「あぁ~、今日も疲れた~」 可愛らしい少女は自分の部屋に入ってランドセルをベットに放り投げるや否や、机の上に置いてあったスマホをとりだした。 そして、検索サイトを開き、「高校」と検索した。 色々な高校の案内や入試情報が載るなか、少女はとある男子校をタップし、授業時間が載せられているページを開きまじまじと見つめた。 「うん!今日はここにしよう!」 少女は笑顔になり男子校のページを開いたままスマホに手をかざした。 すると、手のひらから光が放たれ、部屋の真ん中にはさっきまでスマホに表示されていた男子校が現れた。 5階まであるその男子校は145cmの少女の半分ほどしかないほどに縮小されていた。 しかもおまけに体育館やプールなど、学校の敷地全てが縮小されていた。 校舎は五階建てで、一般的に「学校」といわれたら想像するような真ん中の部分だけ屋上に繋がる階段のある、単純なものだった。 少女は男子校を出現させると履いていた靴下を放り投げ、裸足のまま校庭に足を踏み入れ、容赦なく校舎の真ん中を右足で踏み抜いた。 右足は校舎のコンクリートを砕き、そこにあった教室や生徒もろとも踏み抜き、校舎を右と左に分けた。 少女は顔が赤くなり、 「みんなー、私はこの校舎を全部踏み潰すから体育館に避難してね~。私やさしいから宿題終わるまで待っててあげるよ。ん~、20分くらいかな」 そう一方的に校舎破壊予告をすると少女は足を校庭から出し、ベットに行きランドセルをあさると、筆箱とプリントを持って机に向かっていった。 全ての教室に少女の声が届き、騒然とした。 「どうする?」「従うしかないんじゃないか?」「でも絶対に殺されるぞ!?」「従わなくても校舎もろとも踏み潰されるだけだ!」 校舎の真ん中の部分に職員室や放送室があったので全校生徒に支持をすることができず、生徒たちが全て独断で判断するしかないのだ。 「どうしてこうなったの・・・?」「なんで俺たちなんだ・・・?」 生徒の中にはまだこの状況を受け入れていない者もいた。 一部のクラスではクラス委員がこれからの支持を出すところもあった。 「俺たちは体育館に行かない!」 「そ、それってどういう・・・」「このまま大人しく殺されろってのか!?」「どうすんだよ!?」 「まぁ、聞け。これはあくまで推測だが、というかほぼ確実なんだが・・・あの校舎を破壊した怪物が俺たちを一か所に集めて生かすと思えないんだ!」 「まぁ、そうだろうな・・・」「絶対殺されるだろう・・・」「俺は瓦礫と一緒に死ぬなんていやだ!」 「そうだろ?だから、この怪物の部屋から脱出するんだよ!」 少女の校舎破壊予告から5分ほど経過した。 「おい、あれ見てみろよ」「ん?何だあれ?」「あいつらなにやってんだ?」 これまでなにもしていなかったクラスが窓の外を見る。 その多くの視線の先には30人ほどがまとまって部屋の扉へ進んでいる図があった。 奇跡的にも扉は生徒たちが通れるくらいの半開きになっていた。そこを通ろうという作戦なのだ。 少女はいまだに机に向かい、こちらを見る気配すらみせない。 「このままバレずにいけそうだな・・・」 そんな姿を見て逃走している生徒からは安堵の声が漏れる。 息が切れても全力で逃走組は走り続けた。 少女の校舎破壊予告から8分ほど経過した。 それぞれのクラスで答えが出、行動を始めたとき、逃走組はようやく扉付近まで近付いた。 「おい、あいつらマジで逃げられるんじゃね?」「マジか・・・俺もあのクラスについて行ったいった方がよかったかな・・・」 他の生徒からはそんな声が出てくる。 しかし、そんな思いもすぐに打ち消されることになった。 「よし、出口だ!みんな!あと少しの辛抱だ!」 逃走組のクラス委員が全員に言い放つ。 「おお!」「あと・・・すこし・・・」「いくぞ!」 彼はクラスメイトよりも少しリードをし、いち早く少女の部屋からの脱出に成功した。 「や・・・った・・・みんな!やったぞ!」 彼は反射的に後ろを見てクラスメイトの安否を確認しようとした。 「・・・・え?」 彼の目に映ったのはたった今抜けた扉であった。 生徒が通れる隙間など存在していなかった。ただ目に映るのは扉で、クラスメイトの姿は誰ひとり確認できなかった。 そこから推測できることはただひとつであった。 少女に扉を閉められたのだ。そして、そこから自分たちのこともバレたということに繋がる。 「私から逃げるんだから覚悟はできてるよね?」 「ぎゃあああああぁぁぁぁ!」「いやだあああぁぁぁぁぁ!」 扉の奥からは悲鳴が聞こえる。 彼はとにかく耳を塞ぐしかなかった。 * 逃走組はあと少しで少女の部屋から脱出するところまでやってきた。 「や、やっと脱出だ・・・」 クラス委員は他の生徒を置いて先に脱出を果たそうとする。 「ち、ちょっと待てよ!」「おい!」「置いていくな!」 クラス委員はクラスメイトの声を聞こうともせず、脱出に成功した。 しかし、クラス委員以外は脱出することができなかった。 「おい!俺らも早く脱出するぞ!」「あいつ、早すぎんだよ・・」 クラス委員はクラスの誰よりも体力があり、一番足が速かったのだ。 走りながらこんな会話をしていると生徒たちの天井が一気に暗くなった。 そして、ゆっくりと扉は隙間をなくし閉められた。 「へ?」 生徒たちが上を見ると、そこには可愛らしい少女の顔があった。 「うわあああぁぁぁぁ!」「み、見つかったあああぁぁぁぁ」 少女の姿を確認すると同時に生徒たちは声を上げ、一斉に散らばり始めた。 「もう・・・」 少女はため息をつく。 「私から逃げるんだから覚悟はできてるよね?」 そして、ゆっくりと右足を上げた。 「ぎゃあああああぁぁぁぁ!」「いやだあああぁぁぁぁぁ!」 そんな生徒たちの願いもむなしく、5人でまとまっていた生徒たちに向けて踏み下ろした。 そこに残ったのはただの赤いしみ5個であった。 「ふ、踏み潰した・・・」「ま、マジかよ・・・」 目の前で友人が潰されるところを目撃した生徒たちは尻もちをつき、動けない状況下にあった。 「まだまだいるね~」 少女はしゃがみ姿勢をとると行き場がなくなってただ逃げ回っているだけの生徒たちに手を伸ばした。 「ひいいぃいぃいぃぃぃ!」 親指と人差し指で生徒を摘まんで左手に乗せていく。 そうして、逃げていた全ての生徒を手に乗せると、左手の上は生徒たちでいっぱいになっていて今すぐにでも誰かが落ちそうなな状況だった。 「俺らこれからどうなるんだ?」「わかんねぇ・・・」「殺されるんだろ!くそ!あの野郎!一人で逃げやがったぞ!」 少女は生徒たちを落とさないようにそっと立ちあがった。 しかし、手の上の振動は激しいもので生徒たちの圧迫に堪えられなくなり、一人手から落ちてしまった。 「痛っ!・・・・ヒッ・・・」 まだそれほど高くなかったので大きな怪我を負うことはなかった。 だが、落ちた場所は少女の足元であった。 「・・・・」 少女はその生徒に視線だけを向け、無言のまま生徒の方へ足ずりを始めた。 「うわあああぁぁぁ」 少女の足は生徒を巻き込みながら床を引きずり、あとには少し赤い液体が引きずられたものだけであった。 少女はこれまでにないほど笑顔になった。 「あぁ、俺らも殺されるのか・・・」「今まで楽しかったなぁ・・」 手の上の生徒たちは悲鳴を上げるのも忘れ、ただただじっとするしかなかった。 少女はこれ以上生徒が落ちないように慎重に顔の近くまで手を持ってくる。 「さて・・・と・・・じゃあ、私から君たちには今からある選択をしてもらいま~す」 少女は手の上の生徒たちに向かって笑顔で言い放った。 「せ、選択・・・?」 「えっとね、私は今からあなたたちを食べていきたいと思いま~す」 「た、食べる!?」「どういうことだよ・・・」 手の上が騒然となる。 「助かりたいのなら飛び降りるしかないよ~」 「そんな・・・」「助かるわけないじゃないか・・」 生徒たちにとってその高さは校舎の2倍に近い高さであった。 「十秒くらい待っててあげる」 いーち、にーい、さーん・・・と、可愛らしい声で少女によるカウントが始まる中、生徒たちの何人かが飛び降り始める。 しかし、飛び降りた全員が床に着地した時の衝撃に耐えることができなかった。 「あぁ・・・みんな死んでいく・・・」 他の生徒は何もできずに棒立ちするだけであった。 「きゅーう、じゅう!それじゃあ、いただきま~す!」 その掛け声とともに少女の顔は一気に生徒たちに近づき、口をゆっくりと開け、一番近くにいた生徒をくわえた。 「うわああああぁぁぁぁ!」 くわえられた生徒は唇と唇の間で意味もなく抵抗するだけであった。 そして、すぅっと少女の息を吸う音と同時に生徒は喉の奥へと消えていった。 「う~ん!やっぱり小人はなんどき食べてもおいし~い」 「・・・・」「あ・・・・」 生徒たちは悲鳴をあげることもなくただその一部始終を見ていた。 その後も同じように手の上にいた全ての生徒が少女に丸呑みされていった。 「やっぱりこの味、癖になるなぁ~」 少女はほっぺを押さえた。その顔は充実に満ちているものであった。 「最後は・・・・っと」 少女は床を見ながらゆっくりと扉を開けた。 クラス委員は逃げることも忘れ、扉の前で耳を塞いで部屋の中の様子を想像しないようにしていた。 「あぁ、俺のせいで皆が・・・素直に体育館に行っていればよかったんだ・・・」 彼はどんどん自己嫌悪になっていき、ひたすら床を見ていた。 すると、ゆっくりと扉がゆっくりと開いた。 「あ・・・開いた・・・」 「最後はきみだよ~」 彼が声のする方を見ると扉の隙間には可愛らしいあの少女の顔があった。 「うわあああぁぁぁぁぁぁ!これは夢だ!これは夢なんだ!このまま寝れば覚めるんだ!」 「残念ながら夢じゃないよ~」 生徒の声が聞こえたのか少女は扉を全開にし、彼の方を向いてしゃがみながらそう言った。 少女は右手の中指を内側に丸め親指で押さえ、中指に力を精一杯込めた状態、つまりデコピンの状態にし、その状態で彼の目の前に持ってきた。 「な・・・なにを・・・」 「ばいば~い」 彼が少女の顔の方を見ると、笑顔で手を振っていた。 右手の中指は一瞬で親指元から放たれ、彼の体に当たった。 彼の体はあとかたもなく消し飛び、そしてそこには何もなくなっていた。 少女は満足そうな笑みを浮かべ、そのまま校舎へ向かった。 「みんな~、私あと少しで宿題終わるから急いでね~」 少女はまるで今までのことが無かったかのように宿題の進行状況だけ伝え、机にもどった。 「まじであいつ全員を殺しやがったぞ・・・」「もうどうすることもできないんだな・・・」 少女の校舎破壊予告から11分、まだ教室に残っていた生徒からそんな声が聞こえる。 「みんな、大人しく体育館に行くぞ・・・」 今まで迷っていたクラスもいまの一部始終をみて体育館へ移動を始めた。 そうして、全てのクラスが体育館に到着して2分後、 「んー、終わったー!じゃあみんな始めるね!」 少女は机から離れ、校舎の方へ進み始めた。 * 「よいしょっと!」 少女の足は無慈悲にも生徒の思い出とともに校舎を次々と踏み抜いていった。 「あぁ・・・・」 校舎が壊されているところこそ見てはいなかったが、校舎が少女によって破壊される音を聞き、体育館内の生徒達は意気消沈としていた。 先ほどまで立派な形を保っていた校舎はすでに少女によって瓦礫の山と化していた。 ふぅ、と可愛らしい吐息を少女は吐くと、腰に手を当て、 「うん!これでよし!」 満足そうな笑顔でそう言った。 「それじゃあ・・・」 少女は体の向きを体育館に変え、近づいて行った。 この男子校の体育館は校舎と離れており、校舎の一階から伸びる廊下を通って行かなくてはたどり着けない構造になっていた。 少女は全員を体育館にいくように促したため、校舎にいた人間全員が体育館に避難し、ビクビクと怯えていた。 「ふん、ふん、ふ~ん♪」 少女は鼻歌を口ずさみながら体育館の屋根を両手で押さえると損壊させないようにそっと持ち上げる。 予想よりもきれいに外れた屋根は倒壊させた校舎にかぶせる様に乗せる。 少女が上から体育館内を覗くと、中央付近にほとんどの生徒が集中していた。 「おぉ!いっぱいいるなぁ~」 「うわあああぁぁぁぁぁ!」「に、逃げろおおおおぉぉぉぉぉ!」 少女が体育館を見下ろすと中にいた小人たちは散らばり始める。 ある者は体育館から出るために出入り口に走り、ある者は自分の姿を隠すために体育館内にある体育倉庫に逃げ込み、またある者は何もできずに頭上にある少女の満足そうな笑顔を見ることしかできなかった。 少女は体育館を前にし、しゃがみ姿勢をとり、右手を中央に伸ばしていく。 「あ・・・指が・・・」 少女の人差し指は的確に生徒の頭に向かって落ちていき、そのまま生徒の体を押し潰した。 指がその場から離れると、そこにはもはや人間の形など無いに等しいただの赤い肉片だった。 「うわあああぁぁぁぁぁぁ!」「人を潰した・・・」 その近くにいた生徒達は尻もちをついてその肉片を見つめていった。 「・・・あ!逃げちゃだめだよ!」 少女は体育館の出入り口付近に立って生徒と遊び始めたので、脱出しようとする生徒たちを発見した。 生徒たちとの距離を一歩で縮めると、その勢いで逃げた生徒たちを踏み潰した。 足裏には赤いしみができるだけで、そこには先ほどの生徒と同じように肉片があり、それですら潰されてペシャンコになっていた。 「逃げるからこうなるんだよ~」 ふー、と、足元にあった肉片に向かって息を吹きかけると、ふわふわと肉片は空を飛び、校庭の砂とともに白くなっていった。 「あいつら・・・」「もう逃げられないってことかよ・・・」 もう逃げ道がないことを察し、少女を見ているしかなかった。 「は~い、みなさんご注目~」 少女は再び体育館を上から見下ろす姿勢に戻り、中にいる生徒達に話しかけた。 先ほど1人の生徒を潰した人差し指を前に出し、生徒達に見せつける。 「みんなには、私の右手と戦ってもらいたいと思いま~す」 「み、右手と戦うって・・・」「そんな無茶な・・・」「勝てるわけないじゃないか・・・」 生徒たちはあまりにも勝ち目のない勝負内容を伝えられ、絶望するしかなかった。 「あ、そこ気を付けた方がいいよ~」 「え・・?」 少女は突然に下を向き、そこにいる生徒達に笑顔で忠告した。 そんな中突然に聞こえた少女の忠告する声。それは2度と復唱されることはなく、指との勝負に気を取られていた生徒には少女の忠告は右から左に流れていくように些細なものだった。 「おい!とにかくやばい!逃げるぞ!」 しっかりと少女の忠告を聞いていた生徒はとにかく危険だということだけを察知し、近くにいた生徒達に一緒に逃げるように促す。 しかし、それも少女の忠告と同じように他の生徒達の耳には届かなかった。 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 少女は自分の体をしゃがみ姿勢のまま前に倒し、体育館の壁を破壊しはじめた。 「え!?ちょっ・・・うわあぁぁぁぁぁ!」「壁が!助けてえぇぇぇぇ!」 その場に止まっていた生徒たちは壁が破壊される大きな音とともに今起きている事態を把握した。しかし、時すでに遅し。気がつき、振り向いた頃には体育館の壁が目の前に迫ってきており巻き込まれていった。 壁が壊された原因は少女の両膝によるものであった。 しゃがみ姿勢のまま両膝を体育館に倒していったので壁が破壊されることになったのだ。 少女は正座になり、体育館の端にとどまった。 結果、いち早く行動した数人だけが生き残った。 これにより体育館が1/3削られ、散らばっていた生徒はほとんど同じ場所に集まることとなった。 この体育館にはトイレが無く、校舎にあるもので用を足すしかない。体育倉庫などの別のスペースもあったが、少女の膝によりただの瓦礫と化したのだ。 「それじゃあ、始めるよ~」 少女は改めて生徒達を見ると、バトルを始めるつもりなのか右手をあげた。 「私が痛い!って思ったら君達の勝ちでいいよ~。・・・じゃあ、スタート!」 「え・・・?」 直前にルールを一方的に伝え、バトルスタートの合図を出すと、少女は左手を床につくと、一番生徒達が集まっていた集団に右手で叩きつけた。 「うわああああぁぁぁぁぁ!」「ひいいいいぃぃぃぃ!」 いち早く避けた生徒だけが潰されることはなかったが、数人が犠牲となった。 「ほら、ほら!逃げてないで反撃してきなよ!」 当然生徒達は反撃することなどできず、逃げ回ることしかできなかった。 少女は見境なしに右手を使って殺戮を始めた。 ある者は人差し指と親指に挟まれてそのまま力を入れられ、すり潰された。 ある者は指パッチンの形になった右手の中指で体ごと消し飛ばされた。 5人ほどが右手に鷲掴みにされ、そのまま力を入れられ、潰された。 生徒達にとってはバトルなどではなく、ただの殺戮なのだ。 そんな中でも逃げ出そうとする生徒は現れる。 「逃げるしかないぞ!」「で、でもよ!あれ見てみろよ!」 体育館の出入り口は先ほどの少女の正座により壁とともに瓦礫となり、逃げ道が無くなっていた。その瓦礫を避けていったら確実に 少女に見つかって潰されることになるであろう。 「それでもいくしかないだろ!」「ちょ、待てよ!おい!」 生徒は必死に瓦礫を避けて脱出を試みる。忠告した生徒も共についていく。 少女はまだ体育館内にいる生徒達の虐殺をしていた。 「いまなら行けるぞ!」「まじかよ・・・」 たまに振り向きながら状況を確認していたその生徒2人は逃げられるかもという少しの希望を持って瓦礫の中から抜け出すことに成功した。 そんな時、 「ふぅ~、これで全部かな?みんな弱すぎだよ~」 一方的な殺戮を終えた少女の右手は真っ赤になっていた。そして、とても満足そうに満面の笑みを浮かべ立ちつくしていた。 「気づいて・・・ない?」「おい!いくぞ!」 それを利用して生徒2人は必死に走った。行き先はわからなかったがとにかく少女から距離をあけたかったのだ。 そして、奇跡的にベッドの下へ逃げることに成功した。 少女は体育館を破壊し始めた。 右足、左足交互に動かしながらゆっくりと破壊していく。 「あぁ、俺達の校舎と体育館が・・・」「バカッ!出るな!」 そうしていくうちに、かつて高校を形作っていたものは瓦礫の山と化していた。 「うん、こんなもんかな!」 少女は瓦礫の上に手をかざすと、手のひらから光が放たれ、その光は瓦礫を包み、一瞬で消し去った。 「消えた・・・」「どうすんだよ・・・・」 「ふぅ~、今日も楽しかった~!」 「う~ん」、と、腕を上に伸ばすと、 「洗ってくるかぁ~」 右手を見て部屋を出ていった。 奇跡的にも少女は扉を完全に閉めることを忘れ、少し隙間ができた。 「あれ、脱出できるんじゃないか?」「え?・・・・あ、開いてる・・・」 「行くか!」「で、でもしっかりと安全を確保してから・・・あ!」 1人の生徒が注意するのも聞かず、もう1人が先に扉へ走る。それに流され、注意した生徒もついていく。 そして、見事部屋からの脱出に成功した。 「やっ・・・・た・・・」「やったぞ・・・」 「よっしゃああぁぁぁぁぁ!あのクラスみたいにはならんぞ!」 2人はこの後のことなど考えずとにかく走った。汗で前も見えなくなっていたがとにかく走ったのだ。 そして、2人は壁にぶつかりその勢いで倒れこんだ。 「くっそ・・・・」「前が・・・」 2人は腕で目のあせを拭き取ると、目の前にある壁を確認した。 その壁は少し柔らかく、肌色の明るい色をしていた。 「あ・・・」「そんな・・・」 2人は上に続く壁を見ると、それが人間の『足』であることを認識した。 気づいた頃には先ほどたくさんの仲間を虐殺した右手が上空から迫ってきていた。 「まだ、いたのか~。逃げちゃだめだよ?」 2人を鷲掴みにして顔の前にまで持ってくる。 「ひいいぃぃぃぃぃ!」「やめて!殺さないで!」 「ん~、今洗ったばっかしだからなぁ~」 少女は少し考えるそぶりをみせると、左手に2人を乗せる。 「な、なにを・・・?」「まさか・・・・」 「あ~ん」パクッ 少女は2人同時に唇で挟むと、何も言わずにそのまま丸呑みした。 「うわあああぁぁぁぁぁぁ!」「おかあさああああぁぁぁぁん!」 「そこで私の栄養になってね♪」 少女はおなかをさすると自分の部屋に入って行った。その顔は終始変わらない可愛らしい小学生の笑顔であった。