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小指の先をほんの少し押し付けられるだけでも、俺はプチッと潰されてしまうのだ。
想像したら体が震える。蚊にとって、これがどんなに命懸けなことかわかる。
しかしアスカは俺に手を伸ばそうとはせず、俺が吸血を終えるのをじっと待っていた。
やがて吸血を終えた俺はそこから離れると差し出されてきたアスカの手のひらの上にポトッと落下した。
アスカ 「満足した?」
アスカがニコニコ笑いながら見下ろしてくる。
だがその巨大な手のひらの中央に大の字に転がる俺は答えることが出来なかった。
耐え難いほどの快感と快楽。そして満腹から動けなかったのだ。
賢者タイムに突入していた。
しかし、
アスカ 「あ。そー言えば、蚊って足の臭いに反応するらしいよ。試してみる?」
言うとアスカは女の子座りから片膝を立てた座り方へと体勢を変え、右手に乗せた俺を、その立てた右足のつま先の前に転がり落とした。
ドサッ。布団に落下する俺。
ただ、今は蚊の体だからか、下が布団だからか、そこまで痛くは無かった。
だが突然振り落とされれば驚きはする。
シュウ 「うぐ…何すん…!」
と文句を言おうとした俺が体を起こすと、目の前にはアスカの巨大な右足のつま先が鎮座していた。
柔らかな布団にずっしりと沈み込んでいる。
全長48m幅16mの超巨大な足である。足の指一本の太さは3m、長さは4mほどにもなる。親指に至っては家のように巨大だった。
足の指たちに見下ろされ、そのあまりの迫力に臆し言葉に詰まる俺。
指の一本ですら一車線分の幅を取り、足全体ともなれば余程の大都市でもない限りそれを踏みおろせるだけの幅のある道路はないだろう。
普通自動車の全長を5mとした場合、今のアスカの足はおよそ10倍もの大きさがある。足の幅ですら全長の3倍以上の大きさだ。
逆にアスカから見る普通自動車は全長2.5cmとちっぽけなもので、この巨大な足の親指をズンと乗せるだけでペチャンコにしてしまえるだろう。
などと思っているとアスカがその足の指を動かした。
アスカ 「ほれ、どうかな?」
巨大な足の指が持ち上がり、ぐわっと開いた。
まるで怪獣が威嚇するかのような恐怖を覚えた。
しかし、同時にその開いた足の指の間からただよってきたアスカの足の臭いに体がビクンと反応し、散々吸血したはずの俺は勢いよく飛び立ってその巨大な親指と人差し指の股に飛びついていた。
そしてそこに、針を刺す。
すると俺を挟みこむ左右の巨大な足の指がビクンと動いた。
アスカ 「あん、シュウくすぐったいよ」
アスカが楽しそうに笑う。
俺が針を刺したときのチクッとした感触を、敏感な皮膚に感じ取ったのだろう。
もしもアスカが足の指を握ったりしていた場合、俺はひねり潰されていたかもしれない。
もちろんアスカも気をつけて、足の指は開いたままにしてくれていたようだが。
満腹だったはずなのに俺は吸血を止められなかった。
そこから漂う足の臭い、石鹸の匂い、そして女の子のアスカの香りが、男としての俺の本能と蚊としての本能を刺激し、吸血を止めることを許さなかった。
やがて吸血を終えた俺は足の指の間からポロッと落ちて布団の上に転がった。
そんな俺を、足をどけたアスカが覗き込んでくる。
アスカ 「大丈夫?」
シュウ 「く、苦しい…」
俺の体はまるまると太っていた。
吸血のし過ぎである。最早飛ぶことも出来ない。
アスカ 「ふむ…ちょっと調整間違えたかな。体の限界よりも欲求のほうが優先されちゃってる」
言いながらアスカはスマホをポチッと操作した。
すると膨れ上がっていた俺の体キュッと元に戻った。
アスカ 「ほい。これで大丈夫でしょ」
アスカの言うとおり、俺の体は血を吸う前の身軽な状態に戻っていた。
むくりと体を起き上がらせる。
シュウ 「はぁ…まさか血の吸いすぎで死にそうになるとは…」
アスカ 「そこは修正しておくよ。じゃあ行こっか」
アスカが俺のベッドからおりる。
シュウ 「ん? どこにだよ」
アスカ 「えー、ハルちゃんのとこに決まってるじゃーん」
わかってるくせにー。みたいな顔をするのはやめろ。
アスカ 「単純にもうちょっとデータ欲しいのよね。えい」
アスカがスマホを操作すると、部屋の中の空間にブゥンと『穴』が出来た。
アスカ 「ほらいくよ」
ベッドの上にいた俺を摘んだアスカはそのまま『穴』の中へと入る。
『穴』を潜り抜けた先はハルの部屋だった。
これが最初にアスカが言いかけた『ワームホール発生装置』なるものの効果なのだろう。
AとBの間を繋ぎ距離を0にする。
しかし俺の部屋の隣にあるハルの部屋に行くのにわざわざそんな大層なものを使う必要があるかどうかは甚だ疑問である。
*
アスカ 「おじゃまー」
などと言いながらハルの部屋に入るアスカ。
部屋に入ると同時に俺は解放されそのまま飛び上がった。
まだカーテンも開けられていないハルの部屋。
薄暗く、それでいて換気のなされていない部屋の中にはむせ返るほどの女の子の匂いに包まれていた。
思わず、生唾を飲んでしまう俺だった。
そしてベッドの上では、部屋の主であるハルがすーすーと小さな寝息を立てていた。
すやすやと穏やかな顔で眠っている。
例え妹でも、女の子の寝顔というのは覗いてしまうと少し背徳感を感じてしまう。アスカはノーカン。
しかしその慎ましい寝顔とは裏腹に、その姿はお淑やかさとはかけ離れたものだった。
布団は蹴飛ばされベッドから落ち、長い髪はバサリと広がり、パジャマのズボンなどはややずり落ちてパンツが見え、上着のボタンなどはことごとく外されパジャマは肌蹴られている。
むき出しの乳やお腹などに興奮する前に、自分の妹の淑女としてあるまじき痴態に羞恥心が湧き上がってきた。
可能なら今すぐボタンを閉めズボンを上げパジャマを直してやりたかった。
アスカ 「ハルちゃんって相変わらず豪快な寝相だよね」
ハルを見下ろすアスカがクスクス笑いながら言う。
しかし先日、その寝相の悪さに殺されかけた俺としては到底笑うことは出来なかった。
アスカ 「うーん、しっかしおいしそうなカラダしてるわー。女のあたしから見てもそう感じるんだからシュウから見たら相当よね?」
言いながら顔の横を飛ぶ俺を見るアスカ。
確かにこうも無防備にむき出しにされたハルの肢体は俺の本能を刺激し、胸をドキドキさせ、息を荒くさせ、理性を揺るがす。
このアプリのせいもあるだろう、今にもかぶりつきたい衝動に襲われていた。
しかし相手は妹のハルだ。
いくら蚊と言え、性的欲求から寝込みを襲うなどということが許されるはずが無い。
俺は性欲に侵食されつつある理性を総動員して、小さな体を震わせて耐えていた。
まぁ、すでに風呂やらオナニーに同席してしまっているので今更な抵抗ではあるが。
アスカ 「ちなみに吸血してもかゆくなったり痕が残ったりはしないから好きな場所から吸っていいわよ」
どうでもいい。いや、どうでもよくはないけど。
とにかく俺は性欲を抑えられなくなる前にこの場を離れなくては。
しかし現状理性と性欲の比率は五分であり、飛び掛るも離れるも出来ずその場にとどまっていた。
そんな葛藤の最中にある俺を無視し、ベッドの上で大の字になるハルに近づいていったアスカは、ボタンがはずれ、ただ羽織っているだけのパジャマの上着をペラリとめくった。
シュウ 「!?」
すると、布を被されギリギリ隠されていた乳房が全開になる。
ハルの上半身はむき出しとなり、その胸板の上に乗っている、ふたつのおっぱいを余すところ無く見ることができるようになった。
俺の性欲の支配力が少し上昇した。
アスカ 「うんうん、いいおっぱいだ」
などと言いながらアスカがハルの乳房を指先でつつく。
アスカの指が触れると乳房の表面がぷにっとへこんだ。