#1 俺が居間で大して面白くもないテレビを見ていたら部屋の入り口から妹のハルが顔を出した。 "お兄ちゃん、ゴミ出しちゃうけど?" 手にゴミ袋を持った妹がツインテールを揺らしながら言う。 休日だと言うのにせっせと働くとは律儀なものだと思う。 "ああ。っていうかそれくらい俺がやるぞ" "えーでももう用意しちゃったし" 言いながら顔を引っ込めた妹はそのままゴミ袋を持って出て行ってしまった。 俺は浮かしかけた腰を再びソファに沈めテレビの観賞に戻ることとした。 が、 ピンポーン 呼び鈴が鳴る。 客が来た。 いつもなら妹が出るのだが、まさにバッチリ出てしまっている。 仕方なし、俺は腰を浮かせると玄関へと出向きドアを開けた。 "はい、どちら様で?" "おいすー" 開いたドアの向こうでは幼馴染のアスカが手を上げていた。 肩に掛かる程度の長さの髪が僅かに揺れる。 パタン その顔が猫のように笑っていたので俺は速やかにドアを閉めた。 "ちょっと待った! なんで閉めんの!?" ガッ! ドアが閉まりきる前に足が差し込まれた。 "お前がそんな顔してくるときは大抵酷い目に遭うからだ" "そんなこと無いって。今回は画期的なものをつくってきたんだよ~" ギリギリとドアとの隙間に体をねじ込んでくるアスカ。 もう少し女子としての体裁を保てる挙動をして欲しいと常々思っている。 この幼馴染・アスカは物作りが趣味。 それはアナログからデジタルまで幅広く、興が乗ったものには天才的な才能を発揮する。 しかし食指が動く方向は非常に悩ましく8割方変なモノが出来上がり、俺はいつもその"作品"の実験台にされる。 前回は恐ろしく強力な精強剤を作り、それを飲まされた俺は一週間勃起が治まらなかった。 その間の周囲の視線の痛さを思い出し、俺はブルリと体を震わせた。 こいつを家に上げるわけにはいかない。 "ぐぬぬぬぬ…!" "ぐぎぎぎぎ…!" しばし、俺とアスカは一枚のドアをめぐって激しい攻防を繰り広げていた。 そこへ、 "何やってるの…二人とも…" ゴミ捨てを終えたハルが残念なものを見るような目で見ながらやってくる。 "あ、ハルちゃん。おいすー" 俺とのドアの攻防を続けながらアスカはハルに向き直った。 "えーと…アスカさん、今日はどうしたんですか?" "いやーちょっと遊びに来たんだけどシュウが家に入れてくれなくってさー" 言いながらアスカは唇を尖らせてドアの隙間から俺を見る。 ハルがジト目になって見つめてきた。アスカを。やはり幼馴染ということでハルもアスカに色々と実験台にされていた。 なんでもこの前は着けるだけで気持ちよくなる快感ブラなるものを着けさせられたそうだ。 俺達兄妹でこの幼馴染に対する評価は一緒である。 "はぁ…" ハルがため息をついた。 "お兄ちゃん、とりあえず家にいれてあげようよ。このままだと世間体が悪いし…" "…" 俺は渋々、ドアを閉めようとしていた手を離した。 "やー悪いねーお邪魔しマース" ドアを開け放ちアスカが言った。 俺とハルは深くため息をついた。 * 俺の部屋。 "…" "…" "…" 俺とアスカとハルは座布団の上に座り互いを牽制するように目配せをしていた。 俺とハルはいつ・何が出てきてもいいように、アスカは"新作"のお披露目のタイミングを計っている感じか。 奇妙な沈黙が部屋を支配していた。 "……と、とりあえずお茶でも持ってくるね" 言いながらスッと立ち上がるハルを、俺はハッとした顔で見た。 逃げるタイミングを失ってしまった。 ここでハルが抜ければ俺とアスカは1対1だ。つまり、実験台は俺ということになる。 パタン ドアが閉まる。 そそくさと部屋を出て行ってしまったハル。 残る俺とアスカ。 沈黙は、更に濃く重いものになった。 "…ふっふっふ、どうやら運命はシュウを選んだようね" "そんな運命はいやだ…" "っていうか今日はもともとシュウをターゲットにしてたんだけど" ニヤニヤと笑うアスカの顔を見て、俺はため息をつきながら額を押さえた。 "ハァ~…。で? 今日は何を作ってきたって? あんまり酷いものだったら本気で帰らせるからな" "酷いって何よ。どれも画期的なものじゃない" アスカはぶーたれた。 確かに一部において絶大な効果を発揮するには違いない。 だが俺には必要ない。 超強力精力剤も、超電動光学式鉛筆も、3Dジェネティックダイレクトメール送信機能も、無限に消しカスが出る消しゴムも、亜光速移動能力も必要ない。 女子の服が透ける眼鏡は嬉しかった。 その後、その眼鏡もらったのがハルにバレてヤバかったが。 "技術が凄いのは認めるが世間一般に喜ばれるものじゃねーんだよ。ほとんど悪のマッドサイエンティストだぞ" "何よそれー。まぁどうせ趣味だからいいんだけど。ではそろそろお披露目しますか" 言いながらアスカがポケットに手を突っ込んだので、俺は覚悟を決めた。 そしてそのポケットから取り出されたのは、アスカがいつも使っているスマホだった。 "ん? ただのスマホじゃん" "ニヒヒ、今回はアプリを作ってみました" 取り出したスマホをズイと突き出してくるアスカ。 ホントこいつは二次元三次元電子物理なんでもござれだな。 その才能を世の為に使えたらどれだけ素晴らしいことか。 "どんなアプリなんだ?" "ん。じゃあ実際に見せてあげましょうか" アスカがスマホを操作し始めた。 "えーと、とりあえず10分の1でいいか" "は?" "ほいじゃいくよー" 言うとアスカはスマホのカメラを俺に向けた。 パシャリ シャッターの切られる音がした。 瞬間、俺の視界は突然別の景色を映し出した。 "え…っ!?" たった今まで俺の部屋にいたはずなのに、目に見える景色はまったく別のものに変わっていた。 地面は妙な弾力のあるふかふかとしたものに。狭い部屋は広大な空間へ。 そして、驚き辺りを見渡した俺の視界にとびこんできた、一個の家のような大きさのアスカ。 "うん、成功成功♪" "えぇぇぇぇぇえええ!?" 巨大なアスカが座布団に座ったまま、座布団の上で驚く俺を見下ろしていた。 "な、なんなんだコレは!" "んっふっふ! これがあたしの作ったアプリ"サイズチェンジャー2.0"の力です!" "さ、さいずちぇんじゃあ!?" "そそ。ここで倍率を指定して、大きさを変えたいもの写メで撮るとそのものの大きさを変えられるのです" んふー! と胸を張るアスカ。 俺は戦慄していた。 確かにコイツの才能は常軌を逸していたが、まさか物理を超越するほどまでとは。 "こ、これは確かに凄いな…" "でしょでしょ。今回は10分の1に指定したから今のあんたは10分の1の大きさね" "10分の1…" "身長170cmだっけ? じゃあ今は17cmね。リカちゃん人形サイズかしら" "人形…" 言われて実感する。 目に見える世界はすべてが10倍も大きくなった世界。 俺が尻餅をついているこの縦横5mはありそうな座布団も、実際には50cmほどだ。 俺の家がすっぽり入りそうなこの広大な空間は、俺の家の一室だ。 見慣れたものが全部10倍の大きさになっている。 これが人形の見る世界。 これが10分の1の世界。 驚嘆。感嘆。 体感できない世界を味わっている。 ため息をついていた。驚きから来る、感動をのせたものだ。 "はぁ…これはマジで凄いわ…" "ニシッ、どーよ" "ああ、見直したぜ…………" と、アスカを振り返った俺は固まった。 アスカはこちらを向いて座布団の上に正座を崩した女の子座りをしているわけだが、その正面に立つ10分の1サイズの俺からは、アスカのそのミニスカートから飛び出る太ももの、その隙間を真正面に覗くことが出来てしまっていた。 ミニスカートの天井と大きな太ももの間の薄暗い空間の最奥に、アスカの穿く下着が見えてしまった。 10分の1とは言え立った俺からはその隙間も位置が低い。 俺は無意識に身をかがめ、その隙間を覗き込むようにしていた。 "なにやってんの?" きょとんとしたアスカの声にハッと我を取り戻す。 "い、いやこれは…" "?" 顔を真っ赤にしあたふたと慌てる俺。 そんな俺を見下ろし首をかしげたアスカは俺の視線が向いていた方を辿り、その答えに辿り着いてポンと手を打った。 "なーんだー、パンツ見て赤くなってんのかー" アスカはケラケラと笑い出した。 "別にそんな恥ずかしがることないじゃん。昔は一緒にお風呂はいってたんだし" "い、いや、流石にお前も年頃なわけで…! す、すまん!" "くくー。年頃なのはシュウの方じゃないの? あ。もしかして…" アスカが、ジーッと俺を見つめてきた。 食い入るようにジーッとだ。 "……ハッ!" 俺は慌ててズボンの前を隠した。 そんな俺を見てアスカはキランと目を光らせた。 "もしかして、オッキしてるのかなー?" "ち、違…これは…!" "照れない照れない。んじゃ今後の参考の為に幼馴染の成長をチェックしておきますか" 言うとアスカは上体を倒し右手を伸ばしてきた。 巨大になった座布団の上でへたり込んできた俺は、相対的に巨大になったアスカの大きな手が迫ってくる様に恐怖し動けなかった。 普通ならあの手は缶コーヒーくらいなら持てるだろうが、今ならドラム缶ですら軽々と持ち上げてしまうだろう。 アスカの手は俺の体を優しく握り、ひょいと持ち上げた。 巨大な指が俺の体を握りこんでくる。一本一本が俺の脚ほどの長さのある指だ。 捕まった俺はアスカの顔の前まで持ち上げられた。 "んーどれどれ?" 手に持った俺に顔を近づけてくるアスカ。 そして握った右手の中には入らなかった俺の股間にマジマジと視線を注いでくる。 ただでさえ女子の視線を注がれれば意識してしまうのに、いまや10倍の大きさとなったその巨大な目の強大な視線の威力に晒されれば否が応でも反応してしまう。 "や、やめろ!" 俺は自身の分身の反応を悟られないよう両脚をバタバタと動かして抵抗した。 が、 "ほーら、暴れない" アスカは左手で俺の足を捕まえた。 簡単に俺の足は動かせなくなってしまった。 男の俺の体を、女の子のアスカは両手だけで簡単に封じてしまった。 俺がどんなに本気で力を込めても、俺の胴体を握るアスカの右手と足を捕まえる左手はビクともしなかった。 ピンと、強制的に"気をつけ"の姿勢を取らされていた。 "では改めてー" 完全に動けなくなった俺の股間に再び視線を注いでくるアスカ。 巨大な目がパチクリと瞬きをするたびに元々長かったが今では更に巨大になったまつげがブンと振るわれる。 セミロングの黒髪が揺れるたびにシャンプーのいい香りが漂ってくる。 形の整った鼻で呼吸をするたびにその鼻息がそよ風となって吹き付けてくる。 アスカがほーと呟くたびに、光沢を放つ薄紅色の唇がぷるんと動き暖かな吐息を俺にぶつけてきた。 なんだかんだ言って見てクレのいいアスカの、その女の子としての部分が、俺の男としての本能に力強くアプローチしてくる。 俺の股間はスグに反応してズボンの全部を盛り上げてしまった。 "おーしっかり大きくなってる。シュウも男の子だねー" 俺の股間を見ながら微笑ましく笑うアスカだが、俺はあまりの羞恥プレイ顔を真っ赤にし黙ってしまった。 しかし、 "でもこんな状態じゃ窮屈じゃない? ズボン下ろしてあげよっか" え…っ? 俺が絶句し目を見開く先で、アスカは俺の足を掴んでいた左手を離すと今度は股間へと持って行った。 アスカの大きな指が、俺の股間へと近づいてくる。 こんな状態で触れられでもしたら…。 "や、やめろー! やめてくれー!" 俺は叫んでいた。 そして渾身の力で暴れた。 アスカが左手を放したお陰で足は自由が利く。 全力で暴れまわった。 "うわ、そんなに暴れないで!" 手の中でジタバタと暴れまわる俺を御しきれなくなったアスカは思わず手を放していた。 アスカの巨大な手から開放された俺はそのまま俺の感覚で数mを落下しアスカのミニスカートでショックを吸収して床へと転がり落ちた。 "もー、大丈夫?" 言いながらアスカが手を伸ばしてくる。 だが、あれに捕まればまた同じことだ。 俺は体を跳ねるように起こすとその手から逃げるように走り出した。 なんとか壁際に走りより切れた息を整える。 アスカとの距離は数mある。 アスカが本気で俺を捕まえようとすれば1歩で届く距離だが。 壁際まで逃げた俺を見てアスカは苦笑した。 "そんなに遠くまで逃げなくていいんじゃない?" "に、逃げるようなことしたのはどこの誰だよ!" あっけらかんとしたアスカをジロリと睨む俺。 とそのとき、 "お茶菓子持って来たよ" 部屋の外からハルの声がして、丁度、俺の走り寄った壁のすぐ横にあった巨大なドアが開かれた。 すると、そこから黒いソックスをはいた巨大な足がぬぅっと現れ俺の目の前に踏み下ろされた。 ズシィイイイン!! その衝撃で俺はふっとばされ尻餅をついた。 いまや10倍の大きさとなったそれは長さ2m40cmと俺の身長よりも大きい。 床にすっころんだ俺が見上げる先には黒いソックスを穿いた妹の脚が、まるで黒い塔の様に聳え立っていた。 たった今、俺を踏み潰しかけたことにも気づかないハルはそのまま部屋の中に入りテーブルの上にお菓子を乗せたお盆を下ろした。 キョロキョロと部屋の中を見渡している。 "あれ? お兄ちゃんは?" "ニシシ、ハルちゃんの足元にいるよー" "へ?" アスカの言葉にきょとんとしたハルが言われたとおり自分の足元を見てみる。 ハルは、自分の足の横で尻餅を着いている小さな俺を見つけた。 "え…?" 固まるハル。 "えぇぇぇぇぇ!?" そして絶叫した。 * 部屋の中にはアスカ、ハル、そして小さくなったシュウがいた。 それぞれ、座布団の上に座って向かい合う。 "…というわけらしい" シュウはハルにアスカが作ったアプリについて説明した。 しかしハルは説明を聞いているのかいないのか、呆然とシュウを見下ろしていた。 そうなる気持ちもわかる。 "まぁとにかく、これでハルにも発明の成果を見せられたわけだし、とっとと元の大きさに…" "…か……" "……ん?" シュウがアスカに向かってしゃべっていた横で、ハルがポツリと呟いた。 何事かとそちらに目を向けてみれば、ハルは目をキラキラと輝かせていた。 "かわいいーーーー!!" "ぬおっ!?" ガバッと手を伸ばしてくるハル。 その突然の行動のあまりの速さに全く対応できないままにシュウはハルの手に捕まれた。 ガシッ! ドラム缶さえ軽々と持ち上げるハルの大きな手がシュウを掴んで持ち上げた。 "うわーお兄ちゃん、お人形みたいにかわいいよー!!" シュウを持ち上げたハルは目を輝かせながら言う。 しかし興奮したハルのその手に込められた力は、さきほどアスカがシュウを持ち上げたときのように優しいものではなかった。 メキメキメキメキ! シュウからすれば10倍もの大きさの巨人となったハルの巨大な手は、その手の中の小さな兄の体を握り潰さんばかりに握り締めていた。 腕ごと体を握りこまれたシュウ。 ハルの右手によって体を握り締められ、その上から更に左手によって囲まれている。 女の子のハルの力といえ、人形サイズとなったシュウにはまるで重機に挟まれているようなものだった。 "がは…っ" 意識が飛びそうだった。圧力によって目が飛び出そうだった。 いまや大きく逞しい妹の指によって、兄の腕はポキリと折れてしまいそうだった。 手の中に人形サイズに縮んだ兄がいることに興奮するハルは、今まさに自分がその兄を握り潰そうとしていることに気づいていなかった。 "ハルちゃんハルちゃん、その辺にしとかないとシュウが死んじゃうよー" "え?" アスカののほほんとした声に振り返ったハルが自分の手の中の兄を見てみると、俺は死んだ魚のような目をしてグッタリとしていた。 "わわ、ゴメンお兄ちゃん!" 慌ててパッと手を放すハル。 空中で放り出された俺はハルのスカートのトランポリンに落下して床に落ちる。 "ぐへっ! げほっ…げほっ…! し、死ぬかと思った…、なんで放り出すんだよ…!" "だ、だって…" "つーか力入れすぎだろ…。どんだけ馬鹿力込めてんだ…ったく…" "ば…" 俺の言葉にむっとするハル。 だが、座布団の上に正座する自分の前で咽ている小さな兄を見下ろしていたハルは、ふと、ニヤリと笑った。 "ふふん、わたしが馬鹿力なんじゃなくて、お兄ちゃんが貧弱なんじゃないの?" "なに?" 未だ咽ていた俺はハルの方を見上げた。 すると視線の先では、正座から座り方を変えていたハルが、俺の上に足を翳しているところだった。 "え…?" 俺の頭上に、ハルの黒いソックスを履いた全長2m40cmにもなる巨大な足が被さっていた。 そして、 "えい" ズズン。それが踏み下ろされた。 たまらずその下敷きになる俺。 "ぐ…!" 座布団とハルの足の間に挟みこまれた俺の全身は足の下にすっぽりと入ってしまい外からは見えなかった。 "わたしは全然 力入れてないんだけどなー。わたしの足も持ち上げられないの?" ハルが涼しげな声で言う。 実際に、俺の上に乗せられた足はそれ以降ビクともしていなかった。 "おーハルちゃん大胆♪" "ちょっとしたお仕置きです。いつもひとの事 馬鹿にするんだから" まったく…というハルの不満が足の下の兄を踏みにじるという行為に表われていた。 しかし、ハルにとっては軽く足を乗っけてぐりぐりと動かすだけの行為も、その下敷きとなっている俺にとっては、とんでもない重量の足に全身を踏みつけられ指すらも動かせないほどに圧迫され、更にそれがグリグリと動かされるせいで体の皮が突っ張り体がねじれてしまいそうだった。 下が柔らかい座布団でなければ体はハルの足の下敷きになった時点で潰れてしまっていたかもしれない。 そして、そんなことを考えるほどの余裕も、今の俺には無かった。 10秒ほどそれを続けて足をどけるハル。 足の下から表われた小さな兄はピクリとも動かなかった。 "う…これ、お兄ちゃん大丈夫ですよね…?" "あー大丈夫大丈夫。シュウの体はこのくらいじゃ潰れないよ。事前に計算してあるから" 言いながらスマホを確認するアスカ。 画面にはシュウのステータス画面のようなものが表示されていた。 そこで管理できるらしい。 やがて俺は体を起こした。 "あ、お兄ちゃん、大丈夫?" "なんとかな…" ハルが心配そうに見下ろしてくるのに、軽く手を上げて応える俺。 "いやー妹の足の下敷きにされる兄なんてあんただけだよシュウ" "お前のせいだろ…" "およよ? 元気ないね" "あるわけあるか……" 座布団の上に体を起こした俺はふぅーと盛大に息を吐き出した。 "ったく、お前が作るものにかかわるとホントロクな目に遭わん" "えー名誉なことだよ。人類初の縮小化を体験したんだから" "俺が被験者第一号かよ" "そそ。シュウはいい反応するからねー。これだからシュウをモルモットにするのはやめられないのよ" にかっと笑って言うアスカ。 こいつと幼馴染という俺の、これが運命ということか…。 はぁ…またため息をついた。 "で、でもお兄ちゃんかわいいよ!" ハルがフォローする。 フォローになってない。 "で、そろそろ戻してくれるか?" "はいはい、ちょっと待ってて。準備するから" アスカはスマホを操作し始めた。 その横で感嘆の声を漏らすハル。 "はー…でもアスカさんと本当に凄いですよね。これって発表したら絶対有名になれますよ" "いやー発明は趣味だから。別に有名になりたくてやってるわけじゃないし" 手をヒラヒラと振りながら言うアスカ。 たしかにこいつには有名になるとか偉くなりたいとか欲が無い。 ただひたすらに、変なモノを作って俺を酷い目に遭わせる。 …そういう意味では、もっと顕示欲みたいになものを持って、世のため人のためになるものを作ろうとして欲しい。 "っていうかハル、お前もこいつの作るものはヘンとか言ってなかった?" "え!? いやーヘンっていうかちょっとよくわからないものが多いというか…! で、でもこれは本当に凄いですよ" ハルが身振り手振りで慌てながら弁明する様をアスカは笑いながら見ていた。 昔から変わらない関係、光景だ。 ただし今はその見慣れた光景も10倍の大きさになっていたが。 "あ、そだ。せっかくだし人類縮小化第一号誕生を記念して乾杯しない?" アスカが言う。 なんの記念にもならないんだが。 "これジュース? じゃあこれを分けまして…" アスカがハルの持ってきたジュースを紙コップ(俺はペットボトルのキャップ)に注ぎ配った。 キャップは俺の顔サイズでありほとんどタライだった。 アスカの手とハルの手と俺の目の前にそれぞれがいきわたる。 俺とハルは顔を見合わせて苦笑した。 アスカはほんと変わらない。 "では改めまして……かんぱーい♪" アスカが紙コップを掲げた。 ハルもノリで一緒に掲げる。 俺は声だけ。 そして3人でジュースを呷った。 "ぷはーおいしー♪" "飲みにくい…" 紙コップを口につけるだけの二人と違って、俺はタライサイズのキャップに顔を付けなければならないのだ。 犬か何かになった気分だった。 で、そうやって口に含んだジュースの味に既視感?を覚える。 "ん? この味…なんか凄く嫌な思い出があるような…" と思ったとき、 カラン 空になった巨大紙コップが俺の前に落下してきた。 見れば、紙コップを手放したハルが頬を赤くしてボーっとしている。 "どうしたハル?" "あ。これってあたしが作った"元気君"じゃない?" "なにぃ!?" "元気君" それは俺を一週間勃起させ続けた恐ろしい精強剤の名前だ。 ガチガチに硬くなった分身のせいでパンツを穿く事すら大変だった。 慌てて股間をチェックする。 が、俺の分身は至って普通だった。 "あれ?" "あーこれ一人一回しか効果無いの。まだお試し品だしね" "そ、そうなのか…" "でもハルちゃん、どこから"元気君"持ってきたのかな?" "…いつか使うときが来るんじゃないかと、あの時の余りを冷蔵庫にとっといたからそれをジュースと勘違いして持ってきたんだな…" 俺がげんなりした顔でボソボソと告白するのを、きょとんとした顔で見下ろしていたアスカ。 だが途端ににんまりして "なぁんだ、それならそうと言ってよ♪ もっといいの作るよ?" "い、いや……て、ていうか今はハルだろ! 大丈夫なのか!?" "大丈夫だって。シュウも使ったからわかるでしょ? あたしも自分で試したし" 試したのかよ。 この発明バカが精強剤使ってどうなるのか…想像もつかん。 まぁとにかく…。 "おいハル、大丈夫か?" 俺は未だにボーっとしているハルに声を掛けた。 俺のときは飲んですぐ股間がギンギンになったが、ハルも同じようなことになってしまうのだろうか。 だとしたら俺はこの場にいないほうが…。 と、思っていると、うつろな表情のハルがゆっくりと俺を見下ろした。 "……お兄ちゃん…?" ポツリと呟く言葉に覇気が無い。 意識が混濁しているのか、人形サイズに縮んでいる俺を認識できないのかもしれない。 そうやって、ただ呆然と俺を見下ろしていたハルだが、 "……お兄ちゃんだぁ……♪" 不意に、妙に嬉しそうな声と共ににやぁりと笑った。 "え…?" たらり。汗が流れる俺。 そんな俺の前でハルは座り方を変え、俺の上に足を持ってきた。 俺の頭上に黒いソックスを履いたハルの足が翳される。さきほどと同じ光景。 そして、 ズムッ! ハルは俺を踏みつけてきた。 再びハルの足と座布団との間に挟みこまれる。 "むぐ…っ!" 俺の体は座布団に完全に埋没していた。 足はさきほどよりも強い力でのしかかってくる。息が出来ない。 "ほらほらお兄ちゃん、妹の足にも勝てないの?" ハルの楽しそうな声が聞こえてきた。 しかし、同時にグリグリと動かされる足のせいで俺は答えることが出来なかった。 まるで俺の体の酸素を搾り出そうとしているかのようなその動き。 俺は意識が遠くなっていった。 ところで足はどけられ俺は解放された。 足の重量と蒸し暑さからから解放され、俺は大きく息を吸い込んだ。 そんな俺を、無造作に掴んで持ち上げるハル。 ハルの右手の中で俺は死にかけていた…。 "あは。お兄ちゃんぐったりしてる~♪" 右手に掴んだ俺を、ハルがとろんとした目で見つめてくる。 "い、いったいどうなってる…!?" "どうやら"元気君"の効果が別のところに出ちゃったみたいね。" 一連の行動を、横でジュースを飲みながら見ていたアスカが答えた。 "つ、つまり、どういうことだ…ぐっ" しゃべってる途中で、ハルが俺を握る力を強くした。 "うん。"元気君"はね、その人の持ってる一番強い欲を爆発させてくれるの。普通は"性欲"だったり"食欲"だったりするんだけど……、どうやらハルちゃんはそれが"加虐"だったみたいね" "え…" ………加虐? "つまり、相手をいたぶるのが好きってこと" "……" どんなドSだよ! まさか我が妹がそんな恐ろしい欲望を秘めていたとは…。 "まぁ本人に自覚は無いと思うよ。でもほら、ハルちゃんてたまに妙なところでバイオレンスだったじゃない? きっとそれが強く出ちゃったのよ" ああ…そういえばゴキブリが出たりすると"キャー!"とか叫びながらスリッパで思い切り踏みつけるんだよな…。 スリッパと床の間の状態を想像するだけで食欲3割減するんだ…。 "……ってことはなにか? 俺はこれからそのゴキブリとかのように…" "そ。嬲られるの♪" アスカが笑いながら言った。 …。 "うぉぉぉハルやめてくれえええ!!" "や~だ♪" にっこりと笑ったハルは俺を胸に押し付けた。 むぎゅう…! ハルの手とワイシャツに包まれた胸の間に沈みこむ俺。 "お! いいねぇ!" パシャ。アスカが写メり始めた。 なんとかしろよ! と言いたいがそれどころではない。 服越しとは言え妹の乳房に顔どころか体を埋めているのだ。 人並み以上に大きな胸が服越しに俺の体を挟み込んでくる。 しかし良く育まれた胸はたっぷりとした弾力で俺を押し返してくるのだが、いかんせん押し付けられる力が強すぎて苦しすぎる。 ただでさえ大きい胸が今では更に10倍の大きさになって俺を押し潰さんばかりに迫ってきた。 "んー元気ないねお兄ちゃん。もしかしておっぱい嫌い?" 俺を胸に押し付けながらハルが言う。 そういう問題じゃない…。 "それじゃあ…" と、ハルは俺を胸から離し、 "お尻の方がいいのかな?" 女の子座りをしていた状態からお尻を浮かせたハルは、それまで座っていた座布団の上に俺を仰向けて置いた。 俺の体の上には、ミニスカートに包まれたハルの巨大な尻がある。 ハルの尻の下は、とても暗かった。 そして… "えい♪" ズン! 座り込んだ。 俺の体の上にハルの大きな尻がズンの乗っかった。 俺はつま先から頭まで全身がその下敷きになってしまった。 "……っ!" とてつもない重量がのしかかってきた。 足で踏みつけられたときなど比べ物にならない。 尻にのしかかられた瞬間、一瞬目の前が真っ白になった。 下が座布団でなければ、俺の体は潰れていた。 "ふふ、どう? お兄ちゃん" ハルがグリグリと尻を動かした。 それは俺にのしかかる巨山が動くのと同じことだ。 スカート越しでも柔らかな尻と座布団の間に埋まる俺は、その途方も無い圧力と重圧の密度で押し潰されそうになっている。 ハルが尻を動かして、俺の服の一部がビリビリと千切れた。 "ニシシ、やるわねハルちゃん" "はい。お兄ちゃんをお尻の下に敷くのって気持ちいいんですね。これからはお兄ちゃんを座布団にしちゃおうかな" 二人の女子の楽しげな会話。 その片割れの尻の下で、身動きも取れなくなっている俺。 やがてその山のように巨大な尻が持ち上がり、俺はそこにやってきた巨大な手によって持ち上げられた。 再びハルの手に掴まれて顔の前。 "どうだったお兄ちゃん?" ハルが笑いながら訊いてくる。 しかし俺は手足をだらんとしてぐったりするばかりで返事すら出来なかった。 が、ハルは右手に掴んだそんな俺を見ると左手を頬に当てて言う。 "ふふ、そんな顔されたらもっといじめたくなっちゃうよ…♪" ゾクゾクとする快感に、胸をキュンとさせるハル。 ミシリ。俺を握る手の力が強くなった。 "あぐ…っ!" 思わず悲鳴が漏れる。 しかしそんな俺を見てハルは更に愉しそうな顔をした。 意図的に俺を握る手の力加減に強弱を付けている。 力を入れたとき俺がビクンとなる様を愉しんでる。 これが、ハルの隠された欲望か…。 妹の本性を垣間見て、俺は人間の奥深さを悟った。 メキメキと音を立てて握りこんでくるハルの巨大な手は今の俺の力ではどうしようもない。 両腕ごと握りこまれてしまっている俺は、ハルの手に堕ちた人形だ。 何をするもハルの思うがままだった。 そんな俺を握り締めた右手を今度は脚の間に持っていくハル。 左手でスカートがたくし上げられ、俺の目の前にはハルのパンツがむき出しになった。 "い…ッ!?" 思わず固まる俺。 なんとか見上げた先のハルの顔はとろんとしていたがいたずらっぽく笑っていた。 "ん…もう我慢できないや…。お兄ちゃんでオナニーしちゃお…" ハルがそう呟くと俺を掴んだ手がパンツに向かって動き出した。 "あ。"元気君"の効果がここにも出てきたかー" "バ…! ハ、ハル! やめろ!" しかしハルは止めず、俺の体はそのパンツの前部に押し付けられた。 "んぷ…!" 顔がパンツに押し付けられる。 しかも俺から手を離したハルは、今度は俺の後頭部を指で押さえつけ、パンツにぐりぐりと押し付け始めた。 "ん…" ハルの艶っぽい声が聞こえた。 左手は、自分の胸を揉んでいるようだ。 俺は押し付けられるパンツの生地の向こうに硬いものがムクムクと現れるのを感じていた。 クリトリスか。俺はパンツ越しに顔をクリトリスに押し付けられているのか。 気づけば俺の押し付けられているパンツの前部は濡れてきていた。 じゃぶじゃぶとあふれ出てくる愛液にパンツと一緒に俺も濡れている。 更には俺が顔を押し付けられている部分も濡れ始めて、俺は息もしづらかった。 "や…んぷ…っ! やめろ……んぐ…!" こうも強く押し付けられてはしゃべることも出来ない。 しかも押し付ける力は段々強くなりこすりつける速度も速くなる。 顔が潰れてしまいそうだった。パンツで磨り減りそうだった。 頭が、ハルの指とパンツの向こうのクリトリスの間でメリメリと音を立て始めていた。 そして、 "ん…っ!" ハルがイクと同時、俺の顔もより強く押し付けられた。 そして、 プシュウ! 噴き出してきた愛液にパンツも俺もぐしょぐしょに濡れそぼってしまった。 下の座布団が濃い色に変わってゆく。 "ふぅ…" ハルの吐息と共に、俺を押し付けていた手もどけられ、俺はハルのパンツにもたれかかった。 "い、妹のオナニーで殺される…" ぐっしょりと濡れたハルのパンツだけが、色々な意味で今の俺の支えだった。 "やぁー大変だねぇお兄ちゃん♪" アスカが呑気なことを言ってくる。 すべての元凶のくせに…。 などと思っていると、 "なんだか暑くなっちゃった…" 言いながらハルがワイシャツのボタンに手をかけ、それを脱ぎ始めた。 すぐに上半身はブラ一枚になる。巨大な乳房が、ブラに包まれてたぷんとしていた。 しかしそれにとどまらず、ハルはそのブラまでも脱ぎ捨てた。 "…" 俺が唖然として見上げる上で、上半身裸となったハルが素肌に感じる空気を涼しがるように"ふぅ"と息を吐き出した。 あの大きな乳房が、今でななんの覆いもなくしてそこにあった。 妹の僅かな所作にも、ブルンと揺れて反応する。 "んーやっぱいいチチしてるわ" アスカが腕を組んで言う。 どこの親父だ。 更にハルは上半身を倒し足に手を伸ばした。 身をかがめたとき、俺の頭上であの巨大な乳房がゆっさゆっさと揺れ動いた。 俺の周囲はハルの上半身の作り出す影で薄暗くなっていた。 ハルは右足に手を伸ばすと、履いていた黒いソックスを脱ぎ捨てた。 ズズゥン! 靴下を脱いだ素足が無造作に踏み下ろされ床が激しく揺れた。 左足も同じである。 ハルは、スカートとパンツを穿いている以外は全裸になった。 そんなハルが、自分のパンツに突っ伏してもたれかかる俺を見下ろした。 "じゃ、もう一回しよ" …は? もう一回? まだ何か続けるのか? "い、いやハル! もう十分だろ!" "ダメ…まだぜんぜんし足りないから…" ハルの言葉に驚愕する俺を、ハルの右手が持ち上げた。 "お兄ちゃんも濡れちゃってるね" 言うとハルは俺の着ていたシャツをビリビリと引き裂いた。 もうすでにボロボロであったが、ハルの巨大な指は俺のシャツをチリ紙のように軽々と千切っていった。 あっという間に、上半身裸になる俺。 "ふふ、これでおそろいだね" ハルがにっこりと笑った。 "シュウ~。ハルちゃん"元気君"飲んだんだからまだまだだよ~" "ま…" 横からのアスカの言葉に俺は血の気が引いた。 死ぬほどの拷問に続いてオナニーにまで巻き込まれて、まだまだこれからだとは…。 ハルは俺をむき出しとなった胸にあてがった。 今の俺には両手を広げても抱えることの出来ない乳房の片方にぐいと押し付けられる。 "あはは、お兄ちゃんブラだ" ハルの右手のひらと右の乳房の間に上半身を挟み込まれる俺。 唯一挟まれるのを免れた脚だけが、その圧力に抗ってジタバタと動いていた。 妹の柔らかい乳房に体が押し付けられめりこむ。 妹の乳房と手のひらのぬくもりに挟まれる。 もう俺には"元気君"は効果が無いはずなのに、体に浴びたハルの愛液とハルの体の匂い、そしてぬくもりに包まれて俺の股間は反応してしまった。 "次は~" 言うとハルは床に寝転がり、俺を胸の谷間に下ろした。 谷間に四つんばいになった俺の左右にもりっとした肌色のふくらみがあった。 "おっぱいで挟んじゃう" そんな左右の乳房をぎゅっと寄せるハル。 俺の体はその間に挟みこまれてしまった。 上半身は完全に谷間の中に埋まり、下半身だけが苦しさに暴れていた。 "うんうん、オトコのロマンだねぇ" "お兄ちゃんも喜んでますね" 二人はくすくすと笑っていたが、谷間に挟まれる俺はあまりの圧力に身動きすら取れず息もできなかった。 ミッチリとしたその圧迫感がハルの胸の大きさを物語っている。 しかし、胸に挟まれるとはまさにオトコ冥利に尽きるというものだが、実際はあまりの苦しさに苦痛しか感じなかった。 "でも残念だなー。もうちょっとちっちゃくなってたら全身挟んであげられたのに" と、ハルの言葉。 そんなことになったら今より酷い目に遭ってただろう。 踏みつけられたり、尻の下敷きにされたり、今でさえ死にそうなのだからこれ以上小さかったら確実に潰されていた。 不幸中の幸いか…。 俺は少なくとも最悪を回避できていたことにひとまず安堵していた。 が、 "ん? 小さくできるよ?" アスカが言った。 俺は耳を疑った。 "できるんですか?" "うん、このアプリ重ねがけできるから今のシュウに使えばもっと小さくなるね" ハルが胸を寄せるのをやめたのでその圧力から解放された俺はハルの胸の谷間に突っ伏した状態からなんとか四つんばいになって抗議した。 "ば、バカ! やめろ!" "じゃあお願いします♪" 俺の抗議を、ハルの嬉しそうな声がかき消した。 "じゃあいくよー" アスカが、再びスマホのカメラを俺に向けた。 そして、 パシャリ シャッターが切られた。 すると俺の体はギュンと小さくなった。 恐る恐る辺りを見渡してみれば、たった今まで左右にあった胸のふくらみは、今は見上げるほどに巨大な肌色の山に変貌していた。 "ほい、さっきまでの10分の1サイズにまた10分の1を重ねがけしたから、今は100分の1だね" アスカの声が、俺のいるハルの胸の谷間に轟いた。 100分の1…。それは身長170cmの俺が1.7cmにまで縮んでしまったということか。 そしてまた恐る恐る正面を向き直れば、首を曲げ自分の胸の谷間を見下ろしているハルの、先ほどまでよりも更に巨大な顔がキラキラと輝いて俺を見ているのが見えた。 "わー! お兄ちゃんもっと小さくなった!" 横の乳房山の向こうから恐ろしく巨大な手が現れ、その指先に俺を摘んで上空に連れ去った。 上体を起こしたハルは俺を目の前まで運ぶ。 "うわーまるで虫みたいだね" キラキラと輝くハルの、俺の身長ほどもある巨大な目がパチパチと瞬きをする。 そのたびに巨大なまつげが唸りを上げていた。 同時に俺は俺を摘むハルの指先のとてつもない力の間で圧迫されていた。 ハルとしてはまったく力を入れていないつもりなのだろうが、俺にとってはそんな微細な力でさえも息も出来ないほどの圧力だった。 さきほど踏みつけられたり尻に敷かれたりしたのがマシだと思えるほどの力だ。 これがただの指の力なのか。 "今のシュウから見たらハルちゃんは身長160mだね。超高層ビルの定義がだいたい100m以上からだったと思うから、今のハルちゃんは十分に超高層ビルクラスね" "わたしってそんなに大きいんですか。お兄ちゃん、わたしビルみたいに大きいんだって" 俺を摘んでいるハルがクスクスと笑う。 "じゃあさっそく…" 言うとハルは俺を膝立ちした右足の前におろした。 "な…っ" 床に下ろされた俺の目の前には恐ろしく巨大な足の指たちが並んでいた。 ひとつひとつが太さにして1.5mほどもある。 俺の身長ほどの大きさがあった。 親指に至っては俺の身長よりもデカい。 俺から見れば全長24m幅8mのハルの足。 大型バスでも全長は10mほど。今のハルの足は、大型バス2台分以上の長さがあった。 "お兄ちゃん、登ってみて" ハルが言った。 自分のつま先に登れというのか。 何故妹の足の指にのぼらされなければならないのか。 こんな拷問に付き合う必要は無い。 むしろハルの手が離れた今なら逃げるチャンスだ。 俺は後ろを向いて走り出した。 が、 "もう、逃げちゃだめだよ" ハルがその右足を持ち上げて同じ場所に踏み下ろした。 ズズウウウウウウウウウウウウウウン!! 凄まじい揺れが発生し俺は床の上に転がった。 "うわっ!" 簡単に転んでしまった。地面が数cmは上下したのではないかという揺れ方だった。 盛大にすっ転んでいた。 そんな俺の前に、ハルの右足が移動してくる。 "はい、今度はちゃんと登ってね" ハルがニヤニヤと笑い見下ろしながら言ってきた。 拷問だ…。完全な拷問だった…。 だがこの体格差となってはもう従うしかない。 立ち上がった俺は渋々ハルのつま先に組み付いた。 身長ほどの太さもある足の指は登るのは簡単ではない。 なんとか手や足を引っ掛け登ろうとするが、よく手入れされ光沢を放つその足の爪はつるつると滑って登り難い。 何度も何度も手を伸ばすが結果は同じだった。 * "ん……お兄ちゃん、わたしの足の指にも登れないんだ…♪" 自分の足の指の前でオタオタしている兄に、ハルはゾクゾクとした快感を得ていた。 小さすぎる兄は自分の足の指にも登れない。 そんな兄の貧弱さと相対的に巨大な自分の力強さに、優越感が溢れてくる。 左手はむき出しとなった乳房を揉み、右手はパンツを穿いた股間へと伸ばされていた。 * "はぁ…はぁ…" 俺は息を切らしていた。 登ろうとしている相手はただの台でなく人間の足の指だ。 しかも俺の動きをくすぐったがっているのだろう、俺が手をかけるたびにハルの足の指はもぞもぞと動いて俺を振り落とす。 俺は、妹の足の指にも登れないでいた…。 すると横から巨大なアスカの顔がぬぅっと現れた。 "小指からなら登れるんじゃない?" アスカの巨大な手の指が、ハルの足の小指を指さした。 確かに他の指に比べれば小さかった。ただし比べれば、だ。結局巨大であることに変わりは無い。 俺はハルの足の小指に手をかけた。 そして体をその上に引っ張り上げ、転がるようにしてその上に乗る。 ようやく、足の指の上に乗ることが出来た。 指の上を歩いて、甲のほうへ移動する。 その過程で、横に居並んでいる足元の足の指たちを見た。 足の指たちはひとつひとつが長さ3~4mほどもあった。 もっとも小さな小指ですら俺の身長よりもデカい。 他の指に至っては俺の倍以上だ。 それが五つ、俺がいる足の甲の部分から前方に伸びている。 そう、俺のいる甲の部分も足の一部。そしてそんな足も、ハルの体のほんの一部である。 俺は、本当に妹の体の上に立っているのか…。 とにかく、ようやく足に登ることができた。 ふぅ…。息を吐き出して足の甲に腰を下ろす。 だが、直後その足がぐわっと動き、上に乗っていた俺を振り落とした。 "うわっ!" 足の上から振り落とされた俺は床の上を転がった。 体が痛む。 "いてて……なにする…ん…" と、俺が痛む体をさすりながら振り返った先では、かかとを床に付けたハルの足がそのまま俺に向かってつま先を踏み下ろしてきているところだった。 巨大な素足が、俺に向かって迫ってくる。 思わず悲鳴を上げていた。 ズズウン!! 踏み下ろされた足。俺は、その足の指の下に踏みつけられていた。親指だ。直径2m以上ある巨大な親指が俺の上にのしかかっていた。床に突っ伏す俺に背中からのしかかってきていた。 ミシミシ… のしかかってくるハルの親指の重量に体が悲鳴を上げる。 さきほどまでの10分の1サイズのときに、足自身にのしかかられたのと同じような重圧だ。 それが、今は親指ひとつのせいでのしかかってくる。 身動きが取れない。その背に乗るものをどけることもできなかった。 完全に、妹の足の親指の虜となっていた。 * "わたしの足の指にも勝てないの?" 自分の右足の、その足の親指の下からすら出られずもがいている兄の非力さに、ハルの快感は増すばかりだった。 ちょっと足を動かして親指の下で転がしてみる。 小さな小さな兄がまるで消しカスのように転がる様が面白い。 親指と人差し指の間に挟んで持ち上げて、キュッて締めてみたらピチピチ動いてた。 そのまま指の間でコロコロこねくり回してみたり。 指を開いて兄をポイって放り出したら今度はつま先をそのまま乗せてみる。 足の裏のつまさきのほんの一部に、兄の小さな体の感触があった。 自分の足の大きさと比べてもとっても小さい。 ということは兄から見る自分の足はとっても大きいということだ。 今度は足の裏を使ってコロコロと転がしてみて、次は足の指の中にキュッて握ってみる。 兄のすべてを足だけで自由に出来た。 兄のすべてを思い通りに出来た。 あまりに貧弱すぎる兄のその卑小さが心地いい。 兄を握る足の指にギュッと力を込めながら、ハルはまた絶頂を迎えた。 * メキメキと音を立てながら硬く握り込まれる足の指の中の俺。 それは絶頂を迎えたハルが"ふぅ…"と力を抜くまで続けられた。 足はかかとを床に着けつま先はやや浮いていた。 その状態から握るのを解除された俺は十数m下の床の上にドサッと落下した。 俺の体はぼろ雑巾のようにボロボロだった。 そんな俺の体を、巨大な指が摘みあげる。 "元気ですかー?" アスカの声。 元気なわけあるか…。 アスカの手のひらの上の俺は死んだ虫とかわらなかった。 ヤムチャな状態で転がっていた。 "んふーお兄ちゃんは大変ですねー" アスカの笑顔は腹立たしい。 すべてお前のせいだというのに。 "でもまだ終わってないんだよね" …え? "まだハルちゃんはソロプレイを継続中ですので、お兄ちゃんにはそれを助けていただかないと" え? てか今 絶頂迎えたんだよな? "あたしの"元気君"をなめちゃいかんぜよ" 誰だお前は。 え、ていうかまさかこのまま…? などと思っていると俺はアスカの指によってつままれてハルの前に持っていかれた。 ハルはまだ胸と股間を弄っている。 "ほいハルちゃん、シュウだよ~♪" などと言いながら俺をハルの左の乳房の乳首の上に下ろした。 乳頭に跨り、乳輪に突っ伏すようにしてもたれかかる俺。 恐る恐る上を見ると、俺を見下ろして、ニヤ~っと笑うハルと目が合った。 直後、俺の背後からハルの巨大な左手が迫ってきた。 ズムっ! 巨大な人差し指が俺の背中からのしかかり俺を乳輪へと押し付け始めた。 更に親指と中指で、俺の乗る乳頭をコリコリとこね始める。 右手は自身の股間をまさぐっていた。 完全に、妹のオナニーに巻き込まれていた。 左手は俺を乳輪に押し付けながら乳首と乳房を揉んでいる。 乳輪に押し付けられる圧力だけでなく、乳房全体がぐわんぐわんと揉まれ揺れ動く。 数mも揺れ動く乳房の上で酔いそうだった。 張りのある乳輪は押し付けられる俺の体をミチミチと押し返してくる。 しかし背後からはハルの巨大な人差し指によって押し付けられているのでどうすることもできない。 妹の指先と乳輪との間で潰されかけていた。 左の乳房に兄の感触を感じながら自慰にふけるハル。 その小さな存在を乳首に感じるだけで元気になってしまう。盛り上がってしまう。 もっともっと、兄と共に盛り上がりたかった。 絶頂を迎えるとき、ハルは左の乳房を兄ごとギュウッと揉み潰した。 "ふぅ…" 再び絶頂を迎えたハルは上半身を背後に倒し、それを両手で支えた。 天井を仰ぎ見るハルの肢体は表面に玉のような汗を浮かばせ蛍光灯の光を浴びてキラキラと輝いていた。 そんなハルの左の乳首の上で乳輪にもたれかかり息も絶え絶えな俺。 "…" ハルの呼吸と共にゆっくり上下に動くその胸の上に、ゴミのようにちょこんと乗っていた。 "はい、お疲れさん" 横でジュースを飲んでいたアスカが言う。 お疲れレベルの話ではない。 "いやーハルちゃん頑張ったね~。さすがあたしの"元気君"" アスカのあっけらかんとした言葉に文句を言う元気も無い。 今はただ、この暖かなハルの乳首にもたれかかっていたかった。 が、 "ふふ、まだですよ…" 上半身をのけぞらせていたハルが体を元に戻した。 そのせいで俺は乳首から振り落とされることになったが、すでにそこに来ていたハルの左手に掬い取られた。 "およ? まだっていうのは?" "まだし足りません" ハルが左手の上の俺を見下ろしながら言う。 すでにぼろきれのように横たわる俺は言葉が出なかった。 "あらら、ハルちゃん底無しだね♪" "お兄ちゃんと一緒にイクのも気持ちいいけど、やっぱりお兄ちゃんをイジメながらイクほうが気持ちいいかも" ハルの言葉に、俺は寒気がした。 そしてハルは左足を前に伸ばし、俺をその前に置いた。 俺の目の前には、ハルの足の裏が高さ24mの肌色の壁として聳え立っていた。 かかとを下に、つま先を上に、足の裏を前に向けている。 その前に置かれてしまった俺からは、もはや足の裏しか見えない。 "さぁお兄ちゃん、登ってきてよ" 登れ? こんな高い絶壁に登れって言うのか? "大丈夫、はい" 足の裏の向こうでハルが言う。 すると、足の親指と人差し指の間から糸が垂らされて来た。 つまり、この糸をロープ代わりにして登れということか。 とは言えそれでも高さ24m、たとえロープの垂らされている足の指の股までだとしても20mほどもある高さを、なんの装備も無く登るのは難しい。 もしも途中で落下すればどうなるか。 そもそもすでに、そんな苦行に挑戦できる体力など残っていない。 だが、 "言うとおりにしないとちっちゃいお兄ちゃんを追い掛け回しちゃうからね" ハルが言った。 追い掛け回すとは、このサイズに縮んだ俺を今のハルが追いかけて回るということか。 全長24mもある足が俺を狙ってズシンズシンと踏み下ろされる。 足の振動でまともに歩くことも出来ないのに、容赦なく踏み下ろされるハルの巨大な足。 そもそも絶対的な歩幅の差がありどうあがいても逃げることなど出来ないのに。 延々と、ハルの足元を逃げ回ることになる。 "…" 俺は体に鞭を打って立ち上がった。 そんなことになるくらいなら、ただロープを登るだけのほうがマシだったからだ。 俺は足の指の間から垂らされたロープを手に取った。 ただの糸だが、100分の1サイズに縮められた今の俺にとっては元々は1mm程度の太さの糸も10cmもの太さのあるロープに匹敵する。 最早綱だ。俺がぶら下がったぐらいで千切れたりはしないだろう。 俺は糸を両手で掴み、そしてハルの足の裏の皮膚を足で蹴って登り始めた。 瞬間、足全体がグラグラと揺れ始めた。 "あはは、くすぐったい" 俺が足の裏を蹴る感触をくすたがったらしい。 だが、ハルにとってはほんの少し足を動かした程度でも、俺にとっては登っている壁そのものが激しく暴れるようなものだった。 グラングランと揺れ動く巨大な足の裏とそれに伴って揺れ動くロープに必死に捕まりながら俺は叫ぶ。 "ば、バカ! 動かすな!" ハルの足の動きによってロープは簡単に翻弄される。 その過程で、俺の体は何度も足の裏に叩きつけられた。 "あはは、ゴメンゴメン、早く登ってね…" 最後のほうの言葉は妙になまめかしかった。 またオナニーを始めたのだろう。 足の裏をロープを使って必死によじ登る俺を、ほんの少し足を動かすだけで大慌てする俺の様をオカズにしてだ。 妹のオナニーのおかずになるために、妹の足の裏を必死に登る。 理解しがたい状況だ。 そうやって何分もかけてようやく半分ほどの高さ、土踏まずの途中まで来ていた。 ここから先は土踏まずのハングが深く、壁を蹴って登っていくのは難しい。 腕の力だけで登らなければならなかった。 そうしていると、 "お、がんばってるねー" アスカの巨大な顔が俺のいるハルの足裏をのぞきこんできた。 "な、なんだよ! 邪魔するな!" "いやいや違うよ。ちょっとハルちゃんにオカズの提供をね" 言うとアスカはスマホで動画を撮り始めた。 どうやら今の俺の状況を動画にしてハルに見せているらしい。 "あ、この足の裏を登ってるちっちゃいのがお兄ちゃんですか?" "そそ。ハルちゃんの足の小指もないね" "ふふふ、わたしの足に登るのも大変なんだ…。んん…ゾクゾクしちゃう…" 二人の愉しげな声がロープに掴まる俺をビリビリと揺さぶった。 勝手なことばかりいいやがって…。 俺は無視して登り続けることにした。 "うーん、やっぱりあたしが目を付けたモルモット、どんどん登っていくわね" アスカの感心した様な声が轟く。 誰がモルモットだ。 が、抗議したいが今はそれよりとっとと登り切ってしまうほうがいい。 俺は黙々と登り続けた。 "でもこのままだとすぐ登り終わっちゃうね。ハルちゃんはじっくり愉しみたいみたいだし…" アスカが再び俺にスマホのカメラを向けてきた。 しかし、それが動画を撮るためではない雰囲気に、俺は半ば悲鳴のように叫んでいた。 "や、やめ…ッ!!" パシャリ シャッターが切られた。 同時に俺の体は、更に10分の1の大きさにまで縮んでしまった。 さきほどまでが100分の1。つまり今は、1000分の1だ。 すべてが、途方も無く巨大化していた。 "うんうん、これでよし" まるで隕石か何かかというほどにまで巨大になったアスカの顔が満足そうに頷いていた。 "あれ? お兄ちゃんの感触がなくなっちゃいましたけど…" "ちゃんとここにいるよ。さっきよりもちっちゃくなってるけどね" 言いながら俺を動画で撮影するアスカはハルのスマホにその映像を送った。 "え…!? このゴマ粒みたいに小さいのがお兄ちゃんなんですか!?" ゴマ粒…。ハルのその言葉に、俺は今の自分の大きさを認識した。 "今のハルちゃんの足の大きさはシュウから見たら240mね。今シュウは高さ15cmくらいのところにいるから、シュウにとっては150mくらいの高さ。大体 東京タワーの展望台くらいの高さかしら" アスカの言葉に、俺は今 自分がいる場所を再確認した。 見てみれば、ここまで登ってきた道のりは果てしなく長いものになっていた。 床というなの地面ははるかはるか下にある。 周囲には広大すぎる部屋の床が広がっている。 そして上には、まだ数十mもロープが続いていた。 太さ1mほどにまで巨大化した糸だ。 俺はその糸にしがみついて、この上空150mの高さに放り出されているのだと気づいた。 体が震えた。 あまりの高さに体が言うことを聞かなくなってしまった。 "あれ? お兄ちゃん動きませんよ?" "んーどうやら戦意喪失? 自分がいる場所があまりにも高すぎて怖くて動けなくなっちゃったみたい" "へ? だってお兄ちゃんてまだ足の途中ですよね? そんなのが怖いんですか?" "と言ってもシュウにしたら高さ150mくらいだしね。突然そんなところに放り出されたらさすがのシュウでもダメかー" "ふーん、お兄ちゃんにとってはわたしの足でもそんなに大きいんだ…" ハルは、自分の足の途中の高さですら震えて動けなくなる兄に胸を高鳴らせていた。 "そいじゃシュウ。今から糸を引っ張り上げてあげるから、しっかり掴まってなさいよ" 言うとアスカはハルの足の指の間から垂らされていた糸をするすると引っ張った。 それにしがみついている俺の体も一緒に持ち上がってゆく。 ただ、数十mの距離を数秒で移動するその速度は兄に更なる恐怖を植え付けた。 ようやくハルの足の指の間の部分にまで引っ張り上げられた俺は、ロープから手を離して、その場に大の字に寝転がった。 ちゃんとした地面があることがとてつもない安心感を与えてくれた。 そこが、妹の足の指の間であることなんてどうでもよかった。 左右には高層ビルのように巨大な親指と人差し指が聳え立っていた。 ハルの無意識のうちにもぞもぞと動かされている。 一本一本がまるで怪獣のようだ。さきほどこれらに握られたり挟まれたりしていたかと思うとゾッとする。 もしも今 こんな巨大な足の指で弄ばれたら一瞬で潰れてしまうだろう。 とにかく今は、こうして地面の上に寝転がれることが嬉しかった。 そこに僅かにただようハルの足の匂いも、今はとても心地いいものだった。 そしてハルはと言えば、自分の足の指の股に大の字に寝転がる兄の小ささと、相対的に巨大な自分の足の指の圧倒的な存在感とのギャップに心を躍らせていた。 思わず、足の指をキュッと握っていた。 指を握っても、そこにできる隙間は兄が寝転がるには十分なものだった。 "ほいじゃ乗ってねー" アスカはハルの足の指の間に逆さにした人差し指を差し入れた。 俺を、その指先の爪の裏側に乗せると、俺をそこから連れ出した。 "や。おつとめごくろーさん" アスカが爪の裏の上に転がる俺を覗き込んで笑った。 もはや視界を埋め尽くすほどに巨大になったアスカの顔だ。 顔のパーツひとつひとつが、10メートル単位の大きさである。 そして俺はハルの手のひらの上に下ろされた。 広大な肌色の大地の中央に下ろされる俺。 頭上からは、とてつもなく巨大なハルの顔がのぞきこんできていた。 瞬きをする目だけでも10m。その整った鼻も高さは20m近い。その下の鼻の穴からはハルが呼吸をするたびに突風が吹きつけてきた。 僅かに開かれた口から時折漏れてくる吐息はとても熱く、それでいていい匂いがした。 "これがお兄ちゃん…" さすがのハルも驚いているようだった。 俺からすれば、このハルの手のひらですら野球場よりも広いことの方が驚愕だが。 "わぁ~ちっちゃい…でも、ちゃんとお兄ちゃんの形をしてる…" ハルが感嘆の吐息を漏らしながら 俺を乗せている左手に、右手の指を近づけてきた。 そして、 ズン!指先を押し付けてきた。 "うわ、指先だけで隠れちゃった…" はぁ~…と息を吐き出しながらグリグリと指を動かしてくる。 その巨大すぎる指先と広大すぎる手のひらの間でゴミクズのように潰される俺は、無意識のうちにこうやって嬲ってくるあたりに、アスカの"元気君"の効果が正しかったことを身を以って痛感する。 "すごい……。あ、写真とってもいいですか?" "いいよいいよ。ホイ" 自画撮りモードに切り替えたスマホを手渡すアスカ。 それを受け取ったハルは自分の顔の手前に俺を乗せた左手を持ってきて、俺も写るようにした。 そこに、 "いえーい" と横から入ってきたアスカも入る。 パシャリ シャッターの音が鳴った。 そして画面を見れば、そこにはハルとアスカの顔と、その手前に出されたハルの左手の上にポツンと乗る点のようなものが写っていた。 "あはは、シュウってば小さすぎてもうなんだかわからないわね。ハルちゃんの手に乗るゴミ?" "う、うるさいな…" しかし確かに、写し出されてる画像はどんなに拡大しても、そこに乗っているのが俺だとはわからないだろう。 だがまぁこの地獄もこれでようやくお開きに…。 "じゃあ続きやろうか、お兄ちゃん" "…は?" 手のひらの上から、その巨大な顔を見上げた。 "え…今の撮影でお開きじゃないのか…?" "今のはただの記念撮影。それにまだ、この大きさのお兄ちゃんでオナニーしてないし" ハルは笑いながら言った。 この大きさの俺をオカズにするというのか。 もう指先で触れるだけで潰されてしまいそうなのに…。 などと思っていると俺を乗せるハルの巨大な手は移動を開始してしまった。 どこに向かうのかと思えば着いた先は股間の前だった。 "…" 俺の目の前には、ハルのとてつもなく巨大な陰唇が縦にばっくりと割れていた。 一本一本が数十mもある陰毛が生い茂り、その裂け目からは滝のように愛液があふれ出ている。 すでに何度も絶頂を迎えたそこはぐちょぐちょに濡れていた。 裂け目の最頂上には家よりも巨大なクリトリスがドンと突き出ている。 濡れた岩壁にも見える陰唇はビクンビクンとヒクついていた。"元気君"と、それに伴う快楽のせいだろう。 全長50mほどもありそうな巨大な裂け目が、生物的にヒクヒクと動きながら愛液をジャブジャブと溢れさせる様は恐ろしくおぞましかった。 しかし同時に男の本能を刺激するものでもあった。 その巨大な裂け目から空気を埋め尽くすほどにあふれ出てくる濃密なフェロモン。 むせ返るほどに強烈な妹の匂い。 ハルの、女としての部分が目の前にありえない巨大さで展開されていた。 "ふふ、たっぷり見せてあげるからね…" 言うとハルは、俺を乗せているほうではない右手をこの股間の前に運んできて、その指を割れ目に突っ込んだ。 ぬぷり。そんな音が聞こえてきた。 直径15m、全長60mにもなる巨大な指が、その巨大な割れ目にあっさりと呑み込まれたのである。 そして指はその陰唇を変形させながら中をかき混ぜ、前後に動き出入りし始めた。 ぐちゅ ぐちゅ ぐちゅ とてつもなく淫らな音が、この股間の谷間に轟いていた。耳をふさいでも飛び込んでくるような爆音だった。 それが、この巨大な指が動くたびに響き渡る。 とてつもない光景が広がっていた。 全長50ほどもある巨大な割れ目に、長さ60mもある巨大な指がぐちゅぐちゅと音を立てながら高速で蠕動しているのだ。 まるで巨大な滝にビルが出入りしているかのような光景だ。 そんな超常現象のような現象が、実際は妹のただのオナニーであると。 "ん…! んん…!" ハルの喘ぎ声が遠くに聞こえる。 指が動くたびに愛液がじゃぶじゃぶと流れ出てきた。 俺に超至近距離で見られていることでこれまでより更に興奮しているのかも知れない。 俺はその光景に釘付けになっていた。 そして気づけば、ズボンのチャックを開け、自分の棒をしごいていた。 天変地異のような妹のオナニーを前にする自分のオナニーはなんとも卑小でなさけないものだったが、そんなことはどうでもよかった。 "ああ…! あん…!" ハルの喘ぎ声が大きくなる。 絶頂に向かってのぼっているのだ。 それに伴って指の動きも激しくなり、さきほどから飛び散った愛液の飛沫が俺の周囲にまで跳んできている。 ビチャアアアアアアアアアアアアアン!! ビチャアアアアアアアアアアアアアン!! ひとつひとつが5mほどもある愛液の飛沫が俺の周囲に落下しては弾けとんだ。 粘性のあるそれに直撃されれば俺は潰されてしまうかもしれない。 しかし俺は目の前の光景から目を離すことができなかった。 その場を動くことが出来なかった。 飛来する無数の巨大な愛液の飛沫の中で、一心不乱に棒をしごいていた。 しかし、俺が射精することは無かった。 その前に、俺の乗せられている地面でもあるハルの手が動き出したからだ。 "ん……片手じゃダメ……" ハルは手のひらに乗っていた俺を股間の上にポイと放り出し、左手まで使ってオナニーを始めてしまった。 二つの巨大な手のいくつもの巨大な指で陰唇をまさぐっている。 "ぐ…!" そして放り出された俺は、妙なところにいた。 墜落の痛みに体を動かせなかったが、なんとか体を起き上がらせて見ればそこは普通の肌とは違うツルンとした場所。 背後には陰毛の樹海が生い茂り、正面には広大な空間が広がっていた。 そして頭上には巨大な二つの手。 つまりここは、ハルのクリトリスの上だった。 家よりも巨大なそのドームのような陰核の上に落下していたのだ。 表面は赤く充血しとても熱かった。まるでフライパンの上にでも放り出されているかのようだ。 しかし移動しようにも未だに痛む体ではこの大揺れの中では満足に動けない。 俺はクリトリスの上に囚われの身となった。 しかしその光景は凄まじいものだった。 さきほど違い陰唇を望むことはできなかったが、その中核とも言える場所からはすべてを見ることが出来た。 正面で巨大な手が陰唇をかき混ぜ愛液を掻きだす様も、背後でハルの巨大な上半身が快感に体を震わせるのも。すべてを、その場所から一望できた。 妹のオナニーの、最高の観客席である。 いまや俺から見るハルは身長1600mのとてつもない大巨人である。 このスカートから飛び出る二本の脚もそれぞれ800mという値になり、あの胸板に飛び出る乳房も標高は100m以上もある立派な山だ。 たった一人の人間の体が、地形レベルの巨大さだった。 そんな大巨人となったハルのオナニーはまさに災害レベルに凄まじく、轟々とあふれ出る愛液は大洪水となって股下に広がるだろう。 大地は常にグラングランと揺れている。オナニーの為に小刻みに動かす手の動きに体がつられている。そしてその小さな揺れですら、その体の上に家が建っていたりしたらまたたくまに崩れ落ちてしまうほどの大揺れだった。 最早人間としてのレベルを超えた巨大さである。 まるで神話に謳われる女神の自慰に巻き込まれているようだ。 と、そうやってクリトリスの上からオナニーを鑑賞していた俺の頭上に、ハルの右手が現れた。 指は自身の愛液でべっとりと濡れている。 ぬれそぼる巨大な指が接近してくる様は、怪物が襲い掛かってくるような恐ろしさがあった。 しかし指は俺には触れず、俺の乗るクリトリスをギュウと摘んだ。 今度はここを刺激するのだろう。 だが、それはそこに乗る俺にとってこれから天変地異並のオナニーに巻き込まれるということだ。 そんなことになれば当然この身など持たない。 俺はなんとか体を奮い立たせ、クリトリスの上から下りようとした。 しかし、 ズム!! そんな俺を、クリトリスを摘んでいたはずの右手の人差し指がそのドームに押し付けた。 指先とクリトリスの間に挟まれる俺。 "ぐは…っ!" 凄まじい重圧が全身に掛かってくる。 "ふふ、ダーメ。お兄ちゃんはちゃんとそこにいてくれなきゃ♪" ハルの声が聞こえた気がした。 そしてハルは左手でまんこをまさぐり、右手でクリトリスを弄り始めた。 親指と中指でクリトリスをつまみ、人差し指で俺をクリトリスに押し付ける。 くりくり、こりこり。片手の指でクリトリスと一緒に俺の事もこねくり回す。 俺を巻き込むことで一気に加速した快感は、ハルの動きをより激しいものにした。 陰唇に出入りする指は高速で蠕動し、右手はクリトリスをグリグリとこね回している。 より強い快楽を得るために、より強い刺激を得るために。 クリトリスをこねる指先の中央にポツンとある小さな兄の存在を意識して、ハルは今日最高の絶頂を迎えた。 ブシュウウウウウウウ!!! 快感の極みに至ったハルのまんこが盛大に愛液を噴き出した。 まるでダムの放水のような凄まじい威力。股下を、一気に大洪水へと変えていた。 足の指がギュッと握られる。クリトリスを摘む指に思い切り力を込めていた。 快感が雷のように体を走り、ハルはビクンビクンと体を震わせた。 "………ふうううう" ハルが、盛大に息を吐き出した。 そして右手をクリトリスから離し、そこを覗き込んでみる。 するとクリトリスの上に完全に気絶してしまった小さな小さな兄が横たわっていた ハルからは見えなかったが、俺は白目を向いて倒れていた。 そんな、自分のクリトリスの上で大の字に転がる俺を見てクスッと笑ったハルは、先ほどまで陰唇をかき混ぜていた左手の指を俺の上に持ってきて、 "はい、おすそわけ♪" 指先から、一滴の愛液をたらした。 直径5m以上もある巨大な愛液の水滴を受けて、俺の体は陰毛の森のほうに流されてしまった。 そんな光景を見ていたアスカは両手を合わせて、言った。 "ごちそーさまでした" * * * "いやー何はともあれ無事でよかった" アスカがあっけらかんと言う。 いけしゃあしゃあとこいつは…。 テーブルの上に下ろされた俺は拳をぷるぷる振るわせた。 あのあと、気絶した俺はハルの陰毛の森の中からつまみ出され、それからこのテーブルの上でその目が覚めるのを待っていたらしい。 ケラケラと笑うアスカの横では、ハルが罰が悪そうに苦笑していた。 "あはは、ゴメンねお兄ちゃん、ちょっとやりすぎちゃったかも" 巨大な手のひらを合わせて舌を出すハル。 まだ格好はミニスカートとパンツのみの半裸だった。 正直、ちょっとどころの問題ではなかったが。 "まぁでも、こんな体験した男なんで世界でもあんただけなんだから、もっと誇りに思いなさい" 妹のオナニーで殺されかけることの何を誇りに思えってんだよ。世界一最低な死に方じゃねーか。 "で、ですよね! 今回の発明はもう世界的に大発明ですよ!" 気まずさのあまりハルが俺との会話をぶっちぎるようにアスカを持ち上げた。 "んふーそうでしょうそうでしょう。でも発表とかは無しね。趣味で作ったものだし、悪用とかされたら大変だしね" アスカが手をヒラヒラと振りながら言う。 まずそれを発明した人間が悪用してるわけだが。 "あーもう、なんでもいいから早くもとの大きさに戻してくれよ。体中痛いしハルの愛液まみれで匂うしべとべとだよ" "はいはい、わかったわかった♪" 文句を言う俺にアスカが笑いながらスマホのカメラを向けてきた。 が、それをハルが遮った。 "あ、ちょっと待ってください!" "およ?" "その…わたしにやらせてもらえますか? お兄ちゃんにも迷惑かけちゃったし…" ハルが体をモジモジと動かしながら言う。 なるほど、ハル的にも俺に何か償いがしたいわけか。 その意図が分かったアスカはもちろん二つ返事だった。 "いいよー。はい" "あ、ありがとうございます" アスカからスマホを受け取ったハル。 "画面の数字をいじると変更後の大きさの倍率を変えられるよ" "ここですか?" "そうそう。今のシュウは10分の1を三回重ねて1000分の1サイズだから、そこを1000倍にすればもとの大きさに戻るね" "わかりました" ハルは言われたとおりに倍率を1000倍に設定した。 そして、カメラをテーブルの上にいる俺に向ける。 "いくよ、お兄ちゃん" "おう、早くやってくれ" カメラをしっかりと俺に向け、ハルはシャッターを切った。 パシャリ シャッターが切られる音。 だが、同時に炊かれたフラッシュは、カメラを向けられた俺ではなく、その逆の、ハルに向かって炊かれた。 "あれ?" "およ?" "ん?" 3人が同時に疑問符を口にする。 "え? どうした?" 元の大きさに戻っていない俺はアスカを見上げた。 "どしたのハルちゃん?" 問われたハルはスマホの画面をアスカに見せた。 "あの…画面にお兄ちゃんじゃなくてわたしの顔が写ってるんですけど…" 確かに画面にはハルの顔がドアップで写っていた。 あ。 と、アスカが呟いた。 "ほら、さっき記念撮影したとき自画撮りモードに切り替えたじゃない? だから今"サイズチェンジャー2.0"使ったときもそのままだったのよ。それで画面の向いてる方のハルちゃんを撮っちゃったんだね" アスカが笑いながら言った。 俺はピキッと固まった。 "え……それってつまり……" 俺が恐る恐る訊くと、 "うん。ハルちゃんにサイズチェンジャーの効果がかかっちゃった、ってことだね" アスカがあっけらかんと言う。 "…" 俺はゆっくりとハルのほうを振り返った。 ハルも俺を見下ろしてきていた。 "…" "…" お互いに目が合い、微妙な沈黙が支配する。 そしてその直後、 ズッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!! 我が家が爆発した。 同時に家の周囲の住宅地を凄まじい振動が襲う。 ガスボンベでも爆発したのかと慌てて家の外に出てきた人々は、自分達の住宅街の上に座り込む、とてつもなく巨大な女の子の姿を見た。 身長1600mと、正真正銘1000倍の大巨人となってしまったハルである。 住宅街を尻の下に押し潰し、右足には学校を、左足には何十件もの家を踏み潰していた。 しかもその格好はさきほどまでのパンツとミニスカートのみを身に付けたそれである。 町中の人間の前に半裸の姿を晒していた。 "きょ、巨人だ! めちゃくちゃデカイ人間だ!!" "でっかい女の子だ!" ハルの姿を見た人々が口々に叫ぶ。 町中の人々に見上げられながら、ハルは、ようやく紡いだ言葉を呟く。 "あ、あぅ……" ハルの呟きが住宅街を揺るがした。 そんなハルの股間の目の前の地面。 屋根も壁も吹っ飛んだ家のむき出しになった部屋の中から、アスカと、未だに1000分の1サイズの俺はハルを見上げていた。 "うーん、はちみつさんの作品をリスペクトしたとは言え、まさかここまでガチパクリするとは…" こんなときに何カミングアウトしてんだ。 "……ってそれどころじゃないだろ! どうすんだよコレ!" 俺が指差す先では巨大化したハルが今や本当に山のような大きさになった乳房を慌てて隠していた。 "まぁまずは元の大きさに戻してからね。ハルちゃんハルちゃん" アスカがハルに声をかける。 "あ、アスカさん…! ど、どうしたらいいんですか…!?" ハルは胸を隠しながら脚をすりよせ体をなんとか縮こまらせようとしていた。 町中の人間が驚愕の表情で自分を見上げているのだから。 "落ち着いてハルちゃん、サイズチェンジャーの倍率をいじって、今度は自分が小さくなるようにすればいいのよ" "そ、そうですね…!" ハルは手に持っていて一緒に巨大化したスマホを操作した。 とにかく早く早くもとの大きさに戻らないと…! ピッピッと素早く画面に触れていく。 しかしとにかく早くもとの大きさに戻りたい一身から、ハルはもう画面を適当に操作していた。 "あ、自画撮りモードは解除しないと! 今それでこんなことになっちゃったんだし!" そんなハルの巨大な呟きに俺は、 "え…?" 小さく呟いていた。 "こうしてこうしてこうして………えい!" パシャリ ハルはシャッターを切った。 しかし自画撮りモードを解除したのに画面を自分の方に向けていたので、フラッシュはハルのほうではなくその逆の、丁度自分の股間の前あたりを照らした。 "ん?" "あら?" 俺とアスカが、その光に照らされた。 直後、 ズッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!! ハルの目の前に、今度はアスカが1000倍に巨大化して座っていた。 ハルが適当に操作したせいで、結局のところ自画撮りモードしか解除されていなかったのだ。 自身の尻や太ももの下で無数の家々を押し潰しながら座り込んでいるアスカ。 "あらら、あたしも巨大化しちゃった" そう言うアスカの声はハルと違ってなんとものんきなものだった。 人々は、とてつもなく巨大な女の子が更にもう一人現れたことで更に大パニックになっていた。 このままではあの地区の住宅街のように押し潰されてしまうかもしれないと、皆が悲鳴を上げながら逃げ出していた。 そしてそんな巨大ハルと巨大アスカの股の間では、元の大きさに戻った俺が呆然と立ち尽くしていた。 "なんだコレ…" 瓦礫と化した住宅街の中、前後左右を二人の超巨大な太ももによって閉じられたこの場所からは、二人の巨人の姿を真下から見上げることが出来た。 "アスカさん! どうしましょう!" "まぁまぁ慌てなさんな。まずはハルちゃんをもとに戻してあげるね。えーっと倍率・カメラ方向よし、と" そしてアスカはハルに向かってシャッターを切った。 すると、 ズッッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!! ハルは、更に1000倍の大きさへと巨大化してしまった。 "あれ?" "い…っ!?" それを見上げてきょとんとするアスカと、その股の間で驚愕する俺。 ハルは、100万倍の巨人になってしまった。 "えぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!? ど、どういうことですかこれ!!!" 驚愕するハルの声が全世界に響き渡った。 今やハルは身長1600kmと、全長およそ3000kmの日本列島のほぼ半分の大きさに、本州とほぼ同じ大きさにまで巨大化していた。 とてつもない大きさとなったお尻で関東地方の大半を押し潰し、全長800kmもある右脚は日本海に、左脚は太平洋にまで伸びていた。 ハルは日本列島の上に跨っていたのだ。 そんなハルの股間の前の地面に座る1000倍サイズの巨人であるアスカはアプリを確認して、 "あーそういうことか。さっきハルちゃんが画面を操作したときに、以後の操作を繰り返す"リプレイ"のモードをオンにしちゃったんだね。だからあたしを大きくしたときの"対象の1000倍"が繰り返されちゃったわけだ" "のんきに分析してる場合かよ…" 100万倍の大きさのハルの股の間に座る1000倍のアスカの股の間で、1倍の俺は呆れながら言った。 最早俺からはハルの姿をみることは出来なかった。 あまりにもでか過ぎて可視距離の外に出てしまったのだ。 先ほどから大地がゴゴゴゴ…と激しく鳴動している。 おそらく…100万倍に巨大化したハルのとてつない体重を支えきれず、島やプレートが沈み始めているんだ。 妹の体重によって日本が沈没しかけていた。 "とにかく、早く戻してやってくれ。日本が沈む前に…" "…" "……? アスカ…?" 返答が無いことを妙に思った俺ははるか700mほどの高みにあるアスカの顔を見上げた。 何かをブツブツ考えているようだ。 いったい何を…。 と思っていると、 "…ねぇシュウ…" アスカが俺を見下ろしながら言う。 "な、なんだよ…" その面持ちが妙に神妙だったので俺は言葉に詰まった。 真剣な表情のまま、アスカは続けた。 "どうせここまで大きくなっちゃったんだからさ、もう一回くらい大きくしてみたいと思わない?" "…" 俺が見上げる先で、アスカはにかーっと笑った。 げんなりする俺。 ああそうだ…こいつはそういうやつだった…。 いつだって実験を最優先にして事態をより一層紛糾させていくんだ…。 "どうかな?" 巨大なアスカの顔はとてもわくわくしていた。 俺はため息をついた。 こうなったアスカはもう止められない。 "…勝手にしろ…" "んじゃ早速" 俺がどう返事していてもそう答えていたかのような早さで答えたアスカは、巨大すぎるハルに向かってシャッターを切った。 パシャリ 直後、ハルの体は更に1000倍の大きさになった。 身長160万km。人類の、10億倍の大きさに。 "……え…?" 一気に超惑星サイズにまで巨大化してしまったハル。 周囲のどこを見ても宇宙しかない。360度どこを見渡しても、満点の星空しか無い。 全長100万km以上もあるとてつもなく巨大なツインテールが、宇宙の無重力の中でふわふわと揺れる。 木星よりも巨大な二つの乳房が、重力を感じなくなって軽やかに弾んでいた。 長さ80万kmにもなる巨大な脚が、何も無い宇宙空間に伸ばされていた。 そしてそんな脚の付け根、唯一の衣服であるミニスカートとパンツに包まれた股間には、とてつもなく巨大なハルの体にのしかかられ、愛液でずぶ濡れになっているパンツにやや食い込んでいる地球の姿があった。 今のハルから見れば、地球なんて直径1.2cm程度の小さな小さな青い玉でしかないのだった。 #2 ある日。 ピンポーン 呼び鈴が鳴る。 ハル 「はーい」 ハルが玄関のドアを開けると アスカ 「おいすー」 アスカが手を開けて立っていた。 ハル 「あ。アスカさんいらっしゃい。どうしたんですか?」 アスカ 「ふっふっふ、実はまた新しいアプリを作りましてね…」 にやりと笑うアスカにう…とやや顔を引きつらせるハル。 アスカ 「おや、浮かない顔だね」 ハル 「…流石に前回のはちょっと…」 前回、というのは、サイズチェンジャーによってうっかりと巨大化してしまったときのことだった。 1000倍の時には小さな家々をお尻の下で押し潰してしまい、100万倍のときには関東地方を丸ごとお尻の下敷きにしてしまい、10億倍の時には危うく地球をパンツ越しに割れ目の中に咥えてしまうところだったのだ。 その時の事を思い出し、思わずお尻を押さえるハル。 アスカ 「やーめんごめんご。ま、今回作ったのは大丈夫。自分達に影響の出るものじゃないから」 ハル 「…ほんとですか?」(ジト目) アスカ 「ホントホント。まぁ見るだけ見てよ。きっと気に入ってもらえるから」 ハル 「…」 ニコニコと笑いながら薦めてくるアスカに、根負けしたハルはため息をついてアスカを招き入れた。 ハル 「はぁ…どうぞ」 アスカ 「おじゃましまーす」 アスカの元気な声に、またため息をつくハルだった。 * * * ハルの部屋。 座布団の上に座り、低めのテーブルの上に置かれたジュースを手に取りストローに口をつけるアスカ。 その前に座るハルも、ジュースを一口飲んですぐにコップを戻した。 アスカ 「そういえばシュウは?」 ハル 「今日はちょっと東京まで出かけてます。欲しいものがあるとかで」 アスカ 「ふーん」 あまり興味がなさそうに返事をしながらアスカはジュースをすすった。 ハル 「…それで? 今日は何を作ってきたんですか?」 アスカ 「そんな警戒しなさんな。今日はハルちゃんの為に作ってきたんだからさ」 ハル 「…わたしのために?」 アスカ 「そそ。………前回は随分と愉しそうにシュウをイジメてたじゃないの」 ハル 「…っ!」 アスカが声を潜めて言ったその言葉に、ハルはビクッと震えた。 ハル 「あ、あれはアスカさんの作った精強剤のせいでああなってたわけで…!」 アスカ 「ふふーん?」 ハルは慌てて弁解するが、アスカのニヤリと笑う顔は変わらなかった。 ハル 「な、なんですか…?」 アスカ 「いやいや、あのときのハルちゃんはホントに愉しそうにシュウをいじめるために色々やってたなーと思って。 ……………本当は『元気君』の効果なんてとっくに切れてたんでしょ?」 ハル 「う…っ!」 …。思わず言葉に詰まるハル。 アスカ 「まだ開発途中だったから効果時間にも個人差はあるだろうしね。シュウは一週間くらい続いたけど、ハルちゃんはすぐに効果切れてもおかしくないし。 …『元気君』を使って欲望が暴走してるにしては随分としっかりとした意思があるなーって思ってたのよ」 にやにやと笑いながら言うアスカの言葉に、ハルは顔を赤くした。 アスカ 「ハルちゃん、自分の意思でシュウのこといじめてたんだよね」 んー? と顔を寄せるアスカ。 根負けしたハルが顔を真っ赤にし両手を振り回して慌てて言い訳をし始めた。 ハル 「あ、あれはですね! ただちょっとお兄ちゃんが小さくなってとてもかわいくてそしたらなんだかいじめたくなっちゃっただけでして…!!」 語るうちにポロポロと出てくる本音。 ハルは落ちまくっていた。 アスカ 「まぁまぁそう赤くならないで。思えばハルちゃんて昔から小さい生き物いじめるの好きだったわよねー」 ハル 「えぇ!? そうでした!?」 アスカ 「うんうん。小さい頃なんかありの巣におしっこかけてアリ達がパニックになるのをクスクス笑いながら見下ろして……」 ハル 「わ、わーーわーーわーー!! そんなこと思い出さなくていいですから!」 慌ててアスカの口をふさぐハル。 アスカ 「おうふ。……ま、今回はそんなハルちゃんの性癖に答えるアプリを作ってきたわけですよ」 ハル 「せ、性癖って言わないでください…」 ハルは顔を赤くして正座している太ももをモジモジとすり合わせた。 そんなハルの前でアプリの準備を始めるアスカ。 アスカ 「ではいきますよー。ポチッとな」 アスカがスマホの画面に触れる。 すると、ジュースとかを置いている低めのテーブルの上に、1000分の1サイズの10階建てのビルがひとつ現れた。 ハル 「え!? これって…」 アスカ 「ふっふっふ、これぞ今回あたくしが新しく発明いたしました『ミニチュア製造機~(ダミ声)』であります!」 ハル 「み、ミニチュア製造機?」 アスカ 「そうそう本物そっくりのミニチュアを作るの。形、素材、何から何まで本物と同じよ」 ハル 「へー…」 ハルはテーブルの上に現れた10階建てビルを見下ろして感嘆の息を漏らした。 1000分の1サイズということでそんなビルも高さ3cmほどと指の半分の大きさも無いが、その精巧さはまさに本物と呼べるものだった。 ハル 「凄いですねー」 アスカ 「しかもアプリで何度でも簡単に作れるから…」 言いながら手を伸ばしたアスカは、テーブルの上の10階建てビルを指先でクシャッと押し潰した。 ハル 「あっ!」 アスカ 「こんな風に壊しちゃっても大丈夫」 アスカが指をどけると、たった今までビルがあった場所には砂粒のように細かい瓦礫が広がっていた。 アスカの指先でビルが簡単に押し潰されてしまったその光景は、ハルの胸をキュンと高鳴らせた。 アスカ 「ふふふ、これを使って町を再現すれば、いつでも巨人になった気分で町を滅茶苦茶に破壊することもできるのだ。小さいものを嬲るのが好きなハルちゃんにはピッタリだと思うよ」 ハル 「そ、そうですか…?」 やや疑問系の形になったが、実際ハルの心はそのミニチュア製造機に惹かれていた。 アスカ 「まぁ、まずは試してみ」 ハル 「は、はい…」 手渡されたスマホを見るハル。 画面にはシンプルに『作成』と文字が表示されていた。 これなら前回のように操作ミスしてしまうことは無いだろう。 立ち上がったハルは、その『作成』の部分にポチッと触れた。 すると足元に、1000分の1サイズの町並みが広がった。 高さ1cmの小さな家が密集した住宅街。ちょっと高いビルが集まった町の中心部。 そして、駐車場に停められている米粒のような大きさの車たち。 それらが、自分の足元を埋め尽くして広がった。 まるで本物の町みたいである。 ハル 「す、凄い…!」 思わず口にしていた。 アスカ 「にひひ、でしょ~」 アスカがドヤ顔でハルを見ていた。 ハル 「ほ、本当に凄いですね。まるでまた巨人になったみたい…あれ? それに空も…?」 見上げれば、天井があるはずの上には青空が広がっていた。 アスカ 「ああ、雰囲気を出すために演出してるの。でも雰囲気を出すための工夫はそれだけじゃないよー」 ハル 「え…?」 アスカ 「んふふ、足元をよーく見てごらん」 ニヤニヤと笑うアスカに首をかしげるハル。 言われたとおり自分の足元をよーく見てみる。 すると、幅1cm無い細い道の上を、たくさんの点が動いているのが見えた。 ハル 「?」 何かと思いしゃがみこんで目を近づけてみれば、それらは、1000分の1サイズとゴマ粒のような大きさの人間達だった。 ハル 「ひ、人っ!?」 思わず立ち上がり一歩後ずさるハル。 するとそこにあった住宅たちが、黒い靴下を穿く足によってズシンと踏み潰された。 そこでハルは、そこにも逃げ惑う人々がいたであろうことに思い当たった。 ハル 「あっ!」 思わず足を持ち上げてみてみる。 足を持ち上げてみると、そこには自分の足跡がくっきりと残され、その周囲はまるで大地震にでも見舞われたかのように瓦礫に変わっていた。 足跡の中は完全に押し潰され、人どころか、建物すら原形をとどめていなかった。 ハル 「ど、どうしよう…」 人々を踏み潰してしまい、困惑するハル。 だが、 アスカ 「あは、心配しないで。それもアプリで作った演出だから」 ハル 「そ、そうなんですか!?」 アスカ 「うん。本物の人間じゃないから安心して」 ハル 「…よ、よかった~」 ふぅ~っと安堵の息を吐き出したハルは体の力が抜けたのかその場にへたり込んでしまった。 ズズゥゥウウウウウウウン!!! そこにあった住宅街がハルの巨大なお尻によって押し潰された。 ハル 「あ…」 アスカ 「ニシシシ、ま、そういうわけよ。どう? わくわくしない?」 ハル 「そ、そうですね…。……わくわくっていうより、ゾクゾクしてきちゃいます」 住宅街にへたりこんだまま横の地面を見下ろしたハルは、そこに逃げる人々を見つけにやりと笑うと、右手をその上にそっと押し付けた。 クシャ 手のひらの下で、脆い家々が潰れる感触がした。 手を持ち上げてみれば、そこは手の形に家々が潰れていた。 その間の道を逃げていた人々の姿は、どこにもなかった。 アスカ 「流石ハルちゃん、もう順応したみたいね」 ハル 「ふふ、だってこんな小さな人々をいじめても誰にも文句言われないなんて最高じゃないですか」 言いながら足を伸ばしたハルは、そこにあった住宅街の上にズシンと踏み下ろすと、そのまま横にズズズ…と引っ張った。 何百の家々がハルの足によって瓦礫を伴った土砂へと変えられ、人々はその瓦礫の津波に呑み込まれた。 一瞬で、東京ドーム数個分の面積の住宅街が更地に変わった。 ハルが、少し足を動かしただけでである。 ハル 「ん…でも、なんかこの前のときよりはちょっと物足りないかも…」 アスカ 「なるほどー。つまりハルちゃんは、小さくなったシュウをいたぶるのが好き、と」 ハル 「え!? そ、そうなんでしょうか…」 アスカ 「んふふー、小さくなったお兄ちゃんを指先でこねくり回したり足の指に挟んで弄んだり、ぴーぴー泣き叫ぶお兄ちゃんをズンと踏みつけて屈服させるのが好き、と」 ハル 「…はぅ……っ」 アスカがにやにや笑いながら言う具体的な例に、ハルは股間がキュンときてしまった。 アスカ 「いやーハルちゃんは生粋のドSだねー。シュウも大変だこりゃ」 ハル 「うぅ…」 ハルは顔を真っ赤にした。 アスカ 「ま、シュウには及ばないけど、こんなミニチュアでも欲求不満の解消にはなるでしょ。しっかり楽しんで」 ハル 「あはは、そうですね。……たっぷり愉しませてもらいます」 ハルは自分の周囲の住宅街をにやりと笑いながら見渡した。 * * * 数分後、町は完全に壊滅していた。 すべての建物が瓦礫にかわるか、巨大な足跡の中に消えていた。 いたるところから黒煙が巻き上がり、まるで爆撃でも受けたかのような惨劇。 生存者は皆無だった。 ハルがただ歩き回るだけで町は壊滅した。 黒いソックスを履いたハルの足は全長240mもある。 それはおよそ東京ドームの直径とほぼ同じ大きさだった。 そんな巨大なものが体重を乗せて遠慮なくズシンと踏み下ろされれば、その一歩だけで住宅街は壊滅してしまう。 数十の家が足の下敷きになり踏み潰され、直撃を免れた家も、足の起こした振動によってガラガラと崩れ落ちてしまう。 ハルが一歩歩くだけで、住宅街ひとつが壊滅した。 3歩歩けば3つの区画が壊滅する。 歩き回れば、それだけで町は瓦礫に変わってしまうのだ。 意図的に攻撃する必要も無い。わざわざ狙って足を下ろす必要も無い。 ハルは、ただ歩くだけで町を瓦礫に変えてしまうことができるのだ。 ハル 「ふぅ…ま、こんなものですね」 自分の足元に広がる壊滅した町を見渡してハルはくすくすと笑った。 ハル 「でも靴下が汚れちゃった、洗わないと…。それに床も片付けないとだし」 持ち上げてみた靴下を履いた足の裏は、土と瓦礫で汚れていた。 しかしそこに踏み潰された何千人という住民の痕跡はどこにも見つけられなかった。 そうやって足の裏を見て言うハルに、 アスカ 「ノープロブレム」 アスカは言った。 アスカ 「これはミニチュア製造機で作った架空の町だから、町を消去すれば…」 言いながらスマホの画面に映る『消去』の文字をポチッする。 すると、ハルの足元に広がっていた瓦礫の町はパッと消えてもとの床に戻っていた。 同時に、ハルの足の裏についていた汚れも消えていた。 ハル 「あっ!」 アスカ 「このとおり全部消せるのです。あとしまつも簡単♪」 ハル 「すごい、画期的ですね♪」 アスカ 「ニシシシ、そうでしょそうでしょ」 笑いあう二人だった。 ハル 「そっか。後片付けの心配がいらないなら、もっと大きな町を壊したほうが面白そうですね」 アスカ 「おお~いいね~。んじゃ、どっか理想の町とかある? 実在する町でもいいよ」 ハル 「えーと、そうですね…。あ、じゃあ丁度今お兄ちゃんの行ってる『東京』で」 アスカ 「おお、王道だね。そいじゃせっかくなんで『ダイナミックモード』にしてあげよう」 ハル 「ダイナミックモード…ですか?」 アスカ 「そうそう。ミニチュア都市をよりリアルに感じられるようになるの。ま、百聞は一見に如かず、試して見た方が早いーね」 ポチッ アスカがアプリを起動する。 すると再び足元に町が作られた。 しかしそれは先ほどお試しで作った町のように足元にだけ広がる小さなものではなく、見渡す限り一面に広がる広大なミニチュアの世界だった。 部屋の壁も消え、どこまでも続いているかのような無限の世界。 上には青空が広がり、まるでミニチュアの世界に来たのではなく、本当に巨大になってしまったかのような感覚。 ハル 「すごい…!」 ハルは感嘆の言葉を口にしていた。 どこを見ても小さな町並み、小さな世界が広がっている。 自分より高いものが存在しない。ていうかほとんどの建築物が、自分の膝の高さにも届かなかった。 アスカ 「これが『ダイナミックモード』よ。本物みたいでしょ?」 笑いながら言うアスカ。 当然、アスカの足元にもミニチュアの東京の街は広がっている。 アスカの履く白のハイソックスですら、周囲の超高層ビルの高さを超えている。 1000分の1サイズの東京が、二人の足元にあった。 肌に感じる風も。空に流れる雲も。 見渡す限りの小さな町も。そして、その合間に蠢く小さな車や人も。 なにもかも、みんな本物のようだった。 ハル 「本当に本物みたいですね」 アスカ 「でも本物じゃないから何をしてもオッケー。全部壊しちゃってもいいよー」 ハル 「あはは、いいんですかー?」 と言いつつも早速片足を持ち上げ、足元にあった低層ビルが密集していた地区に踏み下ろす。 ぐしゃ。ビル群は簡単に潰れ去った。さきほどの小さな住宅街と違って大きさと頑丈さがある分 多少っ感触がある。 だが靴下越しに感じる感触は実に儚く、まるで砂で作った箱を壊しているようだ。 これが立派な建築物なんて信じられないような貧弱さだ。 自分の足の下であっさりと潰れてしまうビルたちの貧弱さといくつものビルを簡単に潰してしまう自分の圧倒的な巨大さのギャップにゾクゾクとする。 テンションが上がってくる。 見れば自分が踏み下ろした足の近くの道路にも無数の点が動いている。 小さな小さな人間だ。自分の足と比較しても比べ物にならないくらいに小さい。 しかしそれが、自分と同じ人間であると思うと心が疼く。 ハル 「ふふ、たっぷりいじめてあげるからね」 ハルは完全にスイッチが入っていた。 * * * 「はぁーやっと着いた…」 電車に揺られてなまった体を伸ばす俺。 とりあえず駅を出て、地図を見て、目的の店へ。 と思った矢先、 ずどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!! とてつもない大揺れが発生し、俺は丁度いたロータリーの地面へ転がった。 シュウ 「い…っ!」 転んだ際に体を打ち付けてしまった。腕が痛む。 顔を上げてみれば周囲にいた他の人たちも同じように地面に投げ出されていた。 皆が打ちつけた箇所をさすっている。中にはそのまま泣いてしまった子供などもいた。 しかもそれだけではない。 幸いにも駅は無事だったが、周囲にあったいくつかの建物は、今の衝撃を受けてガラガラと崩れ落ちてしまった。 まるで映画のワンシーンのような光景。しかしその迫力は映画館のそれすら超えた凄まじさだった。 現実に、目の前で高層ビルが崩れ落ちる瞬間。 思考が止まっている間に、ビルは完全に崩れ落ちて瓦礫になっていた。 ビルが崩れ落ち終わって、ようやく我に返る。 シュウ 「な、何が起きたんだ!? 地震!? 爆発!?」 慌てて辺りを見渡した。 すでに大勢のけが人が出ているらしい。建物が崩れた瓦礫の山に向かって叫んでいる人もいる。 とにかくもう、日常ではないことが起きているんだ。 地震!? ガス爆発!? タンクローリーの大爆発か!? も、もしくは犯罪組織のテロ!? ミサイル攻撃!? などと恐ろしげな予想に血の気が引くのを感じながら背後を振り返ったときだった。 そこに、壮絶な違和感を発するものがあった。 周辺の高層ビルなどよりもはるか上空にまで届くとてつもなく高く巨大な、黒い柱。 窓の一つもないそれは絶妙な流線型をしていて建造物というには妙な素材で出来ているようだった。 と、視線をその黒い塔の頂を望むべく上に向けていけば、どんどんと太くなる黒い塔は途中で途切れ、そこからは肌色へと変わっていた。 ここで、俺の中に一つの可能性の火が灯る。 シュウ 「…は?」 まさか。という程度の印象。しかし次の1秒後にはほとんど確信に変わっていた。 肌色の部分の上には、オーロラのようにはためく巨大なミニスカート。 肌色の塔はその中に消え、よくよく見てみればそこからはもうひとつ同じような塔が生えていた。 あらゆる情報をすっ飛ばし、俺は一気にその存在の頂点を見ることにした。 そして見た、その1600m弱の高さの値にあるものを確認して、名を呟く。 シュウ 「ハル…」 それは妹の名。 そして間違いなくそこにいるのは妹である。 1000倍の大きさに巨大化したハルが、俺とは駅を挟んで向かいのビル群に、その黒いニーソックスを履く足を踏み下ろしている。 いったい何が、などという疑問はわいてこない。 元凶はアスカしかありえないからだ。 問題はこんな大事を引き起こしていったいどうするつも…… などと思っていたときだった。 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……!!! 地面が再び揺れ始め俺は再び地面に転がされた。 先ほどのように凄まじい衝撃による大揺れではなく、先と比べれば小さな揺れがいつまでも続いている。 小さいと言ってもあくまで比較の上であって、俺にとっては立っていられないほどの大揺れであることには違いない。 何かと思えばあの黒く巨大な塔にも見える、ニーソックスを履いた右脚が動いていた。 その動きに伴うようにしてこの揺れと轟音は発せられているように思える。 あの動きからして、ハルは足を踏みにじらせている。 巨大な足で地面をグリグリ踏みにじっているのだ。 たったそれだけのことでこんな立っていられないほどの大揺れが周囲に発生するのか。 あいつがちょっと足を動かすだけで、俺を含む周辺の人々は地面の上に転がされ這い蹲らされた。 シュウ 「うわああああ! あのバカども! こんなことしてどうするつもりだよ!」 ほとんど悲鳴に近い叫び声だった。 とそのとき、近くにあった建物が揺れに耐え切れなくなって崩れ落ちた。 その建物の周囲で地面に倒れていた人たちが、崩れ落ちたビルの瓦礫に呑まれて下敷きになった。 俺は頭が真っ白になった。 妹の引き起こした災害で、人が死んだのだ。 シュウ 「う…」 だがそれに動揺している暇も無い。 引き起こされている揺れに、俺の周囲の建物も崩れかけ始めていたからだ。 俺は何度も転がりながら、その場から逃げ出した。 * * * 右足を小さなビルの密集する部分に下ろしてグリグリと動かすハル。 すると足の下敷きになったビルだけではなく、足の触れていない周辺のビルもガラガラと崩れ落ちていった。 自分がちょっと足を動かしただけで触れてもいないのに崩れ落ちるビルの脆さと自分の力の強さに快感を覚える。 そしてここにはそんな快感を与えてくれるものがそれこそ足の踏み場もないほどにある。 そしてそれらの根元にはその何百倍何千倍もの人がいる。 もっともっと楽しめそうだ。 ハルは東京の街を歩き始めた。 足を下ろすたびに小さなビルたちが足の下でくしゃっと潰れるのを感じる。 霜柱を踏むよりも儚い感触。まるで枯葉を踏んでいるかのようなあっさりとした感触だ。 きっとたくさんの人も踏んじゃってるはず。 でも全然わからなかった。 ハル 「あはは、脆すぎますよみなさんの町。ほらほら、踏まれたくなかったら早く逃げてくださいね」 などと言いながら町の上をテクテクと歩くハル。 ハルが足を下ろしたところには全長240mにもなる巨大な足跡が残されていた。 そこにあった建物や人々の痕跡など一切残らないほどに圧縮された地面だ。 町の中に、ぽっかりと足型の穴があいていた。 それはハルが歩くたびに新たにひとつ形成される。 すでにいくつもの足跡がこの東京の街に残され、その部分は完全な更地に、そしてその周囲のビルなどは衝撃によって瓦礫となって崩れ落ちていた。 ハルの足跡の周囲はグラウンドゼロだった。しかもそれは今も1秒に1個以上のペースで作られている。 東京都心が次々と破壊されていった。 ハルが足を下ろした場所を起点に始まる破壊。そしてハルが歩くほどに移動してゆく破壊。 未曾有の大災害が、ハルがただ歩くだけで引き起こされている。 もちろんハルとしても自分が引き起こしている破壊の規模は認識している。 巻き込まれているであろう人々の数も、テキトーではあるが予想している。 だが、罪の意識は全く感じていなかった。 所詮は、アプリで作った架空の町。 ゲームみたいなものなのだから。 ミニチュアの町をぶらついていたハルは、ふと足を止め、なんとなくしゃがみこんで自分の足元を見下ろしてみた。 足元には高さ数cmの小さな箱がそこかしこに散りばめられていて、その隙間を縫うようにたくさんの道路が交差している。 そして、その狭い道路の上を無数の点が動いているのが分かった。 うごうごと無数の点が蠢くのは気持ち悪くもあったが、それら点のひとつひとつが人間だと思えばその考えは逆転する。 数え切れないほどの数の人間が自分の足元で動いている。走っているのか、歩いているのか、はたまた留まっているのかすらも、小さすぎてわからない。 存在価値を疑ってしまうほどに小さいのだ。 ハルはしゃがみこんだ状態から膝を着いた。 幾つものビルと車と人々が、ハルのニーソックスに包まれた膝の下敷きになって視界から消えた。 町全体がズズン! と縦に揺れた。 更に両手を着き四つんばいの格好になる。広大な範囲がハルの巨大な手の下敷きになって押し潰された。手の下で柔らかなビスケットたちが砕けるような感触だった。 その状態から更に上半身を伏せさせるハル。そこにあった小さなビル群の隙間の道路を逃げる人々を、もっとよく見るためだった。 ビル群に顔を寄せ、真上から覗き込む。 周囲は、降下してきたハルの巨大な顔の作り出す影につつまれ暗くなった。車などはライトを点けねば走れまい。 人々は、はるか上空にあった巨人の顔が、あっという間に自分達の頭上に現れたことで悲鳴を更に大きくした。 左右に聳え立つビルのその谷間からは、その巨大な顔の全景を望むことは出来ない。ビルの隙間に、顔の一部が見えるだけだった。 ハルが顔を地面のビル群に近づけたとき、当然その長いツインテールは地表面に触れていた。 まるで巨大な大蛇のように町の上に無造作に投げ出される二本の髪の束はその重みだけでビル群を押し潰し、またハルが顔を動かすたびに僅かに引っ張られるそれはビル群をゾリっと削っていた。 ハルは鼻先が真下のビルに触れてしまいそうになるほどにまで顔を寄せていた。 ぷるんと柔らかそうな唇がビルの屋上にキスをしてしまいそうだった。 そうまで顔を近づけても、直下のビルの谷間を逃げる人々は、相変わらず点のように小さかった。 多少 手足が見えるようになったような気もするが、それでも彼らが点であることにかわりはない。 どんなに顔を近づけてよく見ても、彼らは点以上にはなれなかった。 ハル 「うわぁ、小さすぎてひとりひとりの顔なんか全然わからないですね」 顔下のビル群の谷間を逃げる無数の人々を見下ろしてハルは笑った。 そしてハルが言葉を発すると、そのとてつもない爆音に周囲数百m圏内のガラスが1枚残らず吹っ飛んだ。 一瞬だった。ガラスたちはコンマ1秒も耐えることが出来ず、一瞬で塵に変えられてしまった。 まだその圏内にいた人々全員が聴覚を失った。爆弾の音ですら軽がるとかき消してしまうほどの凄まじい声のボリュームはおよそ1万人の鼓膜を破り血を吹き出させるのに十分すぎる威力を持っていた。 口の直下にあったビルなどは、ハルが喋るとその衝撃に耐えられずガラガラと倒壊してしまった。小さな家屋などは何十mと離れていたのに耐え切れずに崩れ落ちていた。 更にハルの声の凄まじい衝撃は道路に亀裂を走らせアスファルトをめくり上げ、その声によって地面に投げ出され悲鳴を上げながら蹲っていた人々もろとも吹き飛ばしていた。 顔を寄せたハルがちょっと喋っただけで周囲にいた人々はみなが聴力を失い、より口の近くにいた人々はハルが喋っただけで絶命していた。 ハルがちょっと喋っただけで、ハルの口の周囲の町は破壊されてしまった。 声だけではない。ハルの吐息は地表を逃げていた人々や車をまとめて吹き飛ばし道路を無人に変え、ハルの鼻息は崩れ落ちたビルの瓦礫などを人々ともどもどこかへ吹っ飛ばしてしまった。 ハルが何をしても人々にとっては大災害だった。 ハル 「あらら、声だけで飛んでっちゃった…」 自分が少し喋っただけで直下の道路にいた人々がみんな吹っ飛んでしまった。 そのあまりの貧弱さに流石のハルも苦笑してしまう。 アスカ 「にゅふふ、ハルちゃん楽しそうね」 離れたところから見ていたアスカが微笑ましく笑う。 ハル 「はい、まるで町全体がおもちゃになったみたいです」 伏せていた状態から上半身を起こしたハルが答える。 アスカ 「そうでしょそうでしょ。ま、実際におもちゃみたいなものだけど。でもハルちゃんてホントに楽しそうに壊すわよねー。怪獣だってビックリするよ」 ハル 「えぇ!? 流石に怪獣には負けるんじゃないかと…」 座った状態から立ち上がったハルがアスカの方に歩いてくる。 その過程で、足元の町で悲鳴上げながら逃げていた人々が次々と踏み潰されていった。 アスカ 「いやいや、本物の怪獣はここまで大規模な破壊はできませんから。見せたげよっか」 アスカはスマホをポチッと操作した。 するとハルの目の前に巨大怪獣がボンと出現する。 『ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』 出現した怪獣は大きく咆哮を上げた。 ハル 「…え?」 その咆哮に初めて怪獣が出現したことに気づいたハルは、その咆哮の聞こえた場所、自分の足元を見下ろしてきょとんとした。黒いソックスを履いていくつものビルを踏み潰している自分の両足の前に、身長5cmほどの小さな動物がいた。周辺の低層ビルよりは大きかった。 ハル 「こ、これが怪獣ですか…?」 アスカ 「そだよー。これが有名なウルトラシリーズに登場する怪獣の一般的な大きさです。身長およそ50m。尻尾までいれるともうちょっと大きいかな」 アスカがニヒヒと笑う。 その足元では怪獣が咆哮を上げながら周囲のビルを破壊していた。 人々にとっては大巨人たちの襲来に加えて怪獣まで出現して最早理解不能な状況であった。 しかし、 ハル 「わぁかわいいですね♪」 もともと小さい物好きのハルは、自分の足元でちまちまと暴れるそんな怪獣をかわいくも思っていた。 周辺のビルを破壊し、逃げ惑う人々に火炎の息を吹きつける怪獣の愛くるしさに目を輝かせる。 アスカ 「ふふ、ハルちゃんハルちゃん、みんなが困ってるからちゃんと退治してあげないと」 ハル 「え? 退治…ですか?」 アスカ 「そうそう、みんなを困らせる悪い怪獣は退治されるのが常識だよ。ここにはヒーローはいないから、ハルちゃんがやってあげないと」 ハル 「は、はい…」 とは言ったものの怪獣の退治なんてしたことのないハル。 とりあえずしゃがんで、怪獣のしっぽを摘んで持ち上げてみる。 すると怪獣はあっさりと捕まった。 立ち上がったハルの右手の指にしっぽの先を摘まれ、逆さ釣りにされる怪獣はピーピー叫びながら暴れていた。 人々にとっては軍隊を出動させなければならないような巨大怪獣も、ハルにとっては小動物みたいなものである。 そしてつまみあげてみたはいいものの次にどうしたらいいのか考えていないハル。 眉を寄せうーん…とハルが考えていると、 ゴオオオオオ!! 怪獣がハルに向かって火を噴き、 ハル 「わっ!」 それに驚いたハルは指を放してしまった。 開放された怪獣はおよそ1000mほどを落下して町に激突した。 一瞬で虫の息である。 ハル 「あ、落としちゃった…」 ビル群を押し潰し落下の衝撃で周辺を壊滅させクレーターの中で横たわる怪獣を見下ろしてハルが呟く。 アスカ 「まーまーどうせ架空の生き物なんだから気にしなさんな。それに悪い怪獣だしね」 ハル 「………それもそうですね」 言うとハルは片足を振り上げ、地面に横たわる怪獣の上に翳した。 身長50mの怪獣の上に、全長240mにもなる巨大な足が被さった。 およそ、怪獣の五倍もの大きさのある足である。 ハルは足を振り下ろし、そんな怪獣をズシンと踏み潰した。 ぶちゅっ。怪獣の潰れる感触がソックス越しに感じられた。 人々が兵器をもってしても抗えない怪獣が、ハルが足を下ろしただけで退治された。 ハル 「うわっ…やな感触ー…」 ハルはそーっと足を持ち上げた。 町の中に残された巨大な足跡の中央には怪獣だったものらしきミンチがあった。 ソックスの裏が、怪獣の体液を吸って濡れていた。 アスカ 「ほい、お疲れ様。ハルちゃんがいれば怪獣が来ても大丈夫だね♪」 ハル 「うぅ…でもこの感触は好きになれないかも……。靴下も汚れちゃったし…」 言いながらハルは怪獣の体液を吸ってべとべとになってしまった靴下を指先に摘んでそーっと脱いで投げ捨てた。 全長600mにもなる超巨大なニーソックスが町の上にズシャっとのしかかる。 両足の靴下を脱ぎ捨てたハルは素足になった。 ハル 「あ。このほうが足の下で潰れる建物の感触とかが分かっていいかも」 素足となったハルの足に踏み潰されていくつもの建物が瓦礫に変わる。 その感触を楽しむように足をグリグリと動かしたり足の指をもじもじと動かすハル。 足の裏の下で砕け散るビル群の瓦礫や指の間でひねり潰される小さなビルの感触を楽しんだ。 アスカ 「じゃあついでにヒーローも出してみよっか」 アスカがスマホを操作するとまたハルの足元に小さな生き物が現れた。 銀色を基調としたボディに赤色のラインが走っている。 ハル 「あ…これって昔お兄ちゃんが好きだった…」 アスカ 「そう、あの有名な巨大ヒーローです」 と言う二人の足元に立つ巨大ヒーロー。 しかし身長40mとビルのように巨大なヒーローも、身長1600mの二人からすればかわいいものだ。 二人から見ればヒーローは身長4cmしかない。 手の小指ほどの大きさも無かった。 ヒーローは驚愕していた。 これまで無数の怪獣宇宙人と戦ってきた彼だが、こんなにも巨大な宇宙人と相対するのは初めてだったからだ。 宇宙的には巨人に属するはずの自分が、あまりにも小さく惨めに感じられた。 ヒーローは目の前の巨人たちのあまりの巨大さに臆し、思わず後ずさっていた。 その時、守るべきはずの人々を踏み潰したことにも気づかないほどに動揺していた。 ハル 「そうだ。これ写真に撮ってお兄ちゃんに送ってもいいですか? 自分が好きだった巨大ヒーローが手のひらに乗せられてる写真を送られたら、きっと悔しいと思うんですよ」 アスカ 「おおーさすがハルちゃん、シュウをいじめることには天才的ね」 ハル 「そ、そんなんじゃないですよ! ただ、普段生意気なお兄ちゃんにちょっとした仕返しをですね…!」 アスカの言葉に顔を赤くしながら反論するハル。 同時にしゃがみこんで足元のヒーローに手を伸ばすだが…。 このときヒーローは大巨人の片方がしゃがみこみ、自分に向かってとてつもなく巨大な手を伸ばしてくるのに恐怖した。 ぐわっと開かれた指のその一本一本が自分の身長よりも長いのだ。 小型人類を手に乗せたことのある彼も、巨大な手が迫ってくると言う行為がここまで恐ろしいものだとは考えたことが無かった。 しかもその手の動きは繊細と言うよりはあまりにも無造作で、その動きは、これから触れようとしている自分の存在を明らかに軽く扱っていると言う証だった。 もしあの巨大な手に囚われたら何をされるかわかったものではない。 ヒーローは、そんな明確な思考からではなく、恐ろしく巨大な手が自分目掛けて迫ってくると言う恐怖から、その手に攻撃をしていた。 ハル 「熱…っ!」 手に灼熱感を感じて思わず手を引っ込め立ち上がるハル。 灼熱感の原因は明白である。 足元のヒーローが光線を放つポーズをとっていた。昔お兄ちゃんがよくやっていたポーズだ。 このヒーローが自分に向かって光線を放ったのだ。 ハル 「な、何するんですか! ちょっと手を伸ばしただけなのに…!」 ハルは憤慨して足元のヒーローをにらみつけた。 ヒーローはハルの世界を震わせるような怒声にビクリと体を震わせるが、気丈にもハルに向かって抵抗する構えを見せる。 そのヒーローの反抗的な姿勢に、 ハル 「…ふん、あなたみたいなおチビさんに何ができるんですか?」 右足を持ち上げたハルはヒーローの目の前に踏み下ろして見せた。 ズシン! 巨大な足が思い切り踏み下ろされたせいで周辺の建物は軒並み倒壊した。 ハルとヒーローの足元で辛くも生き残っていた人々はその際に発生した衝撃によってみな消し飛んでしまった。 眼前にとてつもなく巨大な足を踏み下ろされた衝撃にヒーローは思わず吹っ飛ばされ町の上に倒されていた。 しかし体を起こそうとする前に、彼の頭上は巨大な足の裏で埋め尽くされていた。 ハルはヒーローの上に右足を掲げていた。小さな巨大ヒーローなど、自分の足の影にすっぽりと隠れてしまっている。 ヒーローはハルの足の影となり薄暗くなったその空間からハルの足の裏を見上げていた。とてつもなく広大な足の裏だ。長さ240mは自身の身長の6倍であり、幅80mは自身の身長の2倍である。 土で薄く汚れているその足の裏からは、ビルの瓦礫がパラパラと降り注いでいた。そして足の裏を良く見てみれば、いくつかの場所には、アルミ箔のようにぺちゃんこに潰れ足の裏に張り付いている車があった。同時に、土に混じって判別しづらいが、無数の赤いシミも。 そしてハルは、町の上に横たわるヒーローの上に足を踏み下ろした。 ズム! 足の裏にヒーローの小さな体を感じる。 体重はかけていなかった。 ハル 「ほら、早く出てこないと潰しちゃいますよ」 足の下にヒーローを捉えたまま、ハルが言う。 しかしヒーローとしては、ハルがただ乗せているだけのその足の重量だけでも潰れそうなほどの重圧がかかっていた。 大の字になって押し潰されるヒーロー。どれだけ両手を広げてもハルの足の幅にはとどかない。 全身が、完全にハルの足の下敷きになっていた。 抵抗の仕様の無いほどの重圧が小さく巨大なヒーローの体にのしかかる。 あっという間に、タイマーが点滅し始めた。 兄の好きだった巨大ヒーローを足の下敷きにして踏みつけているという奇妙な優越感にハルは体をゾクゾクと感じさせていた。 体重をかけてはいないのだが、彼はそこから這い出てくることもできないようだ。 昔お兄ちゃんと見ていたテレビでは、ヒーローはどんな苦境に立たされても最後には確実に勝利を手にしていたものだが。 どうやらそのヒーローは、自分の足にも勝てないらしい。 その事実が、ハルの心をときめかせる。 そっと、ぐりぐりと踏みにじった。 * * * 妹と幼馴染の引き起こしている大災害の中 辛くも生き残っていた俺はビルの陰に身を潜めていた。 が、それが全く意味の無いことであることを思い知らされていた。 二人にとってビルとは頑丈な建物でも障害物でもなく、ただ地面にちらばっている箱なのだ。足を踏み下ろす場所を考えさせるものでもない。踏みつけたところで気にもしない。地面の盛り土となんら変わらない存在だった。 そして実際に、ビルは二人の前には完全に無力だった。踏みつけられれば何の抵抗も無く潰れてしまう。 真横に足を踏み下ろされるだけで崩れ落ちてしまう。ほんの少し足の指でつっつかれるだけで、粉々に砕け散ってしまうだろう。 そんなものの陰に隠れたところで意味が無いことを重々思い知らされていた。しかしそこから動くことも出来なかった。巨大すぎる妹と幼馴染のあまりの恐ろしさに、無力と知りつつも何かの陰に隠れずにはいられなかった。 二人は、特にハルは足元の事など微塵も気にしていないようだった。むしろ逆に、逃げ惑う人々をいたぶって愉しんでいるような感じである。前回のアレであいつにそういう気があるのはわかったが、まさかここまで大事になるとは…。 俺が陰に隠れているこのビルの周辺はまだ大きな被害は出ていなかった。 同じように隠れている人々もたくさんいた。 ときおり、このビルの陰から見える向こうのビル群にハルの姿が垣間見える。 足元のビル群を楽しそうに破壊している。ビル群が、まるで積み木か何かのように簡単に蹴散らされていた。 俺が隠れているビルよりも大きなビルが密集していた。それがああも簡単に蹴散らされてしまうと言うことは、今 俺が隠れているビルなど更に簡単に破壊されてしまうだろう。それどころか、踏み潰されたとて気づかれもしないかもしれない。 あいつがテクテクと町の上を歩いているその足元であっさりと踏み潰されたり崩れ落ちたりしているビルたちを見ていると、十分にあり得ることだった。 とにかく、早く逃げなければ。 何度電話しても、二人には通じなかった。大きさに差がありすぎて電波が届かないのか? それとももっと根本的に何かが違っているのか? それは分からない。 しかしいつまでもここにいてはいづれ二人に踏み潰されてしまう。 少しでもここから離れなくては。 だが、巨大すぎる二人の圧倒的な破壊力を前に、怖気づいてしまった俺はビルの陰から出ることが出来なかった。 ただ震えながらに、二人がこちらに来ないことを祈るしかなかった。 しかしその直後、 ズッシイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!! 凄まじい振動と衝撃と爆音が襲ってきた。 俺はビルの陰から何十mも吹っ飛ばされていた。一瞬の事に動転しながら見た視界では、俺の隠れていたビルが周囲のビルもろとも粉々に吹き飛んでいるところだった。 刹那の瞬間、思考が加速するその一瞬、一瞬が永遠とも感じられるほどに長くなったその空間で、何が…とめぐらせた視界の中には、俺の隠れていたビルよりもいくつかビルを挟んだ向こう側に、白く巨大なものが飛び込んできた。 崩れ落ちてゆく高層ビルたちよりも巨大な白い塔のようなもの。視界を上へとずらせばその白い塔は300mほどの高みから肌色へと変じ、更にその肌色の塔が上空700m弱にまで続いたところで、オーロラのようにはためく巨大なミニスカートの中へと消えていた。 あの白く巨大な塔は、白いハイソックスを履いたアスカの左足である。 俺が隠れていたビルの50mほど横に踏み下ろされたらしい。 50mと言えばそれなりの距離であるが、それでも今のアスカの足には、そんな離れたところにあったビルを足を踏み下ろしたときの衝撃だけで吹き飛ばしてしまうだけの破壊力があった。 足はすぐに瓦礫を巻き上げながら持ち上がり、また別の場所を踏み潰していた。 つまりは歩いているのである。 アスカはただ歩いていただけだ。 まさか俺がそこにいるとは思いもせず、平然と、足を踏み下ろしただけなのだ。 アスカがまるで意識することも無く歩くためにただ平然と踏み下ろした足の衝撃で俺はビルごと吹っ飛ばされたのだ。 巨大なアスカはその白いソックスを履いた巨大な足で更に多くのビルを蹴散らしながら去ってゆく。 その光景を俺は、瓦礫と化したビル群の一角から見上げていた。 まるで爆弾が爆発したかのような凄まじい衝撃からも、奇跡的に生き残っていた。 だが体中がバラバラになったかのような激しい痛みにその場から動くことが出来なかった。 苦悶の声が知らずうちに漏れていた。歯を、歯茎から血が出るほどに食いしばっていた。 ただひたすらに、痛みに抗っていた。 一秒でも早く、この痛みが去ってくれることを願いながら。 などと思っていると再び凄まじい衝撃が襲ってきた。 地面が激しく揺れる。同時に、遠くからビルの瓦礫が無数に飛んできた。 衝撃で更に痛む体に鞭打ち、何とかビルの瓦礫が飛んでくるほうに首を向けてみれば、今度はとんでもないものが飛来した。 ズズウウウウウウウウウウウウウウウン!! それが落下した瞬間、さきほどに比べれば小さな衝撃が周囲を襲った。 周辺の瓦礫が地面の上を跳ね回る。俺の体も一緒に宙に浮いた。 俺の這い蹲る場所から数ブロック離れた場所に落下したもの。 それは、昔見ていたテレビの巨大ヒーローだった。 なぜそれが実在するのか。などということを考えている余裕はなかった。 横たわるヒーローに向かって、ハルが歩いてきたからだ。 ズシイイイイイイイイイイイイイン! ズシイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!! ズシイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!! 一歩近づいてくるたびに凄まじい揺れが襲ってくる。 俺はハルの一歩ごとに地面の上を跳ね回り転げまわった。 やがて足を止めたハルは腰に手を当てて見下ろしてきた。 俺を ハルからすれば、俺も数ブロック離れたところに横たわるヒーローも同じ足元なのだ。 足元から見上げるハル。 素足となったその脚は今や高さ数百mの肌色の塔であった。この東京のあらゆる建物があの脚に及ばない。 顔などははるか上空にあり、やや霞んで見えた。それほどに遠い場所にあった。 今のハルの巨大さと、相対的な俺の小ささに絶望する俺。 ハルは、足元に俺がいることになど、全く気づいているまい。 俺はハルの左足の前に、ヒーローは右足の前に横たわっているようだ。 足元を見下ろしてニヤニヤと笑っていたハルは右足を持ち上げた。 俺の視界に、ハルの広大な足の裏が飛び込んでくる。 とんでもない範囲だった。住宅地の一角ほどの広さがあった。 ハルはその右足を、横たわるヒーローの上に下ろしていた。 ばふぅっ!! 足が踏み下ろされたとき、押しのけられた空気が突風となってこの瓦礫と化したブロックにふき付けてきた。 ハルはヒーローを踏みつけて愉しそうに笑っている。 足をグリグリと動かしてヒーローを踏みにじっている。 シュウ 「…」 俺は思わず眼を背けていた。 かつて無敵と信じていたヒーローが、今は妹の足に踏みにじられている。すると地面がグラグラと揺れた。 自分の中にあった無敵のヒーローの像が、ガラガラと崩れ落ちてゆくのがわかった。 ヒーローの上から足をどけたハル。 だが今度は、その巨大な足の親指と人差し指の間に巨大ヒーローの小さな胴体を挟み込んで持ち上げていた。 ヒーローの体が、妹の足の指だけで持ち上げられていた。ハルが足の指を動かすと、その間に挟まれるヒーローの体がガックンガックンと簡単に翻弄される。ヒーローの苦しそうな声が俺には聞こえた。ハルは、自分の足の指に挟まれプラプラと振り回されるヒーローを見下ろしてクスクスと笑っている。 足の指を開いてヒーローをポイと捨てるハル。 ヒーローの巨大な体が落下したとき、地面が揺れた。 地面に落下したヒーローに再び足を近づけたハルは、今度はその頭部を足の指の間に摘んで持ち上げた。 ハルからすれば5mm程度の大きさしかないヒーローの頭部が、俺からすれば太さ15mほどもある巨大なハルの足の指に挟みこまれている。 頭部を挟まれて持ち上げられたヒーローはジタバタと暴れていた。尋常ではない暴れ方だ。ハルの足の指のとてつもない力に挟まれ、頭部を今にも潰されてしまいそうなのだろう。同時に、頭部を摘まれて持ち上げられているということは、首だけで体の重さを支えなければいけないということであり、その苦痛も彼が暴れる要因となっているはずだ。 妹の足の指に頭を摘まれ持ち上げられ、その下でジタバタと暴れるヒーローの姿は俺から見ても滑稽に映ってしまった。 今のハルの足の指はそれぞれが3~40mほどもある。つまり足の指一本でヒーローほどの大きさがあった。 しかしヒーローの細い体は、ハルの逞しい足の指と比べるととても儚いものだった。ほとんどの指が、ヒーローよりもずっと質量があるだろう。 ハルは足の指だけでヒーローよりも巨大なのだ。 そしてハルは、ヒーローの頭部を足の指に挟んだまま足を左右に僅かに動かした。 するとヒーローの体が足の動きに合わせてプランプランと左右に振り回された。珍妙な光景である。 ヒーローからすればブゥンブゥンと凄まじい勢いで振り回されているわけだ。 しかしそうやって暴れていたヒーローの体は、いつしかだらんと垂れ下がって動かなくなってしまった。 振り回してもなんの反応も示さない。 それに気づいたハルは指を離し、再びヒーローの体をポイと捨てた。 ズズゥン! 地面に落下したヒーロー。その目からは光が失われ、タイマーは砕け散っていた。 俺は、ヒーローが力尽きたことを悟った。 そんなヒーローの上に、再びハルが右足を翳した。 しかし今度はこれまでよりも高くだ。膝が腿よりも高く上がるまで振り上げていた。 そして… ズッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!! 振り下ろしていた。 凄まじい衝撃が再び周囲に襲い掛かった。 無事だった建物が軒並み崩れ落ちてゆく。 俺の周辺のビルはすでに倒壊していたが、崩れ落ちていたビルの瓦礫などが衝撃によって吹き飛ばされていた。 土煙が巻き上がる。 今の衝撃で吹っ飛ばされていた俺は先ほどよりも少しはなれた場所からそれを見ていた。 瓦礫と化したビル群だった場所に踏み下ろされているハルの巨大な足。 先ほどまでヒーローが倒れていた場所だ。 地面が、ハルが足を踏み下ろした衝撃にゴゴゴゴゴと激しく唸っている。 ハルがゆっくりと足を持ち上げた。 俺はそのハルの足の裏に、ぺちゃんこになって張り付いているヒーローの姿を見た。 * * * ハル 「あらら、ぺっちゃんこになっちゃった…」 持ち上げた右足の裏に張り付いているヒーローを見て呟くハル。 右手で足を持ち、左手で張り付いたヒーローをペリペリとはがしていく。 はがされたヒーローはヒラヒラと風に舞うほどに薄っぺらくなっていた。 正義のヒーローがなんとも儚いものだ。 そしてそんな正義のヒーローを簡単に踏み潰してしまえる自分のなんと強いことか。 指先に摘んでヒラヒラと揺れているヒーローを見てクスクスと笑うハル。 ハル 「ふっ」 息を吹き付けると同時に摘んでいた指を放す。 するとペラペラになったヒーローはヒラヒラと飛んでいってしまった。 ハル 「ふふ、あんなちっちゃなヒーローなんか目じゃないですね」 アスカ 「まぁ今のハルちゃんが相手じゃね。なんとかレンジャーもハルちゃんから見ればみんな2mmも無い粒々なわけだし、足の指を乗せるだけで全滅させられちゃうよ」 ハル 「あ。それも面白そうですね♪」 二人はくすくすと笑った。 なんとかレンジャーも、大きさはただの人間とかわらないわけで、ハルからすれば顔も分からない砂粒のような大きさのヒーローだ。 せいぜい、色の違いをなんとか認識できる程度だろう。 そんなたった5粒のヒーローなんてなんの障害にもならない。 踏みつけたところで気づきもしない。そこにいたなんて気づきもしない。 むしろそこにいると気づいていたとしても、彼らに攻撃されていること自体をわたしは気づいて上げられるだろうか。 ゴマ粒よりも小さな彼らから見ればわたしの足の指は太さ15mくらいの大きさだ。およそ5階建てのビルと同じ大きさ。彼らの身長の7倍以上の太さのある足の指だ。 そんな足の指が5本も居並んでいる前に彼らはいる。まるで五つの高層ビルが横倒しになったように並んでいるわたしの足の指の前に。 彼らは必死にわたしの足の指を攻撃している。指の一本の、その下のほうを必死に。 でも彼らの攻撃は弱すぎて、わたしの足の指の皮膚を貫通してその先の神経に刺激を与えることすら出来ないかも。 彼らがどんなに頑張って攻撃しても、わたしはそれに気づかない。かゆいとすら思わない。なんの感触もしないのだ。 逆に感じないほうが彼らにとってはいいかも知れない。 もしもかゆいと感じれはわたしは足の指をもじもじと動かすだろう。でもそれは足の指の目の前にいる彼らからすれば一本一本が宇宙怪獣ほどの大きさのある足の指が目の前で暴れると言うことだ。5本の指が地面をむさぼる怪獣のように暴れ狂うはずだ。 彼らにとってはたまったものではない。目の前で5匹の怪獣が暴れまわるんだから。それは彼らの担当ではなく、どちらかと言えば先に潰してしまった巨大ヒーローの担当だろう。 わたしが足の指をもじもじと動かすだけで彼らは立っていることも出来なくなるかもしれない。 それでうっかり足の指の方に転がってしまえばその指の動きに巻き込まれてしまうかもしれない。 そうなれば粒みたいな彼らなんてひとたまりもない。ぷちゅっと潰れてしまうだろう。強化スーツが役に立つとは思えなかった。 そしてわたしは、ただくすぐったくてもじもじ動かしただけの足の指に、彼らを巻き込んですり潰してしまったことになんて気づかないはずだ。 だって彼らは小さいから。目で見ても気づかないくらいに小さいから。 彼らがロボットに乗ったらどうだろう。 流石に10数mもあるロボに乗ればわたしだって簡単に見つけられるはずだ。 でもそれだったら勝てるかっていうと別なわけで。 合体前の彼らのロボはまだ小さい。足の指の間に挟んでしまうこともできるだろう。 そしてちょっと足の指を動かせばロボはくしゃっと潰れてしまうはずだった。彼らのロボは貧弱だから。 5体のロボのうちリーダーを残した4体を足の指に挟む。それをリーダーの目の前に翳す。仲間のロボたちが足の指に挟まれてる様を見せ付けてあげる。きっとリーダーは悔しそうな顔をしながら攻撃してくるだろう。流石にロボの攻撃となればわたしも感じてあげられるはずだけど、そうやって足の裏をくすぐられちゃったらわたしは思わず足の指をもじもじ動かして、指の間に挟んでいる4体の仲間のロボたちをことごとくひねり潰してしまうだろう。 自分の攻撃が原因で仲間を失ってしまったリーダーは何を考えるのだろう。 そしてそんなリーダーの上でわたしが足の指を動かすと、指の間に挟まっていたロボの残骸がパラパラとリーダーに降り注ぐはずだ。 うん、面白そう。 ハルは自分の妄想にゾクゾクした。 思わず、股間に手を伸ばしてしまう。 アスカ 「お? もうソロプレイ始めちゃう?」 ハル 「え!? ち、違います! 違いますから!」 アスカ 「照れなくてもいいじゃない。この間は散々見せてくれたじゃん」 ハル 「あ、あの時はアスカさんのつくったジュースのせいでおかしくなってただけです!」 アスカ 「いーからいーから。ほら、あそこに東京名物『東京タワー』があるわよ。あれでやっちゃえば?」 と、アスカが指差した先には真っ赤な尖塔が立っている。 高さ333mに達するその塔は周辺の低層ビルなど比べ物にならない巨大な建造物だ。 近年は超高層ビルも増えてきて抜きん出て高いというわけではないが、それでも天に向かって聳え立つその赤い姿は人々にとっては天を衝くほどに巨大だった。 と言っても、今の二人からすれば膝にも届かない小さな突起だが。 アスカ 「あれでオナニーすると凄いよー。もう東京中の人間がハルちゃんのことを見上げて恐々とするんだから。東京のシンボルをオナニーの道具にしちゃうんだからもう東京そのものがハルちゃんのものになったも同然よね」 ハル 「と、東京がわたしのもの…?」 日本の首都、東京が自分のものになる。 それは若干、甘美な響きだった。 たしかに人々にとってはとてつもなく巨大な建造物である東京タワーをわたしの自慰のためだけのおもちゃにしてしまえば、それはこの東京タワーをシンボルとしている東京の街をわたしのおもちゃ以下にしてしまえるということだろう。 東京の街がわたしのおもちゃになる。それも、玩具に。無数の人々が住む玩具の街に。 無数の人々がわたしのオナニーを見上げる。 彼らの町の誇りである東京タワーを玩具にするということは、彼らの誇りなどその程度だと見せ付けると言うことだ。 彼らの誇りを陰部に挿入し愛液に染めていく。それを人々は悔しそうに見上げることしか出来ない。無数の人々が、悔しそうにわたしを見上げてくるもどうすることもできない。そんな視線は、とても気持ちよさそうだ。 ハルは、ごくりと喉を鳴らして東京タワーに一歩近寄ろうとした。 アスカ 「…そして今度はJUNKMANさんのネタをパクることで古参のファンの獲得を狙う!」 ズシン! ハルは一歩踏み出したが、それで終わった。 ハル 「…あの、やっぱりあからさまなパクリはよくないじゃないですか…?」 アスカ 「気に入ったネタは全力でパクるのが十六夜のスタンスだから!」 シュウ 「おいっ!」 思わずツッコミを入れる俺。 などとやっている場合ではない。 俺は未だに二人の足元にいた。すでに体はボロボロで満足に立って歩くことも出来ない。しかも地面は二人が踏み荒らしたせいで滅茶苦茶で前の進むことすら困難だった。 周囲はもう瓦礫だけだ。空襲でも受けたかのように瓦礫のみが散乱する。生き残っている人もわずかにはいたが、物言わぬ姿となって横たわっている人もいた。 飛び散る瓦礫をその身に受けて。または崩れ落ちたビルに巻き込まれて。または激しく揺れ動く地面の上を跳ね飛ばされているうちに打ち所が悪く…。などと要因は様々だ。 しかし原因は分かりきっている。あの二人だ。あの二人の仕業なんだ。 俺は、俺や生き残っている人々のいる瓦礫を挟んで立つ、二人の大巨人っである妹と幼馴染を見上げた。 東京の街に聳え立つ東京タワーですら及ばないほどとてつもない大巨人の二人が、俺たちのいる瓦礫を挟むようにして立っている。 この位置からだと二人のスカートの中が丸見えだが、最早そんなことを気にする人は一人もいなかった。 今や東京の街のいたるところから黒煙が巻き上がり中には火の手が上がっていたりする。この瓦礫も例外ではない。ハルやアスカに踏みにじられ瓦礫と足跡が入り混じる地獄絵図だ。そこかしこから悲鳴と泣き声が聞こえてくる。友を探す男性の声。子を探す母親の声。親を探す子の声など悲痛なものまである。 それらの原因は、すべて、俺の妹と幼馴染によるものだ。 二人は、そんな阿鼻叫喚の地獄の中に超巨大な2本の脚で聳え立ちながら呑気に笑いながらおしゃべりをしている。 足元の地獄のような光景とはまるで違う。自分達が作り出した地獄に、まるで興味がなさそうだった。 二人の楽しそうな笑い声が、地表には轟音となって轟く。 二人が声を発するたびに、人々はその爆音に悲鳴を上げながら耳をふさぐ。 その声の振動だけで瓦礫の山がガラガラと崩れた。地表にヒビが入った。二人のほんの些細な行動が、二人の足元の、俺たちのいる小さな東京の町にダメージを与えてきた。 ただ笑うだけで。一歩歩くだけで。足の位置をずらすだけで。それだけで確実に死者が出た。 二人はその事実に気づいていない。気にしていない。 自分達がもう何十万と言う人々を虐殺したことに全くの無関心だった。 二人の足元の瓦礫の街で、瓦礫にもたれかかりながら二人を見上げる俺。とてつもなく巨大になってしまった二人にはもう俺の言葉など届かない。動かなくなった俺の体では二人から逃げることも出来ない。ただただ恐れながら、二人を見上げることしか出来なかった。 いったいアスカは何を作ったんだ。こんなことをして世間が、政府が、国が、世界が許すはずが無い。それともこの東京の街を世界から切り取ったとでも言うのか。……あり得る。あいつのつくるものの突拍子の無さは限界が無い。あいつが気分でつくるものに不可能は無い。あり得ないはあり得ない。あいつに常識は通用しないのだ。 とにかく電話でも拡声器でも発炎筒でもなんでもいい。あいつらに俺の存在を教えられるものを見つけなければ。 電話は…ダメだ。いくら壊滅したと言え東京の真ん中にいるのに圏外だ。電波のひとつも拾ってない。あり得ない。まだ残っているアンテナだってあるはずなのに。 それでも何か無いかとスマホの中を探す。電波に関係なく飛ばせるメールとか、凄まじい音が出るアプリとか、ロケットのように発射される機能とか、今までアスカから渡された奇妙な発明品をあさる。なにか、何か役に立ちそうなものはないかと。 そして見つける。 シュウ 「………。…ッ…!? こ、これは…!!」 俺は画面に映る大量のアプリのアイコンの中にひとつ、目を引くアイコンを見つける。 【SC2.1】 それは『さいずちぇんじゃー2.1』だった。 先日散々な目にあったアプリだ。写メに撮った対象の大きさを自在に変えることのできるアプリ。 …しかし、何故これが俺のスマホに…。 と思うと、どうやらそのアプリはあのあとメールに添付されてアスカから送られていたらしい。 しかし機密保持だとかなんやらでメール自体は勝手に削除され添付していたデータは勝手にダウンロードされていたとか。どんだけ勝手にひとのケータイをいじくりまわしているのか。 …ともかく! 今はこれに頼るしかなかった。 俺自身をデカくするか、あいつらを小さくするかして事態の収拾を図ろう。 アプリを起動した。するとすぐ画面に倍率を指定できる項目とシャッターを切るウィンドウが現れる。 倍率を指定してウィンドウに触れれば効果が出ると言うことか。あのとき混乱したハルが滅茶苦茶に項目をいじってしまったことを踏まえてシンプルにしたのだろう。 まずは倍率だ。俺自身を巨大化させるかあの二人を縮小化させるかで倍率が変わる。 ……しかし俺自身を巨大化させる方法は簡単だが巨大化の際に周辺の人々を巻き込みそうだ。これは無しだ。 ならあの二人を縮小化させるしかない。倍率を……『1/1000』に指定。そして二人を画面に収めてシャッターを切る……。 というところで、 ハル 「じゃあちょっと休憩しましょう。お茶淹れなおしてきますね」 ズズウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!! 地面が激しく揺れた。ハルが歩いたのだ。 その揺れの中で激しく揺さぶられた俺は思わずスマホを手放してしまう。 シュウ 「しまった…!!」 慌てて追いかけようとするが地面は激しく揺れ俺は痛めつけられた体では這いずることも出来ない。 しかもスマホは揺れ動く地面の上を転がってどんどん遠くへ行ってしまう。 そして恐ろしいことに、ハルがこちらに向かって歩き出した。 ズズウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!! 再び地面が激しく波打ち、俺の体はトランポリンに乗せられたように跳ね回った。 スマホが更に遠くになる。 早く…早くあれを取らないと…! 俺は揺れ動く地面の上をゴミのように何度も跳ね飛ばされながらスマホを目指した。 痛烈に打ち付けた体はすでに何箇所も切り傷や骨折に苛まれ激痛を訴えてくる。 顔面を強打したときは鼻の骨と歯を折り、鼻の穴と口から血を吹き出した。 それでも俺は、死に物狂いでスマホを目指して転がるように這いよった。 しかし突如周囲が暗くなる。 ハルの巨大な足の裏が、俺の上空に掲げられたのだ。 とてつもなく強大な足の裏に遮られ、空が見えなくなった。 スマホは最早見えないくらい遠くに転がっていってしまった。 周辺のまだ息のある人々も、同じようにハルの足の裏を見上げ悲鳴を上げていた。 永遠の刹那。また時が遅くなるのを感じていた。しかし今度は、先ほどよりもはるかに鮮明に。 視界を埋め尽くす巨大なハルの足の裏。 薄汚れたその足の裏に汚れひとつひとつがビルなどの建築物や車、そして人だったものの痕跡だ。 それが、自分に向かって凄い速度で迫ってくる。 すでに足の裏の指紋が見えるほどにまで迫ってきている。ハルの足の裏の、ほんの一部であるという証拠だ。 これはハルの足の裏なのだ。 妹の、ハルのだ。 兄である俺は、妹に踏み潰されようとしている。 シュウ 「う、うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 俺は、ついに叫んでいた。 ズズウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!! * * * アスカ 「ふぅ…しかしちょっと疲れたかね」 ハル 「あれ、珍しいですね? いつもお兄ちゃんやわたしがへばっても元気なアスカさんが」 アスカ 「いやー実は昨日これを完成させるために徹夜してさー。寝不足なのよー」 ハル 「くすっ、じゃあちょっと休憩しましょう。お茶淹れなおしてきますね」 そう言ってハルは歩き始めた。 今は『ダイナミックモード』の効果で壁も天井も無いリアルな世界が広がっているが、アプリを操作すれば、それらリアルなミニチュア世界に部屋のドアを出現させることも簡単だ。 ハルがポチッとアプリを操作すると東京の街に巨大なドアが現れた。まるでどこでもドアだ。 そんなドアに向かってテクテクと数歩歩いたハルはそのうちの一歩が瓦礫の山を踏み潰したことには気づいていなかった。 悲鳴を上げる兄を、周囲の人々もろとも踏み潰したことには気づいていなかった。 町に巨大な足跡を残して持ち上がった足の裏に付いていたいくつかの赤いシミのうちのひとつが、兄のものであるとは気づいていなかった。 そんな兄の痕跡も、ハルがまた次の一歩を町の上に踏み下ろしたときには擦り取られてなくなっていた。 兄を踏み潰したハルはドアを開け、そのままの足で廊下をズシンズシンと踏み鳴らしながら去っていった。 東京の街に残されたアスカ。 アスカ 「そんじゃアプリはいったん停止しますかね」 ポチ。 アプリ『ミニチュア製造機』を終了させた。 『ダイナミックモード』で見渡す限りに広がっていた東京の町が、パッともとのハルの部屋に戻る。 薄汚れていたアスカの白いソックスも元のきれいな白色に戻っていた。 * * * シュウ 「……ハッ!」 俺はふと我に返った。 東京駅のロータリーで立ちつくしていた。 シュウ 「…………え…? あれ?」 キョロキョロと辺りを見渡す。 何も変わったところは無い。いや、たった今東京に着いたばかりで変わったところもなにも無いのだが。 ?? なんか大変なことになっていたような気が…。なんだろう…凄い焦燥感だけが胸に残ってる。 つい今しがた東京に着いたばかりでこれから目的のものを買うべく東京の町に出張ろうところなのだが…。 シュウ 「…なんだ…? ボーっとしてたのか?」 見渡しても町の様子に変化はないし人々も普通に生活しているように見える。 久々の電車で疲れたのかもしれない。 と思って そんなことよりとバスの時刻表を確認しに出向く。 が、 シュウ 「あれ? もうこんな時間? たった今東京に着いたばかりなのに?」 俺は腕時計を確認して首をひねる。周囲の人々も同じような感じだ。 なんか時計が1時間くらい進んでる。俺は1時間もロータリーに立ち尽くしていたのか? それになんだろう…。この1時間の間に凄い大変なことがあったような……。 などと胸のもやもやに頭を悩ませているとピロリンとケータイが鳴った。 見ればメッセージが届いているようで、送り主はアスカだった。 『おみやげよろしくー♪』 シンプルな内容だ。どうやらウチに遊びに来て、そこでハルから俺の行き先を聞いたのだろう。 やれやれ、と俺は苦笑した。 この胸のもやもや感も、悩んでも分からないのであれば仕方ない。 とりあえず目的のものを買って、あとはアスカの喜びそうなものを買っていくとしよう。 俺は、予定とはかなりずれてやってきたバスに乗った。 #3 ガラリ。 風呂場の戸を開けて中に入ってくるハル。 一糸纏わぬ生まれたままの姿。大きな乳房がハルの歩行に合わせてゆっさゆっさと揺れ、形のいいヒップがぷりんと震える。 いつものツインテールも、今はほどかれてサラサラのロングストレートヘアーになっている。 そしてそんなハルの手のひらの上には、同じく全裸の兄が乗せられていた。 * アスカ 「いやーめんごめんご」 片手で謝るアスカ。まるで謝罪の意思を感じない。 何に「めんご」なのかと言えば、今の俺の状況だった。 身長8.5cm。20分の1の大きさ。 そんな俺はテーブルの上であぐらをかき、腕を組んでアスカを睨みつける。 そして俺を挟んでアスカの対面に座るハルは縮んだ俺を見下ろしてため息をついていた。 別に、夕方 突然に押しかけてきて有無を言わさず俺をこの大きさに縮めたことに対して文句を言っているのではない。 勝手に縮めておいて、元に戻す方法が無いことに文句を言っているのだ。 シュウ 「随分な真似をしてくれるじゃねーか…」 アスカ 「いやーだからめんご」 苦笑しながら手のひらを立てるアスカ。 ハァ…最早ため息しか出ない。 ハル 「あの…以前アスカさんが作った大きさを変えられるアプリではダメなんですか?」 俺とアスカのやり取りを見守っていたハルがアスカに問う。 アスカ 「あーあれとは縮小化のシステムが違うからねー。下手に使うと体の一部……頭だけ元の大きさに戻ったりするかも」 それは絶対に嫌だ。 そんな奇怪なことになるくらいなら、このままの方がバランスが取れているだけまだマシである。 アスカ 「一応明日までには元の大きさに戻る方法を考えておくからそれまで我慢してて。じゃ!」 ビュッ! と手を上げたアスカが目にも留まらぬスピードで部屋を出て行った。 文句を言う暇すら与えない。 流石アスカだ…。 ハル 「……どうしようお兄ちゃん…」 シュウ 「…まぁ、待つしかないか…」 ハァ、俺はまたため息をついた。 * * * そんなこんなで俺は今晩は1/20サイズで過ごさなくてはいけないのだが…。 シュウ 「…」 俺を乗せるハルの手のひらの背後ではとんでもないサイズとなった乳房がゆっさゆっさと弾んでいる。 ハルが一歩歩くだけでゆっさと上下に揺れ、すこし向きを変えるだけでぶぅんと振り回される。 背後に感じる凄まじい質量の塊に、俺はそれを意識せざるを得なかった。 シュウ 「…つーか一緒に入る必要なくないか?」 ハル 「でも一緒に入っちゃったほうが手間が掛からなくて楽だし」 ハルは何という風も無く言う。 シュウ 「……なんか、大胆になったよな…」 ハル 「あ、あはは…。まぁ、もうオナニーも見られちゃったわけで…」 ハルは苦笑しながら頭を掻いた。 確かに、すでに俺に超至近距離でオナニーを見せつけあまつさえ参加させると言うとんでもない問題行動を過去にとっているわけだ。 今更 裸のひとつやふたつなどものの数ではないと言うことか。 そういうことじゃないような気もするんだが…。 などと思っているうちにハルは風呂場の椅子に腰掛けた。 ハル 「ちょっと待ってて」 言うとハルは右手に乗せていた俺を右の太ももの上におろした。 巨大な太ももは俺が座るのに十分なスペースがある。それどころか寝転がることも出来そうだ。 背後にはハルの巨大な腹がある。俺の頭くらいは余裕で入りそうな大きさのヘソがあり、そして頭上では巨大な胸が胸板からバインと飛び出していた。ほとんど俺の真上くらいまで飛び出している。風呂場の電灯が巨大な胸によって遮られ俺の周囲は若干暗くなっていた。 今度は下にと視線を下げたところ俺は固まった。 俺も乗せられているハルの太もも。その太ももが胴体に繋がる部分には当然ハルの股間がある。 適度な陰毛が生い茂り、それに守られるように神聖な割れ目が縦に伸びている。 かつて間近で見せられたときほどの巨大さは今は無いが、それでも巨大であることにかわりない。 キレイに整えられた陰毛に縁取られたそこは濡れているわけでも疼いているわけでもない。しかし言葉では表現できないような惹きつけられる魅力があった。 ふと、ハルの手がやってきて俺を指で摘んで持ち上げた。 ハル 「な、なにマジマジと見てるのよ…!」 顔を赤くしたハルが睨んできた。 シュウ 「す、すまん…!」 俺も顔を赤くして謝るしかなかった。 ハル 「ほ、ほら! 体洗ってあげるから背中向けて!」 ハルの左手に下ろされた俺は大人しく背中を向ける。 背後から、石鹸で泡立てられたスポンジがこすり付けられてきた。 ハル 「大丈夫? 痛くない?」 シュウ 「ああ。ただ…なんかごわごわするな」 俺は背中をこすってくる巨大なスポンジの感想を言う。 相対的に巨大になっているぶんいつもと感触が違うのは当然なのだが、こうも巨大化し生地も粗くなっているとどうにもしっくりこない。 ハル 「そっか。じゃあスポンジじゃなくて手で洗ったほうがいいかな?」 言うとハルはスポンジを置いて、泡のついた手で俺の背中をこすり始めた。 ハル 「どう?」 シュウ 「さっきよりはいいが、な、なんかくすぐったい…」 俺はハルの指先で背中をこすられて体をビクンと震わせた。 石鹸のついたハルの巨大な指先は俺の背中を優しく撫でる。指の一本で事足りていた。 巨大な指先の広大な腹の広さなら今の俺の背中など指をほんの少し動かせば簡単にこすり終わってしまう。 巨大な指の巨大な指紋が微妙な感触を生み背中をくすぐる。 俺はくすぐったさを我慢するために体をモジモジと動かした。 ハル 「もう、あんまり動くと落ちちゃうよ?」 俺を手に乗せているハルが文句を言う。 ハルの直径30cmほどの俺の体を撫ぜる。背中だけでなく肩から腕からあっという間に石鹸まみれだ。ハルが鼻歌交じりに洗ってゆく。 ただどうしてもその動きはこそばゆい。 柔らかく温かい指先。その指紋の溝や石鹸水の滑りやすさ。それらが総合して俺の体をくすぐるのだ。 我慢はしてるが、それでも体がもぞもぞ動いてしまう。 背中を終えたらハルは次に腕を洗い始めた。 今の俺の腕などポッキーほどの太さも無い。ハルは俺の腕を親指と人差し指で摘んでコネるような動きで洗っていった。 腕の付け根から肘へ、そして手首へと優しく丁寧に。手のひらまで洗ってもらえたが、俺の手のひらはハルの指先につままれると見えなくなってしまった。 俺の指とハルの指の大きさの違いは、指と太ももくらいの差があった。 脚と、腹も洗い終わる。 そしてそのままハルの巨大な指は俺の股間にも伸びてきて…。 シュウ 「こ、ここは自分で洗えるから!」 ハル 「そう?」 俺は慌てて両手で隠してガードした。 そして俺は全身を洗われた。 何故か頭も石鹸で一緒に洗われてしまったが。 で、俺は全身泡まみれになっていたわけだが、それらの泡はハルが左手ですくった水でザバーと簡単に洗い流されてしまう。 タライをひっくり返されたかの水量に晒され思わず体をプルプルと奮わせた。 ハル 「あはは、お兄ちゃん犬みたい。かわいい♪」 背後でハルがクスクスと笑っている。 結構シャレにならない水量だったんだが。 ハル 「それじゃわたしも体洗っちゃうからちょっと待ってて」 言うとハルは再び俺を太ももの上におろし、自分はスポンジを泡立てて体を洗い始めた。 また俺は背後の茂みを気にしないように気を引き締めなければならなくなった。 台とか足元におろしてもらったほうがまだ気が楽なものを。 と、不意に見上げた頭上は大変なことになっていた。 シュウ 「…」 ハルは今 上半身を首周りから順に洗い始めている。 泡立てたスポンジでうなじをこすり、腕を上げて脇の下を洗い、そして腕にもスポンジを走らせる。 その一連の動作が、なんというかとてもエロい。 ただ体を洗っているだけなのに、この大きさだからなのか、この位置からだからなのか、その動きがとても艶っぽく、色っぽい。 体の動かし方、首のひねり方、そしてゆっくりと上げた腕の脇の下にスポンジをすべり込ませる動作がゾクゾクするほどに魅力的だった。 更にハルはそのまま胸を洗い始めた。 スポンジを持った手で、今の俺からすればカマクラみたいな大きさの乳房をゴシゴシとこすっている。 その動きに合わせて、普通サイズでも巨大なハルの乳房がゆっさゆっさと揺れるのだ。 乳房全体をこすり、空いている左手を使って乳房を持ち上げ下乳や胸板も洗う。 洗うために乳房を持ち上げていた左手がどけられると支えを失った乳房が重力で落下してぶるんと揺れ弾んだ。 ブラなど着けなくても深い谷間にスポンジを差し入れる。乳首の付け根などもしっかりと洗う。 ハルにとっては当たり前の行動。 しかしそれを見慣れていない俺にとっては、超至近距離から見ている俺にとっては、真下から見上げている俺にとっては、ハルの指ほどの大きさに縮み、とてつもないスケールで見ている俺にとっては、とんでもなく衝撃的な光景だった。 俺の座っている巨大なハルの太ももが僅かに揺れる。そこがハルの体の一部である証拠だった。 妹の太ももの上から妹が体を洗う様を至近距離で見上げている。恐ろしく背徳的な感情が、心と股間にわきあがってくるのを感じていた。 一瞬、視界がホワイトアウトする。 湯気だろうか。 すぐにそれは晴れるが、晴れてみると、はるか上空にあるハルの巨大な顔が、あの巨大な乳房の谷間の向こうから俺を見下ろしていた。 ハル 「お兄ちゃん…。なにわたしが体洗うのを見ておちんちんそんなにおっきくしてるのかなー?」 シュウ 「…ッ!!」 言われて慌てて股間を隠す俺。 すでに手遅れである。 ハル 「ふぅん、わたしが体洗うのがそんなに興奮したんだ…」 谷間の向こうのハルの顔がニヤァリと笑う。 俺は気まずくなって後ろを向こうとしたのだが、 ハル 「じゃあ、お兄ちゃんをスポンジの代わりにして体洗っちゃおうかな~♪」 言いながらハルが伸ばしてきた右手に捕まって、俺の体は持ち上げられてしまった。 俺の今の身長は8.5cm。ハルの手の中指よりも少し大きい程度。 俺の身長とほとんど同じ大きさの指たちに握り締められてしまっては逃げられるはずも無い。 俺を持ち上げたハルは指を開き、手に乗せた俺の体にボディソープをビュッとかけた。 そしてそんな俺に左手を重ね、右手と左手の間でこすって泡を立てる。 ボディソープでよく滑る中で手でこすられるこの動作ですでにヤバい…。 シュウ 「うぷ……! ハル……やめ……」 叫ぼうとする口や鼻に泡が入る。 目は洗剤が入らないように閉じていた。 ハル 「うん、これくらいでいいかな。じゃあまずは脇の下からね」 言うとハルは俺を乗せた右手を左脇の下にまで持っていった。 俺の眼に前でハルが左腕を上げ脇を露にする。 そして、 にゅる 押し付けた。 ハルは右手で俺の体を脇の下に押し付けてそのまま手を動かして体にこすりつける。 巨大な手に押さえつけられて何の抵抗も出来ないまま、俺の体はハルの体の表面をすべっていた。 ハル 「やっぱりスポンジみたいにゴシゴシって洗えないね。でも、ちっちゃいお兄ちゃんの感触がくすぐったいよ♪」 ハルはクスクスと笑いながら俺を脇の下にこすりつける。 俺の体は背中をハルの右手、正面をハルの体のほうを向けてこすり付けられている。 ハルの柔らかく、温かく、そして魅惑的な流線型の肢体の上をすべるように移動していた。 自分の意思ではないとは言え、股間がハルの肌に高速でこすり付けられていた。 石鹸ですべりのよくなったそれには、危険すぎるほど甘美な刺激だった。 ハル 「次は首ね」 ハルは俺を脇の下から移動させると今度は首周りに押し付け始めた。 脇の下よりは硬い印象があった。鎖骨のくぼみなどは俺の頭がはまってしまった。 俺を押さえる手を首の後ろに回しうなじを洗う。前に回してあごの下を洗う。 ハルの体の形を、俺の体全体を使って感じさせられていた。 俺は咳き込んでいた。 どんなに我慢しても、こうも激しく動かされたら泡などが口に入ってしまう。 しかも顔はハルの肌に押し付けられていて自由に息を吸うことも出来ない。 ふと、ハルはそんな俺を顔の前に持ってきた。 正確には口の前だ。 やや石鹸が入り、痛みで満足に開けられない目の視界には、にんまりと笑う巨大な薄紅色の唇があった。 その巨大な唇が小さく「う」の字にすぼめられたかと思うと、 ハル 「ふっ」 ハルは俺の顔に軽く息を吹きつけてきた。 軽くと言っても、俺はその突風に思わず顔を背けるほどだった。 一瞬で、顔周りの泡は吹き飛ばされてしまった。 良好となった視界は、ハルの巨大な顔で埋め尽くされていた。 楽しそうにニヤニヤと笑っている。 スイッチが入っているときの顔だ。 ハル 「ふふ、お兄ちゃん、スポンジになった気分はどう? わたしの体は気持ちいい?」 右手に持った俺のその頭を、左手の指先で撫でてくるハル。 ハル 「わたしは気持ちいいよ。お兄ちゃんをスポンジにして体を洗うのは」 クスクスと笑うハル。 俺に訊いた気持ちいいと、ハルの言う気持ちいいでは、意味が違う。 ハル 「まだまだ終わらないからね」 俺を乗せた右手が、再び移動し始めた。 ハルの顔が遠ざかっていき、そして今度は、あの巨大な胸が目の前に現れた。 シュウ 「う……」 ハルの手の上に乗る俺は、やや見上げる高さにあるその巨大な胸の迫力に言葉を詰まらせていた。 これまでの、ハルが歩く際に揺れたのを感じていたときや太ももの上から見上げていたときなどの無意識による関係とは違い、正面から互いを意識しての接触。 とてつもなくデカい胸が、俺の目の前にずいとせり出している。 今の俺には両手を使っても抱えきれず、また体を大の字にしても覆うことの出来ない巨大な胸だ。 それが、手の届きそうな距離にまで迫っていた。 ハル 「今度はお兄ちゃんの大好きなおっぱいを洗っちゃおうかな」 俺を乗せていた右手が動き出し、目の前に来ていた右の乳房に押し当てられた。 むぎゅ。俺は手のひらと乳房の間に挟まれる。 ハル 「あは、お兄ちゃんほとんど隠れちゃって見えないよ」 ハルの愉しそうな声がとてつもない脂肪の塊の奥から聞こえてきた。 ハル 「じゃあ手 動かすからね」 言葉通り、俺を乳房に押し付ける右手が動き始める。 たっぷりとした乳房の表面を小さな俺の体が滑って移動する。 恐ろしく巨大だが、巨大な手に押さえつけられるとめり込むほどに柔らかい。しかしその若く巨大な乳房の重厚感に相応しい弾力もあり、押し付けられると息も出来ないほどの圧迫感を覚える。 石鹸ですべることもあり、押し返すなんて到底不可能だった。何の抵抗も出来ないままに、されるがままに、乳房の肉に沈み込まされた。 ハルは俺を使って右の乳房をこすってゆく。 なでるというほうが相応しい。 石鹸によって摩擦の生まれない俺の体は、ただハルの胸の上を滑っているだけだった。 不意にハルは俺を乳房から離した。 押し当てられていた圧力から開放され大きく息を吸う俺。 俺は今 ハルの右の手のひらの上に仰向けになって転がっていた。 何度も何度も息を吸う俺。圧力から開放されて、そして次はいつ圧力に晒されるかわからないから。 まるで食いだめするように呼吸した。 そんな俺は影に包まれた。 何かと思えば、俺の頭上にハルの右の胸が来ていた。 目の前を下乳が埋め尽くしていた。 そして俺を乗せる手が上に向かって動き出し、乳房にぶつかった。 俺はハルの下乳と手のひらの間に挟まれる。 ハルは、俺を乗せている右手で右の乳房を持ち上げ始めた。 ハル 「ほらお兄ちゃん、これが妹のおっぱいの重さだよ~♪」 笑いながらハルは乳房を乗せた右手を上下させる。 大きな胸がたぷたぷと震える。 しかし俺は、抱えることも出来ない巨大な乳房のその途方も無い重量を全身で受け止めさせられ潰れかけていた。 今の俺からするハルの乳房の重量はおよそ5.6t。だいたい普通自動車3台分の重さである。 そんなずっしりと重いものが俺の上にのしかかっているのだ。 左右両方の乳房の重量を合わせれば10tを超える。それは大型自動車の重量とほとんど同じである。 つまり今の俺からするハルは大型自動車1台をぶらさげて悠々と歩いているようなものだった。 ズムッ! ズムッ! 何度ものしかかってくるハルの乳房は、まるで俺を潰そうとするプレス機だ。 その後もハルは俺を使って乳房を洗い続けた。 大きな乳房をぐるりと撫で、わざわざ揉むように手を動かす。 ハルの大きな手が大きな乳房をぎゅっと揉む。そのさなか、ハルの手と掴まれた乳肉との間で潰されそうになる。 更にハルは俺の顔を乳首にぐりぐりとこすりつける。俺の顔とほとんど同じ大きさの乳頭の周りを円でも描くように俺の顔をこすり付ける。 顔を横から押し付けられている俺のほっぺは乳輪にこすり付けられ磨り減ってしまいそうだ。 同じように左の乳房にも俺を押し付け「洗い」始めるハル。 再びとてつもない乳圧が俺を襲い始めた。 乳房に沈み込むほどに押し付けられて体がミチミチと悲鳴を上げる。 ギュウギュウと押し付けられるその乳房の奥からは、ハルの巨大な心臓の音がドックンドックンと聞こえてきた。一回の鼓動で、今の俺の何人分の血液を放出しているのだろう。大型のドラムのような重低音だ。 胸を洗うというのは名ばかりに、散々俺を胸で弄んだハルは今度は腹のほうに手を滑らせた。 無駄な肉も無く、また硬いばかりの筋肉も無い、丁度よい柔らかさのハルの腹に俺の体がめり込んだ。 そしてハルは何を思ったのか、俺の頭をヘソへと突っ込んだ。 シュウ 「んぶ…ッ!」 顔がハルのへその中に押し込まれた。外からは完全に埋まっているように見えるだろう。 更にハルは俺の向きを調節し、顔ではなく頭頂部がヘソに対して平行になるように俺を持って、俺の頭を突っ込んだ。 ハル 「お兄ちゃんの頭はちっちゃいから、おヘソを掃除するのに丁度いいね」 ヘソに突っ込んだ俺の頭が動くように俺の体をグリグリと動かすハル。 グルグルと視界が回転し目が回る。思わず悲鳴を上げていた。 だが俺をつまむハルの指は俺をヘソから解放するどころか更に激しく動かしだした。 ようやくヘソから頭を出してもらえたときには、俺はもう手足もだらんと垂れ下がってグロッキー状態であった。 しかしそんなことではハルは止まらない。今度は脚を洗い始めた。 俺からすれば長さ16m近くもあり太さも10m以上ある、まるで塔のように巨大な脚。 俺を手のひらに乗せたまま、ハルは脚をなで始めた。 膨大な質感と弾力で押し付けられる俺を跳ね返すハルの太もも。 微妙な柔らかさのふくらはぎ。 小さな俺を石鹸のようにしてこすり付けてゆく。 そして、左足を持ち上げ右脚の太ももの上にあぐらを掻くように乗せたハルは、指に摘んだ俺を左足の足の裏にこすりつけ始めた。 ゴリゴリと俺の体を足の裏にこすりつける。 今や長さ4.8mに見える巨大な足は自動車一台分の面積を持っていた。 つまり自動車一台程度なら踏み潰してしまえると言うことだ。 実際にハルが巨大化しているのなら簡単なことだろう。そして、実際にやってみせるだろう。 一台の立派な自動車が、ハルの素足がズンと踏み下ろされればぐしゃりとスクラップに変わってしまう。 ボディは完全に潰れ、タイヤなどが踏みつけられた衝撃で吹っ飛びコロコロとどこかへ転がっていく様が容易に想像できる。 俺から見るハルは20倍の巨人だからだ。 その足の指の間に俺の頭部を突っ込み、ヘソのときと同じようにグリグリ動かすハル。 俺の太ももよりも太いハルの足の指。親指に至っては、両手で抱えなければならないほどの太さだった。 太さはおよそ30cm、長さは80cmほどにもなる。俺の脚ほどの大きさだ。 そして俺の頭はそんな巨大な足の指の股に突っ込まれているのだ。 指の股に顔をこすり付けられている。ときにこの丸太のように太い指を動かして俺の頭をゴリゴリとねじってくる。 そのまま頭がひねり潰されてしまうのではないかという恐怖に俺が暴れると、それをくすぐったがったハルの指は更にもじもじと動き俺に悲鳴を上げさせた。 俺の儚い抵抗など、ハルにとっては甘美な刺激でしかない。 ハルの艶っぽい声がこの風呂場に轟いた。俺を嬲ることが快感なのだろう。 そんな足の指の間から俺の頭を引っこ抜いたハル。 体も洗い終わり、朦朧とする意識の中でようやくこの苦行も終わりかと心底安堵していた俺だが、指に摘まれながら見上げたハルの顔はニヤニヤと笑っていた。 ハル 「じゃあ最後にここを洗うからね」 言いながらハルは俺を持った手を移動させ始めた。 近づいてきたのは、軽く開かれた脚の間に見える、妹の股間だった。 陰毛に囲われた割れ目が迫ってきていた。 仰天する俺を尻目に、ハルは左手を使ってボディソープを股間の茂みにぴゅっと放った。 どろりとした白濁色の液体が陰毛にひっかかっている様は否応無く俺の心をざわつかせる。 その左手で股間をあわ立てるハル。 ハル 「はい、準備OK」 ハルがそう言うと、俺を持った右手がハルの股間に押し当てられた。 バフッ! 股間を覆っていた泡がハルの手が押し当てられた風圧で細かく吹っ飛んだ。 陰毛の茂みに押し付けられる俺。一つ一つが長さ数十cmもある。それでいて、絶対に千切れない強靭さも持ち合わせていた。 俺を股間に押し当てたハルはその右手をゴシゴシとこすらせ始める。 俺の体は陰毛の茂みに、そして陰唇にこすり付けられる。ときに片足が陰唇の中に入ってしまった。 悲鳴を上げる俺。しかしハルの巨大な手は構わず動き続ける。 石鹸で泡立つハルの体は掴むところがない。生い茂る陰毛を掴んでもするりと抜けてしまう。 どころか、その陰毛に体をズタズタにされそうだった。 肌にこすり付けられるのとは違い、茂みに押し付けられるのはかなり痛い。 ゴシゴシ。体が擦り傷だらけになりそうだ。石鹸ですべりが良くなっているはずなのに、それでも1/20サイズという俺にとっては妹の陰毛は強すぎた。 ハル 「ふふ、わたしの大事なところにお兄ちゃんの感触がする…」 ハルは俺を持った右手で股間を洗いながら、左手で自分の胸を揉んでいた。 兄を股間に幽閉する背徳感が、ハルの乳首を硬く勃起させる。 ハル 「あ。そうだ」 妹の股間でボロボロにされていた俺だが、不意にその股間から引き離された。 先ほどまで俺がこすり付けられていた巨大な股間が、少し離れる。 ハル 「せっかくだから、……中もお兄ちゃんで洗っちゃおうかな…♪」 ハルの愉しそうな声が風呂場で反響して四八方から俺の耳に飛び込んでくる。 ……、中? 俺がその言葉を理解する前に、ハルの巨大な左手が現れ、俺の前にある、あの長径1mほどもある陰唇に指を差し入れると、それをばっくりと開いた。 陰唇の内側が、俺の目の前にむき出しになる。思わず食い入るように見つめてしまう俺だった。 そして俺を持った右手が動き始めた。 左手の指によって開かれた、その陰唇に向かって。 ことを理解した俺は思わず叫んでいた。 シュウ 「や、やめろハル! こんなこと…!」 しかし言葉が続かない。あまりに、常識を超えた行為だからだ。 妹の膣の中に挿入されるなんて…。 だが右手は容赦なく俺をそこに押し当てた。 俺の足が、ハルの膣の入り口に触れる。足のほうから、挿入しようと言うのだ。 俺は残る体力を振り絞って両足をばたつかせ、膣に入れさせないようにした。 しかし陰唇を開いていた左手がそこを離れ、俺の足首を押さえてピンと伸ばしてしまうと、もう俺は足を動かせなかった。 つま先が、膣の入り口にあてられた。 と思えば、そのまま むにゅっ と入れられてしまった。 欲情し濡れたハルの膣と石鹸に濡れ滑りやすい俺の体では挿入されるのになんの抵抗も無い。 つま先から足首、ふくらはぎ、膝、そして腿。俺の下半身がずぶずぶとハルの膣の中に沈んでいく。 シュウ 「やめろ! やめてくれ!」 俺は両手を踏ん張らせ残る上半身が呑み込まれないよう必死に抵抗した。 だが俺の全力など儚く滑稽だ。 自分の股間から上半身だけを出す俺を見下ろしてハルはクスクスと笑っていた。 ハル 「くすっ、お兄ちゃんってホントにかわいいなぁ。 ……でも、そんなことしても無駄だからね♪」 ハルは俺の両肩に右手の人差し指と中指を添えた。 そして、 ハル 「えい♪」 とぷっ 押し込んだ。 俺の全身はハルの膣の中に完全に挿入されてしまった。 ハルからはもう俺の姿は見えなかった。 陰唇から指を抜いてしまえば、もうそこはいつも通りの股間だった。そこに俺がいるなどと、外からは全く分からない。膣の中に感じるもぞもぞという動きだけが、今の俺の存在のすべてだった。 ハル 「ん…そんなに暴れられたら感じちゃうよぉ…」 自分の中に感じる兄のこそばゆい動きに刺激されてキュンときたハルは膣をキュッと締めていた。 それだけで兄を大人しくさせられた。 ハル 「じゃあ残りの部分も洗っちゃうから、しばらくそこで待っててね♪」 ハルは自分の股間を見下ろしながら、姿の見えない兄に向かって言った。 そして置いといたスポンジを手に取ると、鼻歌を歌いながら体を洗い始めた。 ハル 「お兄ちゃん?」 俺を呼ぶハルの声にハッとする俺。 目には巨大なスポンジを持った巨大な右手が広大は腹をゴシゴシとこすっている光景が飛び込んできた。 俺はハルの太ももの上に、ハルの腹のほうを向いて座っていた。 キョロキョロとあたりを見渡せば、あの巨大な胸の谷間の向こうから、きょとんとしたハルの顔が覗きこんできているのが見えた。 ハル 「どうしたの? 動かなくなっちゃって」 シュウ 「え? あ、いや、ちょっとボーっとしててさ…」 俺が慌てて笑いながら返すと谷間の向こうから見下ろしているハルは頭に「?」を浮かべながら首をかしげた。 どうやら白昼夢を見ていたらしい。 風呂場の蒸し暑さと、ハルの体温の温かさ、そして視界を埋め尽くす魅惑的な光景に、のぼせてしまったのかも知れない。 俺はかぶりを振って、先ほどの妄想を振り払った。 ハル 「…? まーいいけど、それよりこれから脚とか洗うから、ちょっとどけてもいい?」 そう言うとハルは太ももの上にいた俺をつまみ上げ、椅子に座るハルの正面にある、洗面器や手桶を置く台の上に俺をおろした。 台におろされた俺からは、椅子に座るハルを、やや低い位置の正面から見ることが出来ていた。 俺をどけたハルは下半身を洗い始める。椅子に座ったまま足の先のほうを洗うためには前かがみにならなければないのだが、ハルが前かがみになるとあの巨大な胸がぶるんぶるんと揺れ動いた。 だけでなく、つま先のほうにまで手を伸ばすためにかがみ込んだときには、乳房は脚に押し付けられていた。 もしもこの台の上に移動されず、あのまま太ももの上に残されていたら、今頃は太ももの上であの巨大な乳房にのしかかられていたかもしれない。 あの乳房だけでもとてつもない重量があるはずなのに、そこに上半身の体重を乗せられたらたまったものじゃない。 太ももの上に大の字に押し倒され、その上からズムッとのしかかってくる乳房。 更に乳房は上半身の体重を乗せられることでややハミ乳になる。 巨大な乳房が変形するほどにかかる重圧のその更に下に、俺はいることになる。 俺の小さな体は、完全にあの巨大な乳房の下敷きになってしまい、その乳房の持ち主であるハルからは見ることは出来ないだろう。 ハル 「あ、ごめん!」 などと言いながら慌てて上体を起こすと、自分の太ももの上でぺちゃんこになった俺をようやく見つけることができるはずだ。 シュウ 「………ハッ! いかんいかん、また妄想に突入してる…」 俺はまた頭を振った。 どうにもここの空気は異様に妄想をかきたてる。 そりゃ目の前で全裸の妹があらゆるものをむき出しにして体を洗っているのだ。様々な妄想が嫌でもよぎる。本来なら妄想どころではないだろう。 そしてこの風呂場の密閉された空間にハルの匂いが満ち始めている。女の子のフェロモンが、本能的な部分から俺を刺激する。 そのせいで妄想がとまらないんだ。 …欲求不満なのだろうか。 そう言えば1話でアスカが『元気君』の効果はその人の一番強い欲を暴走させるとか。 で、俺は1週間勃起がおさまらなかったんだが…もしかして俺は性欲が強いのか……? なんかへこむ。 などと俺がへこんでいる間にハルは髪を洗い始めたようだ。 縛らなければあいつの尻よりも下まで届く長い髪は、普通サイズの俺が見ても洗うのが大変そうだ。 しかしハルは手馴れた様子で髪に手を入れていく。 肩越しに前へと持ってきた髪を 指をクシの代わりにして梳かしていた。 その仕草があまりにも大人っぽくて、先ほどまでの本能にストレートな誘惑とは別の意味で魅力的だった。 やがて髪を洗い終えたハルは髪を巻き上げ頭にタオルを巻いた。 ハル 「ふぅ。じゃあお風呂はいろ」 ハルが手を差し出してくる。 俺がそれに乗るとハルは立ち上がり、淵を跨いで湯船に身を沈めた。 自身が湯に浸かったあとで、手のひらに乗せていた俺を湯船に解放する。 ハル 「ん~~気持ちいい~…」 湯船に沈んだハルが腕を上に伸ばしたあと盛大に息を吐き出した。 ハルの前にぷかぷかと浮かぶ俺に、突風が吹きつけてきた。 ついでにあいつが腕を伸ばしたとき、あの巨大な胸がぐぐっとせりあがった。 シュウ 「…」 改めて俺は、自分がハルの胸の前にいるのだと自覚する。 湯船の深さはおおよそハルの胸の高さ。巨大な乳房が二つ、俺のほうに向かってどどんと飛び出している。 しかも膨大な脂肪を内包する乳房は水に浮く。俺の前でたゆたう乳房はまるで小島のような印象だった。 などと思っていると突如水中から巨大な手が大量の水をザザーと押しのけながら浮上してきて、あの小島のように巨大な乳房を覆い隠した。 ハル 「そ、そんなにマジマジ見られたら恥ずかしいんだけど…」 シュウ 「わ、悪い…」 顔を赤くしながら言うハルに俺も顔を赤くしながら答えていた。 とは言えこいつのほうを向く限りは確実に胸を見なければならないのだが。 この広大な湯船の海の果ては風呂の淵によって囲われている。絶壁のように垂直に、しかも掴みどころも無いそれらは決して登ることはできないだろう。 俺にとって湯船の中で唯一頼れるのがこいつだった。 ハル 「ふぅ……でもアスカさんってホントに凄いよね~。こんな凄い道具を簡単に作っちゃうんだから」 ハルが感嘆の吐息をもらしていた。 確かに凄いが、それがなんの役にも立たないのも凄い。現に俺はこうして縮められて、一人では何も出来ない体にされてしまった。 ハル 「あはは、でもいいこともあるよ?」 シュウ 「は? 何かあるか?」 ハル 「こうやって、ちっちゃいお兄ちゃんで遊べること♪」 そう言いながら右手の指で俺の頭をちょいと押すハル。 すると俺の体は簡単に湯船に沈められてしまう。 シュウ 「ゴボボ…! や、やめろ!」 ハル 「あはは♪」 クスクスと笑うハル。 『元気君』を使っていないとは言え、やはり根っこのところでドSだ。無自覚に俺をなぶりやがる。 シュウ 「まったく…」 俺はため息をつきながらプカプカ浮いていた。 * そうして暫く湯に浸かっていた訳だが、 シュウ 「ふぅ…」 ちょっと疲れてきた。 何せ足など到底着かないような深い湯に延々と立ち泳ぎで浮いているようなものだ。 それだけならいいのだが、やはりお湯に長く浮くというのが日常で無いので、いつもより疲れやすい。 小さくなっている分、感じる波も高いし、結構なサバイバルだった。 ハル 「大丈夫?」 背後からハルが問うて来る。いたって普通で、疲れた様子など無い。 こいつにとってはただの入浴だし、もともと長湯もするからなんてことないのだろう。 シュウ 「ん? ああ、ちょっとな…」 ハル 「もう上がる?」 シュウ 「いやいや大丈夫だよ。気にすんな」 とは言ったもののこのままだとのぼせそうだ。 コイツの入浴に付き合うとふやけるんじゃないかってくらいに長引くだろうし。 かと言えここ出るというのもかっこ悪いような。 さてどうしたものか。 と、思っていると水中からハルの手が近づいてきた。 シュウ 「?」 俺が疑問符を浮かべていると、巨大なハルの指は俺の体をゆっくりと引き寄せていき、最後には胸の谷間に連れて行った。 ハル 「そこなら寄りかかれるし、大丈夫でしょ?」 俺を連れてきたハルの手が離れていくと俺はそこに取り残された。 背後にはハルの胸板。そして左右には、そんな胸板からどどんと飛び出る巨大な乳房。 水面の高さは、乳首の高さくらい。つまりは乳房の半分ほど。俺の左右には、まるっこい乳房の湾曲した壁面が、俺を挟む壁のようにして存在していた。 シュウ 「お、お前な…」 ハル 「いーの。でもあんまり触らないでよ?」 ハルがしゃべると俺の頭上にあるハルのあごが動いた。 巨大な妹の巨大な乳房の谷間にちょこんと置かれる俺。 そのあまりの存在の小ささと、気恥ずかしさと、気まずさに、俺は体をさらに縮こまらせた。 先ほども太ももに乗せられたりしてハルの体には触れていたわけだが、ここは胸の谷間だ。左右にある巨大な物体は乳房だ。太もも自体もレベルは高いが、ここは更に桁違いに高い。 色々な意味で緊張していた。まさしくのぼせあがりそうだ。 ハルの吐息が突風となって俺の正面、胸の谷間の前の湯気を散らしている。 湯も温かいが、背後に感じるハルの胸板もとても温かい。 湯で温まっているからだろう。 ただ、そのぬくもりこそが俺をドキドキさせる。 と、不意にハルが、湯船に入ったときにやったように腕を伸ばした。 両手の指を絡ませて腕を体の前のほうに向かって伸ばしたのだ。 すると前に伸ばしたその腕によって胸が寄せられ、谷間にいた俺はズンとぶつかりあった巨大な乳房の間に挟み込まれた。 シュウ 「ぶ……!」 ハル 「ん~♪」 ハルが気持ちよさそうに体を伸ばしているのがわかる。 しかしその胸の谷間では、俺は挟み込んでくる乳房の間でギュウギュウと圧迫されていた。 体は完全に乳房の肉の間に埋まっていた。柔らかくも弾力があり張りのある乳房は、挟み込んだ俺に指一本動かせないほどの圧力をかけてきた。 息も出来ないほどの窮屈さ。 シュウ 「ぐ……」 だが、同時に心が安らぐような心地よさを感じていた。 ハルの乳房に完全に挟み込まれ、全身をみっちりと包まれている。 この極限の窮屈さが、逆に、安心できた。 全身をぬくもりに包まれている。全身にときめくトクントクンという心臓の鼓動が、まるで母の中に舞い戻ったかのような安らぎを与えてくれた。 潰れそうなほどの圧迫感なのに、それが気持ちよかった。 …。 俺はドMかよ。 ハル 「ん? あっ、ゴメンお兄ちゃん!」 自分の胸で俺を挟み潰していることに気づいたハルが慌てて腕を広げ、寄せていた胸を開放した。 胸から開放された俺はその谷間の水面に浮いていた。 ハル 「だ、大丈夫?」 ハルが、谷間に浮かぶ俺を恐る恐る覗き込みながら訊いてくる。 シュウ 「……ああ…」 俺は答えていた。 別に、苦しくて動けなくなったわけじゃない。 ただ、あの心地よさの余韻に浸っていたかった。 心の底から安らげるあの場所を、気持ちが求めていた。 俺は浮いていた状態から体を起こした。 シュウ 「……なぁハル」 ハル 「な、なに?」 シュウ 「…た、頼みが、あるんだが…」 上から覗き込んでくるハルの視線から目を背けるように、赤くなった顔を逸らしながら、俺は言った。 * ハル 「こ、こんな感じ…?」 シュウ 「あ、ああ…」 顔を赤くしながらハルは、自分の胸の谷間を見下ろしながら訊いていた。 胸を外側から手で押してくっつけている。 その間に、俺はいた。 再び、ハルの胸の谷間に体を挟み込まれていた。 しかし今度は偶然ではなく、俺が自分の意思でハルに頼んでの事である。 互いに、現状をしっかり理解しての事だった。 ハル 「あ、あはは、なんでわたしこんなことやってるんだろ…」 顔を赤くしたハルは、胸の間に俺を挟みこみながら苦笑していた。 シュウ 「すまん…」 ハル 「ま、まぁその、たまには、ね…」 胸の谷間から頭だけ出す俺。 それ以外の部分はまたハルの乳房の間にみっちり挟まれている。 ただ、その圧力はさきほどよりも随分と加減されていた。 やさしく抱かれるが如き心地よさ。 あまりの温かさに心がとろけていくようだ。 ハル 「これが気持ちいいの?」 ハルは谷間から顔だけを出す俺を見下ろしながら言った。 自分の胸の間にほぼ全身を埋めてしまっている兄の姿はあまりにも滑稽で、とてもかわいらしかった。 ハル 「お兄ちゃんを胸の谷間に挟んでるなんてへんな感じ。でも、ちょっと楽しいかも」 自分の胸の谷間から顔だけをちょこんと出す俺を見下ろしハルは笑った。 その顔があまりにも気持ちよさ気なとろんとしたものだったからだ。 このまま眠ってしまうのでないかとハルは思っていた。 実際に俺は眠ってしまいそうだった。 人肌のぬくもり。心地よい弾力。あまりの心地よさに頭がボーっとしてきた。 ハルの胸に挟まれることが、こんなにもリラックス効果があったなんて。 水に浸かる普通の入浴以外に、岩盤浴、森林浴など様々な『入浴』があるが、今後これを『乳浴』と名づけることにしよう。 …。 上手くないな。 そんなどうでもいいことを考えるくらいにまどろんでいた。 が、 ハル 「これっておっぱいを動かしてあげたほうが気持ちよかったりするのかな?」 ハルは兄を挟む胸を掴んでいる手を動かし始めた。 俺は、自分を挟みこむ巨大な乳房がズリズリとこすれあい始めるのを感じた。 シュウ 「うぉ!?」 横を向いて挟まれている俺は、背中側を右の乳房に腹側を左の乳房にこすられた。 柔らかくて張りのある乳房に、全身をこすられていた。 全身を、パイズリされ始めたのだ。 もちろん、股間もである。 体の前面をこすっているハルの左の乳房の肌に、俺は股間をこすりつけている形だった。 モノの先端が、乳房の壁面にズリズリと勢いよくこすられている。 非常に甘美な刺激だったが、非常にヤバイ状態だった。 シュウ 「は、ハル…! やめ……んぐ!」 ハルを止めようとしたが股間への刺激が気持ちよすぎて言葉が途切れてしまう。 俺の分身、ちんぽはすでに発射体勢に入ってしまった。 ハル 「どう? お兄ちゃん」 ハルが無邪気な顔で俺を見下ろしてくる。 罪悪感が募った。 しかし俺はついにその刺激に陥落して絶頂を迎えてしまった。 シュウ 「うっ…」 自身の股間からそれが迸るのを感じる。 妹の胸にパイズリされて、胸にぶっかけてしまったのだ。 冷め行く興奮とは逆に、罪悪感が膨れ上がっていった。 だが、ハルは俺が逝ったにも関わらず手を動かし続けた。 気づいていないのか。とにかく俺は、自分の出したモノですべりがよくなった乳房の肌に更にモノをこすり続けさせられた。 罪悪感など感じる余裕が無いほどの快感が再び押し寄せてきた。 * * * リビング。 ハル 「あはは、ちょっとやりすぎちゃったかな…」 パジャマに着替えたハルは苦笑しながら手のひらの上で横たわる俺を見下ろし言った。 ハルの手のひらの上に大の字になる俺。精魂尽き果てていた。あのあと何回逝かされたかわからない。完全に搾りつくされていた。 ちなみに俺もパジャマを着ている。 こんなものは用意できているのに、なぜ元に戻るアイテムが用意されていないのか。 とにかく、ハルの手のひらの上でしおしおにやつれている俺。 シュウ 「最早 指も動かせん…」 ハル 「んー、じゃあ今日はもう寝ちゃおうか。明日になればアスカさんも元に戻れるようにしてくれるみたいだし」 言ってハルは俺を手のひらに乗せたまま立ち上がり、自分の部屋へと向かった。 * ハルの部屋。 ベッドに横になるハルと、その顔の横で同じように寝転がる俺。 シュウ 「いや、流石に寝るときくらい一人でも大丈夫だと思うが…」 ハル 「で、でも、お兄ちゃんを動けなくしちゃったのはわたしだし…。それに、久しぶりに一緒に寝るのもいいんじゃない? こんなことにでもなってないと出来ないんだしね」 こちらを向いて寝転がっているハルが手の指を使って俺の胸をトン トンと優しくつついた。 まるで、母が子を寝かしつけるような仕草だ。 まぁ、俺が動けなくなるほどに憔悴したのは、まず俺がヘンなことを頼んだからなんだが。 賢者タイムすらも過ぎ去った今となってはいったいなんであんなことを頼んだのか。 あまりに恥ずかしくていっそ更に縮めて欲しいくらいだ。 電気が消され暗い部屋の中も、目が慣れてくるとそれなりみものが見える。 ハルは、顔の横で寝転がる俺を見下ろして笑っていた。俺も自分の横にあるハルの巨大な顔を見上げていた。 こうして一緒の布団で眠るなど久しぶりの事だ。 もっとも今は夏なので互いに布団などかぶっていないのだが風邪を引くことも無いだろう。 ハル 「おやすみ、お兄ちゃん」 シュウ 「ああ、おやすみ」 挨拶を交わして、互いに眠りに落ちてゆく。 俺はまぶたを閉じて、意識が闇に溶けてゆくのを待った。 アスカのせいでどうなるかと思った一日も、終わってみれば平和なものだった。 誤算があるとすれば、ハルの寝相が悪かったことだ。 ハル 「ん~…」 ハルが艶かしい寝息と共に寝返りを打ったとき、 ズバァン! シュウ 「ぐっは…!」 体と同時に回転してきた巨大な手のひらが俺に叩きつけられた。 一気に目が覚める俺。 だが何が起きているのか理解する前に、俺に叩きつけられた手は握られ始め、俺はその手の中に捕まってしまう。 そして、 メキメキメキメキ…! 思い切り握り締められた。 まさに握り潰されてしまうような圧力が俺の全身を包み込んでいたのだ。 眠っているせいで遠慮が無い。眠っているせいでとめることも出来ない。 俺がどんなに悲鳴を上げても、ハルが起きる気配は無かった。 そのままハルが今度は反対方向へ寝返りを打つ。その途中で、俺を握っていた手は開かれ、俺は思い切り投げ飛ばされてしまった。 その先が窓で、そこにカーテンがかかっていなければ、俺は窓ガラスに叩きつけられて酷いことになっていただろう。 カーテンにバシンと叩きつけられた俺はその反動でやや跳ね返りベッドの上で仰向けになっているハルの、パジャマをはだけた胸元へと落下した。 風呂場でも挟まれた二つの巨大な乳房が、俺の左右に小山のようにこんもりと盛り上がっている。 そしてまたハルが寝返りをうち、俺はその乳房の間に挟みこまれた。 シュウ 「ぐぅ…!」 乳房と乳房の間。右側に寝転がったハル、その右の乳房を下敷きに、左の乳房がのしかかってきていた。 ひとつ5t以上もの重さのあるものが、俺に遠慮なくのしかかる。 更にそのままもう四半回転しうつ伏せになるハル。すると俺を挟んでいる乳房に更に体重が乗って俺を本気で潰しに掛かってきた。 そのあとも足の下にズシンと踏みつけてきたり、髪の毛に絡みつかれてしまったり、寝返りの際の裏拳を直撃させられた。 うつ伏せになったハルの顔の下敷きになりほっぺと枕の間に挟みこまれてしまったかと思えばそのあと上半身を咥えられてしまった。 顔を巨大な舌でベロリと舐められ、腰の辺りを前歯で噛まれ巨大な歯跡を残された。 こいつが体を動かすたびに俺は酷い目にあった。 つーか寝相悪すぎだろ…。 俺は広大なベッドの上を、そこで眠る巨大な妹から逃げ回っていた。 ハルの何かが次々と襲ってくる。 それらから逃げ回りながら俺はさきほどの考えがあまかったことを理解していた。 終わってみれば平和。それは間違いだった。 まだ終わってなどいない。これから地獄が始まるのだ。 俺に向かって落ちてくる巨大な足を見上げながら、俺は悲鳴を上げた。 * 翌朝。 ハル 「ふぁ~…」 目を覚ましたハルはベッドの上にペタンと座った格好のまま大きく伸びをする。 ハル 「おはようお兄ちゃん…」 目をこすりながら寝る前に兄のいた場所を見下ろす。 しかしそこに兄の姿は無い。 ハル 「あれ?」 ハルは周囲を探した。 枕元にはいない。手元にはいない。足元にもいない。 どこにいったのだろう。 と、思っていると、そこに何かの存在を感じハッとするハル。 自分の、お尻の下に。 恐る恐る自分のお尻の方を覗き込んだハルの目に飛び込んできたものは…。 * * * アスカ 「おはー。元の大きさに戻る道具が出来たーーー……んだけど、なんでそんなことになってんの?」 玄関前。 元の大きさに戻るための道具を持ってきたアスカは、バツが悪そうに苦笑するハルと、その指先に摘まれた、ペラッペラの俺を見て首をかしげた。 おわり おまけ 風呂場。 シュウ 「…」 ハル 「…」 アスカ 「はぁーいい湯だわ~…」 俺とハルがジト目で見る横で、当たり前のように一緒に湯に浸かっているアスカ。 シュウ 「いやいや、何 当然のようにウチの風呂に入ってんだよ」 アスカ 「固いこと言いっこなし~、昔は一緒に入ったじゃない」 シュウ 「いつの話だ」 俺はため息をついた。 ちなみに俺は1/20サイズ。同じく湯に浸かるハルの胸の前で浮いている。 つまり俺は妹と幼馴染の間に挟まれて一緒に風呂に入っているわけだ。 如何に気心の知れた仲とは言え、流石に目のやり場に困る。 そんなとき、 アスカ 「ん~…!」 アスカが気持ちよさそーに体をぐぐっと伸ばした。 腕を上に伸ばし、背伸びするように背筋を伸ばす。 すると、 ザバァァァァァアアアアアアアアアア!! 大量の湯を押しのけて巨大な乳房が浮上してきた。 まるで潜水艦の浮上である。 巨乳であるハルよりも更に大きなアスカの胸。 ハルが91cmであるに対しアスカは96cmにもなる。 今の俺から見るそれは、最早 天然の山みたいなものだった。 凄まじい大きさの乳房が急浮上してきたことで湯はうねりを上げて渦を巻き水面を大きく波立たせた。 大波が俺に遅いかかる。 シュウ 「がぼ…っ!」 アスカがちょっと乳房を動かしただけで巻き起こる波に大きく翻弄される俺があまりにも情けなかった。 ハル 「あのアスカさん、もうちょっと気をつけてくれないとお兄ちゃんが溺れちゃうんですけど…」 アスカ 「あ、ゴメンゴメン」 苦笑しながら頭を掻くアスカ。 アスカ 「いやーしっかしよっく小さくなったもんだねー」 お前が縮めたんだろ。と思う俺である。 などと思っていると突如真下から浮上してきた巨大な手によって俺は救い上げられてしまった。 ザバァァァ! 大量の湯が指の間を抜けて落ちてゆく。 俺だけが手のひらの上に取り残された。 手のひらに乗せた俺を顔の前に持っていって観察するアスカ。 俺は思わず股間を隠した。なぜなら今は全裸なのだから。 しかしアスカはそれを気にした風もなく、俺の体をいたるところからマジマジと見つめてくる。 巨大な目が、それも幼馴染の女の子がこうも見つめてくると、否応無く分身が反応してしまう。 アスカ 「ふむふむ、どこにも異常は無いみたいね。計算どおり。サイズも寸法どおりだし」 などと言いながらアスカが俺の体を巨大な指でつついてくる。 頭を撫でられ、胸を触られ、背中をくすぐられた。 その巨大な指が、両手で隠している股間にまで伸びてきたので。 シュウ 「や、やめろ!」 俺は慌てて指を払いのけた。 が、そのせいで大きくバランスを崩し、アスカの手のひらから落ちてしまった。 シュウ 「うわ!」 アスカ 「あ」 手のひらから落下した俺。 その後、アスカの胸でボヨンとバウンドして湯に飛び込む。 シュウ 「ぷはっ! いい加減に…!」 水面に顔を出した俺はアスカを振り返り文句を言おうとしたが、俺の前に浮かぶ、二つの超巨大乳房のあまりの迫力に言葉に詰まった。 まるで鯨か何かがそこにいるかのような、突っ込んでくるかのような迫力がある。 巨大な乳房は、ただあるだけで畏怖の存在だった。 同時に、とてつもなく巨大なその乳房はとてつもなく魅力的な存在でもあった。 男の憧れとも言える存在が、到底手に負えない大きさで、そして当たり前のようにむき出しになって存在している。 湯船にボンと浮いている。 その巨大で張りのある表面に波が打ちつけると飛沫となってはぜる。海に浮かぶ小島のようだ。 ただでさえ大きな胸が、今は小島サイズになって俺の前に二つボボンと展開されている。 そして背後には、こちらもただでさえ大きいのに今や巨大となったハルの胸がズイとせり出されている。 巨乳の幼馴染と妹の間に挟まれている。四つの巨大な乳房が俺を前後から挟みこんでいる。 その威圧感、閉塞感は凄まじい。 胸だけでなく、胸ほどまでしか湯に浸かっていない二人に前後から挟まれ見下ろされているというのは凄いプレッシャーだった。 二人の間で、二人の巨大乳房の間で、俺は縮こまっていた。 不意に、アスカが俺のほうに胸を寄せてきた。 突然前進してきた乳房は俺の左右をズイと取り囲んだ。 そしてアスカが胸を寄せる。 アスカ 「えい」 すると俺の体はその巨大乳房の間にズンと挟み込まれてしまった。 頭だけが、唯一それを免れ、乳房の谷間からちょこんと飛び出ていた。 アスカ 「ほらほら、パイズリしちゃうぞー」 などと言いながらアスカが俺を挟んだ胸を上下にずり動かし始める。 ミチミチミチ…! 俺の体は、今にも潰れそうな圧力に悲鳴を上げた。 シュウ 「うぐ…!」 俺自身は、あまりの圧力に悲鳴を上げることもできなかった。 アスカの胸はハルよりも大きいうえに、ハルと違って遠慮が無い。 遠慮なく寄せられた乳房の間でただでさえ潰れそうなほどの圧力がかかるのに、それをずり動かすものだから体が千切れそうな力がかかるのだ。 アスカ 「どう? 気持ちーい?」 アスカののんきな声に俺は返事をすることが出来なかった。 このままでは幼馴染の胸の谷間でミンチにされてしまいそうだったからだ。 容易いことだろう。こいつが胸を寄せる手の力をほんの少し強めれば、俺の体はプチュリと潰れてしまうはずだ。 シュウ 「し…死ぬ……。は、ハル……!」 俺はハルに助けを求めた。 しかし、 ハル 「…」 ハルは眉を八の字にし、人差し指の先を咥え、羨ましそーにこちらを見つめていた。 目が輝いている。 自分もやりたいということか。 ったくこいつらは…。 が、俺を挟んでいた乳房の谷間が突如開いて、俺はその間に開放された。 かと思った次の瞬間にはアスカの巨大な手が下りてきて俺を摘みあげた。 そして、 ガシッ ハル 「ひゃん!」 ハルの右横に移動したアスカは、右手に俺を乗せたまま、ハルの右胸を揉み始めた。 俺は、アスカの手のひらとハルの右胸の間に挟みこまれることになる。 ハル 「な、なにするんですか!」 アスカ 「いやいや~、ちょっと幼馴染の妹分の成長をだね…」 言いながら俺を間に挟んだまま手でハルの胸を揉むアスカ。 アスカが指をむにむにと動かすたびに、到底その手に収まりきらない巨大な乳房がぐにぐにと変形した。 アスカの指の間からはハルの乳房がはみ出てしまっている。 問題はそんな巨大な乳房が変形するほどに強く揉まれる間に俺も挟まれていると言うことだ。 柔らかくもしっかりとした弾力のあるハルの乳房に、埋まるほどの力で押し付けられている。 横っ面を張りのある乳房の表面が押し返してくる。乳房に頬ずりを強制されていた。 ハル 「ん…っ」 しかもアスカの指の動きが気持ちいいのかハルが艶かしい声を漏らし始めた。 同時に乳首もむくむくと勃起し始める。 アスカの手によってハルの乳房に押し付けられる俺の丁度腹辺りにあるハルの巨大な乳首が勃起によって更に大きくなろうとしていた。 俺は腹部にハルの巨大な乳首がむくむくとせり出してくるのを感じた。勃起してくる乳首に腹が押されて苦しい。 なんとか腹筋を強張らせ抵抗しようとするが、ハルの乳首はそんな俺の抵抗など簡単に突き破って更に腹に突き刺さってくる。 直径20cmほどもある。腹全体が圧迫されているような感覚だった。 アスカ 「ふふ、あんまりおっきさせちゃうとシュウが苦しくなっちゃうよ?」 俺を押さえ込んだままぐいぐいとハルの乳を揉むアスカが言う。 すでに苦しい。 と思っているとそんな手はパッと放された。 背後から押さえつけていたアスカの巨大な手から開放された俺は、ぶるんと元の形に戻ったハルの乳房に跳ね飛ばされて胸の前の水面に落下した。 シュウ 「げほっ…げほっ……、ったく何なんだよ…」 圧力から開放された俺はむせながら悪態をついた。 だが、そんな俺は突如影に包まれる。 恐る恐る振り返ってみれば、アスカとハルが間の俺の事を見下ろしてきていた。 アスカはにやにやと笑って、ハルはとろんとした顔で。 俺は、全身の血の気がひいていた。 アスカ 「んじゃちょっとサービスしてあげちゃおうか」 ハル 「気持ちよくしてあげるからね♪」 二人は言った。 そしてアスカとハルは体を寄せて抱き合った。 俺の前後にあったあの巨大な乳房たちが突如寄り合って間に俺を挟みこんだ。 ズム! 背後をアスカの乳房に、正面をハルの乳房に押さえつけられた。 俺はアスカとハルの胸の間に挟みこまれていた。 二人の巨大で張りのある乳房が、互いの乳房を押し返そうとぐいぐいと押し出されてくる。 俺はその間で押し潰されていた。 アスカ 「んーハルちゃんのおっぱい柔らかーい。そしてこの間にいるのがシュウね」 ハル 「アスカさんとわたしのおっぱいの間でぷにぷにしてあげるね♪」 ケラケラと笑うアスカとスイッチの入ったハルは互いの体を動かし胸を相手にこすりつけた。 その間で俺は、圧力が上下左右に動くこの乳房たちの間でメリメリと音を立てていた。 息が出来ないほどの圧迫。 アスカが胸を押し出すたびに、ハルが体をよじらせるたびに、意識が飛びそうなほどの圧力がかかる。 シュウ 「ぐぁ………だ、誰か…助けて……」 巨大な肌色の球体の間でもみくちゃにされる俺は声にならない声で助けを呼んでいた。 その声は、俺を挟みこむ膨大な脂肪の塊に吸収されて、外の二人の耳にまでは届かなかった。 そして二人が同時に胸を押し出したとき、 ぷちゅ 俺の意識はとんだ。 * * * 風呂上り。 ゴクゴクゴク アスカ 「ぷはー! やっぱりお風呂上りはこれよね」 胸元をはだけさせたパジャマを着て、首にタオルをかけたアスカが、コーヒー牛乳のビンを片手に言った。 はだけさせてなお大きすぎる胸はパジャマの胸元をパンパンに張り詰めさせている。 胸元のボタンは外されているが下乳から下の部分のボタンは閉められている。が、ボタンによってとめられた部分の生地はびんびんに伸びきっており、胸を反らそうものなら残りのボタンは悉くはじけ飛ぶだろう。 パジャマは内側からのとてつもない圧力にギリギリで耐えているのだ。 そんな、ノーブラでなおもギュッと寄せられている胸の谷間には俺が乗せられ寝転がされていた。 途方も無い圧力で気を失っていてさきほど目を覚ましたばかりなのだが、体のほうはまだ疲労のせいで言うことを聞かないのだ。 つーかそれは俺のコーヒー牛乳だ。 ハル 「ハァ…まったくアスカさんは…」 ため息をつきながらトボトボと歩いてくるハル。 パジャマ姿に、髪は乾かされていつものツインテールにされている。 アスカ 「まーまー、ハルちゃんだって気持ちよさそうにしてたじゃない」 ハル 「そ、それはアスカさんに胸を揉まれたからで…!」 アスカ 「胸の間にシュウがいたからじゃないのー? 最後 お風呂の中でイっちゃったでしょ」 ハル 「ち、ちが…っ!」 顔を赤くしたハルが手をグルグル回しながら抗議する様をアスカは笑いながら見ていた。 アスカが笑うと俺を乗せている胸が上下に動いた。 * ハルの部屋。 アスカ 「で、なにしよっか? ゲームでもする?」 床に敷かれた布団の上に座り込んだアスカが言う。 俺は未だに谷間に乗っけられたままである。 ハル 「ゲームっていったい何をするんですか? お兄ちゃんはこの通りですし」 同じく布団の上にペタンと腰を下ろしているハル。 枕を抱きながらアスカをジト目で見る。 アスカ 「そだね、シュウも参加できるゲームとなれば……王様ゲーム?」 ハル 「お、王様ゲームですか…」 ハルがげんなりする。 それはアスカの谷間に転がされる俺も同じだった。 だがアスカはチッチッチと指を振った。 アスカ 「ただの王様ゲームじゃないよ。王様はあたしとハルちゃん、シュウは命令される人」 シュウ・ハル 「は?」 俺とハルは同時に聞き返していた。 アスカ 「あたしとハルちゃんがシュウに交互に命令して、シュウはそれに従う。出来なかったら罰ゲーム」 何言ってんだこいつは…。 つかそんなの王様ゲームでもなんでもねーじゃねーか。 アスカ 「例えばー…」 と言いながらアスカは胸の谷間に転がしていた俺をつまみ出し、自分の目の前に置いた。 俺にとっては雲のようにもこもことした布団の大地だ。 そしてそうやって布団の上に下ろされた俺の上に、アスカが座ったまま右足を持ち上げ翳してきた。 俺の頭上に、アスカの全長4m80cmの足の裏が現れる。 んで、 ボフッ 踏みおろされた。 俺はアスカの巨大な足の裏と柔らかな布団との間に挟まれる。 風呂から上がったばかりのアスカの足の裏はとても温かかった。 で、 アスカ 「10秒以内にそこから出てこれなかったらちょっと強く踏むよー」 アスカが言った。 ふざけるな! と思いつつも急いで脱出しようとするが、こんな巨大な足の裏に踏みつけられてて脱出できるはずが無い。 全長4m80cm幅1m60cm。俺が両手を広げても届かないような足の裏である。 下が柔らかな布団のお陰でさほど苦しくは無かったが、逆に踏ん張りが利かず這い出ることができない。 結局そのまま10秒が経過してしまい、 アスカ 「はい罰ゲーム」 むぎゅ! 俺を踏みつけるアスカの足の力が強くなり、俺はその柔らかな布団に埋まるほどに強く踏みしめられた。 今度は確かに苦しかった。 しかもアスカは俺を踏む足をぐりぐりと動かすものだから溜まったものではない。 そしてアスカが足をどけると、足の下から目を回した俺が現れた。 アスカ 「とまぁこんな感じで。シュウが気を失ったら負け」 ハル 「あ、面白そうですね♪」 ハルが笑いながら言った。 冗談じゃない…と、アスカに踏まれてやや痛む体を起こす俺。 だが突如ズシンと地面が揺れ、何かと思って振り返ればハルが立ち上がっていた。 ハル 「じゃあ今からお兄ちゃんを狙って足をおろすからちゃんと避けてね」 俺が抗議する前に、ハルの巨大な足が振り上げられた。 俺は走り出した。しかしこのふかふかでモコモコの地面は走るには最悪だった。 とくにこのサイズでは布団の小さな膨らみですら小山のようなものである。 そこに、ハルの足が遠慮なくズシンと踏み込まれる。 地面が揺れた。布団の大地が変形するほど巨大な足の一歩だ。 制限時間は10秒であったが、俺は3秒と経たずして足に捕まってしまった。 ハル 「もうお兄ちゃんたら。もっと逃げてくれないとゲームにならないよ」 俺を踏みつける足をぐりぐりと動かしながらハルが言う。 ハル 「それじゃ罰ゲームね」 そう言うとハルは俺に乗せていた足をどけた。 これが罰ゲームじゃないのか…? 踏みつけられ地面に埋め込まれた俺は、巨大なハルが後ろを向くのを見上げていた。 そして、 ハル 「よいしょっと」 俺の上にペタンと座り込んだ。 パジャマに包まれたハルの巨大な尻が布団の上に大の字になる俺の上にズシンとのしかかった。 シュウ 「むぐ…!」 俺は完全に下敷きにされてしまった。 ハル 「ほらほら、罰ゲームだよ♪」 などと言いながらハルが俺にのしかかるお尻をぐりぐりと動かす。 ただ足を乗せられるだけのときとは比べ物にならない重圧がかかる。ハルの膨大な体重だ。 加減はしているようだが、それでも重い。 ハルの尻がどけられたときには、俺は息も絶え絶えだった。 だが、 アスカ 「んじゃ次はあたしね」 布団の上に横たわる俺を、アスカの巨大な顔が覗きこんでくる。 布団の上に座る小山のように巨大な幼馴染と妹が、その間にて大の字に寝転がる俺をにやにやと笑いながら見下ろしてきていた。 これから、俺を生かさず殺さずのゲーム大会が始まるのだ。 俺は、自分目掛けて降りてくるアスカの巨大な手を見上げながら己の運命を覚悟した。 #4 夏。 早朝。 シュウ 「う……」 あまりの寝苦しさにうなされた俺はハッと目を覚ました。 すると、このクソ暑い中、俺の腰に抱きついて眠るモノがあった。 アスカである。 シュウ 「…」 アスカ 「ぐー」 俺の腰をガッチリホールドし、にやけ顔でよだれをたらしながら眠るアスカ。 胸が押し当てられているのが若干気になったが、問題はそんなことではない。 俺は寝こけているアスカの鼻をつまんだ。 アスカ 「ぐー。………む……………ぬお!?」 息の出来なくなったアスカが目を覚ました。 アスカ 「あ、シュウ。おはー…」 まだ眠たげな顔のアスカが朝の挨拶をしながら俺の腰に顔を埋めてすりすりする。 やめろ。 シュウ 「おはー。じゃねーだろ! なんでここにいる!」 アスカ 「いやー、今朝面白いものを作ってさー。シュウに見てもらおうと思って。で、来たらシュウがあまりにも気持ちよさそうに寝てるもんだからつい一緒になって眠っちゃって…」 シュウ 「まだ4時前だぞ…。ていうか玄関には鍵かかってるはずだが…」 アスカ 「ちょっと前に作ったワームホール発生装置を使って……」 シュウ 「待った。それ以上言わなくていい」 寝ぼけ眼のまま説明するアスカを遮った俺。 こいつが日々何を発明しているのか。それは知らないほうが身のためと言うものだ。 知れば平穏に過ごせなくなる。 俺はアスカを腰から引っぺがし、ベッドの上に座らせる。 シュウ 「はぁ…。で? 今度は何を作ったって?」 俺は作ったものの説明をアスカに促した。 こういうときはとっとと説明させて満足させて帰らせるのが一番である。 アスカ 「んっふっふ、良くぞ訊いてくれました」 言うとアスカがパジャマの胸ポケットからスマホを取り出した。 ていうかお前寝巻きかよ。 アスカ 「その名も『トランスフォーマーEX』! 通称『トラさん』よ!」 バン! と俺に向かって突き出されたスマホの画面にはデカデカと『トラさん』と表示されている。 シュウ 「……で、『トラさん』ってなんだよ」 名前だけでは判別しにくい。 トランスフォーマー? 変形でもするのか? アスカ 「もちろん、その名の通り、変身できるアイテムよ!」 トランスフォーマーよりもメタモルフォーゼの方が合うんじゃないか? アスカ 「ただ、今はまだ開発途中で、変身できるものも一種類しかないんだけど」 しかも中途品かよ。 ま、こいつのことだから、とりあえず完成したのがうれしくて見せに来たってところか。 シュウ 「はいはい、それで何に変身できるんだ? ヒーローかなんかか?」 アスカ 「いやいやいや、もっと庶民的なものよ。えい」 アスカがアプリを起動すると俺の体がまばゆく光った。 一瞬、その光のまぶしさに視界を奪われる俺。 そして光が収まると、世界が一変していた。 自分の周囲のあらゆるものが、およそ200倍もの大きさに巨大化していたのである。 周囲のものが巨大化。最早、見慣れた光景だった。 シュウ 「なんだ…また小さくなる系かよ…」 アスカ 「うんにゃ、ただ小さくなったわけじゃないよ。ほれ」 言いながらアスカが手鏡を取り出し俺に向けてきた。 そこには、小さな小さな、一匹の蚊が映っていた。 シュウ 「……は?」 アスカ 「ビックリした? シュウは今、『蚊』に変身したの」 シュウ 「はぁぁ!? 蚊ってなんだよ!」 アスカ 「夏になるとぷーんって鬱陶しい、あの蚊よ」 シュウ 「んなこと知ってるわい! なんで蚊なんかを変身の選択に選んだんだってーんだよ!」 アスカ 「そりゃ昨日蚊に刺されたときに閃いたからよね。アイデアは日常の些細なところから生まれてくるのよ」 うんうん、と頷くアスカを見上げながら、蚊になった俺はベッドの上で落胆した。 アスカ 「でも蚊って拡大してみると結構グロテスクなのよねー。それっぽく擬人化しとく?」 シュウ 「……勝手にしてくれ…」 俺はため息をついた。 リアルな蚊なのか、羽と針のついたマスクを装着した擬人化…つーか仮装なのか、それともあのゲームの蚊みたいなのか。 どうでもいいことだった。 とりあえず俺の大きさは現在1cm弱にまで縮んでいるようだ。 本来の200分の1の大きさ。周囲のものが200倍の大きさに見える。 俺の前でベッドにペタンと座るアスカも、200倍ともなれば座っていながらにして山のような巨大さである。 アスカ 「まぁまぁ、そんなにがっかりしないで。ただ蚊の格好してるだけじゃないんだから。ちゃんと体の機能だって本物の蚊と同じなのよ」 シュウ 「でっていう」 アスカ 「機能が同じってことは、蚊みたいに空も飛べるってこと」 シュウ 「……お?」 アスカの言葉に、俺はちょっとだけ気持ちが上がった。 空が飛べる。それは少し興味がある。 シュウ 「どうすればいいんだ?」 アスカ 「簡単よ、飛びたいって思えば体が勝手に飛んでくれるから。人が無意識のうちに歩いてるのと同じことよ」 アスカの説明は実にざっくりとしたものだったが、逆にわかりやすい。 俺は言われたとおり、体が浮かび上がるようにイメージをした。 すると背中の羽根が動き出し、俺の体はあっさりと宙に舞い上がった。 シュウ 「うおっ! すげぇ!」 俺の感覚で、あっという間に50m近くも上空に上昇した。 自在に跳びまわれる。ある種、あこがれていた体験だ。 空を飛んでいた。 その飛んでいる状態が蚊だというのがちょっとアレであるが。 アスカ 「どうよ、凄いでしょ」 シュウ 「ああ、これは確かに凄い。でもわざわざ蚊になるんじゃなくて、単に空を飛べるようになるだけの方がありがたみがあるんだが…」 アスカ 「それじゃ変身の意味がないじゃない? それにまだ、蚊の最も特徴的な能力を使ってないじゃん」 シュウ 「もっとも特徴的?」 アスカ 「そう、吸血よ!」 アスカが巨大な指をビシッと伸ばしながら言った。 確かに蚊と言えば血を吸われるイメージが強いが…。 シュウ 「いや…血なんか吸いたくないし…。それに血を吸うのはメスだろ?」 アスカ 「その辺はしっかりと調整しておきました。更に…」 シュウ 「な、なんだよ…」 アスカがニヤニヤ笑い出したので俺は引いた。 アスカ 「シュウ、なーんかムラムラしてこない?」 シュウ 「……!」 言われてみれば、確かにアスカを見てるとなんか異常にムラムラしてくる。 アスカ 「んっふっふ、変身したら異性に興奮するようにしておいたのです!」 アスカがでかい胸を張った。 アスカ 「しかも血を吸うと快感を得られるようにしておきました。つまり、蚊になったら異性の血を吸いたくて仕方なくなる!」 どーん! アスカが言った。 余計なことを…。 しかしどれだけ理性で抗おうとも、蚊の体が本能的に、そして性的にアスカの血を、体を求めている。 抑制しようとしてるのに、俺の体はふらふらとアスカに向かって飛んでいった。 アスカ 「ほーら、おいしい毛細血管だよ~」 などと言いながらアスカが襟を引っ張り首元をあらわにした。 すると俺は最早我慢ができず、ビュンとそこに飛びついて口の針をプスッと指した。 そしてちゅーと吸血を始める。 吸血を開始するとまるで射精したみたいな快感が押し寄せてきた。 あまりの気持ちよさに体が震える。 吸血が、止められない。 アスカ 「あはは、がっついちゃって」 アスカの笑い声が、その首に張り付いている一匹の蚊である俺を揺るがした。 この至近距離では、声だけで吹き飛ばされそうだ。 今の自分が、あまりにもちっぽけな存在である証拠だった。 シュウ 「く、くそ…」 くやしい。でも吸血を止められないビクンビクン。 歯噛みしながらも吸血をやめられない俺を、アスカがくすくすと笑う。 首筋にくっつく今の俺など8mm程度の大きさしかない小さな蚊だ。 まさに、手のひらでピシャリと潰されてしまえばそれまでである。 そして、こうして衝動に駆られ吸血をやめられない自分を見ていると、吸血をしている蚊が簡単に潰されてしまうのがよくわかる。 手のひらどころか、指先一つで十分だろう。 俺から見る今のアスカの指は太さ3m全長14m以上もある。 小指の先をほんの少し押し付けられるだけでも、俺はプチッと潰されてしまうのだ。 想像したら体が震える。蚊にとって、これがどんなに命懸けなことかわかる。 しかしアスカは俺に手を伸ばそうとはせず、俺が吸血を終えるのをじっと待っていた。 やがて吸血を終えた俺はそこから離れると差し出されてきたアスカの手のひらの上にポトッと落下した。 アスカ 「満足した?」 アスカがニコニコ笑いながら見下ろしてくる。 だがその巨大な手のひらの中央に大の字に転がる俺は答えることが出来なかった。 耐え難いほどの快感と快楽。そして満腹から動けなかったのだ。 賢者タイムに突入していた。 しかし、 アスカ 「あ。そー言えば、蚊って足の臭いに反応するらしいよ。試してみる?」 言うとアスカは女の子座りから片膝を立てた座り方へと体勢を変え、右手に乗せた俺を、その立てた右足のつま先の前に転がり落とした。 ドサッ。布団に落下する俺。 ただ、今は蚊の体だからか、下が布団だからか、そこまで痛くは無かった。 だが突然振り落とされれば驚きはする。 シュウ 「うぐ…何すん…!」 と文句を言おうとした俺が体を起こすと、目の前にはアスカの巨大な右足のつま先が鎮座していた。 柔らかな布団にずっしりと沈み込んでいる。 全長48m幅16mの超巨大な足である。足の指一本の太さは3m、長さは4mほどにもなる。親指に至っては家のように巨大だった。 足の指たちに見下ろされ、そのあまりの迫力に臆し言葉に詰まる俺。 指の一本ですら一車線分の幅を取り、足全体ともなれば余程の大都市でもない限りそれを踏みおろせるだけの幅のある道路はないだろう。 普通自動車の全長を5mとした場合、今のアスカの足はおよそ10倍もの大きさがある。足の幅ですら全長の3倍以上の大きさだ。 逆にアスカから見る普通自動車は全長2.5cmとちっぽけなもので、この巨大な足の親指をズンと乗せるだけでペチャンコにしてしまえるだろう。 などと思っているとアスカがその足の指を動かした。 アスカ 「ほれ、どうかな?」 巨大な足の指が持ち上がり、ぐわっと開いた。 まるで怪獣が威嚇するかのような恐怖を覚えた。 しかし、同時にその開いた足の指の間からただよってきたアスカの足の臭いに体がビクンと反応し、散々吸血したはずの俺は勢いよく飛び立ってその巨大な親指と人差し指の股に飛びついていた。 そしてそこに、針を刺す。 すると俺を挟みこむ左右の巨大な足の指がビクンと動いた。 アスカ 「あん、シュウくすぐったいよ」 アスカが楽しそうに笑う。 俺が針を刺したときのチクッとした感触を、敏感な皮膚に感じ取ったのだろう。 もしもアスカが足の指を握ったりしていた場合、俺はひねり潰されていたかもしれない。 もちろんアスカも気をつけて、足の指は開いたままにしてくれていたようだが。 満腹だったはずなのに俺は吸血を止められなかった。 そこから漂う足の臭い、石鹸の匂い、そして女の子のアスカの香りが、男としての俺の本能と蚊としての本能を刺激し、吸血を止めることを許さなかった。 やがて吸血を終えた俺は足の指の間からポロッと落ちて布団の上に転がった。 そんな俺を、足をどけたアスカが覗き込んでくる。 アスカ 「大丈夫?」 シュウ 「く、苦しい…」 俺の体はまるまると太っていた。 吸血のし過ぎである。最早飛ぶことも出来ない。 アスカ 「ふむ…ちょっと調整間違えたかな。体の限界よりも欲求のほうが優先されちゃってる」 言いながらアスカはスマホをポチッと操作した。 すると膨れ上がっていた俺の体キュッと元に戻った。 アスカ 「ほい。これで大丈夫でしょ」 アスカの言うとおり、俺の体は血を吸う前の身軽な状態に戻っていた。 むくりと体を起き上がらせる。 シュウ 「はぁ…まさか血の吸いすぎで死にそうになるとは…」 アスカ 「そこは修正しておくよ。じゃあ行こっか」 アスカが俺のベッドからおりる。 シュウ 「ん? どこにだよ」 アスカ 「えー、ハルちゃんのとこに決まってるじゃーん」 わかってるくせにー。みたいな顔をするのはやめろ。 アスカ 「単純にもうちょっとデータ欲しいのよね。えい」 アスカがスマホを操作すると、部屋の中の空間にブゥンと『穴』が出来た。 アスカ 「ほらいくよ」 ベッドの上にいた俺を摘んだアスカはそのまま『穴』の中へと入る。 『穴』を潜り抜けた先はハルの部屋だった。 これが最初にアスカが言いかけた『ワームホール発生装置』なるものの効果なのだろう。 AとBの間を繋ぎ距離を0にする。 しかし俺の部屋の隣にあるハルの部屋に行くのにわざわざそんな大層なものを使う必要があるかどうかは甚だ疑問である。 * アスカ 「おじゃまー」 などと言いながらハルの部屋に入るアスカ。 部屋に入ると同時に俺は解放されそのまま飛び上がった。 まだカーテンも開けられていないハルの部屋。 薄暗く、それでいて換気のなされていない部屋の中にはむせ返るほどの女の子の匂いに包まれていた。 思わず、生唾を飲んでしまう俺だった。 そしてベッドの上では、部屋の主であるハルがすーすーと小さな寝息を立てていた。 すやすやと穏やかな顔で眠っている。 例え妹でも、女の子の寝顔というのは覗いてしまうと少し背徳感を感じてしまう。アスカはノーカン。 しかしその慎ましい寝顔とは裏腹に、その姿はお淑やかさとはかけ離れたものだった。 布団は蹴飛ばされベッドから落ち、長い髪はバサリと広がり、パジャマのズボンなどはややずり落ちてパンツが見え、上着のボタンなどはことごとく外されパジャマは肌蹴られている。 むき出しの乳やお腹などに興奮する前に、自分の妹の淑女としてあるまじき痴態に羞恥心が湧き上がってきた。 可能なら今すぐボタンを閉めズボンを上げパジャマを直してやりたかった。 アスカ 「ハルちゃんって相変わらず豪快な寝相だよね」 ハルを見下ろすアスカがクスクス笑いながら言う。 しかし先日、その寝相の悪さに殺されかけた俺としては到底笑うことは出来なかった。 アスカ 「うーん、しっかしおいしそうなカラダしてるわー。女のあたしから見てもそう感じるんだからシュウから見たら相当よね?」 言いながら顔の横を飛ぶ俺を見るアスカ。 確かにこうも無防備にむき出しにされたハルの肢体は俺の本能を刺激し、胸をドキドキさせ、息を荒くさせ、理性を揺るがす。 このアプリのせいもあるだろう、今にもかぶりつきたい衝動に襲われていた。 しかし相手は妹のハルだ。 いくら蚊と言え、性的欲求から寝込みを襲うなどということが許されるはずが無い。 俺は性欲に侵食されつつある理性を総動員して、小さな体を震わせて耐えていた。 まぁ、すでに風呂やらオナニーに同席してしまっているので今更な抵抗ではあるが。 アスカ 「ちなみに吸血してもかゆくなったり痕が残ったりはしないから好きな場所から吸っていいわよ」 どうでもいい。いや、どうでもよくはないけど。 とにかく俺は性欲を抑えられなくなる前にこの場を離れなくては。 しかし現状理性と性欲の比率は五分であり、飛び掛るも離れるも出来ずその場にとどまっていた。 そんな葛藤の最中にある俺を無視し、ベッドの上で大の字になるハルに近づいていったアスカは、ボタンがはずれ、ただ羽織っているだけのパジャマの上着をペラリとめくった。 シュウ 「!?」 すると、布を被されギリギリ隠されていた乳房が全開になる。 ハルの上半身はむき出しとなり、その胸板の上に乗っている、ふたつのおっぱいを余すところ無く見ることができるようになった。 俺の性欲の支配力が少し上昇した。 アスカ 「うんうん、いいおっぱいだ」 などと言いながらアスカがハルの乳房を指先でつつく。 アスカの指が触れると乳房の表面がぷにっとへこんだ。 弾力と柔らかさの共存する、肉まんよりも大きな物体。 ハル 「すー…」 変わらず寝息を立てるハルは、胸をつつかれても起きる様子はない。 そうやってアスカがハルの乳房を弄んでいる様を見ていると性欲が駆け上がってくる。 理性が駆逐されていく。 自分の意思ではどうにもできない、生物としての本能が脳を侵略していった。 気づいたときには俺はハルに向かって飛び掛っていた。 小さな小さな羽根を全力で動かし、一直線にそのむき出しの乳房に向かっていた。 そしてハルの左の乳房の表面に飛びつき、口をプスッと突き刺した。 ちゅー。全力で吸血する。 食欲を満たす満足感と性欲を満たす快感が体を物理的に膨れ上がらせていった。 アスカ 「おー、シュウの体がどんどん膨らんでく。ハルちゃんの血はそんなにおいしいの?」 アスカがクスクス笑いながらハルの乳房にくっついて吸血する俺を見下ろしてくる。 実際にハルの血は極上だった。 アスカが不味かったというわけではない。 ただ、先ほどは感じられなかった濃厚な旨みが今吸っている血には感じられた。 ここが乳房だからなのだろうか。血の中に、ハルの乳が混じっているのだろうか。 だとしたら俺はハルのミルクを飲んでいるということになるのだろうか。 恐ろしく背徳的な考えが脳裏をよぎる。 しかしその旨みは、吸血することをやめられないほどに美味だった。 アスカ 「せっかく調整したのに、そんなに吸ったらまた苦しくなっちゃうよ。しょうがないなー」 スマホを取り出したアスカがポチポチと操作すると、俺の体はシュルシュルとしぼんで元の形に戻っていった。 そして以後、それ以上膨らむことは無かった。 アスカ 「ほい、どんなに吸血しても膨らまない、苦しくならないようにしたから好きなだけ吸いなはれ」 アスカが言う。 しかし俺はアスカの言葉に関係なく、ただひたすらにハルの血を吸っていた。 蚊となり、大きさおよそ8mm程度にまで縮んでしまっている俺にとって、ハルの乳房は標高数十mの小山か小高い丘のようなものだった。 その質量はおよそ5600t。俺の体重を60kgとした場合、その9万3千倍もの重量である。 とんでもない質量、そして体積だった。 俺がどれだけ血を吸い続けても無尽蔵にあふれ出てくるだけの量が詰まっていた。 その頂にツンとある乳首だけでも相当に巨大である。 約200分の1サイズに縮んでいる俺からは相対的に200倍の大きさに巨大化している乳首は、その乳頭の高さだけでも2mにもなる。 俺の身長よりも高い。そしてその直径も2mを超え俺が両手を回したところで届くはずも無い。表面に両手を広げて抱きついている程度のものだ。乳頭だけでも、俺よりもはるかに巨大だった。 乳輪も直径だけで8mほどにもなりピンク色の地面が広がっているようだった。 すやすやと眠るハルの乳房から血を吸うことの背徳感、罪悪感、そして、こうやってどれだけ吸血してもハルの体には何の影響も与えられない敗北感、貧弱さ、負の感情が次々にこみ上げてくる。 ただ眠っているだけのハルの、その乳房にすら勝てない俺の、非力を通り越して無力な存在に価値観が見出せなくなる。 しかしそれでも、吸血するほどに感じられる快感に、吸血をやめられなかった。 アスカ 「次はこっち行ってみよっか」 アスカは乳房に取り付いていた俺をつまみあげるとハルの足の裏のほうへと持って行った。 開放された俺の目の前には、ハルの足の裏の絶壁がドンと聳え立っている。 全長48mにもなる肌色の絶壁だ。 先ほどのアスカのときとは違いつま先でない分 足の匂いというのは強くないが、それでもあふれ出るハルのフェロモンは俺の性欲を刺激して止まない。 俺はハルの足の裏にピトッくっついて吸血を開始していた。 乳房のときとは味が違う。そして突き刺した皮膚の感触も、こちらのほうが強い印象であった。 常に、ハルのこの巨体を支えている足の裏だ。決して硬質化してしまっているわけではないのだが、その鍛え抜かれている足の裏の皮膚は、貧弱な一匹の蚊になった俺には強靭な壁だった。 巨大な足の裏のほんの一部にくっついていると、まるで踏み潰される寸前であるような気がしてくる。 今の俺は蚊だ。虫だ。まさに虫けらとしての最後を演出しているようだった。 この巨大な足の前には俺のすべてが無力だろう。ハルにとって今の俺は無意味な存在だった。 仮にハルが起きていて、テクテクと歩いていて、その一歩に今の俺を踏み潰したとしても、それを感じ取ることも出来ないのではないだろうか。 巨大な足の裏で踏み潰された俺は一瞬でミンチ以下にまで引き伸ばされ床とハルの足の裏にこびり付く汚れとなる。 俺という命ある存在は、ハルにとっては足の汚れ程度の存在にすぎない。 ハルの巨大な足の裏の強靭な皮膚の前に、俺は踏み潰されシミに変えられたとしても、その感触は皮膚の奥にすら到達できないだろう。 結果、ハルはまったく気づけない。まったく気づかぬうちに俺を踏み潰し、足の裏にくっつく汚れに変え、そしてそのままテクテクと歩くうちにその汚れすらこすり落とされ、最後は消えてなくなる。 踏み潰すところから完全に消滅させるまでを、まったく気づかぬうちに終えるのだ。 今の俺とハルの関係はその程度だった。気づかぬうちに消される存在だった。 などと力の関係を思い知りながら吸血していると再びアスカの指が迫ってきて俺をつまみあげた。 アスカ 「足の裏は吸血しにくそうね。こっちにしてみる?」 再び移動させられた俺は、今度はそこにおろされる。 ハルの唇の上だった。 薔薇色に輝くぷるんとした唇。厚みは俺の体よりも大きく、上に立つのに何の問題も無い。 今は下唇の上に立ってその巨大な唇を見下ろしていた。わずかに開いた唇の間には広大な口腔が広がっていた。中は闇に包まれ、まるで地獄に繋がっているかのようだった。その隙間から轟々と呼吸の突風が出入りし、もしもその突風に巻かれその唇の間に落ちてしまったらもう出てくることができないかもしれない。 唇だけではない。正面に見える巨大な鼻のその穴からはこちらにむかって突風が吹きつけてきていて気を抜くと飛ばされてしまいそうだった。遠くにいたときは穏やかに見えた寝息も、この大きさでこの距離となると顔を覆いたくなるほどに強烈な風だった。 口の周囲は吐息のせいか暖かい。柔らかな唇はぷにぷにと心地よい弾力があり寝転がってしまえばこの風も心地よいそよ風に感じられるだろう。 俺はそんな赤い唇に針をプスっと刺していた。 ハルの唇に俺の口である針を刺す。これはキスになるのだろうか。 柔らかな皮膚に針は容易く刺さり、そこから唇同様に赤い血をちゅーと吸い上げる。 乳房や足の裏から吸血したときよりも熱い。体が火照ってしまいそうだ。 ハル 「ん…」 ハルがわずかに口を動かし小さく呟いた。 それは唇にくっつく俺にとっては地面が1m以上も動くと言うことだ。 たまらず振り落とされアゴのほうに転がり落ちる俺。 シュウ 「いたた…」 喉のほうにまで落ちはせず、丁度の唇の下、あごの上あたりで停止したのだが、それでも突然動いた地面にすっ飛ばされ転がれば体も打ち付ける。 蚊の体のおかげなのか痛みはさほど無かったが、それでも多少は目が回った。 アスカ 「くくくく、大丈夫?」 笑うのをこらえながらアスカが見下ろしてくる。 そりゃそうだ。ハルがほんの少し口を動かしただけで吹っ飛ばされ体を打ち付けているというなんとも滑稽な様を見下ろしているのだから。 アスカ 「まぁでもあんまりやるとハルちゃんも起きちゃうかもだし、次くらいでやめとけば?」 アスカがスマホを俺の上に翳して時間を表示して見せた。 それなりに時間も経っているし、そうでなくともハルがトイレなどに起きてしまうかもしれない。 俺はアゴの上から飛び上がると、ハルの右のほっぺの上に移動した。 飛び上がったとき、ハルの巨大な寝顔を見下ろせた。広大な面積があった。閉じられた目や鼻、そして口のひとつひとつが、小さな設備ほどの大きさだった。 ハルのほっぺに降り立った俺。広大な肌色の平面が緩やかな勾配とともに広がり、横には巨大な鼻の山などを見上げることが出来た。 今の俺から見てもきめ細かい肌だ。穢れの無い肌は、乳房や唇以上に針を刺すのをためらわれる。 しかし血を吸うなら、口付けをするなら頬だ。という俺の勝手な観念から最後をこの場所に選んだ。 静かに針を刺し、吸血を開始する。 体の中がハルの血で満たされてゆくのを感じる。 ハルのすやすやという寝息をBGMに俺は体を、心を、性欲を、ハルの血で満たして行った。 アスカがアプリを調整してくれたおかげもあってどれだけ吸っても苦しくない。 しかし体はどんどん満たされていくのを感じていた。 絶頂に上るような快感と、深い満足感の海に身を沈めるような安らぎ。 ハルの血を吸うほどに、俺の心はハル自身に抱擁されるかのような安心感に包まれていった。 そうやって血を吸いながら安らいでいる俺のいるほっぺが薄暗い部屋の中でも更に暗くなったかと思うと、ハルの巨大な右手が飛来してこの広大なほっぺ全体をペチッと叩いた。 アスカ 「あ」 目の前で見ていたアスカが小さく呟く。 未だに眠っているハルが、ほっぺに違和感を感じ取ったのか、それとも蚊の襲来に気づいたのかは定かではないが、ともかくハルは自身のほっぺを右手で叩いていた。 ハル 「ん…」 自身は小さく呟いたのみ。 そして手はぽっぺから離れていき、ハルはまたすーすーと寝息を立て始めた。 すやすやと穏やかな顔で眠るハルのほっぺには、小さな赤いシミが出来ていた。 * 俺の部屋。 全裸にされた俺は部屋の床に仰向けに倒されていた。 体は通常の1倍の大きさ。しかし手足は麻痺しているかのように動かすことが出来ず、そして股間の分身はギンギンにそそり立っていた。 自分の部屋でギンギンになり寝転がる男。変態である。 しかしこれは、俺の意思ではなかった。 シュウ 「ど、どういうつもりだ! アスカ!」 俺は部屋の中にいるはずの諸悪の根源を呼んだ。 その姿は見えない。 が、 アスカ 「いや、シュウ(男)が蚊(小さく)になってハルちゃん(女)と戯れるシーンは書いたわけだし、今度は逆にわたし(女)が蚊(小さく)になってシュウ(男)と戯れてみようかと」 見れば部屋の上空を蚊(つまり1/200サイズ)になったアスカが飛んでいた。 シュウ 「だ、誰もそんなシーン求めてないって!」 アスカ 「まぁ十六夜のページに来てくれる人はね。でもやりたいからやる! 今からシュウのそのギンギンにそそり立ったおちんちんに浮き出てるぶっとい血管に針刺して血をちゅーっと吸い出すからね!」 シュウ 「い…っ! いらんことするな! ていうか俺動けないんだけど!?」 アスカ 「手足だけを動けなくする薬のお陰です。ほらブリ○チでマユリンが使ってたやつ」 今度はそっちの方からパクリ出したか…。 アスカ 「そして『元気君ネオ』でシュウの棒を卍解させて準備完了。ではいきます! ちんちんの血だとやっぱり精液の味とかするのかな? それもレッツ解析ー!」 ギュン! と加速するアス蚊。 一直線に俺のちんぽにむかって飛んでくる。 精液の味…。アスカのその言葉に、俺はそれをアスカに吸わせることに背徳感と同時に恐怖を覚えた。 精液の味をあじわうということはそれをしゃぶるのとほとんど同意なわけで…。そんなことを幼馴染のアスカにさせるなんて…。 シュウ 「ば、バカ! やめろ!」 ぷーん! とか細い羽音を立てながら突っ込んでくるアスカに、体を動かせない俺は声で抵抗するしかなかった。 しかしそんなもので、アスカの進軍を止められるはずもない。 1/200サイズのアスカから見れば今の俺のちんぽは全長28mの肉の塔だ。 およそ10階建てのビルに相当する高さである。 しかし元気君によって元気になった分身はビクンビクンと生物的に脈動し、とても硬質的なビルという様相ではない。 そんなそそり立つ肉の塔である俺にちんぽに、アスカが取り付く。 むぎゅ かと思われたが、その直前で横から巨大な指が現れ、アスカを摘んだ。 アスカ 「あれ?」 シュウ 「おっ!?」 ハル 「まったくなにやってんだか…」 いつのまにかそこに来ていたハルが、ため息交じりに言葉を吐き出した。 アスカ 「あ。ハルちゃん、おいすー」 ハル 「おいすー。じゃないですよ…なにやってるんですか…」 ハルがアスカを摘んでいた指を開くと、アスカはぷーんと飛び上がった。 とりあえず、アスカ吸血の危機は去ったようだ。 俺は安堵の息を吐き出した。 と思っていると、顔を赤くしたハルがジ…ッと俺のちんぽを見ていることに気づいた。 思い出したが俺は全裸なのだ。確かにこれまで風呂とかで互いに見たことはあるが、それでも、こうも無防備で、しかも手足も動かせず、更にギンギン状態のモノを見られると凄まじい羞恥心がこみ上げてくる。 シュウ 「ば…っ! そんなジロジロと見るなよ!」 俺は両手で股間を隠したかったが、それもできない。 そしてハルも、俺が抗議しても視線を逸らそうとしなかった。 などとしていると、 ガシッ ハルの左手が俺のちんぽを掴んだ。 シュウ 「い…っ!?」 その感触と行動に驚く俺。 俺を掴んだハルの手は、その感触を確かめるようににぎにぎと動く。 ギンギンのちんぽには甘美な刺激だった。 と、ちんぽを掴んだハルは、今度はそのちんぽに顔を寄せてきた。 床に寝そべる俺の下半身の方向から四つんばいになって俺のちんぽに顔を寄せてくるハル。 ちんぽに顔を寄せたとき顔の前にかかった髪を、耳の後ろに掻きあげた。 その仕草のありえないほどのエロさに、俺はゾクリとした欲情を感じた。 冷静な思考が追いつかない状況。 驚きながらも分析を続ける俺。 こいつはまさか…。 シュウ 「お、お前! なにするつもりだ!」 ハル 「もう、静かにしてよ。……こ、こんなの見せられて普通でいられるわけないじゃん…」 頬を赤く染めながら、ハルが上目遣いに俺を見てきた。 そうしてハルは口元にちんぽが来るまでに顔を寄せる。 あのぷるんとした魅惑的な薔薇色の唇の間から漏れる熱い吐息が、亀頭に吹き付けられる。 そしてそのまま、ハルは俺のちんぽの亀頭にキスをした。 亀頭部にやわらかな唇がかすかに押し当てられる感触に、俺はそれだけで逝ってしまいそうだった。 しかもそれだけでなく、舌を使って亀頭部をペロペロと舐め回し始める。 スジを下から舐め上げ、カリの溝をなぞり、鈴口を穿り返した。 俺は、かつて祭りの出店で買ったりんご飴を舐めていたときのハルを思い出していた。 しかし今舐めているのはりんご飴ではなく俺のちんぽ。そしてその舐める仕草も、あのときとは比べ物にならないほどにエロい。 熱く軟らかい舌が俺の亀頭部を舐め回す。 すでにその全体がハルの唾液に濡れそぼっていた。 俺は今にでも射精してしまいそうなのを必死に堪えていた。 このままでは、妹の顔に顔射してしまう。そんなばかげたことは、絶対に避けなければならなかった。 しかしハルの舌の動きは止まらない。 その絶妙な舌さばきは、俺のその理性の壁をドンドン突き崩してくる。 元気君のせいもある。 それでも俺は、絶対に射精はさせまいとちんぽを搾る勢いで理性を総動員させていた。 不意に亀頭部を舐めるのをやめるハル。 そして今度は口を開け、その亀頭部をぱくりと咥え込んだ。 !? 俺のちんぽの亀頭部がハルの口の中に消えている。 亀頭部全体に、口内壁の熱さが伝わってくる。 ハルが口をもごもごと動かし始めた。 口の中で何が起きているのか。それは俺の亀頭部がはっきりと感じてくれていた。 口内に咥え込んだ亀頭をハルの舌がこれでもかと舐め回している。 中にあるものを吸い出そうとちんぽを吸引してくる。 やわらかな唇でサオをしっかりと咥え込み、放さないようにしゃぶりついてくる。 たまらない快感だった。 とても、耐えられるものじゃなかった。 シュウ 「ぐ…っ」 どぴゅぅぅううう! 俺はついに射精してしまっていた。 亀頭を咥え込んでいるハルの口の中に。 射精してしまった瞬間、ハルが一瞬ビクンと震えたが、それでもちんぽは放さなかった。 そのままゴクゴクと喉を鳴らし始める。 飲んでいるのか…? ハル 「……ぷは」 ようやくハルが口を離した。 その口元から白濁色の液がツーッと滴り落ちた。俺の精液とハルの唾液の混じったものだ。 その精液を指ですくいとりハムッとしゃぶるハル。 指が唇の間から引き抜かれると、精液はきれいに取り払われていた。 俺が放った 人間の元でもあるおよそ3億もの精子は、すべてハルに飲み干されてしまった。 俺は何がなんだかわからなかった。 妹が俺のちんぽを咥えていたことも、その妹の口の中に射精してしまったことも。 そして妹が、その精子を何と言う風も無く飲み干してしまったことも。 だが事はまだ終わらない。 しばしもごもごと口を動かしていたハル。 口の中の精子の味を吟味していたのだろう。 しかしそのあと、来ていたワイシャツのボタンに手を掛けた。 快感と混乱の渦に巻かれる俺が何か静止する言葉を見つけ投げかける前に、ハルはワイシャツを脱ぎ捨てていた。 そしてブラも、スカートも、パンツも。すべてを脱ぎ捨て全裸となって俺の前に立っていた。 唯一身に付けているのは髪を二束に縛っているリボンのみ。 俺の腰あたりを跨いで立つ全裸のハル。見上げる裸体はやや汗ばんでいるようにも見えた。 はるか彼方の大きな乳房では乳首が勃起し、股間の茂みの割れ目からは液が滴っていた。 俺を見下ろしながら自分の股間に手を伸ばし陰唇をくぱぁと広げるハル。 ぽたぽたと滴る液が、俺のちんぽにかかった。 ゆっくりと腰を落とし始めるハル。 両脚を折りたたみ、狙いをつけるように慎重に体の位置を微調整する。 すると1度逝ってもなおもそそり立つ俺のちんぽの先端が、腰を下ろしてきたハルの陰唇にピトッと触れた。 俺のちんぽとハルのまんこがキスをした。 などと思っていると、ハルはそのまま更に腰を落とした。 俺のちんぽがハルの陰唇を押し広げて性器に刺さる。 やめろ! などという声もでなかった。 動けない俺に、できることはなかった。 俺のちんぽがハルの陰唇にずぶずぶと飲み込まれてゆく過程で ブチィッ! と何かを破るような感触がし、同時にハルがギュッと顔をしかめた。 しかし腰はそのまま降下し続け、やがてハルの股間は俺のちんぽを完全に飲み込んでちんぽの根元である股間とくっついた。 ハル 「くぅ…」 痛みを堪えていたハルが息を吐き出すと一緒に唾液も滴った。 シュウ 「お、お前…」 ハル 「い、いいの…。それよりお兄ちゃん 今動けないんでしょ…? わたしが動くから…」 言うとハルは両手を俺の胸に置き、そのまま脚を屈伸させ腰を動かし始めた。 ハルが腰を浮かせると飲み込まれていた俺のちんぽがずるずると引き抜かれ、そしてそれが抜け切る前に下りてきたハルの股間に再び飲み込まれる。 ピストン運動。 それを繰り返した。 ズン  ズン  ズン 俺と接続したまま腰を動かすハル。 出し入れされるちんぽにはハルの中の感触を味わっていた。 熱く包み込んでくる内壁の締め付けが心地いい。 生物として最高の行為、セックスをしていた。 ハル 「は…っ、は…っ」 腰の動きと共にハルの喘ぎ声がリズミカルに聞こえてくる。 短く熱い吐息と共に溢れた唾液が飛び散る。 体は動かせなくても感覚はある。間違いなく、ハルと繋がっている。 妹のハルが、俺の上で腰を動かし俺のちんぽをまんこに上下させている。 俺は快感と背徳感の渦巻く脳みその中でわずかに冷静に、この状況を整理していた。 いったいなぜこんなことになっているのか。 まさかハルも、俺のように『元気君』か何かを盛られたのだろうか。 だとしたらアスカは? アスカはどこにいる? 首はなんとか動く。 俺は部屋の中を見渡し、蚊になったアスカを探す。 すると、やや離れたところからこちらを観察しているアスカを発見した。 アスカ 「  (*´ω`*) =3 」 ご満悦!? うっとりした表情で俺たちのことをスマホのカメラで撮影している。 しかし、アスカがああいう顔をするのは、自分の意図せぬところで自分好みの展開になったときである。 これにアスカは関与していない? ……つまり、ハルは自分の意思で…? シュウ 「うぐ…!」 ハルの動きの気持ちよさに喘いでしまう俺。 分析ができない。ハルを止められない。 いや、そもそも止めるつもりがあるのだろうか。 ハルは俺の上で腰を動かしている。 しゃがむと床に着くほどに長いツインテールもハルの動きに合わせてふわふわと動く。 あの大きな胸も、俺の目の前でゆっさゆっさと激しく弾んでいる。 …『元気君』のせいだけじゃない。俺が、俺自身が、ハルを求めている。 体は動かせないが、心は行為に全力にとり組んでいた。 ハル 「ん……お兄ちゃんのおちんちん…もっと大きくなってる…!」 俺のちんぽを挿入しているハルがビクンと体を震わせた。 …そんなことを言われたら、ますます反応する。 そして、そんな俺の反応に呼応するように、ハルの動きもどんどん小刻みに激しくなっていった。 ハル 「はぅ…い、いくよ…お兄ちゃん…!」 ハルが俺を見下ろしながら言った。 俺ももう、我慢の限界だった。 シュウ 「う…っ!」 ハル 「んん…っ!」 ハルが、絶頂を迎えると同時に俺のちんぽを思い切り締め付ける。 同時に俺も、ぎゅうぎゅうと締め付けられるちんぽからありったけを迸らせていた。 俺たち兄妹は、同時に逝ったのだ。 * しばし、俺の上で体を仰け反らせていたハルは、絶頂の急激な快感の波が引いてくると、そのまま俺の上に倒れ込んできた。 俺の胸に、自身の体を預ける。 ハルが俺の上に被さると、俺の上に倒れてきたハルの胸が俺の胸に押し当てられムニッと変形した。 その心地よい弾力の向こうに、ドキドキというハルの鼓動が感じられた。 ハル 「はぁ…」 ハルが溜めに溜めた熱い息を吐き出すと、自身の顔を寄せている俺の胸にそれが吹き付けられた。 折り重なる俺とハル。 股間は、未だに繋がったままだ。 ハル 「気持ちよかったね…」 シュウ 「…ああ」 心地よい憔悴感と疲労感に包まれていた。 禁忌を犯した背徳感と恐怖など、それらに比べれば些細なものだ。 ハルを、契りを交わした妹を、ずっと守る覚悟が出来ていた。 体にのしかかるハルの重さが、俺の守るべき存在と責任の重さなのだ。 不意にハルが右手を伸ばし、重なる俺たち二人の顔が画面に納まるようにスマホで自撮りした。 ハル 「お兄ちゃんの『にい』~」 パシャ どんな合図だ…。と思いながら俺もハルの構えるスマホのほうを向いていた。 クスクスと笑うハル。 ふと、俺はそのスマホの画面の中に、気になるものを見つける。 ハルは嬉しそうに俺の胸に体を預けている。 ハル 「気持ちよかったよね…」 ハルが呟くとその振動と吐息が俺の胸をくすぐる。 しかし俺はそんなことよりも画面の中の方が気になっていた。 ハル 「…でも、まだ足りないかな」 画面の端にある『1000倍』の文字が… ハル 「もっと、気持ちよくなろうよ…」 ……。 ズッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!! 直後、俺たち二人は1000倍の大きさに巨大化した。 巨大化の際に我が家は吹っ飛び、消し飛んでいた。 俺たちは我が家のあった住宅地の上に横たわっていた。 シュウ 「え……?」 唖然とする俺。しかし背中には、家々らしき細かいものが俺の下敷きになり潰れている感触が会った。 見える景色は、見慣れた部屋の中から、一気に青空へと変わった。 シュウ 「な、な………」 俺は驚愕していた。 俺たちは全裸で折り重なったまま自分たちの街の上に巨大化していたのだ。 「な、なんだああああああああ!?」 「きょ、巨人だ…! 巨人がいるぞおおおお!!」 街のみんなの声が聞こえてくるようだ。 先ほどの覚悟など消し飛ばさん勢いで恐怖に包まれた。 ハル 「ふふ、ほら見てお兄ちゃん、ちびっちゃいみんながわたしたちのこと見てるよ」 くすくすと笑いながら俺の胸に顔を寄せるハルが、俺の胸にくるくると『の』の字を書きながら言った。 そんなハルが体を起こす。 俺の胸に手を置いて上半身を押し上げたハルは俺の股間の上に座りこんだ。 未だに股間を繋いだまま…。 そのままぐるりと街を見渡す。 1000倍の巨人となってしまった俺たち。 町の上に横たわる俺と、その上に座り込むハル。 座っていてなお、ハルの高さは1000m近くある。 最早肌色の山だ。 熱く火照った体を高所の風が撫ぜ、それに対し気持ちよさそうに体をくねらせた。 ハル 「ん…」 ハルは腰を浮かせると自身のまんこから俺のちんぽをずるりと引き抜いた。 元気君のせいもあり未だガチガチな俺のちんぽ。 その表面は俺の精液とハルの愛液でベトベトに濡れていた。 股間からどいたハルは、こんどは俺の脚の上にすわりこむ。 自身の目の前、俺の股間からズンとそそり立っている俺のちんぽを見下ろして嬉しそうに微笑む。 そしてハルは、右手を横の地面に伸ばすと、そこにあった商店街に指を突っ込んだ。 ハルの巨大な指によって商店街がガリガリと削られている。 今のハルの指は太さ15m長さ60mを超える。まるでひとつの高層ビルか、一匹の巨大怪獣である。 そんなものが五つも、有機的な動きを持って商店街に襲い掛かっていた。 商店街はあっという間に廃墟になっていた。ハルの指が引っかくように動いただけで、すべての家々が粉々にされてしまった。 いつも学校帰りにみんなでコロッケなどを買いにいったりしていた昔からのなじみの商店街が、ハルの指先によって壊滅させられてしまった。 そんな商店街から、何かを摘むようにして指を持ち上げたハルは、それを俺のちんぽの上に持ってくると指を開いた。 俺の目にも、ハルの指の間から、何かがちんぽの上にハラハラと落とされてゆくのが見えていた。 人だった。 商店街の人々が、ハルの指にって摘み上げられちんぽの上に振り落とされていた。 彼らは亀頭の上に落下すると、その表面を覆っている精液と愛液の混じった粘液に付着し動けなくなっていた。 俺からは彼らは小さすぎて見えない。しかしそれを見下ろすハルがクスクスと笑っているに、粘液の中でピチピチともがいているのだろう。 あの商店街には、威勢のいいおじさんのいる魚屋や、よくオマケしてくれるおばさんのいる八百屋があった。 彼らは今、俺のちんぽの上でもがいているのだろうか。 彼らから見る1000倍の俺のちんぽは、高さがおよそ140mほどもあり、超高層ビルサイズだった。 東京タワーの展望台とほとんど同じ高さにまでなる。 ハルは俺のちんぽに顔を寄せた。 その亀頭部には十数の人々が粘液に絡め取られ動けなくなっている。 自分の兄の亀頭部で、自分の愛液と兄の精液の混ざった粘液に絡め取られ、逃げることもできずただただもがいている人々を見て、ハルはにんまりと笑う。 そして舌を出すと、俺の亀頭部をペロリと舐め上げた。 ハルの舌が舐めた部分だけ、粘液が舐め取られ亀頭部の表面があらわになる。 ハルは、その舐め取った粘液が俺に見えるようこちらを向いた。 「てへぺろ」の状態でこちらを見るハル。その舌先に舐め取られた粘液には、まるでゴマ粒のような大きさの人間が何人も絡め取られていた。 ハルの楽しそうな顔と彼らの置かれている絶望的な状況のギャップが、酷く恐ろしかった。 そのままハルは口を開けると、舌を口の中に引っ込めた。 舌先に絡め取られながら悲鳴をあげもがいていた人々は、ハルの唇がはむっと閉じられるともう見えなくなった。 しばし、もぐもぐと口を動かして、精液と愛液の混じった粘液と、そこに混じる人々の味を吟味したハルは小さく喉を鳴らした。 ハル 「ん、おいし♪」 ハルはにっこりと笑った。 これはスイッチが入っているな…。 今のハルは、誰にも止められない。 それからハルは瞬く間に亀頭部を舐め回し、すべての粘液と人々を舐め取って亀頭部をきれいにしてしまった。 まるでちんぽというスイーツにかけられた精液と愛液のクリームとそこにトッピングされた人々を味わうように。 俺のちんぽを舐めるという行為の最中に、そこに囚われた罪の無い無関係な人々を呑み込む。あまりに理不尽で、非常識な行為だった。 その後、彼らは俺の精液とハルの愛液に絡みつかれたままハルの胃液の中に落とされる。 1000倍もの巨人となったハルの胃は暗黒の大洞窟であり、そこにたまる胃液は巨大な地底湖のようで、落ちたら最後 二度と出ては来れない。 巨大すぎるハルからするとあまりにもちっぽけな彼らは、その恐ろしく強力な胃液の海で、いったい何秒もがくことができるだろうか。 触れれば瞬く間に肉が溶け出す。もがいて胃液を飲み込んでしまえば体内からも『消化』が始まる。 彼らの悲痛な断末魔も、その巨大すぎる胃の中では響きもしない。それどころか、ハルの体内を流れる大量の血が動くゴウンゴウンという音にかき消され誰にも届かない。 彼らを飲み込んだハルですら、その声を聞くことはできなかった。 そしてその断末魔も数秒で途切れる。 呑み込まれた十数人の最後のひとりが消化されてしまったのだ。 彼らの衣服も、身に付けていたものも、骨すらも残っていない。 完全に、この胃液の海に溶けて消えてしまっていた。 小さすぎる彼らでは、ハルの栄養になることすら出来なかった。 すべての人を舐め取ったあとも、俺のちんぽを美味そうに舐め続けるハル。 ときおり近くの住宅地に手を伸ばしては家々の中や車の中に隠れていた人々をつまみあげて亀頭部にトッピングし調味料にしている。 亀頭の上に落とされハルの唾に絡め取られながら悲鳴を上げてもがく人々を見下ろして愉しそうに笑うハルだった。 そして、 ハル 「あ~ん」 あえてそう言いながらことさら大きく口を開ける。 彼らの囚われる俺の亀頭など簡単に納まってしまう巨大な口が、彼らの頭上であんぐりと開けられた。 赤い唇で縁取られた口の中には真白い歯が居並び、内頬や上あごはぬらぬらと光り巨大な舌がビクビクと動いている。 まさに怪物の巣穴だった。 悲鳴を上げる彼らに近づいていった口は、そのまま彼らごと亀頭を口内に入れてしまうと、はもっと閉じられた。 俺のちんぽを咥えるハル。 もごもごと口を動かし、閉じた口の中で亀頭部を舌で愛撫する。 その過程で、亀頭に囚われていた人々は次々と舌に舐め取られていった。 巨大なハルの舌はそれだけで怪獣のような巨大さである。 そんなものがこの暗い口内で縦横無尽に暴れまわる様は最早狂気であった。 あっという間に彼ら全員は舐め取られるか、亀頭の表面と舌との間で押し潰されたりすり潰されたりした。 しかし俺には彼らの最後は感じられなかった。ハルの舌が、あまりにも気持ちよかったからだ。 シュウ 「うぐ…!」 ハルの舌の愛撫に、俺は再び射精してしまった。 ハルの狭い口内に、大量の精液をぶちまける。 それをハルは、当たり前のようにゴクゴクと飲み干していく。 ハル 「ぷは…。ふふ、お兄ちゃん、そんなに出したらわたしのお腹の中にいるみんながお兄ちゃんの精液でおぼれちゃうよ」 ハルが、口の端から垂れる精液を指で拭き取りながら言う。 俺のちんぽは、キレイにされていた。 この短時間に何度も絶頂を迎えたがそれでもまだ俺のちんぽはギンギンにそそり立っている。 恐るべきはアスカの実験ということか。まだ治まりそうにない。 そんな俺のちんぽを、ハルがクスクスと笑いながら撫でる。 ハル 「あは、まだまだ元気だね。じゃあ、もう一回しようか」 言うとハルは立ち上がり歩き出した。 巨大な足をズシンズシンと踏みおろし、多くの家々を踏み潰しながら歩いていった先には学校があった。 その前にしゃがみこんだハルは体育館を鷲づかみにして持ち上げると再び立ち上がって戻ってきた。 全裸の大巨人であるハルが、無数の家々を当たり前のように踏み潰しながら笑顔で悠然と歩いてくるさまは、最早畏敬の念さえ覚える。 超巨大なツインテールがハルの重々しい歩行に合わせてゆらゆらと揺れる。 同時にあの、東京ドームよりも大きな二つの乳房も。 戻ってきたハルは横たわる俺の股間の前にしゃがみこむと持ち帰った体育館を、入り口が下に来るようにして持ち上下に振った。 するとその入り口から、まるでごま塩でも振り掛けるように人々が零れ落ちてきて、俺のちんぽの上にふりかけられた。 体育館内に避難していた人々だ。 俺のちんぽの亀頭は、あっという間に振りかけられた人々で埋め尽くされる。乗り切らなかった人々はそのままちんぽから落下していってしまった。 これ以上乗らないと判断したのか、ハルは持っていた体育館をポイと投げ捨てると俺の股間を跨いで立った。 俺のちんぽに乗せられた人々からは、頭上にハルのまんこが降臨してきたのが見えるだろう。 そのまま腰を落とすハル。 ちんぽの人々からは超巨大な女性器が凄まじい速度で落下してくるのが見えた。 皆が悲鳴を上げた。 しかしそこにいるほとんどの人が、ちんぽの表面を覆うハルの唾に絡め取られそこから逃げることができない。 そして、 ずぷ…っ ハルのまんこは、そこに乗っていた人々ごと、俺のちんぽを咥え込んだ。 ハル 「ん…みんながわたしの中にいる…それとももう潰れちゃったのかな…? まぁどっちでもいいけど」 ちんぽを挿入したハルは位置を微調整する。 俺は亀頭に小さなものがピチピチと動く感触を感じていたが、ハルが腰を動かすとそれも感じなくなった。 ハル 「じゃあまたわたしが動くからね」 言うとハルはまた俺の胸に手を置いて腰を上下にピストンさせ始めた。 ズン! ズン! ズン! 俺のちんぽがハルのまんこに出入りする。 自身の股間を俺の股間に叩きつけるたびに、ハルが小さく喘ぐ。 ハルの膣の襞が俺のちんぽに絡み付いてくる。ちんぽを締め付けてくる。 そして俺のちんぽはそんな締め付けてくるハルの膣を押し広げて子宮の入り口を突いている。 子宮を突き上げるたびに、ハルが嬉しそうに声を出す。 そうやってハルが腰を動かすたびに地面が上下に大きく揺れた。 揺れ幅10m弱にもなる凄まじい縦揺れが、ハルの動きに合わせて発生していた。 ズンズンズンズン! ハルの腰の動きに合わせて町全体が揺れていた。 俺たちを震源地として地震が発生していた。 周辺の家などはあっという間に崩れ落ち瓦礫に変わっていた。 縦揺れ10mとは、ほとんど2階建て家屋の高さ以上の揺れ幅である。 そんな揺れが延々と続くなど、普通は想定されていない。 すでに周囲のほとんどの家が崩れ落ちていた。ビルなど大きな建物も同様だ。塀が崩れ落ち、橋は落下して、道には亀裂が走った。 車などは地面から10mも放り出されたかと思えば落下し、そしてまた放り出されを繰り返してバラバラに壊れてしまっていった。 人間は更に酷い。多くの人々が崩れ落ちた家の下敷きになったり倒壊したビルに巻き込まれた。 地面に開いた亀裂に巻き込まれ落下した者や、車と一緒に宙に放り出されたあと地面に叩きつけられ者も大勢いた。 この町に無事な人間はひとりもいなかった。 すべての人間が、ハルが腰を動かすだけで致命傷を負っていた。 ハル 「んん……あああああああ!」 ハルの巨大な喘ぎ声が大気と大地を激しく鳴動させた。 俺たちのセックスのせいで、街が壊滅してしまった。 しかしハルの腰の動きは止まらない。 より早く小刻みに、加速していく。 最早 町のすべての人間が自分が腰を動かすだけで全滅していることなどどうでもよく、ただただ兄と絶頂を迎えることだけを考えていた。 すべての建物が崩壊し廃墟と化した町で行為を続ける俺とハル。 ハル 「あ…あ…! い、いく……逝くよお兄ちゃん!」 シュウ 「あ、ああ…!」 ハルがズン! と股間を叩きつけてきた。 同時にちんぽが潰れるのではないかというくらいに膣が思い切り締め上げられた。 メキメキと音を立てて引き締まるハルの膣壁。そこに入っていたのがただのビルだったならば、この瞬間に押し潰されてしまっているだろう。 そして、締め上げられると同時に俺も渾身の射精をハルの中に放った。 精巣からちんぽを通って、ハルの中に大量の精液が迸っているのが自分でも感じられた。 どぴゅううう!!! どぴゅううう!!! 同時に絶頂へと上り詰める。 ハルは体を弓なりに反らし天を仰いでいた。 しばし、その状態のまま固まっていたハルはやがて弓なりを解いて、俺の体の上にズズンと倒れ込んできた。 再び俺の体に身を預けるハル。 ハル 「…気持ちよかったね…」 ハルの嬉しそうな声。 それは、俺も同じだった。 シュウ 「…そうだな…」 俺は股間の繋がったまま俺に被さるハルの頭を撫でていた。 気づけば体も動くようになっている。 ハル 「えへへ…」 頭を撫でられたハルはくすぐったがるように俺の胸に顔を埋めた。 不意に、顔を持ち上げたハルは横たわる俺の顔の上に自分の顔が来るように移動し四つんばいになった。 目の前に、ハルの顔がある。 ハル 「お兄ちゃん、大好き♪」 ハルが、俺の唇に唇を重ねてきた。 誰もいなくなった街の中で、俺たちは、互いの唇の感触だけを感じていた。 アスカ 「いやーご馳走様でした♪」 遠くからその光景を眺めていたアス蚊は両手を合わせて二人に頭を下げた。 アスカ 「んー…ハルちゃんてばシュウのこと好きなくせに虐めると快感を感じちゃうのよねー。好きな子ほど嬲りたいって奴? シュウも大変だこりゃ」 アスカは折り重なり唇を重ねながら抱き合う二人を見て苦笑した。 そんな二人の周囲には壊滅した町が広がっていた。 あらゆる建物が崩れ落ち瓦礫と化し、原形を保っている建物はない。 すべての生存者はハルの腰の動きによって引き起こされた地震によって悉く命を落としている。 まさに破滅的な大災害。 しかし恐ろしいのが、これが天然の自然災害ではなく、明らかな人災であるということ。 二人の男女のセックスによって引き起こされたものであるということ。 一人の妹が、兄を想って腰を振ったが故に引き起こされたことである。 二人はまだ唇を重ねあっている。 放っておけば再び腰を振り始めるのではないか。 そうなればすでに瓦礫と化しているこの町は更に粉々に破壊しつくされるだろう。 そうやって町の上に横たわる大巨人である二人を、蚊となりプーンと飛ぶアスカは微笑ましく見守っていた。