指を曲げると、一箇所僅かに濡れた親指が目に飛び込んできた。  くねる足指たち。  それがワッと俺に飛びかかるともう無茶苦茶に顔にのしかかる。 「ほら、舐めなよ。役目だろう? ボクの足を舐め回して喜ぶんだ。ご主人さまご主人さまって媚びてボクを喜ばしてよ。にっひひー♪ 可愛い顔だね。でも顔をクシャクシャにしたってダメさ! ネコビトだからってコウはボクを怒らせたんだ。絶対、ぜーったい許さないって言ったもんね♪」  グニグニと足指を蠢かせてミアの裸足が命令する。俺は半泣きの顔を隠すように指紋の渦に顔を埋めた。誠心誠意この巨大な足に尽くす他ない。埃まみれで汗まみれ、そんな体を柔らかな鉄塊じみた足にもみくちゃにされるのだ。 「ダメじゃないか休んじゃ。泣いたってムダさ! もっともっとコウにはちっちゃくなってもらうんだ。もうご主人には見えないくらいになって、ボクがいなきゃ吹き飛ばされるくらいの大きさになるんだ。そして何度も何度もボクらのオモチャにされちゃうのさ。ご褒美だろう? 超巨人二人に使いたおされる気分はどんなかな? 想像するだけでワクワクしちゃうね♪」  親指の指の股に俺の顔を挟みこみ、巨大な猫娘は愉悦に浸る。もうその顔は自分の足指より小さいのだ。かつては見下ろされ足蹴にされた憎い人間も、もうグシャグシャにされて足指の間。うっとりとその様を見下ろして尻尾も猫耳も大喜びだった。  座ったままグリグリと俺を踏みにじる。体の隅々までしっとりした足裏にめり込んでいく。水をたっぷり入れたビニールプールのようだ。プニプニと柔らかいのに強烈な重みで、俺をくまなく押し潰す。 「ん、こんなもんかな?」  ピンと足を掲げれば、元飼い主はペットの足に張り付き離れない。落ちる恐怖に足の間で泣き叫び、助けてくださいと願う一心に素足の主を探していた。  猫の柔軟な肢体を曲げて、足裏を覗き込む巨人の少女。  そしてニヤッと笑う。 「ふふっ、なんてザマだい、ねえ? これがあんな大っきかったオスの末路さ。……じゃあ、ペッタンコになっちゃえ!」  足裏同士を向かい合わせる。  照準を合わせるようにじっくり位置を選ぶ娘の裸足。  そして、一気に叩きつけた。 「ん〜〜♪」  小気味好くパチンっと音がなり、仔猫の嬉しそうな喉声。悲鳴はかき消された。  肉質柔らかな肉塊がほっそりした輪郭を重ね合わす。  そうすれば、俺は足の中に完全に包み込まれてしまった。床で冷えた足裏は一瞬俺の熱を吸うと、一挙に膨大な熱を注ぎ込んでくる。ふわりと香る汗やネコビトの香り。それが肌の奥底まで浸透するのだ。 「にっひひひ! 泣いてるのかな? もうボクには見えないんだ。少しも動けなくて怖いのかい? 全身コンクリートにでも入れられた見たいな気分かな? でも美少女の素足に挟まれてちょっぴり嬉しかったりする。そうだろう? ボクに躾けられて嫌でも体は反応してる。ボクにはよくわかるよ。……もしこのまま足を擦り合わせたら、小虫はどうなっちゃうかな?」  クスクスと笑う愛らしい仔猫。下品な格好で飼い主を罵倒し、しかし微塵も憐れまない。ただひたすら、どう料理してやるか企むばかりだ。  モゾリ、と巨大な壁が動いた。ほぐすように足指を波打たせ、そんな荒波に俺は溺れてしまう。  ミアの裸足はまるで女体のようにくびれ、バストのように膨らむ二つの母指球。巨大な女二人に挟まれたような錯覚は、弥が上に俺を興奮させた。女体の肉布団にねじ込まれ、完全に閉じ込められるのだ。クスクスと笑う声が前後から響く。  そしてそれらは、互いに顔を見合わせて、その体を擦り合わせ始めたのだ。  後はもう阿鼻叫喚だった。  ヌチリヌチリと前後し始めたミアの足は徐々に動きを速め、唾液を垂らすともう誰も止められない。とんでもない速度で俺を撫で回し、こねくり回し丁寧に丁寧に練るのだ。猫耳娘の甘い唾液が足裏をローションプールに変えてしまう。そして素足という女巨人二人が思う存分ヌメる体を擦り合わせるのだ。 「足にくっついたガムみたいだね。そんなゴミをボクの足型にしてあげるよ! ボクの汗も汚れも吸い取るばっちい足型になるんだ。嬉しいだろう? でっかいボクの足になーんにも出来ないままどんどん形を変えられちゃう。そうすればもうコウは虫以下さ!」  パン生地のように人間をこねくりまわす興奮にミアは紅潮していた。その興奮は俺を壊し狂わせ、足コキの中に深く沈んでいく。  気持ちよくないわけがなかった。愛玩動物として生まれたミアは足の先までとびきり可愛らしく美しい。美脚に酔わされもはや地もなく天もなく、無茶苦茶に足裏を堪能させられるのは至高の疼きをもたらした。その柔らかな肉壁に触れるだけで体が跳ねる。それを受け止めるのもミアの素足なのだからたまらない。美少女の足に耽溺していく。  顔を踏みつける親指。唾液と汗で口も耳も犯されて、脳に直接痺れを放つ。首にまとわりつくのは綺麗な指で、戯れに握れば俺を窒息させた。そんな中で何本もの指が顔を踏みつけ蹂躙する。抗いようなく指紋が頰に刻印されていく。  その最中も嫋やかな母指球や土踏まずのラインが俺に抱きつき離れない。圧倒的な重量に悲鳴も出せず強制的に感じさせられ、全身を包む足コキに痙攣した。背中を指がなぞり土踏まずを舐めさせられ、その造形全てを植え付けるのだ。  何度もミアの肢体が目に浮かんだ。生意気な美少女はニヒッと口を歪めて聳えたち、綾に彫琢された性的な体を誇るのだ。ぴっちり太ももに食い込むスパッツ、むき出しの美脚、スラリと長い脚のはるか下に、素足はちょこんと横たわる。  俺は、その中にいるのだ。  ソーダが噴くように俺は射精した。耐えきれなくなった体はもう嘘をつけない。メス猫の素足に欲情し、その足裏に泣きべそかきながら粗相した。止めようの思っても止められない。恥ずかしくなるほどの量が快感を物語っていて、それがミアの嘲笑を誘った。  足から滑り落ちた人間は痙攣し、巨大娘に見下ろされながら、何度も何度も劣情に身を震わせていた。 §  それは以前。  俺がまだ人間だった頃のこと。  この厄介な生意気仔猫は、ことあるごとに俺と綾の間へ割り込もうとした。 「あーー!! コウのやつ、またご主人とくっついてる!」  せっかくの美声を荒げ、悲鳴を上げる小娘。どこからともなく駆け寄ってきては、ソファの背面から現れる。 「コウのくせにこんなにべったり!ここはボクのだぞ! どいてよ!」  無理くり俺達の間へと割り込んで、綾に抱き着く猫耳娘。フンスと鼻を鳴らして、飼い主の奪還に得意顔だ。  俺と綾は顔を見合わせる。少し慣れたと思えばこのありさま。ミアはしきりと俺に立てついて、なんとか綾を独占しようと必死だった。 「こらこら、あまりイジワルしちゃダメよ? コウも家族なんだから」 「ご、ご主人までそんなこと言うの……?」  小さな生き物は、泣きそうな顔をしてシャツに縋りつく。そんな顔をされて、かわいくないわけがない。テディベア大の美少女にこれほど懐かれて、思わず綾はときめいてしまったようだった。うれしい悲鳴を上げてミアを撫でくり回し、文字通りの猫なで声でミアを愛でる。そのまま太ももに座らせて、あとはネコビトに夢中だった。    そうなれば、ミアの天下だ。  愛でられ飼い主を独占し、俺への優越感に酔いしれる。コロコロと喉を鳴らし、蕩けさえする始末。なんとも憎たらしいが、小さな生き物の幸せそうな姿は、悪いものではない。  しかしミアの幸福も、長くは続かなかった。 「……あ、食材切らしてたんだった」  飼い猫を抱き上げ、やおら綾が立ち上がる。 「いいよそんなの。出前取ろうぜ」 「またそうやって無駄遣いしようとするんだから! いいわ、パパっと買ってきちゃうから」 「車出そうか?」 「いい。用事もあるし。ミア見てて」 「へいへい」  突如奪われた平穏に、半ば呆然としながら俺たちを見上げる仔猫。一瞬遅れてから耳をピンと伸ばし、 「ボクも、ボクも連れてって!」  半ば哀願するように、綾の膝に縋りつく。散歩に連れてけとせがむ仔犬のよう。  けれど急ぎたい人間に、ペットの哀訴など届くはずもない。  去る巨大女性の背を見つめ、呆然と座りつくすばかりだった。  それから気まずげに俺を伺い、プイとそっぽを向くのだ。 「……俺だって飼い主なんだがな」 「そんなのボクの決めることさ! コウがご主人なんて認めないね!」 「そうざんすか」  あくまでミアは、硬い姿勢を崩さない。  参った。これじゃロクに話もできない。  だから俺は、奥の手に打って出たのだ。  ソファの傍らから、ある袋を取り出す。  ピクリと、ミアが猫耳をそばだてた。  そして手のひらにおやつを乗せてみれば、すぐさま目の色を変えるのだ。 「いるか?」 「…………いる」  不承不承頷き、俺の手から好物をふんだくろうと寄ってきた。けれど、俺の手は奴の反対側。その腕じゃ届きようもなかった。 「ちょうだいよ」 「取れよ」 「……コウのバカ」  悔しそうに俺の膝に乗り、お目当てのものにありつく。そして笑顔を輝かせた。ネコビトは単純な生き物らしい。手のひらいっぱい分の幸せを手に取れば、さっきの苦渋など吹き飛んでしまう。小さな菓子粒も彼女にとっては大きな塊、サクサクとかじるようにほおばっていく。  まるで重さを感じさせない膝上の猫。ペットボトル程度の体重はひどく心もとなく、少しの衝撃で吹き飛んでしまいそうだ。  なんだ、かわいいじゃないか。  少し背中を撫でてやる。ミアは不満げに睨んできたが、やがてどうでも良くなったのか尻尾を揺らしてカリカリに意識を舞い戻した。  指先に感じる、細い細い背筋。簡単に握り折ってしまえそうな骨がいよいよ不安だ。だぼだぼのTシャツからのぞく、薄い肩も首筋も、慈しんでやるに十分な華奢さだった。  ささやかなふれあい。この時ばかりは互いに安心していたはずだ。膝に座らせてペットと二人、穏やかな時間を過ごした、一時間弱。短いが、それでもそのひと時は、お互い印象深かったはずだ。  なのに。  どうしてこうなった? 「にっひひー♪ そんなに怖がってどうしたんだい? ボクみたいな美少女相手に逃げるんなんて、まったくひどいじゃないか♪」  地面が震える。声が響き渡る。駆け抜ける椅子の下、机の下、背後からミアが追いかけてくるのだ。巨人用の家具の下、40㎝の小人と8㎝小虫が哀れな追いかけっこ。仔猫どのはきっと、足元でチロチロ動く俺を面白がっているに違いなかった。  ミアが一歩踏み出す度、頭上を丸い膝がかすめていく。かつては俺の膝にも届かなかったのに、今じゃ逆。仔猫の膝に見下ろされるような絶望的な体格差。それほど無力な俺に嗜虐心をむき出しにされるのだから、恐怖はうなぎ上りだ。  なんとか机の下にもぐりこむ。立ち止まったのはミアの素足。屈みこんでこちらを覗き込むと、捕まえようと手を伸ばし出す。目前をかすめ、それからあさってな方向を探るのだ。  どうも俺が良く見えていないらしい。  逃げるには、今しかなかった。  隙間に手を突っ込むミア。いかにも猫らしいそぶりだ。暴れまわるそのバカでかい手から、なるべく静かに距離をとった。  そのまま、反対から一気に逃げ出す。 「……ひひひっ♪ ひっかかったひっかかった♪ 逃げられるとでも思ってるのかい?」  光の中に踊りだし真っ白になる視界。それとともに同時に聞こえてくるのは、しなやかな着地音だった。  そして、柔らかなものにぶつかるのだ。 「わぁっ!?」  ぼむっと独特の弾力に全身を打ち付ける。  現れたのは黒い壁。ペタペタと触れば、柔らかな感触は女の子の肌、指に伸びるその感触は、散々味わわされたゴム生地。  間違いようがない。ミアのスパッツだった。 「コウのばーか♪ そんな浅知恵見え見えだよ♪」  それは、膝立ちになったミアの股間。  見上げれば、己の股間に正面衝突した俺をミアが嬉々として囃し立てていた。その、愉悦に満ちた声たるや。まるではしゃぐ子供のように無邪気なのに、その瞳は妖しげに輝き嗜虐心を隠さない。  膝立ちになって、ミアは俺の前に立ちはだかっていた。引き締まった太ももが2本、目の前にそびえ立つ。もう、抱きしめきれるような太さではない。柱も同然だ。その奥で揺れている尻尾だって、もうフランスパンのような大きさだった。 「あはっ♪ もうコウはボクの太ももより短いんだ♪ チービ♡ わかるかい? もうお股にも届いてないんだよ? これが元飼い主だなんて、笑っちゃうね♪」  猫耳娘がニタニタ笑う。スピーカー越しに降ってくるような笑い声だ。この至近距離、俺にはせいぜいシャツの裾しか見えやしない。 「ほら、口に出して言うんだ、自分はボクの太ももより小さなチビですってさ♪」 「だ、誰がそんなこと……」 「へえ? まだみとめられないっていうのかい?」  クスクス笑うミア。あざ笑うように尻尾で俺の顎を撫で、猫耳をピコピコとはためかせた。 「それなら……、ボクが背比べさせてあげるよ!」  俺を太ももで跨ぎ越す。そうすれば俺はミアの股下に納められてしまうのだ。周囲を巡るTシャツの天蓋、左右にはぶっとい少女の太もも。女の子の香りが押し寄せる。俺のつむじを、サワサワとスパッツの股間が触れていた。 「あははっ! もう太ももよりも細いじゃないか! これじゃ、ボクの腕とも変わらないね♪ オスなのに恥ずかしくないのかい? こーんなにちっちゃなメス猫相手に、これじゃネズミじゃないか♪」  そして、ねちっこく笑うと。 「じゃあ……ボクのむっちりボディ、思い知るがいいよ!」  キュッと、太ももを閉じたのだ。 「やめっ……ぅがッ!!?」  ザッと床を擦る膝の音。それとともに、柔らかな壁が飛んでくる。俺じゃ半分も腕の回らないような極太おみ脚、それが2本も俺に飛びついてきたのだ。一挙に押し寄せてきたのは、内股のむちむちと柔らかいところ、ゴム生地でキュッと締め付けられた、女の子の脚の付け根。しかしそれも幅100cmという極太スケールであれば、ウォーターベッドに殴りつけられたも同然だった。 「えいっ♪ ……ははっ、もうボクの中でみっちりだね♪ このドブネズミ♪ ボクのぶっとい腿で窒息しちゃえ♡」  そして脚を閉じれば、俺は瞬く間にムチ腿の中に埋まってしまう。俺の胴の4倍はあろうかという太ももだ、造作も無いことだった。若々しい弾力で俺を包み、そのまま押し挟むミアのむちむち美脚。それがむにぃ……と俺を包み込んだと思えば、次の瞬間には猛烈な力で俺を押しつぶし始めていた。 「コウちっちゃ♪ 頭スモモみたいで、挟み潰せそうだね? あははっ、震えてる震えてる♪ 怖いのかい? このまま粉砕しちゃおっかなーどうしよっかなー♪ ふふ、なんだか気持ちよくなってきちゃった♡」  ギリギリと俺を股間で挟み付け、楽しげにミアは体を揺らした。もう俺は頭から股間まで完全にミアの中。スパッツのキュッと無機質的な質感と、そこからあふれるムチムチもっちりとした肉の膨らみ、その両者に襲われて、動くことすら出来なかった。無力な小人は大木のような猫耳娘の太ももにしがみつき、苦悶の表情を内ももにうずめるだけだ。 「ほら、なんとか言ったらどうだい? このままじゃ潰れちゃうよ? メスペットのお股で粉砕されちゃうよ? 飼い猫に縮められて、犯されて、犯されまくって、ケモノのお股で窒息しながら圧死しちゃうんだよ? 嫌でしょ? 怖いでしょ? なら、ボクのお股から脱出しなよ! ……あははっ、大変♪ コウの頭がおまんこにあたって、ちょっと濡れてきちゃった♡」  スリスリと太ももをこすり合わせ、少し吐息を湿らせながらミアはうそぶいた。綾の膝にさえ満たないミア、40cmの小人ペットのミア、その股間に見下され、今や俺は死にかけだ。  だのに、それが狂おしいほど気持ちよかった。  いい匂いがしていた。女の子の、エッチで芳しく、濃い香りだ。スパッツで蒸れた香りをかがされ、めり込んだお股からは少女特有の芳香、全身を包む柔らかさに加え、吐息、衣擦れ、骨の軋む音と、ミチチッと太ももの擦れる音。それが、窒息しかけの意識を容赦なく興奮させる。  ミアの股間。エッチな、生意気な、ムチムチの股。ゴムの食い込む、肉付きの良い太もも。  その中で、俺は泣くのだ。  美少女の股間で頭を砕かれそうになっているのだから、当然だった。こんな死に方ってない。本当なら綾と末永く暮らし、老いてのち子供に看取られて死んだだろう。それが今、綾には人間とも思われず、猫のオナペットに堕とされ、自分の何倍もある太ももで破裂しかけていた。なんでこんな目に? しかもこれほどの仕打ちを受けながら、俺はエロい美少女スパッツで勃起させられてさえいるのだ。  耐えられっこなかった。  スパッツの股間から宙づりにされたまま、俺は惨めにペニスを破裂させる。輝く太ももの間、みすぼらしい体からわずかばかりの汁を垂らすと、泣きべそを掻き空っぽになるまで射精させられたのだ。  それに気付いてくれるまで、しばらくミアのおまんこプレスは続いていた。 「あはっ、もうイっちゃったの? ざーこ♡ コウのざーこ♡」  やっと気づいてくれた猫耳女王様。  それから、何度も何度も太ももをこすり合わせる。まだまだ足りない、そういうように素肌でペニスを包み込むのだ。 「やめろ、出る、あ、ぁああ゛……!!?」  太ももの中から俺のくぐもった悲鳴。  わずかに覗く手先でペチペチ太ももを叩くけれど、引き締まった肉体は跳ねのけるだけだった。  そして、ミアの腿の中で射精させられるのだ。  何度も、何度も。 「イッちゃえ♡ コウのザコ♡ ゴミ♡ ドブネズミ♡ ボクのお股で泣かされながらイキまくっちゃえ♡♡」  ぱむんッ、ぱむんッと太ももを閉じる度絞りだされる俺の精。興奮した濃厚な香りをかがされながら、俺は泣き出しペニスも泣いた。それでも情けなくビュッビュッと精液は止まらない。 §  終わることないミアの太もも地獄。  その中で、もう出るものさえなくなっても絞りだそうとされるうち、ついに俺は痙攣し始める。  そしてミアが股を開くと、ズリズリと俺は滑り落ちたのだ。 「もう終わり? つまーんないのー♪」  容赦なく美少女ペットはあざ笑う。  それから、ペタンと腰を降ろすと。  あぐらをかき、ぐるりと脚で俺を囲んだ。 「じゃあ……もっと縮んじゃえ!!」  そのまま股間に顔を押し付けられれば、ジワッと沁みだすのはエッチな愛液だった。  ビクビクと痙攣する俺。むりやりそれを飲まされて、死にかけたのだ。しかも、注がれる濃密な蜜はただの媚薬ではない。  それは、猫耳娘の体液。  そこに何が含まれるか。俺は身をもって知っていた。 「小さくなーれ♪ 小さくなーれ♪」  股間に張り付く俺を囃し立てるミア。綺麗な声で歌いながら、ぐちゃぐちゃに恥部にこすりつける。  そうすれば、空気の抜けた風船となって俺は縮み出すのだ。 「にひひ♪ 本当にネズミみたいになっちゃったね♪ もう戻れないよ♡」  縮み、縮み、縮んでいき。  ついに、ミアの手にさえ収まるサイズに堕ちていく。  それを知らしめるように、ミアハ両手で俺を握りしめた。継ぎ目のない、なめらかな指。まるで石膏のようだ。そんな少女の小さい手が、布団のように俺を締め付ける。 「っ、やめっ、ふっ……ぐっ……う゛あ゛あ゛ッ……!!」  徐々に苦しくなっていく悲鳴。しっとりしなやかな指が、大蛇のように巻き付き締め上げる。10本の指が体に食い込む。手の中にめり込んでいく。絞り出されるレモンになったような気分だった。幼女然とした小さな手の膨らみで、限界まで押しつぶされるのだ。 「にひひっ♪ コウのどぶねずみ♪ 前じゃ指だってボクじゃ掴みきれなかったのに、今じゃ片手ですっぽり♪ 怖いかい? ボクが怖い? へへへ、逃してなんかやらないんだから!」  両手でがっしり俺を捕まえて、ミアは俺を嘲った。けれど俺は、ただ苦悶することしかできない。  俺は怨嗟の眼で巨大ペットをにらみつける。それがミアには楽しくって仕方ない。手という肉厚の寝袋の中から見上げる、その美貌は悪魔そのもの。猫目を輝かせ、ワクワクと猫耳をはずませ、こんなに楽しそうな顔見たことがなかった。それは、猫耳少女の本性。楽しくないはずがなかった。狩猟本能を丸出しにして弱い生き物を虐げる。それも、元飼い主を! 「どうだい? コウにとってボクはおっきいだろう? ご主人の膝にもとどかないのに、コウはもう僕の手のひらだけですっぽりなのさ♪ にひひっ、そんな顔していいのかな? ボクは今、コウのご主人サマなんだよ?」 「ぐッぁああ゛ッ!!??」  戯れに力をこめてみせるミア。その手の中で、ギシギシと小鼠の骨が悲鳴をあげた。絞り出される人間の悲鳴に、けれどミアはクスクスと女の子っぽい笑みを溢すだけ。俺の苦痛などまるでどこ吹く風だ。にんまり笑う大きな顔が、怖くて怖くて仕方ない。 「アハハッ♪ 狩猟本能っていうのかな、思わず体が反応しちゃうよ♪ 手の中でちっちゃいのがもがこうとしてる……、なのに少しも動けやしないんだ! ボクのちっちゃな手がまるで寝袋みたいじゃないか。これまでちっぽけだったボクが、今じゃ簡単にコウを握りつぶせるんだ! ふふっ、もっと鳴きなよドブネズミ♪」  手の中に埋まる俺を、美少女はギリギリと締め上げる。俺の顔より大きな親指で頭を撫でてみせ、優しく、そして、残酷に俺を握り締めるのだ。シンプルかつ効果的な示威行為。ぱっちりと二重で、おとなしくすれば深窓の令嬢にすら見える美麗な顔、それが嗜虐的なケモノの表情にゆがみ、優越感に輝いていた。この、残酷な猫耳少女に、俺は丸腰同然だ。 「ふふっ、コウのくせにかわいいじゃないか♪ なんだいそのぐちゃぐちゃな顔は。ケモノにそんな顔を見せたらもっといたぶられること、わからないかな?」  目を細め長いまつげで俺を煽ぎ、ミアはサディスティックに笑む。ねっとりと唇を潤すのは、熟れた苺のような甘い舌先。薄桃のぷっくりしたリップを輝かせ、ハァッ……と吐息を漏らし。それから、俺に口を近づけるのだ。  小さく丸く、しかし長机のように大きな唇。色づき始めた桃のようにかわいらしいそれが、視界いっぱいに近づいてくる。  柔らかな体温を感じた。甘酸っぱい少女の吐息に髪がなびいた。それから、軽く口が開き、白い歯が、次いで丸い舌、喉奥、口蓋まですっかり視野に満ち広がると……! 「んぁ……」  大きな舌で、顔全体を舐め上げられる。背筋に似た双丘、そのローションまみれの表面が柔毛を練りつけるようにまとわりついた。腕さえ出せない俺に抵抗権はない。ねとぉ……っと美少女の舌に顔を汚され、舐め上げられるままに顎を、唇を、頬、鼻、眉間、額にいたるまで一嘗めでグチョ濡れにしてしまうのだ。 「ぁ……む♡」  チュプッ、チュプッと淫らな音が響き始める。ねっとりと蜜を絡め、嫌らしく舌を這いまわし、まるでペニスにでも見立てたような所作。これほどの屈辱はない。飼い猫にきたならしい性器扱いされているのだ。  拒絶する心。それでも微細な舌乳頭は柔らかく気持ちよく、肌のキメにまでしっかり吸い付いてきた。押し返す、手の指紋にさえ気持ちよさは沁みとおった。  おかしくなる。だってこれは。猫耳美少女のエッチな舌先。そのうえたっぷりまとっているのはあの縮小媚薬だ。ギッチギチに手で締め付けられて、唾液で窒息しかけなのにこの性的快感。残る理性が、全力で警鐘を鳴らしていた。 §  押し返しても押し返しても、大波のように押し寄せる少女の果肉。その波間で叫んだ声が、ミアの口内に虚しく響いた。 「このッ、ネコビトが……! 離せ、離せったら……!!」 「へえ? そーんなに気持ちよさそうなのに嫌がるんだ、コウの意地っ張り♡」  ねとぉ……っと糸を引きながら、ミアは甘酸っぱい吐息を漏らし囁く。ケモ耳娘の癖に、なんて媚声だろう。思わず生唾をのむほど。  そして、危うくその甘言に呑まれそうになった瞬間。 「なら、堕ちるがいいよ!」  一転生意気に言い放ちパッと手を離せば、そのまま俺は自由落下の刑だ。眼下に広がるのは生脚の檻。輝く肌色のうねりは、脱出不可能な引力を感じさせる艶めかしさだった。しかしその半径は極太。たやすく俺を踏みつぶせる脚の根元に入るのだから、恐怖はひとしおだ。 「にっひひ♪ ずいぶん震えてるじゃないか♪ ボクの中からも出られない、それだけでそんなに怖いのかい?」  ミアは、組んだあぐらの中に問いかける。そこには、脚の中に閉じ込められた哀れな小人。すっぽりあぐらの中に隠されたら、自力での脱出は不可能だった。むっちりとした太ももは太さだけで俺の座高以上、ぐるりと取り囲む生脚は蟻地獄同然で、到底逃げ出せる壁ではない。 「思い出してみなよ、ボクがどんなにちっちゃかったか。この親指よりも小さかったはずだよ? なのに今じゃ……ふふっ♪」  人差し指を突きつけ、ふくらはぎに押し付ける。それだけでもう俺は動けない。俺の頭より大きな指先だ。それがしっかり俺の胸を押さえるのだから、抵抗のしようもなかった。丸太同然の指を押し返そうとする。つるりとした爪が、ミアも女の子なのだと感じさせた。  そう、これは少女の体なのだ。どれほど大きくたって主張するのはその柔らかさ。ミアのふくらはぎはもっちりとしていて、ソファのように体が沈み込む。薄い皮膚の下でおれを 受け止めるのは、少しの脂肪と締まった筋肉だ。きっと、骨だけで俺の胴より太いだろう。そう思えば思うほど、絶望感は増していった。 「もうコウは汚いネズミさ♪ そんなドブネズミ、恥ずかしくて見られたくもないだろう? なら、ボクが隠して上げるよ♪」 「なっ……!? う、動くな! 脚を閉めないでくれ!!」  けれどそれで聞き分けるミアではない。ギュウッとあぐらを狭めていき、俺を挟みつぶそうとし始めた。巨大な太ももが左右から迫りくる。目の前には丸見えのスパッツがあり、左右に太もも、背後にふくらはぎ。それが徐々に狭まっていけば、いよいよ俺はミアの中だった。  俺は必死にミアの脚をよじ登ろうとした。美少女の玉肌に指がかかるはずもないのに。つるつるとした肌は滑らかに俺の手を跳ねのけた。どれほど爪を立てようと傷一つ付くことなく、ただひたすらスベスベとした感触を与えるだけ。まさに蟻地獄。どこかでこれほどの美肌に触れられることへ興奮を催しながらも、少女らしい素肌にさえ劣る自分に失望を禁じ得ない。  メス下半身の拷問部屋。ケモ耳娘の旺盛な代謝がムンムンと立ち込める。発情しかけのラズベリーのような甘い香りが性的で、なお巨大娘の存在感を際立たせた。  そして、ペチンッと柔らかな音。  むんにり柔らかな太腿が小ネズミをプレスする。そのままスリスリ擦りつけ柔軟さを見せつける。その隙間から時折小さな手が見えては再び呑まれ、エロももの中に溺れて行くのだ。その抵抗の虚しさたるや。  次々襲来するむっちり締まった極上の太もも。スパッツからぷにっと溢れた肉が股間を刺激する。窮屈なフィット感でスパッツが俺の体を舐めつくし、ゴム生地の気持ちよさで、美少女の甘美な汗で、俺を狂わせる。  極太美脚に張り付いて、なんとか俺は猛攻に耐えようとした。そして、太ももウォールにプレスされるのだ。甘い柔らかさに身をほぐされる。若々しい肌に股間を揉みしだかれる。  そのままスリスリっ……と絶妙な加減でこねくり回されると。  俺はミアのスパッツ監獄の中、嗚咽を漏らしながらとうに空のペニスで射精した。 「きゃはははっ♪ もう降参? ネコビトなんかのお股でスリスリされて? もう負けちゃうんだ? コウの弱虫♪ ザコ虫♪ ザコ、ザコ、ザ~コ♡」  嬉々としてあざ笑う、その綺麗な綺麗な声。 「もう、もうやめて、くれ……」  跳ね回るその残響にクラクラしながら、俺は弱々しくそういうだけ。 「やだね♪ ん、んぁ……ッ♪」  再び、生命力を搾り取られたオナグッズ。  それを持ち上げると、猫耳娘はペロペロと舐めまわす。  すっかりよだれまみれになるまで舐めつくすと、どうしてやろうかと思案する。  小首を傾げ。  不穏な笑みを浮かべ。 「じゃあ……」  そして、ミアは俺を……。 §  夕方になり。  ベッドの上でミアは、自慢の尻尾を毛づくろいをしていた。  そんな折、不意に耳がピクッと動く。  そしてひこひこと動かせた後、やおら立ち上がった。 「ミア~?」  大地を踏みしめる、ささやかな、しかし小さな者にとっては確かな振動。ミアを遥かに見下ろす、綾の近づく気配だった。 「ミア、おやつもらってきたんだけど。食べる?」 「食べる! わーい!」  ご主人の知らせにミアは喜んだ。  ぴょんぴょんと跳ねる猫耳娘。幼い顔に満面の笑みを浮かべて、愛くるしさはまさに愛玩動物そのものだ。  軽やかに舞うぶかぶかのTシャツ。  そこから垣間見えるスパッツに、けれど、不自然な膨らみがある。  その恥部に、俺は監禁されていた。穿き始めてから早5時間、その蒸れはもう限界。無論スパッツの中はサウナも同然、愛らしい見た目からは想像もつかないほどにエロい香りを充満させて、メス猫はひたすら飼い主をバイブがわりにねじ込んでいたのだ。  ぷにぷにの猫耳まんこは、四六時中俺を食み続け、ほぐれほぐれてねっちりトロトロ、歩くたびに”ニチッニチッ♡”と音を立ててぬめりまくるほどだった。  そしてこのジャンプ。  ケモ耳少女の跳躍で、俺はロリまんことともに空高くまで浮き上がる。体はびしょ濡れスパッツに深く沈み込み、ねっとり糸を引いて束の間、少女の肉体から引き剥がされた。そうすれば、今まで張り付いていたミアの性器は大パノラマとなって現れる。  その後。  放物線の頂点で、今度はトロトロまんこにめり込みながら落下するのだ。  訪れるのは大激震。胴体着陸した飛行機でさえこれほどの揺れは無いだろう。俺は悲鳴を上げながら何度も何度もスパッツとまんこに叩きつけられた。バウンドする体はメス猫ローションまみれでミアの恥部を撫で回し、とうに興奮しきった俺をイジめるのだ。  ミアもゾクゾクゾクッと背筋を震わせる。そんな秘め事。無論、綾の知るところではない。知ったとて、超巨大娘は助けてくれなどしなかった。救いなどない。それでも叫んでしまう綾の名前は、ミアのクリ一つ震わせられずに押し殺された。  そして、逃げようとする俺を恥部に押さえつけるのだ。極限環境と化したスパッツの中、暗闇の奥からメス肉が襲い来る。どちらが前かもわからず、ただひたすらもがいてもがいて。  そんな抵抗が、猫耳ペットのクリトリスを刺激したらしい。 「ゃ……!?」  普段聞かせてくれないかわいらしい声を上げ、キュウッと股間を押さえる美少女。  その巨大な手がどれほどの力で俺を押さえつけたか、考えてもみればいい。  無意識な巨大娘の懲罰が俺を襲った。それだけでもう何メートルもあるような巨大な手が、俺を包み恥丘へ力任せに抑え込むのだ。グチャッと汚い音を立ててぐちょぬれまんこにたたきつけられればもう逃げられない。  体は縦スジに沿ってヴィーナスの丘にめり込んだ。ぐちゃぐちゃになるまで陰部に練りつけられた。スジの中から湧き出る媚薬はあまりにトロっと熱く、中でどれほどの魔力が渦巻いているかを思い知らせる。  深く沈み込むエッチなメス肉。  その柔らかさに酔いしれたのも束の間。  入る余地などないと思われたギッチギチの肉のワレメ、その中へ俺はねじ込まれてしまった。   《……ふふっ、入っちゃった入っちゃった♡》  俺のいなくなったスパッツを開き、クスクス笑う猫耳ペット。  そして試しに股へ力をいれてみれば、ギチチチッと不穏な音を立てて小人の体が軋んでいく。キツキツまんこの弾力は暴力的で、異物が生存できるようなものではない。 《苦しい? ボクのおまんこで圧死しちゃう? にひひっ♪ 小さくしてあげよっか? 小さくなったらちょっとは苦しくなるかもよ?》  クスクス笑う声が全方位から膣にこだまする。俺を包み込むこの粘膜全てがミアなのだ。自分の外になお少女の肉体が広がっている。しかも、なおその体は巨大化しようとしていた。 《クスクス……縮んじゃえ♡ コウのザコなんか縮んじゃえ♡》  膨らみ始める膣肉の海。 「あ、あぁぁ……」  情けなく漏らした声に籠るのは、安堵か絶望か。  無情にもゆとりの生まれていく女の恥肉に、俺はただ涙目の顔をうずめることしかできない。  どんどん大きくなり、止まることをしらない。10㎝あった体はもう1㎝にも届かないだろう。そして、今は、今は……?  それを思えば、外の世界が怖くなった。出たくない、一生このナカに隠れていたい。  けれどそれは、ずっとペットの膣肉に揉まれ続けることで……。  もう、どうすればいいかわからなかった。  ただ一つわかるのは、もう俺は虫としても見劣りする微生物に堕したということ、その、惨すぎる事実だけだった。 §  ふやけるほど、ミアのナカにいて。  いつしか、俺は気絶ともつかないまどろみに落ちていたらしい。  いつ出してもらえたのか。ただ申し訳程度に洗われた後、俺はぞんざいにベッドへ投げ捨てられていた。 「いたた……。……クソっ、ミアの匂いがする……」  不自然な恰好でいたせいか鈍く走る節々の痛み、それと、甘くもじっとりしたメスの香りが、悪夢の残滓となって残っていた。  しかしどことなく満ちた気持ちは、少女の胎に揺られたせいか。或いは、被虐の極みにあって、心が倒錯してしまったのかもしれない。  ……それが、虫として生み直された気分なのだと、気付けるはずもない。  狂おしくも確かな被虐の爽快感が、支配される悦びを、虐げられる快楽を、どうしようもなく求めていた。  だからなのか。  ベッドの上、とてつもなく巨大な綾を見つけた時。  俺が覚えたのは、絶望というより寧ろ快哉だった。  体の厚みだけで、仰角60度。  凡そ300倍巨人と化した、小柄な美女。  横たわる綾の姿は雄大だった。いつものように横に寝て、けれどわずかに身をひねり臀部は仰向け。腰と尻のラインが強調される姿勢が、山の稜線を思わせた。まさに、女体山脈。目前に鎮座する足だけで大型トラック一台さえ凌駕するだろう。そのちっぽけな乗員の俺は、綾の足指一本よりも小さいというのに。  我慢できなかった。  巨大なエロ山脈と化した恋人を前に、俺は猛然と駆けだす。透けて茶色みを帯びた黒いタイツ。それにしがみつくと、懸命に登りだしたのだ。反り立つのはぎっちり詰まった太ももの壁。けれどその表面には、びっしりストッキングの繊維が張り巡らされ、俺専用の足場となっていた。惨めなほど小さな俺にとって、微細な繊維もストロー同然。ストッキングに助けられるほど、俺は小さい存在だった。  熱波を放つ、黒い巨壁に触れてみる。指を滑らせば、油を弾くような独特の感触が指紋に吸い付いてきた。もっと触れたい。全身で感じたい。その想いに押されて繊維に指を差し入れると、俺は女の下着を這い上り始めた。 「……まさか、歪みもしないなんてな」  ピンッと張った合成繊維は、たわみさえせず俺の体重を支えてくれた。それほどまでに、繊維は引き延ばされていたのだ。指にナイロンの悲鳴を感じるようだった。繊維をぎちぎちに延ばし切る、強烈なむっちり太ももの弾力。これが、少女の柔肌の力だなんて。  嫌でも全身で感じてしまう、黒ストの気持ちよさ。透け具合が織りなすグラデーションに、視界さえ犯される。おまけに繊維の隙間からは綾の蒸れた空気が漏れてきて、ベリーのような湿ったアロマが徐々に指に染み付いてきた。  女性らしい太腿の曲線に心が躍る。延々と続く巨大さに、特殊な興奮が沸き起こった。丸まりに沿って進んでいけば、締まった筋肉の柔らかさからムチムチとした脂肪の柔らかさへと感触が変わっていく。視界に入ってくる巨尻が俺を先へ先へと駆り立てた。恋人の肌を這いまわる、その惨めささえ興奮のスパイスだった。  そして、ついに辿り着く。  立つのはデカ尻の山裾。まん丸に盛り上がろうとするのをタイツに引き締められ、潰れた乳房のような形を取っている。スカートは大きくめくれ上がりほとんど丸見えだ。うっすら透ける紫色のショーツが尻肉に埋もれ切っている。綾のやつ、更に尻がデカくなったらしい。  もうためらうことはない。  俺は思いっきり尻肉に飛び込んだ。ぼよんっと重いバウンドに跳ね飛ばされる。そのまま尻の谷間を転げ落ちれば、もう広大な尻ベッドは俺のものだ。巨体を支える肉クッション、それを贅沢に独り占めする。持ち主に無断で、その最も恥ずかしい部分に挟まりこむ。こんな快感はなかった。かつて低く感じた天井を遠く見上げ、左右にせりあがってくるこんもりした尻に圧迫感を覚え。ホカホカとした大地に確かな綾の肉体を感じるのが快くってたまらない。  巨大な柔肉に包まれるのは独特の安心感があった。かつて鷲掴みにし揉みしだいたあのデカ尻に埋没し、これ以上なく綾の体を感じる。それは、家畜以下の扱いを受けてきた俺には過ぎた贅沢だった。  尻への夜這いに没入する。  そして惨めなその行為に耽溺するあまり、思考力まで虫と化してしまったらしい。  俺を見下ろすその影に気付いたのは、もう手遅れになった後だった。 「……」 「わっ!?」  突如俺を肉山に押し付けた何か。  それは他でもない、ミアの指先だった。 「なーにしてるのかなー?」  見なくてもわかるニヤついた声。グリグリと俺を尻のナカへ押し込みながら、男一匹を瀕死にする猫耳ペット。どれほど肉圧とストッキングのに襲われているかなど、知りもしない。人工的な肌に押し付けて、もがくこともできず制圧されるのを愉しむばかりだ。 「やめろッ……! し、死ぬ……!!」 「死んじゃえよざーこ♪」  クツクツ笑ながらさらにメス尻へ俺をめり込ませる。 「こいつ……!」 「にひひっ♪ 虫のくせに随分威勢がいいじゃないか。……そうだね、どうせ死ぬなら、ご主人のお尻で蒸し殺されるなんてどうかな?」 「何を……」 「……♪」  そういうと、俺を摘まみ上げ巨大な笑みを見せつけるミア。視界いっぱいに小生意気な笑顔を見せつけ、未だ綾の蒸気まとう俺をあざ笑う。 「コウはご主人のお尻が好きなんだろう? なら、ボクがたっぷり味あわせてあげるよ!」  俺をつまみ上げ、ミアは見せつけるように綾のスカートをまくり上げる。そこにあるのは、人間サイズから見ても豊満だった綾の巨尻。丸々として、限界まで果肉の詰まった桃さえ思わせるほど。その白い肌はストッキングさえ目一杯押し広げ、ぎっちり押し込められているのがよくわかった。 「なにを……、ッ! や、やめろ!!!」  そして、ミアがタイツの裾を引っ張った時。  巨大ペットの手で、俺は超巨大な美女の尻の中へと押し込まれようとしていた。 「にひひっ! コウのチビなんか、ご主人のお尻で挽き潰れるがいいさ!」  綾の背に跨がり、タイツの奥底まで手を入れるミア。そうすれば、小人たちをふんわりと美女の芳香が包み込む。下着の中の、しっとりとした綾の香り。惚れた女の良香が、50倍のスケールで俺に襲いかかるのだ。  どこまでも広がる真ん丸な尻肌。あまりの巨大さにショーツさえ覆いきれず、割れ目に食い込み見えなくなっている。尻肉は直接せめぎあい、そんな真一文字の境界線に、ミアは俺をねじ込もうとしていた。 「やめっ……ッ!!」  しかし叫んだのもつかの間。  俺は、ギュッ、とその境目に押し付けられ。  ゆっくり、じっくりと中にねじ込まれていく。  みっちみちな巨人女性の尻は柔らかかった。小さいからこそわかる、上質な皮下脂肪の柔軟性、加えて、瑞々しいハリと若い弾力。プリプリのメス尻に包まれ、突入し、ますます俺は尻という名器に押し込められていく。  けれど、ミアが更に俺を押し込んだ時。  坐薬と化した俺は、猛烈な尻圧に締め上げられることになる。 「きゃははっ! ご主人のお尻からもう逃げられないね♪ すっごく惨めな格好してるの、丸見えだよ? ご主人のお尻なんかに殺されかけて、怖くて堪らないんだ。なのに気持ち良くってしかたない、そうだろう? このままいつまでもお尻に監禁されてると良いよ。コウなんか、ご主人に気付いてももらえないままお尻でぺちゃんこにされちゃえばいいんだ!」  綾の尻に座り込んで、グイグイ俺を座りつぶすミア。大小2つのメス尻に潰されて今すぐにもはじけ飛びそうだ。いや、少しでも綾が動けば俺は死ぬ。助けてもらわねばきっと死ぬ。起きてくれと何度も願った。けれどミアなど、綾にとってペットボトル一本の重さもないのだ。どれほど1万トンの巨体が爆尻の上でバウンドしたって、450メートル150万トンの超巨人が気付くことなど不可能だった。 「巨人のお尻に挟まれる気分はどうだい? 女の子のお尻なんかでサンドされて、泣いても叫んでも出られないんだ、さぞかし怖いだろう? 女の子のお尻が怖い、それがコウなのさ! ひひっ♪ このまま潰しちゃおっかな~♪ ……あはっ、震えた震えた!」  尻肉を開き、奥底の俺へ覗き込む。  俺はただ、苦悶の声を漏らすだけだ。 「ミア、死ぬ……死ぬから……ッ! 出せ……ッ、出してくれ!!」 「やーなこった♪ ふふっ、ご主人の尻地獄でたっぷり苦しむと良いよ♪」  奔放なネコビトは、透ける薄膜越しに俺を嗤った。甘酸っぱい吐息で俺をクラクラさせながら、俺の醜態を辛くなるほど見つめるのだ。  けれど、俺は動くことも出来ず爆尻のほくろにされるだけ。  呻くだけの生き物など面白くもなんともない。ミアはグリグリと俺を尻の奥深くまで押し込むと、飽きたようにどこかへ行ってしまった。 「待てって! ミア! ミア……」  巨人の足音はあっという間に彼方へ消え、俺の声など届くはずもない。  訪れた静寂にはただ、綾の寝息が響くだけだ。 「助けて、くれよ……」  巨尻とふたりぼっちにされ、めり込むのはただただ柔らかい重量級ヒップ。男より遥かに大きく丸い尻でパイズリされ、このままでは蒸されたまま圧死するのは明白だった。  標本のようにぎちぎちにプレスされ、吸って吐くのは綾の尻蒸気。寝汗とともに無意識に発散されるフェロモンは、濃くなるばかりだ。   「あ、綾っ、綾っ……!!」  興奮を抑えきれず、俺は尻圧搾機に無理やりペニスをねじ込む。ほのかな汗がローションとなって、わずかに挿入を可能にしていた。超高圧ヒップにもげてしまいそうだ。その強烈な刺激で、俺は狂わんばかりに善がってしまう。 「これ、気持ち……良すぎる……ッ!」  膨大な尻肉を掻き分け、なんとか巨人臀部にセックスを申し込む。けれど、黒タイツは真空パックのように俺を圧し潰し、決して不逞を許してくれない。生殺しのように尻肉に挟まれたまま、少しばかりのピストンを繰り返すだけだ。    そんな狂喜を知ってか知らずか。 「……ん」  俄かにゴソゴソと動き出す綾。それと共に爆尻も動き出した。巨星のような尻だ。それがムニムニ動けば、途方もない圧力がペニスを襲った。体全身が尻肉にめり込み、全身で汗ばむ尻にいたぶられる。極限まで圧縮される陰茎の快感に声すら出ない。 「あれ、……なに?」  訝し気な声と共に寝起きの女神が尻をまさぐれば、さらに快感は俺を襲った。揉みしだかれたように尻が形を変え、様々な角度から亀頭を、カリ裏を、睾丸、陰茎に至るまでを挟みしごく。俺など尻に挟まった豆粒程度のもの。何十倍も巨大な丸尻が動けば、潰されてもおかしくない。それほどの過大な力にしごかれるのだから、性感はなお高まった。  そして、俺の所在を突き止めた巨女の指。何か調べるように俺を撫でまわし、一層尻に俺をねじ込むのだ。  もう耐えられなかった。  俺は深く沈み込む尻の中、更なる深みへペニスを突き立てた。それとともに変化する尻肉、一層締まり熱くなる肉質。極大尻まんこの気持ちよさは小人のキャパを越えていた。よだれも涙も垂れ流しながら、俺は何度もぬこぬこと股を打ち付ける。背を押す巨神の指がそれを手伝った。あまりに惨めな尻セックスから、逃げることも出来ないのだ。  ストッキングの蒸れた空気の中、特濃のアロマが狂おしい。  そのまま。  俺は愛する女の尻に埋まって射精した。  こらえようとも噴出する精液。濃縮され続けた精液が尿道の壁をこすりつけながら勢いよく吹き出す。電撃が陰茎内部から爆発するような感覚だった。罪悪感と惨めさに苛まれながらも、どうしようもなく噴き出る白濁液。堪えようとすればするほど快感の圧力は高まりはじけ飛ぶ。巨尻に挟まり尻汗にまみれ、すがりつくように肌壁へ張り付き、泣き叫びながら射精し続けた。 §  痙攣。  明滅する視界。  茹った肌に冷気が走り、ようやく俺は外界に出たことを知る。  気づけば摘まみ上げられ、綾の目の前。  視界の何倍もある美女の顔に、思わず俺はひるんだ。 「……何やってるの?」  冷たい声が降り注ぐ。バスさえ納めてしまえるような大きな手の上、快感の残滓に溺れる俺を睨む、超巨女の声だ。俺の肩に届くかどうかの女性、今では東京タワーを超える巨人、その美貌が今、俺を見下ろしていた。  かつて頼った男が、今じゃ陰核より小さくなって自分の巨躯に欲情している。それはどれほど綾を幻滅させたろう。ジトっと下目がちに綾は俺を見下ろし、ハァッ、と深いため息を吐いた。 「ここまで落ちるとはね。私、なんでこんな生き物と……」  苛立ったように手を閉じ、俺を握りしめた。単純な暴力が、しかし端的に俺を苦しめる。血圧計のように全身を包みこみ、肺が破裂するような力で握り潰すのだ。見えやしない俺の悲鳴が、手の中からむなしく漏れてくる。  綾は指紋さえ動かせない俺のあがきを、指先に感じてくれているだろうか。軽い戯れで苦悶させられる、男のみっともなさたるや他にないだろう。  けれどそれに応えることなく、綾はせせら笑うように鼻を鳴らした。 「無様なものね。巨大な私のお尻、そんなに気持ちよかった? 奥まで挟みこまれて、潰されなかったのが不思議なくらいだわ。いっそ、潰してやれば良かった……」  ポンポンと侮蔑の言葉を吐き、綾は手の中の生き物を貶める。かつて愛した男を心の中から追い出すように、その言葉は仮借ない。ぐりぐり手の中でこねくり回し、指先でたやすく押しつぶし、その非力さを実感しようというのだ。  そのたびに俺の無力を確信していく綾。  だが、俺にとってそれがどれほど圧倒的か、どれほどその指先がすべらかで気持ちいいかは理解していなかったらしい。  俺の矮小さを教えてくれる女性の手は、恍惚さえ催すなめらかさだった。ぎゅっと俺を包み込めば弾力は途方もなく、柔らかくも力強い。今でも愛おしい女神の暴力に、被虐的な気持ちを抑えるなど不可能だった。きらりと光る爪が俺を脅かす。絹布のように繊細な皮膚が、この鈍器が女性の手だと知らしめた。薄い皮膚にささやかに流れる指紋が、しっかり俺に吸い付いた。この指紋に陰茎をこすられたら……。そう思うだけで愚息は猛らずを得ない。  巨大な女王様の調教、それが意識的に無意識的に俺を苦しめる。  そんな綾もまた、小人をいじめる内に新たな感覚を覚え始めていた。 「勝手に人の中を這いずって楽しんで……。不公平だと思わない? あはっ♡ 私も気持ちよくなる権利、当然あるわよね?」  その瞬間の綾の顔に、俺は思わず瞠目した。あの整った、時に澄ましたようにも見えた顔。それが嗜虐心を秘め、見たこともないいやらしい笑みを浮かべたのだ。 「人間に無礼を働いた罪、ちゃんと償ってよね♡」  己のストッキングに手をかけて、するりするりとズリ下げていく。あろうことか、ショーツも一緒に。  鼠径部の膨らんだ三角形、その切ない曲線と共に白肌が、ささやかな陰毛が姿を現す。小人など触れるだけで発狂させる、巨大娘の魔力を滾らせて。  ホカァ……っと立ち上る綾の熱波。かぐわしくもいやらしい、女性的な香りだ。間接的に肌で男を酔わす、女特有の魔力を秘めた芳香だった。 「媚びなさい。当然よね?」  指先に乗せた俺を、己の恥部に近づける。ふんわりとした陰毛は目と鼻の先。しかし、そんなささやかな茂美も今の俺には極相林同然。淫らなフェロモンを絡ませたメス密林が、今か今かと俺を手招きしていた。  ……あの奥深く、地肌付近ではどれほど濃い香りが立ち込めているだろう。性器の間近でショーツとストッキングに覆い隠され、丸一日蒸された女の肌。熱いだろう。蒸れているだろう。雨上がりのムンムンとした性的密林は37度、湿度100パーセントで媚薬立ち込める極限環境。到底俺などが踏み入れていい場所ではない。  官能美と危険のせめぎ合い。近づくだけで目を鼻を犯すその性毛に、思わず震えを禁じ得ない。  そんな俺を、超巨人は残酷に嗤うのだ。  薄膜の中から生肌を見せつけ、その美しさで俺を照らす綾。もはや俺など人間とさえ思わず、ただ害虫、よくてオナグッズとしてしか見ていない。かつて身を委ねた男だなど、完全に忘れてしまっていたらしい。今はただ、その巨大さでどれほどトラウマを植え付けるか、その実験対象にしか見えないらしかった。 「せいぜい死なないことね」  フッと嗤い、指を傾ける綾。かつて愛した男に向けるものではない、ゴミでも見るような侮蔑の表情だ。その表情に絶望感を催しながら、俺は指紋の上を転がり落ちた。  そして。ぽすっ、と。  落ちたのは、美しくも豊かな陰毛の森。  俺は陰毛の樹冠に引っかかり、宙に浮いていた。それは、あまりの軽さに茂みへ沈み込む事も許されず、危うげに揺れる俺の姿だった。 「助けてくれ! 落ちる! 陰毛から落ちて死んじまう……!!」  陰毛にしがみつき、俺は悲鳴を上げて美女の恥部に張り付いた。陰毛に体は支えてもらっている。けれどそこは2メートルはあろうかという毛の海だ。このまま振り落とされてしまうのではないかという恐怖は、抑えられるわけがなかった。  手に絡みつくエロい陰毛。流れくねるセクシーな曲線は、たっぷりフェロモンを抱きこんだメスの園だ。そこに体をうずめるのだから、否応なく俺は発情させられた。顔を腹を撫でるふわふわとしたクセ毛に、どうしようもなく胸が高鳴った。絆創膏ように陰部にくっつき、性毛を命綱にさせられる、そんな耐えようもない屈辱になお興奮させられる男一匹。思わず涙を茂みで拭ったのも無理からぬことだった。  立ち上るメス香が体に沁みつき、鼻腔をくすぐる。その草むらはちょっとした広場より広く、その中にダイブすれば寝心地寝心地はしっかりしつつ柔らかだ。生えそろった縮毛一本一本に、淫らなオイルはしっかり絡んで指先にまみれる。  馥郁とした綾の芳香をかげば、かつての記憶はとめどなく蘇った。しかし今、想起する美女はどこにいる? 見上げる視界、埋めつくす巨大な斜面は誰のもの? 記憶の中にさまよう影がそこに重なる。結った髪、豊満なバストに整った顔立ち。ビルさえ一踏みできる、巨巨女神がそこにいた。いまだ覚えている腕の中の華奢な肩。その感覚が、代わりに抱いているのは陰毛の房だ。 「きもっ……♪ 完全に虫じゃん。生きてて恥ずかしくないわけ? 自分がどこにいるかわかってる? い・ん・も・う♪ あんたは女の子の汚いお毛々にしがみついて泣き叫んでるわけ♪ どう? 怖い? 落ちたら死んじゃうんだよ? 陰毛から落ちただけでもうお終い♪ 怖いよねー、情けないよねー。あはっ、声だけでもう吹き飛びそうじゃん♡」  容赦なく襲い来る疎密波が俺を震わせる。興奮によりさらに濃くなる性香、その上昇気流に煽られて今にも吹き上げられそうだった。鼻の奥、肺の奥まで染み付く特濃フェロモンに段々正気が削られていく。このまま、エロい熱風の中で死んでしまいたいとさえ、願い始める始末だった。 「ほら、もっと沈みなさいよ。えいっ♪ ズブズブ♡ ズブズブ♡ ……あははっ!見えなくなっちゃった♡」  グリグリと俺を陰毛の中に沈み込ませ、俺を黒い雲の中にめり込ませていく。毛の層で蓄えられた、凶悪なエロサウナに押し込められるのだ。  むろんそれは、綾にとっては少し指を置いただけのこと。  それが、数ミリ大の微生物にとってどれほど脅威かなど、人間の女性に解るはずもない。 「やめてくれ! 綾! 綾ぁああ!!」  俺は海に溺れるように腕を掻き、遥か彼方の美女に助けを求めた。かつてはたやすく抱きしめられた小さな体。しかし今は、数本先の陰毛にさえ手が届かない。もう、住む世界が、いや、認識の次元が違うのだ。俺の視界じゃ、綾の上半身さえはみ出してしまう……。  遠い世界で、綾はデカい胸を弾ませ笑っていた。俺の声など聞こえるはずもない。とうの昔に会話など不可能になっていたのだ。ただ、巨体による一方的な蹂躙だけが唯一可能な接触だった。  背後から、ジュクッと興奮したメスの音がする。メスアロマはより甘ったるく湿っぽくなる。たかが陰毛、その熱気だけで死に怯える俺に、女神さまは興奮してくれるらしい。 「かつての図体が見る影もないわね。このままオナニーしたりなんかしたら……♡」 「お、おいっ……!?」  絡みつくような手つきで自身の胸を撫で、こもった息を吐く数百メートルもの巨女。陰毛のベールの向こう、うっとりと興奮に頬を染め、表情は完全に痴女だ。既に服の中に腕を差し入れ、山のような乳房を揉み始めている。  そして恐る恐る片手を陰部に伸ばせば、俺ごと手マンを始めるまで長くは待たなかった。 「ん……ッ♡ いつもより興奮しちゃう……♡ こんな虫けらのくせに、生意気なんだから……♡♡ ほら、もっと感じさせなさいよ♡」  もはや湯気立つような性毛の檻から、俺を無理やり恥丘まで引きずり下ろす。電線のように長く太い陰毛に絡みつかれた俺を、獰猛な女性器のエサにしようというのだ。その無慈悲さに俺は泣きわめく。性毛は淫らながらも緩衝材となり俺を守ってくれていた。それが今、何もかも自分より巨大な世界の戦場へと引きずり降ろされようとしているのだから。 「私のクリトリスに挨拶しなさいよ。あはっ♪ クリから落ちて死んじゃっても知らないけど♪」  指に乗せた俺をグイグイとクリへ押し付ける。どれほど下品な行為とて綾はかまわない。度重なる失望と幻滅の末、俺はもはや恥垢にすら劣る身だった。或いは、俺をまともに求めているのはこの淫らな性器だけなのかもしれない。落すっかり濡れた陰核は島のごとく、特有の弾力で俺にじゃれついてくる。それが、かつて何より大事だった男だなど知りもせず。 「もう私のクリより小さいんだ……。ふふっ、私の寝心地はどう? あれだけねじ込んだ私の性器も今じゃスジだけであんたの何倍かしら。全身で感じたあんたの図体が、私のふくらみに乗ってる……、それがこんなに愉快なんてね♡」  M字開脚のまま恥じることもなく、愛していた俺を嗤う女。背後で大陰唇のヒクつく気配さえ生々しい。    そして、くぱぁっと膣を開けば。  ぽっかり開いた大洞窟が、蟻地獄のように俺を引きずり込むのだ。遥かかなた、子宮口まで見えるほど下品に広げられた、巨大なまんこ。あまりのスケールに失禁さえしかけるほど、それは壮大だった。  思わず、大陰唇を這いずり登ろうとする俺。  結果、ぬるりと滑り膣壁を転がり落ちるのだ。    ……途端濃くなる、蕩けるようなメスの淫臭。湯気立ち込めるそのうねりに張り付いて、俺は自分の声も聞こえないほどの恐慌状態だ。  あまりの絶望。  それは巨大な綾の中指がねじ込まれてきたとき、頂点に達した。 「入っちゃえ♡ 入った? ん? 入っちゃった? ……あはっ♡」  グチュグチュと極太の指で中をかき回しながら、綾は官能の感覚に悶え狂う。ベッドにうずくまり尻を突き出し、ぐちょぬれの手で何度も何度も俺を奥へ練りつけるのだ。 「……ッ♡ んっ♡ んんっ……♡♡」  とんでもなく淫らな水音を響かせ、綾は呻くような喘ぐような嬌声を漏らし続ける。膣肉山脈で俺をコキ倒し、生物的な蠢動で艶めかしく俺を締め上げるのだ。これが、か弱い女の膣内だなんて。鍛えられるような場所じゃない、粘膜と神経の坩堝。その圧力だけで、俺はもう何度殺されかけたかわからない。  グチュグチュと、野性的にさえ聞こえる音が響き渡る。  何度も俺を子宮口に叩きつけ、指紋で掻きだし膣肉でこすり上げる白魚のような指。何度も何度も、中指が俺を圧し潰す。その指先で、俺はノミのごとく悶え善がった。膣肉でプレスされ、疼き吸い付く巨大まんこで搾り取られ、何度も何度も射精した。  けれど、そんな天変地異も綾にとっては物足りない自慰。  消化試合のように達するまで、そう時間はかからなかった。 「はぁ……。まさか一番敏感なところでもろくに感じられないなんてね……」  ねとぉ……っと糸を引き、抜き出される中指。  そこに俺の姿はなかった。  粒人間は、未だ膣内でもだえ苦しんでいたのだ。  出ようとする俺を、まんこにキュッと込め閉じ込める綾。  そしてショーツとスパッツで厳重に密閉すると、言ったのだ。 「どう? 全身で感じる私のおまんこ♪ もう、あんたにとっては何十メートルある洞窟かしら? あはっ♪ 考えるだけで疼いてきちゃう♪ 感謝しなさいよね、今日一日、あんたのホテルになってあげるって言ってるの♪」  ミアのものより遥かに巨大な綾の膣。あのねじり潰されるような圧迫感はないものの、わずかなゆとりが却って独特感触を醸し出す。巨体が揺れ動くたび、その猛烈な力によって四方八方へ俺の体が動くのだ。膣肉に沈み込み、肉ヒダにしっかり揉みこまれ、様々な感触が俺を襲う。泡立つ愛の蜜とともに、いやという程名器の形を叩きこまれる。  スケールが違う、綾の膣内監禁。  そこから逃れる術はどこにもない。 §  風呂場に揺れる、女神の巨体が二つ。  それは、例のごとく仲睦まじく体を洗い合い、愛を確認する主従の姿だった。  マットの上、流水にはしゃぐミア。そばに座り込み、それを愛おし気に眺めながら綾が体を洗う。    そして、自身の秘部に指を押し入れた時、不意に違和感を覚えた。 「……あ、忘れてた……」  ヌチヌチと膣内を洗っている内、指先にあるか無きかの抵抗を感じたらしい。  それは、膣内に一日監禁されていた俺の体だった。膣壁を叩き続け半日。もう慣れきった恥部は俺なんかじゃ感じてくれず、ついには忘れられてしまう始末だ。 「んっ、ちょっと、ッ、自分で出てきなさいよ……んッ♡」  指でナカをかき回しながら、なんとか俺を掻きだそうとする。しかし俺は0.5cm、綾は400mに優る超巨人。指より細い俺など掬いだすこともままならず、却って奥に押し込んでしまう始末だった。 「ダメダメ、ご主人じゃでっかすぎて出せないよ。かして、ボクがやったげる!」 「やっ!? ちょっとミア……ぁ、ん♡」  既に蕩けていた綾の膣だ。何の造作もなく、猫耳巨人の腕を吞み込んでしまった。ジュププッとなんとも下品な音。細腕を肘まで身に納め、切なげにすぼまる様がいやらしい。愛猫に触れられ、綾が感じないはずもなかった。そして、まんこ最奥にいる俺をかみ砕かんとするのだ。 「ミアッ! だめ、だめったら! ナカかき回さないでぇえ!!」 「キャッ!? ご主人暴れないでよ! 跳ね飛ばされちゃうよボク!」 「早くッ、やっ!!? ミア、わ、わざとやってるでしょう!!」 「……あはっ♪ 見つけた♡」  白樺の丸太に匹敵する巨大な指が、指先を俺に絡みつける。そのまま、小虫を無理やりかき出してくれた。 「あーあ、ぐちゃぐちゃになっちゃった」 「いつから挿れてたっけ……。なんかむず痒いなとは思ってたのだけれど」  陰毛の上になすりつけられる。ゼイゼイと巨女の愛液を吐いて瀕死の様を、2人は面白がるでもなく見下ろしていた。もはや単なる日常。落ちていた消しゴムが出てきた、その程度のことだった。 「ははっ、ご主人の毛で絡まっちゃってる♪」 「やだ、恥ずかしいこと言わないでよミア」 「ちょっとイタズラしちゃおーっと♪」 「滑っちゃうよ?」  マイペースな猫耳ペットは泡だらけのまま、綾の体によじ登りだす。慌てた綾の手に支えられ、ペタンとその下腹部に座り込めばご満悦だ。お腹に乗せたぬいぐるみと美女のような体格差、その間に囚われたウジ虫の姿など、見えはしない。 「ふっふーん♪ コウのやつ、ボクのクリにも届かないじゃないか♪」  目の前に現れた綺麗な縦スジが俺を嗤った。高さ3メートルはくだらない薄ピンクの真一文字だ。左右の太腿でわずかに寄せられて、ふくらみに垂らした泡がエロい。脚の付け根に出来たシワが肉感を主張する。一面の陰毛の茂みの向こう、巨大な太腿の巨壁がそびえたつのだ。  見上げれば、大小二つのおっぱいのω型が天をふさいでいた。その向こうから見えるのは、巨乳美少女たちの愉悦に満ちた顔。60倍巨人と300倍巨人、両者の恥丘に囲まれ、もう逃げられない。   「コウちっちゃ♪ ボクが見えるかい? あはっ、おっきすぎて見えないかな? ご主人のおっぱいよりうんと軽いボクの、おまんこよりちっちゃいんだ……♪ じゃあ……そんなゴミ粒は……、ボクらで潰れちゃえ!」  そう言って、覆いかぶさるように体を傾けると。 「えいっ!」  飼い主の体に倒れこんだ。 「あはっ♡ コウがボクらのお腹の間でもがいてる♪ ほら、スーリスリ♪ 僕らのおへそやお腹、気持ちいだろう?」  密着した巨大主従による下腹部プレス。濡れた柔肌を俺に吸い付かせ、自慢の肉体で俺を挟みつぶす。  そのまま、互いにお腹をこすり合わせれば。  俺はミアのおへそと綾の恥丘に挟まれ、クチュクチュと泡まみれにされてしまう。  へその窪みに押し込められる、独特の閉塞感。そこに綾の生肌や毛、性器の柔らかさが容赦なく満ちて俺を圧し潰す。 「いひひっ♪ ボクらの間に埋まって動けなくなってる♪ コウのチビ♪ 入っちゃえ! コウなんかアソコに入っちゃえ!」  そして、ぐいぐい俺を綾の膣に押し込むのだ。 「ミア、ちょっとそこは……んッ♡ ダメだって、キモチ悪い、からぁ……♡」  そういいつつも、こすりつけるように俺に縦スジを押し付けてくる綾。ドでかいまんこが膨大な肉量で俺を圧し潰し、キスするクチビルにそのままめり込ませようとして止まらない。  せめぎ合う巨体。肌のこすれ合う音が四方八方から聞こえてくる。股間をこすりつけ合う巨大娘。その間に挟まれて、ついにまんこもたわみ始めた。締まりよく、到底異物の侵入を許さないかに見えたワレメが俺に食らいつくのだ。  きゅむっとした隙間に、足が挟まれる感触。即座に、ねっとりとした暖かさがくるぶしまで俺を包み込む。  それから、一瞬遅れて。  襲ってきたのは、とんでもない圧力だった。 「あああ゛っ!?」  それはこれまで感じたことのない、未知の圧迫感。柔らかく締め付けられているのに、力そのものがとてつもない強さで俺を圧倒する。ムニムニと女性的な柔らかさが、万力のような力で俺を締め上げるのだ。  骨までぺちゃんこにされるかとさえ恐怖した。そんな俺に押し付けられるのは、美少女ペットの、小ぶりな、しかし俺より遥かに巨大な猫耳まんこだった。 「やめてくれッ! 死ぬっ、綾のまんこで握りつぶされるう……!!」 「うるさいよばーか♪」  そして、舐め上げるようにスジで顔をなぞり上げ。  ギュウゥ……ッと俺を巨大まんこに圧し込んでいくのだ。 「嫌だ……、やめ、いやだあああ!!」  体が、俺の体が、ニュチチッと独特の音を立てめり込んでいく。ペニスのように、ディルドのように、下品なほど巨大な膣に押し込まれていく。大陰唇の門の奥、煮えたぎるような膣肉の海、その秘宮に足をいれた時、思わず漏れる声は快楽ゆえか。いっせいに絡みつくような膣ヒダは、愛猫を前にして以前異常の魔力をまとった。  その中に入れば、もう戻れない。 「出してくれ! いやだ、死ぬ、死んじまう……!!」  俺は大陰唇から半身を覗かせ、なんとか下半身を引き抜こうとあがいた。メスクチビルに強く咥えこまれ、まるで埋め込まれてしまったかのよう。こんなにもふくらみはむっちりと柔らかいのに、俺の力じゃそのハリにも到底歯が立たない。胴回りをミチミチに包まれて、ナカでは今もエッチな蠢きで揉みしだかれているのに。  それが、堪らなく気持ち良いのだ。  おかしくなりそうになりながら、俺は膣壁に体をこすりつけた。一本一本が極上の女体に匹敵する無数のヒダ。それがカリ裏にまで吸い付き暴れまわる。足をくすぐり下腹部を撫で、くまなく肌を愛撫するのだ。  全方位から俺を包むぎっちりとした膣肉の密度たるやほかにない。況して今は、ミアとの戯れのさなか。興奮した崇高な女神のおまんこは、エッチに蠢き俺を揉みしだく。俺に向けられたものではない巨大な愛情、欲情。それを膣肉越しに注ぎ込まれ、俺は気も狂わんばかりに善がりまくった。 「あははっ♪ そんなにご主人のおまんこが気持ちいいのかい? もうご主人じゃおっぱいに隠れて見えもしないのに♪ いいや、クリよりちっちゃい虫なんか最初から見える訳ないね♡ そんなゴミ以下のコウ、ボクがたっぷり可愛がってあげるよ……♡」  ペットへの愛情で、哀れに犯され倒す元彼氏。  そんな俺を、薄桃色の壁が迎え入れる。  絡みつくような甘ったるい香り。俺をすっぽり包む、女体の影。  見るまでもない。ミアだった。自身の恥部をくぱぁっと広げ、俺を丸のみにしようと綾の体に身を寄せ。大陰唇に挟まった俺の体を、ペニスに見立てて迫りくるのだ。俺など綾の陰核同然。そんな俺など、ネコビトディルドとしても物足りない。それほどの体格差で、俺を嬲り殺そうと迫っていた。 「やめ、やめろ、やめてくれえええ!!」  そう、叫んだが最後。  俺の体が巨大まんこに叩き潰される。  響く、”ズチュンッ♡”と淫らな水音。それとともにキツキツまんこが俺を包み込み、とんでもない締め付けで俺を捩じ上げる。  下半身を包む淫靡で絶対的な性愛の坩堝。上半身を包む強烈な猫耳まんこの圧迫感。大小2つの女性器にむしゃぶりつかれ、俺はもう指一本動かせない。 「~~♡ ナカで、キモチ悪いのが動いてるッ♡」  異物に驚き一気にすぼまる巨大な肉洞窟。それから、慣らすように。ゆっくり、ゆっくりピストン運動を始めるのだ。 「んッ♡ ミア、もっと、いいよ……♡」  飼い主の声に応えるように、ぱむっ、ぱむっと小さな美少女がバウンドする。俺をペニス代わりにして、ご主人様の女性器に、ささやかな快楽を擦りつける。大小二つの巨体の間でねじ切れそうになるたびもがく俺。そうして、互いのキモチが繊細に伝わり、2人の愛が加速していく。  あとはもう止まらなかった。  小さなペットの体をめり込ますように、綾は脚でミアをホールドした。その中で小躯をバウンドさせれば、俺を双頭ディルドにして身分差セックスにいそしむのだ。巨大主従が俺を嬲り殺す。ちっちゃなまんこでがんじがらめに俺を締め上げ、巨大な魔力の坩堝の中に漬け込んで。  動くたび上半身で下半身で変幻自在に快感は変わっていく。口内を犯す猫耳娘の膣ヒダ、全身を包み込む女神様のむっちりまんこ。それが同時に俺をねぶり倒し、俺をグチョグチョに汚しまくった。  体に満ちる2人の愛液。  その愛が混ざりあえば、虫風情の俺がただで済むはずもない。 「縮め♡ 縮め♡ 縮んじゃえ♡♡」  膣肉に揉みほぐされながら、圧縮されるように縮小していく俺。背骨さえ折れかねない危険な圧力が急速に緩み、変わって訪れたのは気が狂うほど巨大なメス肉山脈のパノラマだった。  俺はもう、女神の性器に入るにはあまりに小さすぎた。もはや綾の膣に凌辱されることさえ許されないのだ。わずかに大陰唇をなぞるだけになった俺を2人は嗤った。そして、ミアがくぱぁっとまんこを広げれば、俺は飲み干されるように巨肉まんこへ滑落していくのだ。  それは、1000分の1の体から見た少女の体内。  猫耳娘の膣内が、極上のエロ山脈となって俺を包む。せいぜい60センチもないペット娘が、今じゃまんこだけで大自然も同然なのだ。  外の世界、巨人の世界で、巨大なミアをさらに巨大な綾が指で犯す。可愛い可愛いと頬を赤らめ、俺を閉じ込めるミアを無茶苦茶に愛でまくるのだ。膣をかき回す巨柱は綾の細い指。しかし今や、その指紋さえさざ波のように眼に映る。その指紋一つだけで数メートルはあろうかという大波なのだ。  女性の指紋にかっさらわれ、猫耳美少女の膣壁にめりこまされる。コリコリと気持ちいいスポットを刺激するたび、猫耳ペットのまんこ山脈は俺を揉みしだき喘ぎ倒した。  もうミアのまんこはグチョヌレだった。元主人を恥垢より小さくして膣に閉じ込め、本当のご主人様に愛でられまくる。綾の前ではミアは愛らしいペットだった。愛されるのが仕事、可愛いが本分。いくら俺の数万倍女神と化したって、人間さまのオナペットであることには変わりなかった。  あんあん啼いて、綾のお腹の上、必死にしがみつく猫耳美少女。それを見て更に綾の愛は亢進しているに違いない。ますます激しくなる巨女神のセックスに、俺は上も下もわからなくなっていた。  況して。  愛し合う巨女神たちが、俺の存在を気にかけるはずもない。  今やうねる丘陵のようなスケールの綾の指紋は、俺を膣の外へ掻きだしていた。  投げ放たれるのはマットの上。  ミアの太もも山脈が鎮座する、広大なウレタンの大陸だった。   「綾! ミア! 気付いてくれえ! つ、潰される……!!」  目前にある肌色の塊、それはもはや認識を超えたスケールで広がっていた。  10000倍、足の長さでさえ2kmはあろうかという肉体なのだ。まして今、俺が見上げているのは綾の尻。蹲踞してミアと股間を練り合わせる綾の、その巨尻さえかすんで見えなかった。きっと膝をつきしゃがんで、ミアを抱いているのだろう。しかし、向けられた足裏からナイアガラの滝のように水が流れ落ちていることしか俺には解らなかった。理解できたのは、天空を覆う綾の尻に見下ろされているという、ただそれだけ。  だからその尻が降ってきたとき、俺は何が起こったかも理解できなかった。  視界を埋めつくすみずみずしい肌色。  既に視界から横溢するそれがわずかに陰ったところで、子虫一匹の認識が及ぶところではなかったのだ。  そして、その肌のキメまで目に映ったとき。  もう尻肌は、目と鼻の先まで迫っていた。  バランスを崩した綾。尻もちをつこうとする、その1億トンの質量が俺に降り注ぐ。ぶるんっとドでかい尻は今、半径10キロ。大気を踏みつぶし暴風を巻き起こし、途方もないスケールの巨星となって空を叩き割るのだ。  地面に叩きつけられたまま、俺はその生尻にただただ泣きわめく。  そして。 「きゃっ!? ごめんミア、フフッ♪ ちょっと気持ちよくってぇ♡」 「いいから、ね、続きしよ? ね? ん……♡♡」  地殻もめくれ上がるような激震を走らせ尻肉をバウンドさせて。  けれど、2人は尻の下の惨劇に気付くことはなかった。  そのまま、営みとともにズリズリッと体をずり動かせば、マットに残る0.1㎜の赤い筋。  肌のシワ一本分の幅もないそれは、生尻に吸い取られ、なじんだ後。  激しい愛のせめぎ合いの汗で、流されていった。